【BL】勇者推しの俺が何故か敵対する魔王に転生してました。

のがみさんちのはろさん

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第二部

第14話 【将来のこと】

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 武器が出来るまで二日。
 それまで俺達はこのノイングリフ国を見て回ることにした。
 塀に囲まれた国。まるで要塞みたいだ。
 だけど殆どの家が煉瓦で造られていて、色味が暖かい。子供達は雪で遊びながらはしゃいでる。
 俺は生まれた時から関東で暮らしてるから、雪なんて滅多に見ないから、何だか新鮮だな。

「いいね、雪遊び! こっちはあまり積もらないから羨ましいなぁ」
「まぁ、こういう光景はなかなか見ないな」
「俺も混ざりたい」
「やめておけ。子供が可哀想だ」

 雪合戦にコイツが混ざったら圧勝じゃないか。
 蓮は雪でテンションが上がっているのか、さっきからソワソワしてる。
 そんなに遊びたいのか。俺は家の中から眺めてるくらいで良いんだけど。

「い、伊織。せめて雪だるま! 雪だるま作ろう!」
「えー、もう宿行こうぜー」
「いいじゃんかー! ちょっとだけだからー!」

 完全に子供に戻ってるな。
 仕方ないなぁと呟くと、蓮は目を輝かせて雪玉を丸め始めた。
 雪祭りとかの氷像とかは凄いなぁって思うけど、雪を丸めるだけの雪だるまなんて何が楽しいのか。
 手が冷たくなるし、完全インドアな俺には無理だな。
 でも蓮はめちゃくちゃ楽しそうだ。無駄にデカい雪玉を転がしてると、近くにいた子供たちがスゴいスゴいと言って駆け寄ってくる。

「……何が楽しいんだか」

 その様子を離れた場所で眺めながら、俺は重力を操って周囲の雪を集めてみた。
 どうせならカッコイイ氷像とかの方がいいだろ。
 俺は頭の中にイメージしたものを、圧縮した雪を削って表現した。
 やっぱり魔法って便利。これなら手が冷たくならないし、細かい作りも簡単に出来る。

「おおー!! 兄ちゃんすげぇー!」

 俺に気付いた子供が大きな声を上げた。
 両手に木の枝を持った蓮も、「伊織も楽しんでるじゃん」って言ってこっちに歩み寄ってきた。

「それ、あの龍だね」
「お、おう」

 俺の作った氷像。
 あの山頂にいた龍をイメージして作ってみた。
 大体1/10スケールってところかな。俺の背と同じくらいの大きさにしてみたけど、中々の出来だ。

「兄ちゃん、魔法使いなの?」
「んーちょっと違うけど、魔法は得意だぞ」

 俺は周囲の雪をさらに集めて、屋根な上に小さな雪だるまを作って、それを一列に並べて見せた。

「おおー!!」
「すごーい、かわいい!」

 さらにはしゃぐ子供達に、俺も少し楽しくなった。
 たまにはこういうのも悪くないな。
 俺と蓮は日が暮れるまで子供達と遊んだ。


ーーー

ーー


「疲れた……」
「あはは、楽しかったね」

 夜になり、俺達は宿にチェックインして一息ついた。
 実際の幼少時にすらあんなに雪で遊んだことなかったのに、今日は無駄にテンション上がってしまった。
 子供のパワーは凄まじいな。山越えするより疲れた気がする。

「伊織、子供好きなの?」
「別に嫌いではないけど……」
「子供達と遊んでるときの伊織、メッチャ楽しそうだったね。なんか小学校の先生みたいだったよ」
「そうか?」

 先生、か。
 結構大変そうだよな。そんなに勉強得意な訳じゃないし、子供好きってだけじゃ難しそうだ。
 でもまぁ、選択肢の一つに入れてみるのは悪くない。
 進路希望の紙、そういえばまだ出してなかったな。冬休みが明けたらすぐに提出しないと。
 高校入ってから色々ありすぎて先のことを考える余裕なかったけど、ちゃんと前を見ていかないと。
 俺に出来ること、ちゃんと見つけないと。
 クラッドもリドも、新しい人生を歩んでる。蓮も将来のことを考えて進んでる。
 俺も、一歩踏み出したい。みんなの背中を追いかけるのは嫌だ。

「ねぇ、伊織」
「んー?」
「転生者って、どんな人なんだろうね」
「なんだよ、急に」
「だって、その人も元々は俺たちと同じ学生なんでしょ? こっちで倒した後、向こうで会うかもしれないじゃん」
「あー、そうか……」

 そういえば、そうだったな。
 あまり考えないようにしてたけど、確かにその可能性はゼロじゃない。
 世界を滅ぼそうとするような奴と、もし向こうで出くわして、俺たちが勇者と魔王だと気付かれるようなことがあったらマズイよな。
 でも、どんな奴なんだろ。もう一人の自分に影響を与えるほどの破壊衝動を持ってる人か。

「……」

 考えて、背筋が震えた。
 いじめられてた時のことを少し思い出してしまった。
 俺をいじめていた奴ら、そのリーダー格の奴はかなりヤバかった。
 先生達も手を付けられないほどで、俺を線路に突き飛ばしたのもソイツだ。アイツだけは俺が轢かれそうになった時、慌ててなかった。
 他の奴らは顔を真っ青にして慌てふためいていたのに。
 ソイツだけ、俺が死ぬのを喜んでるように見えた。
 退学になったあとはどこか多くの親戚に預けられたって聞いたけど、今頃どうしているのか。
 アイツだけは反省なんかしてないんだろうな。

「……伊織、大丈夫?」
「え?」
「顔色が悪いから」
「え、あー……ちょっと嫌なこと思い出しただけ」
「嫌なこと……?」
「いじめられてた時のこと……」

 そう言うと、蓮が悲しそうな顔をした。
 コイツ、何も悪くないのに助けられなくてゴメンって何度も言ってたな。
 俺を救ってくれたのはコイツなのに、何言ってんだか。

「退学になったやつ、引っ越したんだっけ?」
「そうらしいな。一年間の保護観察だって」
「ふぅん……引っ越す前に一度会っておけば良かった」
「なんで?」
「ぶん殴る」

 本気の目をしてる。
 相手がどんなやつであれ、そんなことしたらお前も停学とかになるかもしれないだろ。
 俺のために怒ってくれるのはいいけど、今のお前が本気で怒ったらそれこそ世界が滅びそうな勢いだよ。
 勇者は敵に回すものじゃないな。


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