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第7章 晴海 涼子 ー高嶺の花子さんー
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第七章
あらすじ
付き合って間もなく一年になる、とある夜の彼女と彼氏のはなし。
登場人物
・彼女 30歳 女性
★彼氏 36歳 男性
〇彼氏の部屋・キッチン(夜中)
テレビをボーーっと元気なく観る彼氏(36歳)に洗い物を終えた彼女(30歳)が話しかける。
彼女「どうしたの仕事から帰ってきて、一言も喋らないけど……」
キッチンから彼氏のいるソファの横に座る彼女。
〇同・ソファ(同)
彼氏「……(テレビをガン見している)」
彼女「ちょっと、ほんと、どうしたの?」
彼氏「うん??なに?」
彼女「だからどうしたの? なんかあった?最近、変だよ」
彼氏「そうかな」
彼女「そうだよ、顔つきもキツくなってるよ……」
彼氏「普通だよ」
彼女「普通じゃないから心配してるんだけど……」
テレビを消す彼女。
彼氏「なにすんだよ」
彼女「だって、もう番組終わってるよ」
彼氏「えっ……」
彼女「ちゃんと話そ、どうしたの?」
彼氏「……(ケータイを触り始める)」
彼女「もう……」
彼氏「なんでさ、なんで……」
ケータイを触りながらボソボソ話し始める彼氏。
彼女「なんて?」
彼氏「なんで、死んじゃったんだろ……」
彼女「この前、話してくれたお友達のこと?」
彼氏「今日もさ、昼休みテレビ観てたら自殺のニュースが流れてて……そいつ俺よりも若かった」
彼女「そっか……お友達が亡くなってもう一年が経つんだね。……思い出しちゃった?」
彼氏「なんとも思わない?そんなニュース観ても……」
彼氏「そうだな……私は……」
彼氏「俺はなぜが不意に涙いっぱい溢れてて……ニュースで流れる知らない奴の死まで、アイツが死んでから……今はダメなんだ。クラッちゃう」
彼女「……優しいから、その人の事を思って色々察しちゃうんだね」
彼氏「アイツの事も思い出さないように、思い出さないようにしてるんだけど」
彼女「こんな時、そのダイスケってお友達ならへー。っで終わらすんだっけ?」
彼氏「え、」
彼女「もう暗いっ!暗いっ!あのね」
彼氏「なに?」
彼女「人はいつか遅かれ早かれ死んじゃうんだよ」
彼氏「わかってる」
彼女「お友達がやってしまった事は絶対にダメな事だと私は思う。そう言ってくる人たちもたくさんいたと思う」
彼氏「……(うなずく)」
彼女「残された人は原因を調べたり、探ったりして、もしかすると自分のせいかもしれない。って思い詰めたりもして、前に進めなくなっちゃう人もいる。けど本当の原因なんていくら考えたって本人にしかわからないよ」
彼氏「だけど……」
彼女「もうーー、私の好きな人をこんなにも辛い思いさせる、そのお友達が大嫌い。絶対に、許さない」
彼氏「……(天井を見あげる)」
彼女「許さないから!!」
怒る彼女。
彼女「だからね、ジュン君。ジュン君は許してあげたら」
ひと呼吸おいてゆっくり話す彼女。
彼氏「え……」
彼女「お友達のこと」
彼氏「……(目頭をおさえる)」
彼女「でね、もう自分自身も許してあげて」
彼氏の手を握る彼女。
彼氏「ごめん。ほんとごめん」
号泣する彼氏。
彼女「そこまで背負い込まなくていいよ」
彼氏「情けなくて……情けなくて……(嗚咽しながら)飛び降りる前の日、珍しくアイツから電話してきて最後に話したのたぶん俺だと思うから……あの時さ……あの時……」
彼女「お友達はうれしかったんじゃないかな?最後に話せて……。うれしかったと思うなぁ~~」
彼氏「…………。(天井を見あげたまま)」
彼女「だから、誰のせいでもないってば」
キッチンへ飲み物を取りに行く彼女。
彼氏「何度か一緒にキャバクラ行った帰りさ 風俗行ったりしてたけど……」
彼女「えぇーーそんな話し聞いてない!!風俗行ったの?!」
彼氏「まだ俺らが付き合う前に」
彼女「まぁ私と付き合う前の話しなら百歩譲って許して上げる」
彼氏「でも風俗は何度誘っても断られていつも俺だけだった……」
彼女「えっなんでお友達は行かなかったの?」
彼氏「胃がんになった時お腹おもいっきり切ったって言ってた。だからその傷口見られたくなかったんじゃないかな……」
彼女「そんな事気にする?男性が……?」
彼氏「女の子の方が気にするんじゃないかな……。だからいちいち説明してたらそんなコトする前に冷めちゃうよな……」
彼女「女の子は気になっ……ちゃうね……」
彼氏「もっとアイツに気を遣ってやればよかった」
彼女「うーん……。何か飲むでしょ?」
冷蔵庫を開ける彼女。
天井を見上げたままの彼氏。
彼女「いいんじゃないかな、そんなに気を遣わなくて。友達なんだし」
彼氏「えっ」
彼女「気を遣い過ぎるとお友達も嫌だったと思うよ。何かあってもいつものように接してくれた方が私は気が楽だもん」
ガラスコップ2個と炭酸飲料を持ってくる彼女。
彼氏「そうかな……。あ゛ぁもう……」
炭酸飲料をガラスコップいっぱいに入れ一気に飲み干す彼氏。
彼氏「こんな辛さ……もう耐えらんねぇよ」
彼女「……そうだなぁ」
彼氏「はやく忘れてぇ……」
彼女「それは無理だよ」
彼氏「どうして……」
彼女の目を見る彼氏。
彼女「だって本当に辛いのは、三年後、五年後……これからなんじゃないかな……」
彼氏「そんな……これ以上、耐えられる自信ねぇよ」
彼女「大丈夫、大丈夫」
優しく微笑む彼女。
彼氏「なんで、なんでそう言い切れんの?」
彼女「なんでって……うーーん……」
彼氏「なんでそう思うんだよ?」
彼女「わからないけど、そう思うんだ!!」
彼氏「なんだよ、その答え」
彼女「生きてくって、わからないことだらけだよ」
数秒考え込む彼氏。
彼氏「……(ぎこちなく)へ、へー」
彼女「あれ、その へー、お友達の真似?」
ぎこちなく笑う彼氏。
彼女「生きてるね、ココ(ロ)にお友達は、ちゃんと生きてるね」
彼氏の胸をつつく彼女。
彼氏「や、やめろよ。また……ナク……」
ニッコリ笑う彼女。
彼女「あぁ眠たくなってきちゃった」
あくびをする彼女。
部屋の時計を見る彼氏。
彼氏「やべ、もうこんな時間じゃん。そろそろベッド行く?」
鼻をかむ彼氏。
彼女「うん。……そういえばさ。さっき観てたアニメの主人公の男に似てるね」
彼氏「……誰が? ……俺が?」
彼女「そお」
彼氏「俺、雨のなか、傘、投げ捨てたりしないけどな……」
彼女「そーーかな、してそーーだけどな~~」
彼氏「しない、しない」
彼女「ま、そこじゃないけどね、似てるところ……寝よ」
またニッコリ笑う彼女。
◎回想・アニメ 駅の広場
男「こんな時代を恨み続けて生きていくの
か、それとも……こんな時代でも楽し
んでみようと考えを変えてみるの
か……みんな自分自身と戦ってる」
希「なんとなく、見てたらわかる」
望「……(無言で頷く)」
男「だろ、そうだろ。ただそういった想い
を口にするかしないかのことだけだ。
君【希】の強さも君【望】の強さ
も間違ってなんかない。ちゃんと二人
とも自分自身のあるべき姿に気づいて
る。俺は気づいてるフリして未だに
迷ってる、悩んでる。もういい歳こい
た、オッサンだぞ」
苦笑いする少年たち【希・望】
男「そんなどうしようもない俺に、この雨
はな……」
黒い傘を投げ捨てて雨に打たれる男。
男「いつか月の明かりを浴びてみたいと願
うよりも……いつもそばに居てくれ
た、居てくれる人たちの明かりになっ
てやれば良かったんだと……」
希「この雨が……」
男「いつか太陽のあたたかさを知りたいと
願うよりも……いつもそばに居てくれ
た、居てくれる人たちのあたたかさに
気づかせてくれたんだ……」
望「この雨で……」
男「だがな、アァーー、すべて亡くしてか
ら気づいたってオセェーーっつーー
の」
〇同・ソファ(同)
彼女の手を握る彼氏。
彼氏「俺はもう気づいてるよ…… いつもあたたかい、この手に」
彼女「え、」
彼氏「いつもそばに居てくれて、ありがと」
彼女「う、うん」
彼氏「さ、ベッド 行こう」
ベッドへ向かう彼氏と彼女の後ろ姿。
T 高嶺の花子さん―とある夜の彼女と彼氏―
〇彼氏の部屋・ベッドルーム(夜中)
カーテンを閉めようとする彼女。
彼女「見て、お月さま、満月だ」
彼氏「ほんとだ……綺麗だね」
部屋を照らす満月。
彼女「電気付けなくても明るいよ」
彼氏「そうだね」
彼女「なんか、なんか、良いねぇ」
彼氏「なにが良いの?」
彼女「想像して」
彼氏「突然、なに?」
彼女「この窓から差し込む月明かりをシャンデリアの明かりに見立てるの」
彼氏「無理あるよ、それ」
彼女「そして、私はおとぎの国のお姫様」
彼氏「残念だけど、俺のキスで朝起こしてあげても、いつものようにただ慌ただしい日々が始まる、ここは現実です」
彼女「もぉーーーー」
彼氏「魔法は使えないんだ、晴海涼子 姫」
彼女「けど、いいもん……」
彼氏「アハハ、そろそろ眠りませんか」
彼女「そうだね」
カーテンを閉める彼女。
彼氏「明日マジ……起きれるか不安……」
布団に潜り込む彼氏と彼女。
彼女「おやすみ」
彼氏「おやすみ」
あくびをする彼氏。
〇同・ベッド(早朝)
彼女に背を向けて眠る彼氏。
背中に抱きつく彼女。
彼女N『あのね、ジュン君。これからも生きていくなかで辛い事や悲しい事がたくさん待ってると思うんだ。そのひとつひとつをきっと真っ正面から受け止め、迷い悩んじゃうジュン君だから、ものすごく心配な時もあるけど、そのキラキラした少年のようなまっすぐな眼差しに宿る想いと強さであなたなりに乗り越えていけるって信じてるよ。そして、その戦ってる姿を見て勇気づけられてる人もいる。んだってこと……あっだから忘れないうちに今、伝えとくね……』
彼女「ありがとう。私もその中の一人だよ」
寝返りをうち彼女の方を向く彼氏。
彼女N『あなたのそばでなら、私は私でいられるんだ』
彼氏「@±☆%※♪*★(寝言)……zzZ」
目を覚ます彼氏。
彼氏「ううん……もう朝?」
彼女「うん……朝だよ」
彼氏「おはよ」
彼女「おはよ」
完
あらすじ
付き合って間もなく一年になる、とある夜の彼女と彼氏のはなし。
登場人物
・彼女 30歳 女性
★彼氏 36歳 男性
〇彼氏の部屋・キッチン(夜中)
テレビをボーーっと元気なく観る彼氏(36歳)に洗い物を終えた彼女(30歳)が話しかける。
彼女「どうしたの仕事から帰ってきて、一言も喋らないけど……」
キッチンから彼氏のいるソファの横に座る彼女。
〇同・ソファ(同)
彼氏「……(テレビをガン見している)」
彼女「ちょっと、ほんと、どうしたの?」
彼氏「うん??なに?」
彼女「だからどうしたの? なんかあった?最近、変だよ」
彼氏「そうかな」
彼女「そうだよ、顔つきもキツくなってるよ……」
彼氏「普通だよ」
彼女「普通じゃないから心配してるんだけど……」
テレビを消す彼女。
彼氏「なにすんだよ」
彼女「だって、もう番組終わってるよ」
彼氏「えっ……」
彼女「ちゃんと話そ、どうしたの?」
彼氏「……(ケータイを触り始める)」
彼女「もう……」
彼氏「なんでさ、なんで……」
ケータイを触りながらボソボソ話し始める彼氏。
彼女「なんて?」
彼氏「なんで、死んじゃったんだろ……」
彼女「この前、話してくれたお友達のこと?」
彼氏「今日もさ、昼休みテレビ観てたら自殺のニュースが流れてて……そいつ俺よりも若かった」
彼女「そっか……お友達が亡くなってもう一年が経つんだね。……思い出しちゃった?」
彼氏「なんとも思わない?そんなニュース観ても……」
彼氏「そうだな……私は……」
彼氏「俺はなぜが不意に涙いっぱい溢れてて……ニュースで流れる知らない奴の死まで、アイツが死んでから……今はダメなんだ。クラッちゃう」
彼女「……優しいから、その人の事を思って色々察しちゃうんだね」
彼氏「アイツの事も思い出さないように、思い出さないようにしてるんだけど」
彼女「こんな時、そのダイスケってお友達ならへー。っで終わらすんだっけ?」
彼氏「え、」
彼女「もう暗いっ!暗いっ!あのね」
彼氏「なに?」
彼女「人はいつか遅かれ早かれ死んじゃうんだよ」
彼氏「わかってる」
彼女「お友達がやってしまった事は絶対にダメな事だと私は思う。そう言ってくる人たちもたくさんいたと思う」
彼氏「……(うなずく)」
彼女「残された人は原因を調べたり、探ったりして、もしかすると自分のせいかもしれない。って思い詰めたりもして、前に進めなくなっちゃう人もいる。けど本当の原因なんていくら考えたって本人にしかわからないよ」
彼氏「だけど……」
彼女「もうーー、私の好きな人をこんなにも辛い思いさせる、そのお友達が大嫌い。絶対に、許さない」
彼氏「……(天井を見あげる)」
彼女「許さないから!!」
怒る彼女。
彼女「だからね、ジュン君。ジュン君は許してあげたら」
ひと呼吸おいてゆっくり話す彼女。
彼氏「え……」
彼女「お友達のこと」
彼氏「……(目頭をおさえる)」
彼女「でね、もう自分自身も許してあげて」
彼氏の手を握る彼女。
彼氏「ごめん。ほんとごめん」
号泣する彼氏。
彼女「そこまで背負い込まなくていいよ」
彼氏「情けなくて……情けなくて……(嗚咽しながら)飛び降りる前の日、珍しくアイツから電話してきて最後に話したのたぶん俺だと思うから……あの時さ……あの時……」
彼女「お友達はうれしかったんじゃないかな?最後に話せて……。うれしかったと思うなぁ~~」
彼氏「…………。(天井を見あげたまま)」
彼女「だから、誰のせいでもないってば」
キッチンへ飲み物を取りに行く彼女。
彼氏「何度か一緒にキャバクラ行った帰りさ 風俗行ったりしてたけど……」
彼女「えぇーーそんな話し聞いてない!!風俗行ったの?!」
彼氏「まだ俺らが付き合う前に」
彼女「まぁ私と付き合う前の話しなら百歩譲って許して上げる」
彼氏「でも風俗は何度誘っても断られていつも俺だけだった……」
彼女「えっなんでお友達は行かなかったの?」
彼氏「胃がんになった時お腹おもいっきり切ったって言ってた。だからその傷口見られたくなかったんじゃないかな……」
彼女「そんな事気にする?男性が……?」
彼氏「女の子の方が気にするんじゃないかな……。だからいちいち説明してたらそんなコトする前に冷めちゃうよな……」
彼女「女の子は気になっ……ちゃうね……」
彼氏「もっとアイツに気を遣ってやればよかった」
彼女「うーん……。何か飲むでしょ?」
冷蔵庫を開ける彼女。
天井を見上げたままの彼氏。
彼女「いいんじゃないかな、そんなに気を遣わなくて。友達なんだし」
彼氏「えっ」
彼女「気を遣い過ぎるとお友達も嫌だったと思うよ。何かあってもいつものように接してくれた方が私は気が楽だもん」
ガラスコップ2個と炭酸飲料を持ってくる彼女。
彼氏「そうかな……。あ゛ぁもう……」
炭酸飲料をガラスコップいっぱいに入れ一気に飲み干す彼氏。
彼氏「こんな辛さ……もう耐えらんねぇよ」
彼女「……そうだなぁ」
彼氏「はやく忘れてぇ……」
彼女「それは無理だよ」
彼氏「どうして……」
彼女の目を見る彼氏。
彼女「だって本当に辛いのは、三年後、五年後……これからなんじゃないかな……」
彼氏「そんな……これ以上、耐えられる自信ねぇよ」
彼女「大丈夫、大丈夫」
優しく微笑む彼女。
彼氏「なんで、なんでそう言い切れんの?」
彼女「なんでって……うーーん……」
彼氏「なんでそう思うんだよ?」
彼女「わからないけど、そう思うんだ!!」
彼氏「なんだよ、その答え」
彼女「生きてくって、わからないことだらけだよ」
数秒考え込む彼氏。
彼氏「……(ぎこちなく)へ、へー」
彼女「あれ、その へー、お友達の真似?」
ぎこちなく笑う彼氏。
彼女「生きてるね、ココ(ロ)にお友達は、ちゃんと生きてるね」
彼氏の胸をつつく彼女。
彼氏「や、やめろよ。また……ナク……」
ニッコリ笑う彼女。
彼女「あぁ眠たくなってきちゃった」
あくびをする彼女。
部屋の時計を見る彼氏。
彼氏「やべ、もうこんな時間じゃん。そろそろベッド行く?」
鼻をかむ彼氏。
彼女「うん。……そういえばさ。さっき観てたアニメの主人公の男に似てるね」
彼氏「……誰が? ……俺が?」
彼女「そお」
彼氏「俺、雨のなか、傘、投げ捨てたりしないけどな……」
彼女「そーーかな、してそーーだけどな~~」
彼氏「しない、しない」
彼女「ま、そこじゃないけどね、似てるところ……寝よ」
またニッコリ笑う彼女。
◎回想・アニメ 駅の広場
男「こんな時代を恨み続けて生きていくの
か、それとも……こんな時代でも楽し
んでみようと考えを変えてみるの
か……みんな自分自身と戦ってる」
希「なんとなく、見てたらわかる」
望「……(無言で頷く)」
男「だろ、そうだろ。ただそういった想い
を口にするかしないかのことだけだ。
君【希】の強さも君【望】の強さ
も間違ってなんかない。ちゃんと二人
とも自分自身のあるべき姿に気づいて
る。俺は気づいてるフリして未だに
迷ってる、悩んでる。もういい歳こい
た、オッサンだぞ」
苦笑いする少年たち【希・望】
男「そんなどうしようもない俺に、この雨
はな……」
黒い傘を投げ捨てて雨に打たれる男。
男「いつか月の明かりを浴びてみたいと願
うよりも……いつもそばに居てくれ
た、居てくれる人たちの明かりになっ
てやれば良かったんだと……」
希「この雨が……」
男「いつか太陽のあたたかさを知りたいと
願うよりも……いつもそばに居てくれ
た、居てくれる人たちのあたたかさに
気づかせてくれたんだ……」
望「この雨で……」
男「だがな、アァーー、すべて亡くしてか
ら気づいたってオセェーーっつーー
の」
〇同・ソファ(同)
彼女の手を握る彼氏。
彼氏「俺はもう気づいてるよ…… いつもあたたかい、この手に」
彼女「え、」
彼氏「いつもそばに居てくれて、ありがと」
彼女「う、うん」
彼氏「さ、ベッド 行こう」
ベッドへ向かう彼氏と彼女の後ろ姿。
T 高嶺の花子さん―とある夜の彼女と彼氏―
〇彼氏の部屋・ベッドルーム(夜中)
カーテンを閉めようとする彼女。
彼女「見て、お月さま、満月だ」
彼氏「ほんとだ……綺麗だね」
部屋を照らす満月。
彼女「電気付けなくても明るいよ」
彼氏「そうだね」
彼女「なんか、なんか、良いねぇ」
彼氏「なにが良いの?」
彼女「想像して」
彼氏「突然、なに?」
彼女「この窓から差し込む月明かりをシャンデリアの明かりに見立てるの」
彼氏「無理あるよ、それ」
彼女「そして、私はおとぎの国のお姫様」
彼氏「残念だけど、俺のキスで朝起こしてあげても、いつものようにただ慌ただしい日々が始まる、ここは現実です」
彼女「もぉーーーー」
彼氏「魔法は使えないんだ、晴海涼子 姫」
彼女「けど、いいもん……」
彼氏「アハハ、そろそろ眠りませんか」
彼女「そうだね」
カーテンを閉める彼女。
彼氏「明日マジ……起きれるか不安……」
布団に潜り込む彼氏と彼女。
彼女「おやすみ」
彼氏「おやすみ」
あくびをする彼氏。
〇同・ベッド(早朝)
彼女に背を向けて眠る彼氏。
背中に抱きつく彼女。
彼女N『あのね、ジュン君。これからも生きていくなかで辛い事や悲しい事がたくさん待ってると思うんだ。そのひとつひとつをきっと真っ正面から受け止め、迷い悩んじゃうジュン君だから、ものすごく心配な時もあるけど、そのキラキラした少年のようなまっすぐな眼差しに宿る想いと強さであなたなりに乗り越えていけるって信じてるよ。そして、その戦ってる姿を見て勇気づけられてる人もいる。んだってこと……あっだから忘れないうちに今、伝えとくね……』
彼女「ありがとう。私もその中の一人だよ」
寝返りをうち彼女の方を向く彼氏。
彼女N『あなたのそばでなら、私は私でいられるんだ』
彼氏「@±☆%※♪*★(寝言)……zzZ」
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彼氏「ううん……もう朝?」
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彼氏「おはよ」
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