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第1章〜兄と妹と〜
第13話〜囚われの勇者〜
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朝が来ると目を覚ます。顔を洗って歯を磨く。
朝食を食べたらいざ学校へ!
そんな学生の当たり前がつい昨日までの僕にはあった。
「おい!救急車呼んだか!?」
「もう既に呼んだわよ。だけどまだ・・・私もう一度電話掛けてみる。」
「頼む」
そんな声を聞きながら薄らと目を開ける。
僕の前には、青ざめた顔の男女の2人が立っていた。
(ここはどこだ。)
周りを見るとそこは横断歩道の前だった。
外は真っ暗で赤いランプがただ幾つか視界の中をぐらつく。
目の前には1台の車が止まっていた。
状況が全くつかめない。
僕は辛うじてこえを出すことに成功した。
「だ・・・れ・・・。」
「起きたぞ!もう少しの辛抱だ。すぐに助けが来てくれる。それまでだ。だから・・・生きろ!!」
「大丈夫すぐに迎えが来るから。」
一体この2人は何を言っているんだ。てか、今気づいたけど物凄く体が熱い。
なんというか暑いんじゃなくて内から込み上げてくるような熱さがある。
僕の体に一体何が起こったんだ。
「不味いわ。どんどん溢れてくる。一体どうすればいいの?」
「知るか!お前はさっさと電話しろ!!命がかかってんだ。普段のマイペースじゃすまされねぇぞ!!」
なんだか分からないがどうやら僕は命の危機ってやつらしい。
まぁ体中熱いだけだし、特に気にはしてないつもりだ。2人の反応を見てるとすごく拍子ぬけで大袈裟だと思ってしまう。
だが、彼女の物らしきハンカチが真っ赤に染まっていた。それは自体の深刻さを物語っていた。
そのハンカチを目で認識した瞬間見なければよかったという後悔と焦りが出てくる。
「本当に不味いこのままじゃ・・・。」
「諦めるな最後まで続けるぞ。」
「だけど救急車全然来ないし。私たちただの社会人なんだよ。」
「それでもだ。・・・おい、俺これ終わったら医者目指すことにする。」
(いや誰に対しての死亡フラグ?)
「何言ってんの?疲れておかしくなった?」
「いやな。俺、なんか怪我してるやつほっとけないって言うか?こうやって今も必死にやれてる位だし。俺人生で初めて本気ってやつを出してるんだと思う。なぁ分かるだろ」
「・・・分かりたくもないわ」
同じく。あーダメかも。これ僕死ぬな~。
意識がもう・・・。
せめてもう少しくらいこの成り行きを見てみたい感じがあるんだけど・・・・・・。
でもよかった。
孤独死とかじゃないし。
少なくてもこれで寂しくはないかな?
静かに僕は目を閉じた。
なんかすごく唐突に終わりがやってきたけどまぁいいかなーーー。
だからかな。僕は下に魔法陣が出現していることに気が付かなかった。
「こ、ここは!?」
目が覚めた僕が、まず始めに見たものは知らない天井。
「勇者が起きましたぞ!」
「おぉ、やっとか。」
そして、知らない男の人の声。
でも、取り敢えず僕は異世界転移したらしい。
何故そう思ったのかは、分からないけど、そう理解してしまった。正直謎だ。
「ここは何処ですか?」
「おぉ、勇者が喋りましたぞ!」
「喋れるのなら上々、さっさと薬を投与するのだ。」
「分かりました。」
「え?薬って。ん、あ、があぁぁぁぁぁ!!!」
突然の激痛。見ると背後の首に何かが刺さっていた。
そして、そのままあまりの痛みに僕は気絶した。
「殺してはいないな?」
「当たり前でございます。勇者は大変貴重な存在。そもそもこの者を召喚するのにいくら費用がかかったことか。そんな存在を殺すなんてありえないでしょう。」
「ふむ。なら良い。その費用は全て王国の資源で取り換えせよう。期間はいつ頃だ?」
「約1ヶ月後となります。その間には勇者はあの領域に至っていることでしょう。」
「なら良い。だが、早いな。廃人にはするなよ?」
「廃人になったとしても、この薬さえあれば、いくらでも働いてくれるでしょう。」
「なるほど、そうであったな。相変わらず大臣は惨いことを考えるな。」
「ラーカン様には負けますよ。」
そして、二人の男は趣味の悪い笑みを浮かべる。僕の地獄の始まりだった。
「あれ、ここは。って僕多分あの人達に何かされたんだろうな。」
当たりを見渡す。そこはまるで一昔前の牢屋だった。
周りには拷問器具のような物がおかれ、僕の下にはただ、砂があるだけ。
「せっかく生きてたのに。僕はこのまま死んじゃうのかな。それとも・・・。」
不気味に光る器具の数々に、僕は全身に鳥肌が立つ。
「痛いのはもう嫌だな。」
周りを観察していると、タイミングよくさっきの内、一人の小太りな男の人がやってくる。
「気分はどうかね?」
「最悪です。僕をどうする気ですか?」
「なるほど覚えていないと・・・。」
「覚えていない?僕はあなたたちに何をされたのか覚えています。僕はーー」
「人殺しをしたのを覚えているのかな?」
「・・・え?」
「なるほど、やはり覚えていない。薬は成功。このまま王国を滅ぼしてもらいましょう。」
「ちょっちょっと待ってください!僕が人殺し?そんなことはしてません。」
「うむ。ならば、私の能力で思い出させてあげましょう。『バックメモリー』。」
「ん、あぁぁぁ!!」
その瞬間僕に流れ込んできたのは、僕が戦場に立って狂って誰かを殺す姿。その殺し方は色々あって、例えば頭を半分に割ったりーーー
「んぷ、うおぇーー。」
「うっ。最悪です。勇者なのにゲロを吐いて失禁するとは。」
「ぼ、僕が、僕がひ、人を殺して。」
「まぁいいです。早く楽にさせてあげましょう。」
「さ、触らないで。ぼ、僕は・・・やだ、やだーーー!!」
そして、また僕は長い眠りにつく。きっとその間に僕は、何千人も人を殺しているのだろうけど。
この地獄が終わるのを信じて。
だけど、それは終わらなかった。何度も何度も眠って起きての繰り返し。
それごとにあの酷い痛みに襲われることになる。
それならと、いつしか僕は自分からあいつらに従うようになっていた。
それは何日も続く。毎日人を何千人も殺す日々。
それをする事に、僕が僕自身が僕で無くなっていくことに気づいた。そしてーーー
「大臣。遂に至ったのか!?」
「はい。ラートン様。思いの外王国兵が弱かったようで、前線を壊滅させた後、【到達者】へと至ったようです。」
「ならいい。今すぐ瞬間移動魔法の準備を始めろ。場所はラットプント王国、王都内の王室。なるべく早く、 王国の兵共が前線に気を取られている間にやるのだ。」
「はっ!」
「勇者さん起きて下さい。」
「・・・。」
「ふぅ。もう、廃人化寸前のようですね。ですが、あなたに朗報です!ある私からの依頼を達成してくれれば、あなたを自由の身にしてあげましょう!」
「ほんとう・・・ですか?」
「えぇ!」
「依頼は、何ですか。」
「ラットプント王国の王。クロホォル・ザルバ・ラットプントを殺してください!」
「・・・分かりました。」
そう言うしか無かった。それほど僕の心は廃れていた。
「それでは・・・行ってらっしゃいませ。勇者さん。くれぐれも、それを使わないようにしてくださいね。」
△▽
ーーーこれで終わる。
「な、誰だ!?ギャァァ!!」
これで終わる。
「王の前には我を倒して行け!我の名はーー」
「これで終わらせる!!」
「な、何!?ヌァァァ!!」
もうここまで来るのに何人殺しただろう。
僕はもうおかしくなってしまった。もうムリだ。早く終わらせて、この世界から出てやる!
「ここか。」
一際大きい扉を見つけ、僕は扉を勢いよく開いた。
「なんじゃ?もう、連れてきたのか。第二王子、話は聞いておるじゃろう。
今すぐ、騎士団を連れ帝国を・・・な!?貴様は誰じゃ!!?」
「僕は帝国の勇者、カグヤ・オウマだ。」
「ゆ、勇者じゃと!?外の者らは何を。」
「この人の事?」
僕は一番近くの死体を持ち上げそう言う。
「な!?騎士団長!!」
「この人が騎士団長なんだ。まぁいいや。僕はもう疲れた。抵抗しなければ、後はあなただけで終わらせてあげる。」
まぁどうせ、足掻くんだろうけど・・・。
「・・・分かった。殺すがよい。」
「・・・え?」
「どうした勇者よ。儂を殺したいのだろう?儂の命一つで許されるのであろう。ならば迷わず殺すがよい。」
「なんで。」
「お主が言ったのであろうが。儂は逃げはしない。儂は国民を守る義務があるのだから。」
「なんで。」
「さぁ・・・殺せ。」
「なんで、そんなに簡単に諦められるんだよ。」
「ぬっ?」
「そんなの生きるために、人を殺し続けてきた僕が馬鹿じゃないか!?なんで、そんなに。」
「・・・なるほどの。勇者が戦争に参加していると知っておかしいとは思ったが・・・。帝国は人間の心がないようだな。」
「うるさい!そうだ。僕はあなたを殺しにきたんだ。これで終わるんだ。」
剣を、今まで何千人も殺してきた剣を、目の前の男に向ける。でも・・・
「どうした、震えておるぞ。やはりお主は勇者である前に、人間じゃな。」
その言葉に僕は迷いが消えた気がした。
だけど、その一瞬。殺意を出してしまった。それが、相手に知られてしまって。
「「そうはいかない(ねぇよ)。」」
「っち!」
僕の前に二人の影が現れる。そして、僕はその二つの剣を、手で受け止めた。
「ネルファ!!」
「【神弓の矢】!!」
「クハッ!!」
だけど、背後にいたエルフの女性に、僕は完全に不意を疲れて、その矢の餌食になる。さらに、
「《毒竜》!!」
毒の竜が現れ、僕の吹き飛んだ体を加え、壁にそのまま突っ込む。
「ナイスだ、ムルサンプ!」
「いや、まだね。毒竜が加えた感触はなかったね。勇者はどこかにいるね。」
「何!?」
「その通りですよ!」
「まずっ!ムルサンプ!!」
「カラカラカラカラ(【不死者の号令】)!!」
仕留めたと思った時、突然骸骨の兵士が現れ、僕の攻撃の身代わりになる。
「カラカラカラカラ(【不死者の総督】)!!!」
「な!?」
そして、更に背後に突如、骨のドラゴンが出現して、僕の体を吹き飛ばす。
何とか空中で立て直した僕は、正直に戦いズラすぎて、汗をかいた。
「面倒臭い人たちですね。」
「悪いが勇者。国のトップを殺されるのは困るんだわ。」
「S級冒険者として、私たちはあなたの邪魔をさせていただきます。」
「ちっ!そこをどけろ!!」
「そうは行かねぇぜ!」
虎の獣人の男が、その剣をこちらに突き刺すような形で、突進してくる。僕はそれに対して、手を突き出した。
「あなたの剣は手で十分ですよ。」
「勇者のお兄さん足元お留守だよ?」
「な!?」
僕の前に急に出現した兎人の女性に驚き、僕は一瞬反応が遅れた。それは致命的になって。
「せいっ!!」
「グッァァァァァ!!」
右脚を砕かれてしまった。
「あぁ、離れろ!」
「キャ!」
僕は必死の抵抗で、兎人の女性を振り払う。だけど、既に僕は足元を崩され、空中にいる状態。
「ガルァァ!!」
「くっそがー!!」
飛んできた巨躯を何とか回避する。だけど、脇腹をその一撃で削がれてしまう。
「あぁぁぁ!!!」
「おっとっと。ふぅ。危なっかしいお兄さんだなぁ。」
「ガルァ!・・・これが本当に勇者なのか?俺にはただの戦いを知らないガキに見えるが。なぁ、国王様よ?」
「恐らく、彼は操られておったのじゃろう。
勇者と対話してみたが、あの者の本質は善じゃ。」
「なるほどな。良かったなオルトモア。お前の憧れの勇者は操られてたそうだ。」
「ふん。操られる勇者など、勇者とは言わない。」
「へっ。まぁこれで帝国の野望もここまでって訳だ。」
随分と言ってくれるじゃないか。
「・・・まだ、終わってませんよ。」
「あぁ?まだ、立ち上がるのか?・・・って、傷治ってね!?」
「恐らく勇者のスキルだ。気を付けろ。恐らくここからが本当の始まりだ。」
「「「「「おう!」」」」」
「いえ、終わりですよ。はぁ。何を僕は躊躇ってたんだろう。僕はあの人たちを殺せばいいだけなのに。」
そうだ。僕は目の前の敵を殺して、全部殺して、とにかく殺せばいいんだ。
その時、勇者の付けていた飾りが怪しく光る、
「ちょっとちょっと~勇者のお兄さんの首のネックレスから、邪悪なオーラビンビン出てるよ?」
「恐らくあれが、帝国が勇者を操っている道具じゃろ。全くあんなもんを使いおって。」
「なんなのでしょうか、あれは。」
「あれは恐らく邪悪竜オルランガの魔石を使ったネックレスじゃろう。確かあれは数千年前に消えた物だったはずじゃが。気をつけろ。話によると、あれはひとつの国をその魔石だけで消したという伝承があるからの。」
「国が消えた~!?それを帝国が持っていたってことか。」
「あぁ。」
「先手必勝なんだね。大魔法、《毒竜》!!」
ムルサンプがそう言うと、勇者にもう一度どデカい毒の竜が、襲いかかる。
僕に、自由な僕に、魔法を使ったな?
「身動きもとれないね。そのまま終わるね。」
「いや、何かおかしい!ムルサンプ、今すぐ魔法を!」
そして、勇者が毒竜に飲み込まれる。
「何を言ってるねアルガス。毒竜はしっかりくらったね。」
「ま、待ってください。あの毒竜、おかしくないですか?」
「だね?」
「お返しだ!!反発!!!」
突如、毒竜が方向転換し、ネルファとラフィットの元に飛んでいった。さっきよりも何倍も早く。
「え?」
「な!?」
「「キャァァ!!」」
「ネルファ!ラフィット!!」
「よそ見してる場合?」
「クソっ!」
そして、勃発する勇者とオルトモアの激しい攻防。
「お前がどんなに強くても、俺たちS級には決して勝てん!未熟者のお前にはな!!」
「確かに僕は戦いに不慣れかもしれません。ですけど。」
突如拮抗していた二人が、明らかにオルトモアの劣勢になる。
「これでも僕は一応勇者だ。【バースト】!」
「クハッ!」
そして、オルトモアは勇者の蹴りで、鎧を破壊され、壁際まで吹き飛んだ。
「ヌォォォ!!獣王化!!!」
アルガスの身体が変形し、彼の身体が膨れ上がる。
「うるさい虎だ。おすわり。」
「ガハッ!!」
僕は背後に現れた虎の獣人の頭を持ってそのまま下に思い切り潰した。だが、
「ングォォォ!!!」
「なんだと!?」
アルガスは、地面を深く掘り、勇者ごと投げ飛ばす。
そして、その地面に一緒にいた、モルもまた、吹き飛ばされ。
「【クリティカル】!」
「かほっ!」
勇者の腹を、モルは突き刺した。そして、その緩んだ隙に、腕に手を回し、身動きが取れない状態にする。
「やれ。」
「クソっ!邪魔だ、どけろーー!!」
待ってたかのように、ムルサンプがもう一度呪文を放つ。
「勇者、お前の力は確かにとてつもない。だが、やりようによってはどうだ。・・・今は使えるか?」
「クソ共ガァァ!!!」
「《毒竜》!!!」
そして、二人を巻き込んで、毒の竜は突き進む。
やがて、それは天上を突き破り、空に紫の花火が上がった。
「命中だね!!」
だが、勇者の力はそんなに弱く作られていない。
「カラカラ(まだだ)!!」
「「「「!?」」」」
「【フィニッシュ】!!!!」
爆発。
王城の上階は、その勇者の使った魔法で、消し飛んだ。
S級冒険者が倒れる中、そこには1人の影があった。
「痛い、痛い痛い痛いーー!!・・・・・・はぁ。超回復か。本当に僕人間か?っつ。
流石にこの魔法は辛いや。でも・・・さーって、これで僕の役目は終わりだね。王様もこの魔法で死ん・・・?」
「S級までもが、か。」
「なんで生きてるの?」
「これじゃよ。これ。」
僕は、王様の下にある骸骨の残骸を見る。
「ふ~ん。あの魔物みたいな人か。うん。まぁいいや。もう悔いは無いよね国王様?S級冒険者も、みんな僕が片付けたし。みんなタフだから生きてそうだけど、動けそうにないみたいだしさ。」
「いいえ。私が残っています。」
その時、僕は多大な恐怖の感情と殺気に思わず振り向く。瓦礫がまだ落ちている中、その人間の姿だけは、常に視認できるほどの、濃密な強者の殺気。
だけど、その姿が見えた時、僕は正直驚いた。
だって、僕よりも若そうな子供だったから。
「・・・君は?」
「私はSS級冒険者、《魔帝》ミディと言います。暇つぶしに、あなたの相手をしてあげますね。」
朝食を食べたらいざ学校へ!
そんな学生の当たり前がつい昨日までの僕にはあった。
「おい!救急車呼んだか!?」
「もう既に呼んだわよ。だけどまだ・・・私もう一度電話掛けてみる。」
「頼む」
そんな声を聞きながら薄らと目を開ける。
僕の前には、青ざめた顔の男女の2人が立っていた。
(ここはどこだ。)
周りを見るとそこは横断歩道の前だった。
外は真っ暗で赤いランプがただ幾つか視界の中をぐらつく。
目の前には1台の車が止まっていた。
状況が全くつかめない。
僕は辛うじてこえを出すことに成功した。
「だ・・・れ・・・。」
「起きたぞ!もう少しの辛抱だ。すぐに助けが来てくれる。それまでだ。だから・・・生きろ!!」
「大丈夫すぐに迎えが来るから。」
一体この2人は何を言っているんだ。てか、今気づいたけど物凄く体が熱い。
なんというか暑いんじゃなくて内から込み上げてくるような熱さがある。
僕の体に一体何が起こったんだ。
「不味いわ。どんどん溢れてくる。一体どうすればいいの?」
「知るか!お前はさっさと電話しろ!!命がかかってんだ。普段のマイペースじゃすまされねぇぞ!!」
なんだか分からないがどうやら僕は命の危機ってやつらしい。
まぁ体中熱いだけだし、特に気にはしてないつもりだ。2人の反応を見てるとすごく拍子ぬけで大袈裟だと思ってしまう。
だが、彼女の物らしきハンカチが真っ赤に染まっていた。それは自体の深刻さを物語っていた。
そのハンカチを目で認識した瞬間見なければよかったという後悔と焦りが出てくる。
「本当に不味いこのままじゃ・・・。」
「諦めるな最後まで続けるぞ。」
「だけど救急車全然来ないし。私たちただの社会人なんだよ。」
「それでもだ。・・・おい、俺これ終わったら医者目指すことにする。」
(いや誰に対しての死亡フラグ?)
「何言ってんの?疲れておかしくなった?」
「いやな。俺、なんか怪我してるやつほっとけないって言うか?こうやって今も必死にやれてる位だし。俺人生で初めて本気ってやつを出してるんだと思う。なぁ分かるだろ」
「・・・分かりたくもないわ」
同じく。あーダメかも。これ僕死ぬな~。
意識がもう・・・。
せめてもう少しくらいこの成り行きを見てみたい感じがあるんだけど・・・・・・。
でもよかった。
孤独死とかじゃないし。
少なくてもこれで寂しくはないかな?
静かに僕は目を閉じた。
なんかすごく唐突に終わりがやってきたけどまぁいいかなーーー。
だからかな。僕は下に魔法陣が出現していることに気が付かなかった。
「こ、ここは!?」
目が覚めた僕が、まず始めに見たものは知らない天井。
「勇者が起きましたぞ!」
「おぉ、やっとか。」
そして、知らない男の人の声。
でも、取り敢えず僕は異世界転移したらしい。
何故そう思ったのかは、分からないけど、そう理解してしまった。正直謎だ。
「ここは何処ですか?」
「おぉ、勇者が喋りましたぞ!」
「喋れるのなら上々、さっさと薬を投与するのだ。」
「分かりました。」
「え?薬って。ん、あ、があぁぁぁぁぁ!!!」
突然の激痛。見ると背後の首に何かが刺さっていた。
そして、そのままあまりの痛みに僕は気絶した。
「殺してはいないな?」
「当たり前でございます。勇者は大変貴重な存在。そもそもこの者を召喚するのにいくら費用がかかったことか。そんな存在を殺すなんてありえないでしょう。」
「ふむ。なら良い。その費用は全て王国の資源で取り換えせよう。期間はいつ頃だ?」
「約1ヶ月後となります。その間には勇者はあの領域に至っていることでしょう。」
「なら良い。だが、早いな。廃人にはするなよ?」
「廃人になったとしても、この薬さえあれば、いくらでも働いてくれるでしょう。」
「なるほど、そうであったな。相変わらず大臣は惨いことを考えるな。」
「ラーカン様には負けますよ。」
そして、二人の男は趣味の悪い笑みを浮かべる。僕の地獄の始まりだった。
「あれ、ここは。って僕多分あの人達に何かされたんだろうな。」
当たりを見渡す。そこはまるで一昔前の牢屋だった。
周りには拷問器具のような物がおかれ、僕の下にはただ、砂があるだけ。
「せっかく生きてたのに。僕はこのまま死んじゃうのかな。それとも・・・。」
不気味に光る器具の数々に、僕は全身に鳥肌が立つ。
「痛いのはもう嫌だな。」
周りを観察していると、タイミングよくさっきの内、一人の小太りな男の人がやってくる。
「気分はどうかね?」
「最悪です。僕をどうする気ですか?」
「なるほど覚えていないと・・・。」
「覚えていない?僕はあなたたちに何をされたのか覚えています。僕はーー」
「人殺しをしたのを覚えているのかな?」
「・・・え?」
「なるほど、やはり覚えていない。薬は成功。このまま王国を滅ぼしてもらいましょう。」
「ちょっちょっと待ってください!僕が人殺し?そんなことはしてません。」
「うむ。ならば、私の能力で思い出させてあげましょう。『バックメモリー』。」
「ん、あぁぁぁ!!」
その瞬間僕に流れ込んできたのは、僕が戦場に立って狂って誰かを殺す姿。その殺し方は色々あって、例えば頭を半分に割ったりーーー
「んぷ、うおぇーー。」
「うっ。最悪です。勇者なのにゲロを吐いて失禁するとは。」
「ぼ、僕が、僕がひ、人を殺して。」
「まぁいいです。早く楽にさせてあげましょう。」
「さ、触らないで。ぼ、僕は・・・やだ、やだーーー!!」
そして、また僕は長い眠りにつく。きっとその間に僕は、何千人も人を殺しているのだろうけど。
この地獄が終わるのを信じて。
だけど、それは終わらなかった。何度も何度も眠って起きての繰り返し。
それごとにあの酷い痛みに襲われることになる。
それならと、いつしか僕は自分からあいつらに従うようになっていた。
それは何日も続く。毎日人を何千人も殺す日々。
それをする事に、僕が僕自身が僕で無くなっていくことに気づいた。そしてーーー
「大臣。遂に至ったのか!?」
「はい。ラートン様。思いの外王国兵が弱かったようで、前線を壊滅させた後、【到達者】へと至ったようです。」
「ならいい。今すぐ瞬間移動魔法の準備を始めろ。場所はラットプント王国、王都内の王室。なるべく早く、 王国の兵共が前線に気を取られている間にやるのだ。」
「はっ!」
「勇者さん起きて下さい。」
「・・・。」
「ふぅ。もう、廃人化寸前のようですね。ですが、あなたに朗報です!ある私からの依頼を達成してくれれば、あなたを自由の身にしてあげましょう!」
「ほんとう・・・ですか?」
「えぇ!」
「依頼は、何ですか。」
「ラットプント王国の王。クロホォル・ザルバ・ラットプントを殺してください!」
「・・・分かりました。」
そう言うしか無かった。それほど僕の心は廃れていた。
「それでは・・・行ってらっしゃいませ。勇者さん。くれぐれも、それを使わないようにしてくださいね。」
△▽
ーーーこれで終わる。
「な、誰だ!?ギャァァ!!」
これで終わる。
「王の前には我を倒して行け!我の名はーー」
「これで終わらせる!!」
「な、何!?ヌァァァ!!」
もうここまで来るのに何人殺しただろう。
僕はもうおかしくなってしまった。もうムリだ。早く終わらせて、この世界から出てやる!
「ここか。」
一際大きい扉を見つけ、僕は扉を勢いよく開いた。
「なんじゃ?もう、連れてきたのか。第二王子、話は聞いておるじゃろう。
今すぐ、騎士団を連れ帝国を・・・な!?貴様は誰じゃ!!?」
「僕は帝国の勇者、カグヤ・オウマだ。」
「ゆ、勇者じゃと!?外の者らは何を。」
「この人の事?」
僕は一番近くの死体を持ち上げそう言う。
「な!?騎士団長!!」
「この人が騎士団長なんだ。まぁいいや。僕はもう疲れた。抵抗しなければ、後はあなただけで終わらせてあげる。」
まぁどうせ、足掻くんだろうけど・・・。
「・・・分かった。殺すがよい。」
「・・・え?」
「どうした勇者よ。儂を殺したいのだろう?儂の命一つで許されるのであろう。ならば迷わず殺すがよい。」
「なんで。」
「お主が言ったのであろうが。儂は逃げはしない。儂は国民を守る義務があるのだから。」
「なんで。」
「さぁ・・・殺せ。」
「なんで、そんなに簡単に諦められるんだよ。」
「ぬっ?」
「そんなの生きるために、人を殺し続けてきた僕が馬鹿じゃないか!?なんで、そんなに。」
「・・・なるほどの。勇者が戦争に参加していると知っておかしいとは思ったが・・・。帝国は人間の心がないようだな。」
「うるさい!そうだ。僕はあなたを殺しにきたんだ。これで終わるんだ。」
剣を、今まで何千人も殺してきた剣を、目の前の男に向ける。でも・・・
「どうした、震えておるぞ。やはりお主は勇者である前に、人間じゃな。」
その言葉に僕は迷いが消えた気がした。
だけど、その一瞬。殺意を出してしまった。それが、相手に知られてしまって。
「「そうはいかない(ねぇよ)。」」
「っち!」
僕の前に二人の影が現れる。そして、僕はその二つの剣を、手で受け止めた。
「ネルファ!!」
「【神弓の矢】!!」
「クハッ!!」
だけど、背後にいたエルフの女性に、僕は完全に不意を疲れて、その矢の餌食になる。さらに、
「《毒竜》!!」
毒の竜が現れ、僕の吹き飛んだ体を加え、壁にそのまま突っ込む。
「ナイスだ、ムルサンプ!」
「いや、まだね。毒竜が加えた感触はなかったね。勇者はどこかにいるね。」
「何!?」
「その通りですよ!」
「まずっ!ムルサンプ!!」
「カラカラカラカラ(【不死者の号令】)!!」
仕留めたと思った時、突然骸骨の兵士が現れ、僕の攻撃の身代わりになる。
「カラカラカラカラ(【不死者の総督】)!!!」
「な!?」
そして、更に背後に突如、骨のドラゴンが出現して、僕の体を吹き飛ばす。
何とか空中で立て直した僕は、正直に戦いズラすぎて、汗をかいた。
「面倒臭い人たちですね。」
「悪いが勇者。国のトップを殺されるのは困るんだわ。」
「S級冒険者として、私たちはあなたの邪魔をさせていただきます。」
「ちっ!そこをどけろ!!」
「そうは行かねぇぜ!」
虎の獣人の男が、その剣をこちらに突き刺すような形で、突進してくる。僕はそれに対して、手を突き出した。
「あなたの剣は手で十分ですよ。」
「勇者のお兄さん足元お留守だよ?」
「な!?」
僕の前に急に出現した兎人の女性に驚き、僕は一瞬反応が遅れた。それは致命的になって。
「せいっ!!」
「グッァァァァァ!!」
右脚を砕かれてしまった。
「あぁ、離れろ!」
「キャ!」
僕は必死の抵抗で、兎人の女性を振り払う。だけど、既に僕は足元を崩され、空中にいる状態。
「ガルァァ!!」
「くっそがー!!」
飛んできた巨躯を何とか回避する。だけど、脇腹をその一撃で削がれてしまう。
「あぁぁぁ!!!」
「おっとっと。ふぅ。危なっかしいお兄さんだなぁ。」
「ガルァ!・・・これが本当に勇者なのか?俺にはただの戦いを知らないガキに見えるが。なぁ、国王様よ?」
「恐らく、彼は操られておったのじゃろう。
勇者と対話してみたが、あの者の本質は善じゃ。」
「なるほどな。良かったなオルトモア。お前の憧れの勇者は操られてたそうだ。」
「ふん。操られる勇者など、勇者とは言わない。」
「へっ。まぁこれで帝国の野望もここまでって訳だ。」
随分と言ってくれるじゃないか。
「・・・まだ、終わってませんよ。」
「あぁ?まだ、立ち上がるのか?・・・って、傷治ってね!?」
「恐らく勇者のスキルだ。気を付けろ。恐らくここからが本当の始まりだ。」
「「「「「おう!」」」」」
「いえ、終わりですよ。はぁ。何を僕は躊躇ってたんだろう。僕はあの人たちを殺せばいいだけなのに。」
そうだ。僕は目の前の敵を殺して、全部殺して、とにかく殺せばいいんだ。
その時、勇者の付けていた飾りが怪しく光る、
「ちょっとちょっと~勇者のお兄さんの首のネックレスから、邪悪なオーラビンビン出てるよ?」
「恐らくあれが、帝国が勇者を操っている道具じゃろ。全くあんなもんを使いおって。」
「なんなのでしょうか、あれは。」
「あれは恐らく邪悪竜オルランガの魔石を使ったネックレスじゃろう。確かあれは数千年前に消えた物だったはずじゃが。気をつけろ。話によると、あれはひとつの国をその魔石だけで消したという伝承があるからの。」
「国が消えた~!?それを帝国が持っていたってことか。」
「あぁ。」
「先手必勝なんだね。大魔法、《毒竜》!!」
ムルサンプがそう言うと、勇者にもう一度どデカい毒の竜が、襲いかかる。
僕に、自由な僕に、魔法を使ったな?
「身動きもとれないね。そのまま終わるね。」
「いや、何かおかしい!ムルサンプ、今すぐ魔法を!」
そして、勇者が毒竜に飲み込まれる。
「何を言ってるねアルガス。毒竜はしっかりくらったね。」
「ま、待ってください。あの毒竜、おかしくないですか?」
「だね?」
「お返しだ!!反発!!!」
突如、毒竜が方向転換し、ネルファとラフィットの元に飛んでいった。さっきよりも何倍も早く。
「え?」
「な!?」
「「キャァァ!!」」
「ネルファ!ラフィット!!」
「よそ見してる場合?」
「クソっ!」
そして、勃発する勇者とオルトモアの激しい攻防。
「お前がどんなに強くても、俺たちS級には決して勝てん!未熟者のお前にはな!!」
「確かに僕は戦いに不慣れかもしれません。ですけど。」
突如拮抗していた二人が、明らかにオルトモアの劣勢になる。
「これでも僕は一応勇者だ。【バースト】!」
「クハッ!」
そして、オルトモアは勇者の蹴りで、鎧を破壊され、壁際まで吹き飛んだ。
「ヌォォォ!!獣王化!!!」
アルガスの身体が変形し、彼の身体が膨れ上がる。
「うるさい虎だ。おすわり。」
「ガハッ!!」
僕は背後に現れた虎の獣人の頭を持ってそのまま下に思い切り潰した。だが、
「ングォォォ!!!」
「なんだと!?」
アルガスは、地面を深く掘り、勇者ごと投げ飛ばす。
そして、その地面に一緒にいた、モルもまた、吹き飛ばされ。
「【クリティカル】!」
「かほっ!」
勇者の腹を、モルは突き刺した。そして、その緩んだ隙に、腕に手を回し、身動きが取れない状態にする。
「やれ。」
「クソっ!邪魔だ、どけろーー!!」
待ってたかのように、ムルサンプがもう一度呪文を放つ。
「勇者、お前の力は確かにとてつもない。だが、やりようによってはどうだ。・・・今は使えるか?」
「クソ共ガァァ!!!」
「《毒竜》!!!」
そして、二人を巻き込んで、毒の竜は突き進む。
やがて、それは天上を突き破り、空に紫の花火が上がった。
「命中だね!!」
だが、勇者の力はそんなに弱く作られていない。
「カラカラ(まだだ)!!」
「「「「!?」」」」
「【フィニッシュ】!!!!」
爆発。
王城の上階は、その勇者の使った魔法で、消し飛んだ。
S級冒険者が倒れる中、そこには1人の影があった。
「痛い、痛い痛い痛いーー!!・・・・・・はぁ。超回復か。本当に僕人間か?っつ。
流石にこの魔法は辛いや。でも・・・さーって、これで僕の役目は終わりだね。王様もこの魔法で死ん・・・?」
「S級までもが、か。」
「なんで生きてるの?」
「これじゃよ。これ。」
僕は、王様の下にある骸骨の残骸を見る。
「ふ~ん。あの魔物みたいな人か。うん。まぁいいや。もう悔いは無いよね国王様?S級冒険者も、みんな僕が片付けたし。みんなタフだから生きてそうだけど、動けそうにないみたいだしさ。」
「いいえ。私が残っています。」
その時、僕は多大な恐怖の感情と殺気に思わず振り向く。瓦礫がまだ落ちている中、その人間の姿だけは、常に視認できるほどの、濃密な強者の殺気。
だけど、その姿が見えた時、僕は正直驚いた。
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「・・・君は?」
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