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7歳の秋
君を感じる
《ただいま。》
あの後、結局起きてしまったスライムとホワイトスライムが、ずるい!自分達も!と言わんばかりに器用に首無し妖精騎士のマントを引き摺りながら寄って来たので三匹と一緒にマントをかぶってうとうととし始めた時、洞窟内に待ち侘びていた声が響いて目が覚めた。
………フォレスだけ。
スライム達は安全だと言わんばかりに無防備に眠っている。
大丈夫だろうか、この子達。
「おかえり、首無し妖精騎士。」
《ただいま。良い子にしてたか?………少し熱が出てるな。》
首無し妖精騎士は愛馬と共に洞窟の中に入ると、真っ先にフォレスの所へと歩み寄り跪いて頭を撫でてくれた。
思えば大人に頭を撫でられたのなんて、本当に幼い頃。
それこそまだミルコが居た頃じゃないだろうか。
居なくなった頃はもうマナー教育が厳しくなった頃で、そうなると基本的に貴族の子供は親からのボディタッチは無くなる。
甘えを失くすためだ。
………その割に、一番下の弟はたっぷり甘やかされているように思うが。
《フォレス?大丈夫か?》
「あっ、うん。少しぼうっとしていただけだ。」
ふと回想していたら首無し妖精騎士が心配そうな声色で声を掛けたので、フォレスは慌てて首を横に振った。
考え事をしていただけで、心配されるようなことではない。
吐き気がする程痛いけれど、我慢出来ない訳でもない。
《客人が来てるんだ。フォレスにも少し対応してもらいたんだが………無理そうなら止めておくぞ?》
「寝たままで構わないなら、大丈夫だ。外で待たせているのか?」
それならば早く洞窟の中に入れないと、誰であれ失礼だろう。
元貴族としての感覚でそう言ったが、その実、客はモンスターだと思っていた。
首無し妖精騎士と同じように人型、或いはコミュニケーションが人間と同じタイプのモンスターだと。
《連れてきてなんだが、無理はしないように。》
「うん。」
首無し妖精騎士はフォレスにそう言い含めると、そっと頭を撫でてから外へ向かった。
恐らく、客人を呼びに行ったのだろう。
未だにすよすよと眠っているスライムを撫でていると、首無し妖精騎士の愛馬が自分も撫でろと言わんばかりに鼻先を寄せてきた。
鼻息が擽ったい。
けれど、嫌ではなかった。
少し温かい気持ちでその鼻先を撫でていたから、正直油断していた。
「やっぱり洞窟だと湿気がすごいな。」
「きのう、あめだったもんね。」
「すごかったもんねー。」
「………えっ?」
どう聞いてもモンスターではなく人間の声。
その中で妙に心地好い声も聞こえて、心臓が変な鼓動のあげ方をしている。
どう聞いても子供の声なのに、ずっと聞いていたい。
首無し妖精騎士の声と同じ位、安心する。
道さえ間違えなければ、この声の主はずっと味方で居てくれる。
そんな確信を抱けるような、声。
何故だろうか。
泣きたい程に、嬉しかった。
あの後、結局起きてしまったスライムとホワイトスライムが、ずるい!自分達も!と言わんばかりに器用に首無し妖精騎士のマントを引き摺りながら寄って来たので三匹と一緒にマントをかぶってうとうととし始めた時、洞窟内に待ち侘びていた声が響いて目が覚めた。
………フォレスだけ。
スライム達は安全だと言わんばかりに無防備に眠っている。
大丈夫だろうか、この子達。
「おかえり、首無し妖精騎士。」
《ただいま。良い子にしてたか?………少し熱が出てるな。》
首無し妖精騎士は愛馬と共に洞窟の中に入ると、真っ先にフォレスの所へと歩み寄り跪いて頭を撫でてくれた。
思えば大人に頭を撫でられたのなんて、本当に幼い頃。
それこそまだミルコが居た頃じゃないだろうか。
居なくなった頃はもうマナー教育が厳しくなった頃で、そうなると基本的に貴族の子供は親からのボディタッチは無くなる。
甘えを失くすためだ。
………その割に、一番下の弟はたっぷり甘やかされているように思うが。
《フォレス?大丈夫か?》
「あっ、うん。少しぼうっとしていただけだ。」
ふと回想していたら首無し妖精騎士が心配そうな声色で声を掛けたので、フォレスは慌てて首を横に振った。
考え事をしていただけで、心配されるようなことではない。
吐き気がする程痛いけれど、我慢出来ない訳でもない。
《客人が来てるんだ。フォレスにも少し対応してもらいたんだが………無理そうなら止めておくぞ?》
「寝たままで構わないなら、大丈夫だ。外で待たせているのか?」
それならば早く洞窟の中に入れないと、誰であれ失礼だろう。
元貴族としての感覚でそう言ったが、その実、客はモンスターだと思っていた。
首無し妖精騎士と同じように人型、或いはコミュニケーションが人間と同じタイプのモンスターだと。
《連れてきてなんだが、無理はしないように。》
「うん。」
首無し妖精騎士はフォレスにそう言い含めると、そっと頭を撫でてから外へ向かった。
恐らく、客人を呼びに行ったのだろう。
未だにすよすよと眠っているスライムを撫でていると、首無し妖精騎士の愛馬が自分も撫でろと言わんばかりに鼻先を寄せてきた。
鼻息が擽ったい。
けれど、嫌ではなかった。
少し温かい気持ちでその鼻先を撫でていたから、正直油断していた。
「やっぱり洞窟だと湿気がすごいな。」
「きのう、あめだったもんね。」
「すごかったもんねー。」
「………えっ?」
どう聞いてもモンスターではなく人間の声。
その中で妙に心地好い声も聞こえて、心臓が変な鼓動のあげ方をしている。
どう聞いても子供の声なのに、ずっと聞いていたい。
首無し妖精騎士の声と同じ位、安心する。
道さえ間違えなければ、この声の主はずっと味方で居てくれる。
そんな確信を抱けるような、声。
何故だろうか。
泣きたい程に、嬉しかった。
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