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第22話 目覚
しおりを挟む「……う、ん」
「起きたか」
「ヴァイス、さん……ここは……」
「俺んちだ。お前、あの男になんか攻撃みたいなのした後に気を失ったんだよ」
「……ああ、そういえば」
目を覚ましたルーカスは、あの離れでの出来事をゆっくり思い出した。
まさか主人の願いがアルファになることだったなんて驚いた。本人にはとても重大なことなのかもしれないが、ルーカスからすればとてつもなく、くだらない。
年老いた男の人生のために、自分の人生が犠牲になっていたのだ。同情の余地もない。
「体、平気か? 鼻血出してたけど……」
「……よく覚えてないです……なんか、凄くイライラして、頭が爆発したような感覚でした……」
「それがあの光か。きっとお前の願いが反映されたんだろ」
「あれも、魔法なんですか?」
「そう、なんじゃないのか? じゃなかったら説明も出来ないし」
「そうですね……あの人を許せないって気持ちが、ああいう形になったのかもしれないです」
「まぁ、いいんじゃないか。アイツは自業自得だろ。それより、あの男が目を覚ましたあとのことだ」
ルーカスはゆっくりと体を起こした。
主人のアルファになりたいという執念は凄かった。そうでなければ大枚を叩いてまで子供を買ったり、ルーカスに精を与えるためだけに大勢のアルファを雇ったりもしないだろう。
「ルーカス。お前の力で森に人が近付かないように出来るか? 広範囲でなくていい。この家の周辺だけで十分だ」
「多分、出来ると思います。なんか、さっき頭がパーンってなったおかげか、少しスッキリしてて自分の力の使い方みたいなのが分かるようになった気がするんです」
「……どういう理屈なのかは分からないけど、魔法の力を自覚できたってことか」
「僕にもよく分からないんですけど……でも、その……ち、力を使うためには……その……」
ルーカスはシーツをギュッと握り締めた。
主人に向けて強い力を放つことが出来たのは、事前にヴァイスから生気を与えてもらっていたから。
それもさっき使い果たしてしまった。もう一度魔法を使うためには、生気を得ないといけない。
そして、ヴァイスとの約束。
「僕のこと、番にしてくれるんですよね……」
「……ああ。あんな男に奪われなくて良かった」
「あの人をアルファにするくらいなら舌噛み切って死にます」
「そんなことされては困る。お前は、俺のだ」
ヴァイスはルーカスの首輪を外した。
もうこんなものはいらない。邪魔なものは全て、排除する。
「出逢った時からきっと、分かっていたんだ。心がそう自覚しなかっただけで、この体はお前を求めていた」
「僕も。ヴァイスさんのことを思い出すだけで体がドキドキしてた……」
ゆっくりと、互いに顔を近づけた。
生まれた時から、この瞬間を待ちわびていたかのように。
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