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第一部
2話 「人生の2周目はまさかの異世界」
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あれ。
俺は、死んだのかな。電車にぶつかった衝撃がない。
「……ん?」
ふと冷たい風を肌に感じる。俺は重たい瞼をゆっくりと開け、周りを見渡す。
寝ていた覚えはないけど、まるで寝起きのような感覚。ぼやける視界で周囲を確認しようとするが、思考が付いてこない。
何かおかしい。寝起きだからとかそういうことじゃない。
俺の記憶が正しければ、さっきまで俺は駅の線路の上だったはずだ。電車に引かれる直前だった。
だけど、今はどういうことか薄暗い森の中だ。右も左も木ばかり。どういうことだ? 電車に跳ねられてここまで飛んだのか? いや、さすがにそれはあり得ない。
それに、何となく見覚えがある気がする。森の中に来たことなんてないのに、何故だか見覚えがある。
「……どこだ、ここ……ん?」
声を発し、違和感があった。なんだ、この声。まるで声変わり前の少年のような声は。
ゆっくりと体を起こし、自身の体を見ると見慣れない服を着ていた。ブカブカのローブみたいな格好に尖がった爪。髪も腰くらいまで長い。
「え、ええ!?」
立ち上がろうとしたら眩暈がした。
一体、何がどうなってるんだ? 起きたら急に変な場所で変な格好をしてるなんてどう考えてもおかしい。
夢だと思いたいけどさっきから体は怠いし、頭痛もする。手に触れた地面の感触もリアルだったし、冷たい風もちゃんと感じられてる。
ゆっくり歩きだすと、背中にマントまで付いていたみたいで、それがやけに重たい。それを引きずりながら進んでいくと、遠くに池のようなものが見えた。少し喉も乾いたし、まずは水分補給だけでもしておこう。
フラフラしながら池まで行き、水を飲もうと水面を覗き込む。
そこに映っていたのは、長年見てきた自分の顔ではなかった。
「だ、誰だ……?」
横に長く伸びた耳。真っ赤な瞳。やけに頭が重いと思ったら大きな角まで生えてる。これじゃあまるで、ゲームのキャラだ。
「……ゲーム、っていうか……これ」
そうだ。この姿、つい最近見たじゃないか。
俺が好きなゲーム【ラスト・ゲート】のラスボス、魔王の少年期の姿だ。クリア報酬のアートギャラリーにあった設定資料集の中に描かれていた。
え、じゃあ見覚えがあると思っていたこの森はゲームの中に出てきたオーファスの森か?
じゃあ俺は、マジで魔王になってしまったのか?
もしかして俺は、勇者と戦わなきゃいけないってことなのか?
俺は自分を救ってくれた勇者と敵対したってことなのか?
「……で、でもなんで俺……ゲームの世界に?」
死んだはずなのに、なんでこんなことになっているんだ。
しかも魔王って。せめて村人Aとかにしてほしいんだけど。
というかここがゲームの世界だったとして、今はどういう状況だ。魔王がこの姿ってことは、勇者もまだいないってことか?
さっきから頭がガンガンして何も考えがまとまらない。せめて現状が分かるようなところに行ければいいんだけど、魔王がうろうろしてたらマズいよな。
てゆうか、少年時代でも魔王は魔王なのか? その辺の設定はよく分からない。ガイドブック、まだ発売前だったし。
「……はぁ」
深く溜息を零すと、頭上に影が差した。
何かと思い頭を上げると、何者かが空から降りてきた。知らない魔族か? 困った。今の俺じゃあ戦えない。実戦なんてやり方分からないぞ。
また俺は死ぬのか。さすがにそれは嫌だ。せめて勇者の顔だけでも見ておきたい。
「魔王様! クラッド様!」
クラッド、って確か魔王の真名だったっけ。
クラッド・オードエインド。魔物の頂点に立つ王。
「ああ、魔王様……ご無事で何よりです!」
「あ、ああ……えっと、貴方は……?」
「え? 魔王様……って、魔王様、そのお姿は!?」
よく見たらコイツ、魔王の腹心の部下、リードリールだ。悪魔の羽を羽ばたかせ、俺の元へと駆けつけてきた。
「一体何があったというのですか? 魔王様の魔力を辿ってきましたが、道中には敵らしい敵もいませんでしたし……」
「あの……えっと、ゴメン。俺にも何が何だか分からなくて……これまでの記憶がないというか……」
どう説明すればいいのか分からない。
人格が変わってますって素直に言うべきか? でも急に別世界の人間が転生しましたって言っても信じてもらえるかどうか。
俺自身もまだ現状を理解しきれていないし。
「魔王様、記憶がないのですか?」
「えーっと……何となくしか」
「そうですか。敵の攻撃によるものでしょうか……それでそのようなお姿になってしまったんですね」
「この格好も関係あるのか?」
「憶測ではありますが、記憶を失ったことでご自身の魔力を制御する方法も忘れてしまった成果と思われます。きっと無意識に自身が制御できる魔力量に体を調節されたのかもしれませんね」
「な、なるほど」
じゃあ別に俺が知ってるゲームのストーリーの過去の話とかそういうわけでもないんだな。
とにかく今はコイツ、リードリール……リドと行動を共にするのがいいか。ここがゲームの中とはいえ、俺が知ってるストーリーそのままなのかどうかも分からないし。
それに、勇者がどうしてるのかも気になるし。
俺は、死んだのかな。電車にぶつかった衝撃がない。
「……ん?」
ふと冷たい風を肌に感じる。俺は重たい瞼をゆっくりと開け、周りを見渡す。
寝ていた覚えはないけど、まるで寝起きのような感覚。ぼやける視界で周囲を確認しようとするが、思考が付いてこない。
何かおかしい。寝起きだからとかそういうことじゃない。
俺の記憶が正しければ、さっきまで俺は駅の線路の上だったはずだ。電車に引かれる直前だった。
だけど、今はどういうことか薄暗い森の中だ。右も左も木ばかり。どういうことだ? 電車に跳ねられてここまで飛んだのか? いや、さすがにそれはあり得ない。
それに、何となく見覚えがある気がする。森の中に来たことなんてないのに、何故だか見覚えがある。
「……どこだ、ここ……ん?」
声を発し、違和感があった。なんだ、この声。まるで声変わり前の少年のような声は。
ゆっくりと体を起こし、自身の体を見ると見慣れない服を着ていた。ブカブカのローブみたいな格好に尖がった爪。髪も腰くらいまで長い。
「え、ええ!?」
立ち上がろうとしたら眩暈がした。
一体、何がどうなってるんだ? 起きたら急に変な場所で変な格好をしてるなんてどう考えてもおかしい。
夢だと思いたいけどさっきから体は怠いし、頭痛もする。手に触れた地面の感触もリアルだったし、冷たい風もちゃんと感じられてる。
ゆっくり歩きだすと、背中にマントまで付いていたみたいで、それがやけに重たい。それを引きずりながら進んでいくと、遠くに池のようなものが見えた。少し喉も乾いたし、まずは水分補給だけでもしておこう。
フラフラしながら池まで行き、水を飲もうと水面を覗き込む。
そこに映っていたのは、長年見てきた自分の顔ではなかった。
「だ、誰だ……?」
横に長く伸びた耳。真っ赤な瞳。やけに頭が重いと思ったら大きな角まで生えてる。これじゃあまるで、ゲームのキャラだ。
「……ゲーム、っていうか……これ」
そうだ。この姿、つい最近見たじゃないか。
俺が好きなゲーム【ラスト・ゲート】のラスボス、魔王の少年期の姿だ。クリア報酬のアートギャラリーにあった設定資料集の中に描かれていた。
え、じゃあ見覚えがあると思っていたこの森はゲームの中に出てきたオーファスの森か?
じゃあ俺は、マジで魔王になってしまったのか?
もしかして俺は、勇者と戦わなきゃいけないってことなのか?
俺は自分を救ってくれた勇者と敵対したってことなのか?
「……で、でもなんで俺……ゲームの世界に?」
死んだはずなのに、なんでこんなことになっているんだ。
しかも魔王って。せめて村人Aとかにしてほしいんだけど。
というかここがゲームの世界だったとして、今はどういう状況だ。魔王がこの姿ってことは、勇者もまだいないってことか?
さっきから頭がガンガンして何も考えがまとまらない。せめて現状が分かるようなところに行ければいいんだけど、魔王がうろうろしてたらマズいよな。
てゆうか、少年時代でも魔王は魔王なのか? その辺の設定はよく分からない。ガイドブック、まだ発売前だったし。
「……はぁ」
深く溜息を零すと、頭上に影が差した。
何かと思い頭を上げると、何者かが空から降りてきた。知らない魔族か? 困った。今の俺じゃあ戦えない。実戦なんてやり方分からないぞ。
また俺は死ぬのか。さすがにそれは嫌だ。せめて勇者の顔だけでも見ておきたい。
「魔王様! クラッド様!」
クラッド、って確か魔王の真名だったっけ。
クラッド・オードエインド。魔物の頂点に立つ王。
「ああ、魔王様……ご無事で何よりです!」
「あ、ああ……えっと、貴方は……?」
「え? 魔王様……って、魔王様、そのお姿は!?」
よく見たらコイツ、魔王の腹心の部下、リードリールだ。悪魔の羽を羽ばたかせ、俺の元へと駆けつけてきた。
「一体何があったというのですか? 魔王様の魔力を辿ってきましたが、道中には敵らしい敵もいませんでしたし……」
「あの……えっと、ゴメン。俺にも何が何だか分からなくて……これまでの記憶がないというか……」
どう説明すればいいのか分からない。
人格が変わってますって素直に言うべきか? でも急に別世界の人間が転生しましたって言っても信じてもらえるかどうか。
俺自身もまだ現状を理解しきれていないし。
「魔王様、記憶がないのですか?」
「えーっと……何となくしか」
「そうですか。敵の攻撃によるものでしょうか……それでそのようなお姿になってしまったんですね」
「この格好も関係あるのか?」
「憶測ではありますが、記憶を失ったことでご自身の魔力を制御する方法も忘れてしまった成果と思われます。きっと無意識に自身が制御できる魔力量に体を調節されたのかもしれませんね」
「な、なるほど」
じゃあ別に俺が知ってるゲームのストーリーの過去の話とかそういうわけでもないんだな。
とにかく今はコイツ、リードリール……リドと行動を共にするのがいいか。ここがゲームの中とはいえ、俺が知ってるストーリーそのままなのかどうかも分からないし。
それに、勇者がどうしてるのかも気になるし。
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