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7歳の冬
現実問題として
《しかし返信をしない以上は毎日のように来るのではないか?》
「実際来てる。クィルにまで来てるとは、思わなかったが。」
「あ、ちゃんと断ってますよ。番を亡くして子育てに忙しいし、今は村で幸せに暮らしてるので邪魔をしないでくださいと。」
王都は正直、おのぼりさん一家が子育てするなど向かない場所だ。
無意識な選民意識があるので子供同士のいじめ問題が頻発するし、そうなった時に被害者側が泣き寝入りをしなくてはならない。
ウィルは単純に騎士という立場があったから憧れの対象になれたが、そうじゃなければただの田舎者な上に獣人だ。
差別と排除の対象になっただろう。
それは騎士団側が一番分かっている筈だ。
だって、していた側なのだから。
「大体、ウィルさんを追い出しておきながら今更戻って来いなんて都合が良過ぎるんですよ!」
《まぁ、給料に関する話も無いし、下手したらこの村に居る方が稼げるんじゃないか?》
「稼げる。シグルドが居なかった頃も騎士団の給料よりちょっと上だったし、シグルドが来てからは控えめに言って倍以上になったしな。」
手先が器用で素材を綺麗な状態で剥がせるウィルは、騎士になる前から冒険者もどきなことをしては稼いでいた。
騎士団に入団してから逆に下がったので、そこもシェルニーニャに対して申し訳なく感じていた部分だ。
村から出なければ、普通に貯金しながらもそこそこな生活が過ごせた筈だった。
実際、シェルニーニャを亡くして暫くは仕事をせず貯金を切り崩して過ごせた訳だし。
「子供が1人と3匹も居るのにあの稼ぎでやっていける訳ねぇしな。」
しかも末っ子はまだまだ離乳したてな上に食いムラのある赤ちゃんだ。
今はこうして穏やかに暮らしているが、引っ越しして環境が変わればストレスを感じてまたろくに食べない生活に逆戻りかもしれない。
自由気ままに見える三男坊だって、ああ見えて繊細な子だ。
しかも環境が大きく変わるのは二度目。
どういう反応になるかが分からない。
しかも今なんでも屋さんとして頑張っているのに、その頑張りを無下にしたくはない。
長男と次男は、そもそも都会が合わないだろうと思う。
ただでさえ大きく苦労した子達なんだ。
これ以上負担は掛けたくない。
《ろくに稼げないのに子供に苦労掛けるだけなら行きたくないわな。名誉だけで子育ては出来ん。》
シングルなら、尚更。
今は正直マチルダや他の村人の厚意に甘えている状態だが、王都に行くならばそうもいかない。
託児所みたいな場所はあるだろうが、雀の涙な給料だとたちまち消えて無くなる。
普通にマイナスだ。
生活どころの話しではない。
「やるだけ無駄ですね。」
「ああ。まぁ一応返信書いて、子供達には知らない騎士には近寄らないように伝えるか。」
《門番にも伝えた方が良いな。とはいえ、令状使われたらどうしようもないが。》
無視だけで済むと思ってたが、甘かったなぁ………。
配達員の忠告もそうだし、こうして第三者視点で言われると本当に自分の甘さ加減に嫌気がさす。
流石田舎者ということか。
「いや、ほんと気を付けます………」
《どうした、いきなり。》
「改めてそんな態度、気持ち悪いですよ。」
うるせぇよ、似た者同士のお似合いカップルめ。
「実際来てる。クィルにまで来てるとは、思わなかったが。」
「あ、ちゃんと断ってますよ。番を亡くして子育てに忙しいし、今は村で幸せに暮らしてるので邪魔をしないでくださいと。」
王都は正直、おのぼりさん一家が子育てするなど向かない場所だ。
無意識な選民意識があるので子供同士のいじめ問題が頻発するし、そうなった時に被害者側が泣き寝入りをしなくてはならない。
ウィルは単純に騎士という立場があったから憧れの対象になれたが、そうじゃなければただの田舎者な上に獣人だ。
差別と排除の対象になっただろう。
それは騎士団側が一番分かっている筈だ。
だって、していた側なのだから。
「大体、ウィルさんを追い出しておきながら今更戻って来いなんて都合が良過ぎるんですよ!」
《まぁ、給料に関する話も無いし、下手したらこの村に居る方が稼げるんじゃないか?》
「稼げる。シグルドが居なかった頃も騎士団の給料よりちょっと上だったし、シグルドが来てからは控えめに言って倍以上になったしな。」
手先が器用で素材を綺麗な状態で剥がせるウィルは、騎士になる前から冒険者もどきなことをしては稼いでいた。
騎士団に入団してから逆に下がったので、そこもシェルニーニャに対して申し訳なく感じていた部分だ。
村から出なければ、普通に貯金しながらもそこそこな生活が過ごせた筈だった。
実際、シェルニーニャを亡くして暫くは仕事をせず貯金を切り崩して過ごせた訳だし。
「子供が1人と3匹も居るのにあの稼ぎでやっていける訳ねぇしな。」
しかも末っ子はまだまだ離乳したてな上に食いムラのある赤ちゃんだ。
今はこうして穏やかに暮らしているが、引っ越しして環境が変わればストレスを感じてまたろくに食べない生活に逆戻りかもしれない。
自由気ままに見える三男坊だって、ああ見えて繊細な子だ。
しかも環境が大きく変わるのは二度目。
どういう反応になるかが分からない。
しかも今なんでも屋さんとして頑張っているのに、その頑張りを無下にしたくはない。
長男と次男は、そもそも都会が合わないだろうと思う。
ただでさえ大きく苦労した子達なんだ。
これ以上負担は掛けたくない。
《ろくに稼げないのに子供に苦労掛けるだけなら行きたくないわな。名誉だけで子育ては出来ん。》
シングルなら、尚更。
今は正直マチルダや他の村人の厚意に甘えている状態だが、王都に行くならばそうもいかない。
託児所みたいな場所はあるだろうが、雀の涙な給料だとたちまち消えて無くなる。
普通にマイナスだ。
生活どころの話しではない。
「やるだけ無駄ですね。」
「ああ。まぁ一応返信書いて、子供達には知らない騎士には近寄らないように伝えるか。」
《門番にも伝えた方が良いな。とはいえ、令状使われたらどうしようもないが。》
無視だけで済むと思ってたが、甘かったなぁ………。
配達員の忠告もそうだし、こうして第三者視点で言われると本当に自分の甘さ加減に嫌気がさす。
流石田舎者ということか。
「いや、ほんと気を付けます………」
《どうした、いきなり。》
「改めてそんな態度、気持ち悪いですよ。」
うるせぇよ、似た者同士のお似合いカップルめ。
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