1 / 26
プロローグ
序章
しおりを挟む
――――俺を……俺をあなたみたいな英雄にしてくれ!!
彼女はそれを聞いて突然目を見開いたかと思うと大声で笑いだした。
俺が突然笑い出した彼女に困惑していると、彼女は言った。
『ははは、面白いことを言う小僧だ。私が英雄とはな。
言っておくが私は断じて英雄などではないぞ? むしろ悪者と言っても過言ではない。
生き残るためにはどんなことでもやってきたし、頼まれれば潜入、強盗、人殺しだってする。
これを聞いてもまだ同じことが言えるかな?』
試すように告げる彼女に俺は即答してやった。ああ、もちろんだ、と。
すると、返ってきた答えが予想とは違ったからか、彼女は訝しんだ顔をすると、再び質問して来た。
『私は英雄ではないのに、それでもいいのかな?』
『ああ、もちろん。例えあなたがどんな人であろうと、この場において俺の命を救ったのは間違いなくあなただ。
俺にとっての英雄はあなた以外ありえない』
すると、彼女はこれは面白いものを見つけたというような笑みを浮かべる。
『……私の名前はサーシャ、サーシャ・クロウリーだ。
小僧、君の名は?』
『ゆうせい……御神 雄星』
『――――いいだろう、ついて来なさい』
そうしてその日、俺は彼女の弟子になった。
それからは早い、俺は彼女の指導の下、ありとあらゆる技術、知識を徹底的に叩き込まれた。
肉体を鍛えるために、壮絶なトレーニングを行った。
あらゆる武器の扱い方からその対処方法。
どんな状況下であろうと生き残る術。
対象に気づかれずに接近する方法――――。
彼女の訓練はまるで生き残れなければそれまでだ、とでも言うかのように常識を逸脱しており、それは例え俺が血反吐を吐こうとも終わることがなかった。
時には戦場の中に一人取り残され、一人で生きて帰って来いと言われたこともあった。
またある時はマフィアの基地を単独で壊滅させて来いなどと言われたり、またある時は人ごみの中、誰にも気づかれないように対象を暗殺して来いというものや、挙句の果てには奇怪な化け物の相手をさせられたこともある。
流石に『あそこでバカスカやってる戦争あるだろ? 今からちょっと行ってあれを適当に終結させて来い、それまで帰ってくるなよ? じゃ、私はそこらへんでくつろいでるから頑張れよ~~』と言われた時は一発ぶん殴ってやろうとも思ったがどうせ当たらないので泣く泣く止めた。
いつしか俺が彼女を呼ぶときは『あなた』から『クソ師匠』に変わっていた。理由は言うまでもないだろう。
そして、俺がサーシャから教わったものの中には魔術というものの存在もあった。
どうやらこのクソ師匠、薄々思ってはいたが只者ではなかったらしい。
さすがの俺も最初は疑ったが、事実目の前で炎や武器を生み出すのを目の前で見せられてしまったのではしょうがないだろう。
彼女は魔術にはいろんな種類があると言っていた。
召喚に始まり、強化、錬金、再生、神話を基にしたものなどと色々あるとかんとか……。
正直この訓練が一番苦労した。
何せ今まで自分が虚構だと思っていた存在の習得だ。
やってみろと言われて簡単にできることでもない。
だが、俺はこれを何とか会得しからこそ、クソ師匠の異常な訓練を生き残れたのだろう。
実際、魔術が無ければ死んでいた場面などいくつもあった。
まぁとは言っても、完璧に会得できたかと言われるとかなり怪しいものがあるのだが、それは言わないでほしい。
とにかく、そうして俺は数々の戦場を渡り歩き、様々な経験を積んだ。
そして、現実の非情さを思い知らされた。
戦場で仲良くなった者が翌日死んでいるなどということは日常茶飯事。
その場の任務で協力関係にあった者が裏切ったこともあれば、助けようとした少女が目の前で惨殺されたこともある。
いつしか俺は多くを助けるために少数を諦める、そんな判断をするようになっていた。
サーシャはそんな俺を見て少し悲しげに笑って『そんなものさ……』と言っていたのをよく覚えている。
今、自分の行っていることは英雄のやることではない。
そう理解していながら、しかし俺にはすでにどうすることもできないままに日々は過ぎて行った。
そして、ガキだった俺が何とかベテランと呼ばれる位まで成長した頃。
――――そのツケは唐突にやってきた。
それはなんの変哲もない、いつも通りの任務だった。
化け物を倒す、ただそれだけの単純な任務。
狩るだけの簡単なお仕事というやつだ。
違ったことはただ一つだけ、その化け物の中に、俺を庇った師匠が取り込まれてしまったことだけである。
彼女は取り込まれると悟った瞬間、俺にこう言った。
―――私ごとコイツを殺れ、と。
もちろん俺は彼女を救おうと手を尽くした。
だが、あまり時間は無かった。
この時、化け物はすでに町の近くまで迫っていたのだ。
これ以上時間かければ町の人が巻き込まれ、多くの人が犠牲になる。
確信があった。
故に俺は……
――――サーシャごとその化け物を切り裂いた。
結果、化け物から町は守られた。
師匠―――サーシャの命と引き換えに……。
俺はサーシャを失った後も魔術師の傭兵として幾多の任務をこなしていった。
ただ淡々と、淡々と、淡々と―――。
無感動、かつ、無慈悲。
感情らしきものの一切は存在せず、ただ一つそこには表情の無い顔で、それらの仕事をただの事務仕事であるかのように片付けていく自分がいるだけ……。
そうして任務をこなしているうちに、俺は気がつけば裏の世界でもある程度名の知れる者となり、師匠の後釜と言われるほどに成長していた。
やっと目標であった者の背中に追いつき、俺の幼いころからの理想まであと一歩というところまで来たのだ。
だが、そんな俺の心の中には何故か、ずっと空虚な穴が開いたままだった。
理由はわからない。
だが何かが腑に落ちない。
決定的な何かがポッカリと抜け落ちてしまったかのような、そんな感覚。
どうすればその穴を埋められるのか?
いったい俺に何が足りないのか?
それだけが、どうしてもわからなかった。
そんな思いを胸に抱えたまま、日々を過ごし続けていたある日、俺は新たな任務を受けた。
内容は化け物に襲われた村を救えというものだ。
俺は早速現場に向かったが、しかしそこはすでに地獄絵図と化していた。
最早手遅れだったのだ。
村からは火の手が上がり、村に侵入した化け物どもはその村の住人達を食い散らかし、村中に鮮血どころか、臓物が散らかっている。
それどころか、襲われたもの達がまた新たな化け物となり、他の者を襲う……そんな光景。
だが、そんなものもすでに見慣れていた俺は、いつものように淡々と、淡々と、淡々と、元は人であった何かを切り裂いていった。
すると、奇跡的にも、生存者を発見した。
女の子だ。
彼女は大粒の涙を流しながら目の前の、今にも自分に襲い掛からんとしている化け物を見て、『お母さん、お母さん!!』と叫んでいる。
恐らくあれは彼女のお母さんだったものなのだろう。
しかし……あれではもう手遅れだ。
そう瞬時に判断した俺は、化物に変貌した母親から、彼女を守るため、躊躇なくソレを両断した。
化け物を一瞬にして処理した俺は『もう大丈夫だよ?』と、そう言って女の子を安心させてあげようと後ろを振り向いたその時。
――――ドサッ
鈍い打撃音、女の子が自分の元へと走ってきていたのだ。
その光景だけ見れば、女の子が恐怖から開放された安心とともに走り寄ってきたようにも見えるかもしれない。
実際、確かに事実彼女は走り寄ってきていた。
違ったことはただ一つだけ。
その手には刃物がにぎられていたということだ。
『え……?』
―――俺の脇腹には、彼女の持っていたナイフの刃が根元まで刺さっていた。
『よくも……よくもお母さんを! お母さんを殺したなッ!!』
彼女は大粒の涙を流しながらそう叫ぶ。
その叫びには多大な憎しみの感情が込められていた。
そう、俺は即座に諦め、あれをただの化け物と判断したがしかし、彼女の中では、あんな姿になっても……未だにあれはお母さんだったのだ。
――――ズッ
女の子は刃物を俺の体から勢いよくひきぬいた。
俺は自分の脇腹から鮮血が溢れだすその光景を、ただただ無感動に眺める。
流れる血液に現実味はない。
それらはまるで絵の具のように、地面を赤黒く染め上げていく。
やがて、俺は倒れ、空を見上げる。
しかし、それすらも満足には叶わない。
女の子は膝立ちになると、刃物を逆手に持ち替え、それを再び俺に突き立てた。
『よくもよくもよくもよくもよくもよくも……よくもぉぉぉおおッ!』
その時、俺ははじめて自分満たされなかった理由を知った。
―――俺は……勘違いしていたのだ。
俺は彼女のように、サーシャのようにただ合理的に少数を切り捨て、より多くの者を助けるような、そんな者になりたかったわけじゃない。
本当の彼女がどのような人物で、どのようなあり方をしていたかなど関係ない。
ただ、あの時、自分にとってのサーシャがそうであったように、
――――俺も誰かの英雄であり続けたい、ただそれだけだったのだ。
そのためには、安易に誰かを見捨ててはいけなかったのだと、その誰かを救うためにも全力を尽くさなければならなかったのだと、今になってやっと気づいたのだ。
もしも、まだやり直せるのであれば、次こそは……。
――――しかし、全てはもはや手遅れだった。
俺の意識はさらに深い深い暗闇の中へと沈んでいく。
やがて光は見えなくなり、完全にその暗闇の中へと取り込まれると、何もかもを間違え、全てを後悔しながら俺こと、御神 雄星は50年の人生に幕を閉じた。
―――――はずだった。
この時の俺は想像もしていなかった。
まさか俺がこの後、見知らぬ世界に転生するなどとは……。
彼女はそれを聞いて突然目を見開いたかと思うと大声で笑いだした。
俺が突然笑い出した彼女に困惑していると、彼女は言った。
『ははは、面白いことを言う小僧だ。私が英雄とはな。
言っておくが私は断じて英雄などではないぞ? むしろ悪者と言っても過言ではない。
生き残るためにはどんなことでもやってきたし、頼まれれば潜入、強盗、人殺しだってする。
これを聞いてもまだ同じことが言えるかな?』
試すように告げる彼女に俺は即答してやった。ああ、もちろんだ、と。
すると、返ってきた答えが予想とは違ったからか、彼女は訝しんだ顔をすると、再び質問して来た。
『私は英雄ではないのに、それでもいいのかな?』
『ああ、もちろん。例えあなたがどんな人であろうと、この場において俺の命を救ったのは間違いなくあなただ。
俺にとっての英雄はあなた以外ありえない』
すると、彼女はこれは面白いものを見つけたというような笑みを浮かべる。
『……私の名前はサーシャ、サーシャ・クロウリーだ。
小僧、君の名は?』
『ゆうせい……御神 雄星』
『――――いいだろう、ついて来なさい』
そうしてその日、俺は彼女の弟子になった。
それからは早い、俺は彼女の指導の下、ありとあらゆる技術、知識を徹底的に叩き込まれた。
肉体を鍛えるために、壮絶なトレーニングを行った。
あらゆる武器の扱い方からその対処方法。
どんな状況下であろうと生き残る術。
対象に気づかれずに接近する方法――――。
彼女の訓練はまるで生き残れなければそれまでだ、とでも言うかのように常識を逸脱しており、それは例え俺が血反吐を吐こうとも終わることがなかった。
時には戦場の中に一人取り残され、一人で生きて帰って来いと言われたこともあった。
またある時はマフィアの基地を単独で壊滅させて来いなどと言われたり、またある時は人ごみの中、誰にも気づかれないように対象を暗殺して来いというものや、挙句の果てには奇怪な化け物の相手をさせられたこともある。
流石に『あそこでバカスカやってる戦争あるだろ? 今からちょっと行ってあれを適当に終結させて来い、それまで帰ってくるなよ? じゃ、私はそこらへんでくつろいでるから頑張れよ~~』と言われた時は一発ぶん殴ってやろうとも思ったがどうせ当たらないので泣く泣く止めた。
いつしか俺が彼女を呼ぶときは『あなた』から『クソ師匠』に変わっていた。理由は言うまでもないだろう。
そして、俺がサーシャから教わったものの中には魔術というものの存在もあった。
どうやらこのクソ師匠、薄々思ってはいたが只者ではなかったらしい。
さすがの俺も最初は疑ったが、事実目の前で炎や武器を生み出すのを目の前で見せられてしまったのではしょうがないだろう。
彼女は魔術にはいろんな種類があると言っていた。
召喚に始まり、強化、錬金、再生、神話を基にしたものなどと色々あるとかんとか……。
正直この訓練が一番苦労した。
何せ今まで自分が虚構だと思っていた存在の習得だ。
やってみろと言われて簡単にできることでもない。
だが、俺はこれを何とか会得しからこそ、クソ師匠の異常な訓練を生き残れたのだろう。
実際、魔術が無ければ死んでいた場面などいくつもあった。
まぁとは言っても、完璧に会得できたかと言われるとかなり怪しいものがあるのだが、それは言わないでほしい。
とにかく、そうして俺は数々の戦場を渡り歩き、様々な経験を積んだ。
そして、現実の非情さを思い知らされた。
戦場で仲良くなった者が翌日死んでいるなどということは日常茶飯事。
その場の任務で協力関係にあった者が裏切ったこともあれば、助けようとした少女が目の前で惨殺されたこともある。
いつしか俺は多くを助けるために少数を諦める、そんな判断をするようになっていた。
サーシャはそんな俺を見て少し悲しげに笑って『そんなものさ……』と言っていたのをよく覚えている。
今、自分の行っていることは英雄のやることではない。
そう理解していながら、しかし俺にはすでにどうすることもできないままに日々は過ぎて行った。
そして、ガキだった俺が何とかベテランと呼ばれる位まで成長した頃。
――――そのツケは唐突にやってきた。
それはなんの変哲もない、いつも通りの任務だった。
化け物を倒す、ただそれだけの単純な任務。
狩るだけの簡単なお仕事というやつだ。
違ったことはただ一つだけ、その化け物の中に、俺を庇った師匠が取り込まれてしまったことだけである。
彼女は取り込まれると悟った瞬間、俺にこう言った。
―――私ごとコイツを殺れ、と。
もちろん俺は彼女を救おうと手を尽くした。
だが、あまり時間は無かった。
この時、化け物はすでに町の近くまで迫っていたのだ。
これ以上時間かければ町の人が巻き込まれ、多くの人が犠牲になる。
確信があった。
故に俺は……
――――サーシャごとその化け物を切り裂いた。
結果、化け物から町は守られた。
師匠―――サーシャの命と引き換えに……。
俺はサーシャを失った後も魔術師の傭兵として幾多の任務をこなしていった。
ただ淡々と、淡々と、淡々と―――。
無感動、かつ、無慈悲。
感情らしきものの一切は存在せず、ただ一つそこには表情の無い顔で、それらの仕事をただの事務仕事であるかのように片付けていく自分がいるだけ……。
そうして任務をこなしているうちに、俺は気がつけば裏の世界でもある程度名の知れる者となり、師匠の後釜と言われるほどに成長していた。
やっと目標であった者の背中に追いつき、俺の幼いころからの理想まであと一歩というところまで来たのだ。
だが、そんな俺の心の中には何故か、ずっと空虚な穴が開いたままだった。
理由はわからない。
だが何かが腑に落ちない。
決定的な何かがポッカリと抜け落ちてしまったかのような、そんな感覚。
どうすればその穴を埋められるのか?
いったい俺に何が足りないのか?
それだけが、どうしてもわからなかった。
そんな思いを胸に抱えたまま、日々を過ごし続けていたある日、俺は新たな任務を受けた。
内容は化け物に襲われた村を救えというものだ。
俺は早速現場に向かったが、しかしそこはすでに地獄絵図と化していた。
最早手遅れだったのだ。
村からは火の手が上がり、村に侵入した化け物どもはその村の住人達を食い散らかし、村中に鮮血どころか、臓物が散らかっている。
それどころか、襲われたもの達がまた新たな化け物となり、他の者を襲う……そんな光景。
だが、そんなものもすでに見慣れていた俺は、いつものように淡々と、淡々と、淡々と、元は人であった何かを切り裂いていった。
すると、奇跡的にも、生存者を発見した。
女の子だ。
彼女は大粒の涙を流しながら目の前の、今にも自分に襲い掛からんとしている化け物を見て、『お母さん、お母さん!!』と叫んでいる。
恐らくあれは彼女のお母さんだったものなのだろう。
しかし……あれではもう手遅れだ。
そう瞬時に判断した俺は、化物に変貌した母親から、彼女を守るため、躊躇なくソレを両断した。
化け物を一瞬にして処理した俺は『もう大丈夫だよ?』と、そう言って女の子を安心させてあげようと後ろを振り向いたその時。
――――ドサッ
鈍い打撃音、女の子が自分の元へと走ってきていたのだ。
その光景だけ見れば、女の子が恐怖から開放された安心とともに走り寄ってきたようにも見えるかもしれない。
実際、確かに事実彼女は走り寄ってきていた。
違ったことはただ一つだけ。
その手には刃物がにぎられていたということだ。
『え……?』
―――俺の脇腹には、彼女の持っていたナイフの刃が根元まで刺さっていた。
『よくも……よくもお母さんを! お母さんを殺したなッ!!』
彼女は大粒の涙を流しながらそう叫ぶ。
その叫びには多大な憎しみの感情が込められていた。
そう、俺は即座に諦め、あれをただの化け物と判断したがしかし、彼女の中では、あんな姿になっても……未だにあれはお母さんだったのだ。
――――ズッ
女の子は刃物を俺の体から勢いよくひきぬいた。
俺は自分の脇腹から鮮血が溢れだすその光景を、ただただ無感動に眺める。
流れる血液に現実味はない。
それらはまるで絵の具のように、地面を赤黒く染め上げていく。
やがて、俺は倒れ、空を見上げる。
しかし、それすらも満足には叶わない。
女の子は膝立ちになると、刃物を逆手に持ち替え、それを再び俺に突き立てた。
『よくもよくもよくもよくもよくもよくも……よくもぉぉぉおおッ!』
その時、俺ははじめて自分満たされなかった理由を知った。
―――俺は……勘違いしていたのだ。
俺は彼女のように、サーシャのようにただ合理的に少数を切り捨て、より多くの者を助けるような、そんな者になりたかったわけじゃない。
本当の彼女がどのような人物で、どのようなあり方をしていたかなど関係ない。
ただ、あの時、自分にとってのサーシャがそうであったように、
――――俺も誰かの英雄であり続けたい、ただそれだけだったのだ。
そのためには、安易に誰かを見捨ててはいけなかったのだと、その誰かを救うためにも全力を尽くさなければならなかったのだと、今になってやっと気づいたのだ。
もしも、まだやり直せるのであれば、次こそは……。
――――しかし、全てはもはや手遅れだった。
俺の意識はさらに深い深い暗闇の中へと沈んでいく。
やがて光は見えなくなり、完全にその暗闇の中へと取り込まれると、何もかもを間違え、全てを後悔しながら俺こと、御神 雄星は50年の人生に幕を閉じた。
―――――はずだった。
この時の俺は想像もしていなかった。
まさか俺がこの後、見知らぬ世界に転生するなどとは……。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる