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第2章〜クルムテント王立学園〜
第34話〜人種と才能〜
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それぞれ、かなり大きくした異空間の中で配置についてもらい、僕とミディで、それぞれ男子と女子で分けて、指導を行っていた。
僕は男子側で、出席番号順にこれからすることを指示していた。
「アークス、君はとにかく伸ばさなければならない。力の恩恵だからこそ、持続力という常に付いて回る物をだ。」
ただ、やっぱり最初だからあまり聞いてくれなさそうで・・・。
「お言葉ですが、ホワイト先生!俺の力は一瞬のもの。元が一瞬の恩恵なのです。持続力を伸ばした所で伸びる時間なんて雀の涙程でしょう。」
うーん。分からないか・・・。
「俺が言っているのはそう言う持続力じゃない。お前は自身の体を一部分、一瞬だけ特化できるのだろう?確かにその効果が終わるのは一瞬だ。じゃあ連続して使う時のインターバルはどれ程だ?」
「インター・・・連続して使う間のことですか。難しいです。特化した場所は直ぐに戻るのですが、その後の時間がその箇所に軽い痛みが走ります。当たり前ですが、本来人間が出せない力を無理矢理引き出してるので・・・。」
「それは筋肉を肥大化させているということか?」
それなんだったら確かに難しい。いきなり身体のトレーニングをさせても、その力が筋肉に関係するなら、筋肉が大きく強くなったところで、力が上がるだけ。
僕が一番期待しているこの恩恵の能力は伸びない。
「筋肉ですか・・・いえ、それよりなんかあの、魔法使いにバフをかけてもらったような感じです。元の状態から加算されたような。」
よし!じゃあやっぱりこの恩恵は多分。
「それなら、何度も何度も同じ箇所に特化を付与しろ。切れると同時にかけ直して。痛みが堪えられなくなるなら止めてもいい。」
アークスは僕の言っていることがわからないのか少し考え出した。
やっぱり地頭が良いな。普通だったら教師である僕に答えを聞く。なのにアークスは自分でまず考える行動をとった。この子は多分大丈夫だ。
「ここに俺のゴーレムを置いておく。硬さはA級討伐魔物と同じくらいだ。自動回復能力もあるから一撃で倒すしかない。君の当面の課題はこれを壊すことだ。それでは俺は次の生徒に行く。頑張ってくれ。」
「・・・はい。」
考えろ。そして、僕を驚かせてくれ。何も答えは教師が出すものだけじゃない。君だけの力を見せてくれ。
△▽
「先生、こんにちは。」
「こんにちは。さて、今日は来てくれたなオマ。」
オマは、小柄の男の子だ。12歳から14歳までが、王都の入試を受けることができるが、彼はその最年少である12歳。この組の中では、あまり珍しくないのだが、外見を見ると、まだ年長さんくらいにしか見えない。
「オマの恩恵は・・・【あやとり】か。」
「うん。オマの恩恵はあやとりなんだ。オマの手から出るあやとりを使って色々な事ができる。伸縮自在だし、糸玉にして纏めたり、強度を強くして岩も切る事ができる。」
そりゃ凄い。課題で出したプリントにはあやとりを手からだす自分の絵と実際の出したのか糸がテープで貼られて出されていた。だけど、そこまで万能の恩恵だとは思わなかった。それに、まだ恩恵が現れた当初の数ヶ月でここまで自分の恩恵を理解出来るのは珍しい。
「実際にやって見たのか?」
「うん。オマ、お絵描きと料理が得意なの。糸を使ってお肉も切れたから多分できるんじゃないかなって。」
それだけの情報量でそこまで自分の恩恵の可能性を見るとはね。オマには自分自身で考えさせた方が成長しそうだ。
「それでは俺と組手でもするか。君の力を知りたい。」
「うん。いいよ!」
おっと意外に見た目と反して戦闘狂なのか顔がニヤついた。これは面白そうな感じかも。
「さて、やるか。」
「うん!」
△▽
「やっぱり凄いなー。流石王国最強の冒険者。」
「それほどでもない。俺に対して間合いにここまで入らせなかったのはその歳なら天才だ。」
戦い始めて大体5分。伸縮自在の糸を使うならと、伸縮自在の剣を使った訳だけど、実力差はかなりある筈なのに、オマは糸を使って僕の周りを包囲したり、空中や左右など、視界に入らない攻撃をしてきた。そして、目の前までやってきた所で撤退や、硬い糸で攻撃。まるで小さな要塞だった。間合いに入れたのは僕がただ攻撃が早かったから。そして・・・
「本当に惜しい、まさか魔力が無いとは。」
「えへへ。」
そう言って頭を少し彼がかくと、その頭からひょっこりと小さな白い耳が2つ出てくる。
戦闘狂、才能、本能による発想力。これがあるのに何故更なる要塞への1歩だった魔力が無いのか。それは、彼が獣人だからだ。
「シルバーウルフの獣人は素早さが持ち味だと聞いたのだが。」
「僕の家族はみんなその通りですよ。でも、僕だけなんですよね。こんなに貧弱なの。」
彼は子供の頃から病気に弱く、体が弱かったと聞く。オマの両親はそんな彼を大事に思っていたようで、僕に手紙を寄越していた。どうか息子をよろしくお願いしますと、手紙にはそれだけ書いてあったが、両親の思いを考えると、彼は本当に愛されているのだと伝わった。
「そんなことは無い。君の強さは俺が保証しよう。君が病弱だったからこそ、天は君にその力をくれたのだからな。」
あやとりは、本来ならこの世界には無いもの。前世にあった物の筈だが、この世界には恩恵としてこうやって出ていた。
オマの恩恵は当時は教会の人間も誰も分からなかったそうで、本当に彼の恩恵は唯一無二だったのだ。
妹に普段してやるように頭を撫でると、少し安心したのか、彼はその後僕が足りない部分と指摘した箇所を直すと、走っていった。
△▽
「で、次は俺なんだな!ホワイト先生!」
あぁ。そうだよ君だよ。
「済まないが、俺が君に教えられる事は無い。」
「よっしゃやる・・・ぞぅぇへへぇ!?」
リアクション芸人並の良い反応をしてくれてありがとうキース芸人。
「キース。君を教えるのは俺ではない。だが、スペシャルなゲストを呼んでおいた。・・・ワープ。」
異次元が出現し、彼女の元へと恐らく開かれただろう。そして、しばらくすると、ワープから陰が出現し・・・。
「あ、ホワイトさ~ん。ちわーす。えっと君が私が教える子だよね!」
その女性をみて、彼は固まった。本当にキース君は芸人の素質がある。まぁ、気持ちはわかるけど。
でも、彼女の恩恵はあまりにも彼の恩恵と似ている。
だからこそ呼んだのだ。まさか、OKして貰えるとは思わなかったけどね。
固まっている彼を後目に僕は次の生徒の相手をしに行ったのだった。
僕は男子側で、出席番号順にこれからすることを指示していた。
「アークス、君はとにかく伸ばさなければならない。力の恩恵だからこそ、持続力という常に付いて回る物をだ。」
ただ、やっぱり最初だからあまり聞いてくれなさそうで・・・。
「お言葉ですが、ホワイト先生!俺の力は一瞬のもの。元が一瞬の恩恵なのです。持続力を伸ばした所で伸びる時間なんて雀の涙程でしょう。」
うーん。分からないか・・・。
「俺が言っているのはそう言う持続力じゃない。お前は自身の体を一部分、一瞬だけ特化できるのだろう?確かにその効果が終わるのは一瞬だ。じゃあ連続して使う時のインターバルはどれ程だ?」
「インター・・・連続して使う間のことですか。難しいです。特化した場所は直ぐに戻るのですが、その後の時間がその箇所に軽い痛みが走ります。当たり前ですが、本来人間が出せない力を無理矢理引き出してるので・・・。」
「それは筋肉を肥大化させているということか?」
それなんだったら確かに難しい。いきなり身体のトレーニングをさせても、その力が筋肉に関係するなら、筋肉が大きく強くなったところで、力が上がるだけ。
僕が一番期待しているこの恩恵の能力は伸びない。
「筋肉ですか・・・いえ、それよりなんかあの、魔法使いにバフをかけてもらったような感じです。元の状態から加算されたような。」
よし!じゃあやっぱりこの恩恵は多分。
「それなら、何度も何度も同じ箇所に特化を付与しろ。切れると同時にかけ直して。痛みが堪えられなくなるなら止めてもいい。」
アークスは僕の言っていることがわからないのか少し考え出した。
やっぱり地頭が良いな。普通だったら教師である僕に答えを聞く。なのにアークスは自分でまず考える行動をとった。この子は多分大丈夫だ。
「ここに俺のゴーレムを置いておく。硬さはA級討伐魔物と同じくらいだ。自動回復能力もあるから一撃で倒すしかない。君の当面の課題はこれを壊すことだ。それでは俺は次の生徒に行く。頑張ってくれ。」
「・・・はい。」
考えろ。そして、僕を驚かせてくれ。何も答えは教師が出すものだけじゃない。君だけの力を見せてくれ。
△▽
「先生、こんにちは。」
「こんにちは。さて、今日は来てくれたなオマ。」
オマは、小柄の男の子だ。12歳から14歳までが、王都の入試を受けることができるが、彼はその最年少である12歳。この組の中では、あまり珍しくないのだが、外見を見ると、まだ年長さんくらいにしか見えない。
「オマの恩恵は・・・【あやとり】か。」
「うん。オマの恩恵はあやとりなんだ。オマの手から出るあやとりを使って色々な事ができる。伸縮自在だし、糸玉にして纏めたり、強度を強くして岩も切る事ができる。」
そりゃ凄い。課題で出したプリントにはあやとりを手からだす自分の絵と実際の出したのか糸がテープで貼られて出されていた。だけど、そこまで万能の恩恵だとは思わなかった。それに、まだ恩恵が現れた当初の数ヶ月でここまで自分の恩恵を理解出来るのは珍しい。
「実際にやって見たのか?」
「うん。オマ、お絵描きと料理が得意なの。糸を使ってお肉も切れたから多分できるんじゃないかなって。」
それだけの情報量でそこまで自分の恩恵の可能性を見るとはね。オマには自分自身で考えさせた方が成長しそうだ。
「それでは俺と組手でもするか。君の力を知りたい。」
「うん。いいよ!」
おっと意外に見た目と反して戦闘狂なのか顔がニヤついた。これは面白そうな感じかも。
「さて、やるか。」
「うん!」
△▽
「やっぱり凄いなー。流石王国最強の冒険者。」
「それほどでもない。俺に対して間合いにここまで入らせなかったのはその歳なら天才だ。」
戦い始めて大体5分。伸縮自在の糸を使うならと、伸縮自在の剣を使った訳だけど、実力差はかなりある筈なのに、オマは糸を使って僕の周りを包囲したり、空中や左右など、視界に入らない攻撃をしてきた。そして、目の前までやってきた所で撤退や、硬い糸で攻撃。まるで小さな要塞だった。間合いに入れたのは僕がただ攻撃が早かったから。そして・・・
「本当に惜しい、まさか魔力が無いとは。」
「えへへ。」
そう言って頭を少し彼がかくと、その頭からひょっこりと小さな白い耳が2つ出てくる。
戦闘狂、才能、本能による発想力。これがあるのに何故更なる要塞への1歩だった魔力が無いのか。それは、彼が獣人だからだ。
「シルバーウルフの獣人は素早さが持ち味だと聞いたのだが。」
「僕の家族はみんなその通りですよ。でも、僕だけなんですよね。こんなに貧弱なの。」
彼は子供の頃から病気に弱く、体が弱かったと聞く。オマの両親はそんな彼を大事に思っていたようで、僕に手紙を寄越していた。どうか息子をよろしくお願いしますと、手紙にはそれだけ書いてあったが、両親の思いを考えると、彼は本当に愛されているのだと伝わった。
「そんなことは無い。君の強さは俺が保証しよう。君が病弱だったからこそ、天は君にその力をくれたのだからな。」
あやとりは、本来ならこの世界には無いもの。前世にあった物の筈だが、この世界には恩恵としてこうやって出ていた。
オマの恩恵は当時は教会の人間も誰も分からなかったそうで、本当に彼の恩恵は唯一無二だったのだ。
妹に普段してやるように頭を撫でると、少し安心したのか、彼はその後僕が足りない部分と指摘した箇所を直すと、走っていった。
△▽
「で、次は俺なんだな!ホワイト先生!」
あぁ。そうだよ君だよ。
「済まないが、俺が君に教えられる事は無い。」
「よっしゃやる・・・ぞぅぇへへぇ!?」
リアクション芸人並の良い反応をしてくれてありがとうキース芸人。
「キース。君を教えるのは俺ではない。だが、スペシャルなゲストを呼んでおいた。・・・ワープ。」
異次元が出現し、彼女の元へと恐らく開かれただろう。そして、しばらくすると、ワープから陰が出現し・・・。
「あ、ホワイトさ~ん。ちわーす。えっと君が私が教える子だよね!」
その女性をみて、彼は固まった。本当にキース君は芸人の素質がある。まぁ、気持ちはわかるけど。
でも、彼女の恩恵はあまりにも彼の恩恵と似ている。
だからこそ呼んだのだ。まさか、OKして貰えるとは思わなかったけどね。
固まっている彼を後目に僕は次の生徒の相手をしに行ったのだった。
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