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7歳の冬
可愛い息子達
「ただいまー。」
「お父さん!おかえり!!」
やはりどうしても心配を掛けていたらしい。
玄関扉を開けた瞬間に、ニールが珍しく飛びついてきた。
少し離れた所で、シグルドもちらちらとこちらの様子を見ている。
こんな時にまで素直じゃないのが、思春期という感じで本当に可愛い。
「ただいま、ニール!」
本当は手を洗ってやりたいのだけれど、感極まったのでウィルはそのまま足にぎゅぎゅうと抱き着くニールを抱き上げた。
子供特有の興奮した甲高い声が、逆に心地好い。
一度ぐんと抱き上げて、しっかりと抱っこしたまま床ギリギリになるまで腰を曲げる。
かなり腰に負担が掛かるがニールが楽しそうにはしゃいでくれるならば全然苦じゃない。
「お父さん!おとーさん!」
「んー?」
ぎゅっとウィルの太い首筋に抱き着いて、一生懸命に呼ぶニールに目を合わせる。
ちょっとだけ興奮してほっぺたがほこほこして赤くなっているからリンゴみたいだ。
思わず嚙みつきたくなるけれど、流石にもう嫌がる年頃だろうから止めておく。
嗚呼、やっぱり最初から育てたかったなと、そんなどうしようもないことを思ってしまう。
「げんき、でた?」
ニコニコと笑いながらそんな可愛くて健気なことを言ってくる。
百点満点。
目に入れたら痛いけれど、目に入れても痛くないと言いたくなる程に百点。
「元気出た。ありがとうな!」
ウィルがそう笑顔で言えば、ニールはますます笑みを深くした。
さっきまでのウィルは元気が無さそうにも見えたし、ちょっぴり怖くも思えた。
でも今はいつもの元気なウィルだ。
ちょっぴり怖いお父さんも格好良くて好きだったけど、でもやっぱりいつものお父さんの方がもっともーっと好き。
「シグルドもおいで。」
まだ遠目から見ているシグルドにそう声を掛ければ、シグルドもおずおずとウィルの方へと寄って来る。
そうして目の前に来てほんの少しだけ逡巡する素振りを見せたかと思えば、ぺっとりとボディを寄せた。
ニールとは違うもちもちボディはひんやりして肌寒いけれど、全然嫌ではなかった。
背筋を走った生理的な寒気は、グッと気合で耐えてみせる。
「心配かけたな。ありがとう。」
優しい子達だ。
過酷な環境で育って、世の中を悲観してもおかしくないのにちっともそんな素振りはみせない。
しかもそれを無理しているとか媚びを売っているとかそういう訳ではなくて、自然と他人を慮っているのだからたまらない。
「お父さんがげんきになってよかった!ね、シグルド!」
上機嫌のニールに、不機嫌を装いつつも嬉しそうにボディを震わせるシグルド。
本当に最高に可愛い、息子達。
この場に居ないヘルギとハームンドも含めて、騎士を辞めて王都から村に戻ったからこそ得ることが出来た最高の宝物だ。
「お父さん!おかえり!!」
やはりどうしても心配を掛けていたらしい。
玄関扉を開けた瞬間に、ニールが珍しく飛びついてきた。
少し離れた所で、シグルドもちらちらとこちらの様子を見ている。
こんな時にまで素直じゃないのが、思春期という感じで本当に可愛い。
「ただいま、ニール!」
本当は手を洗ってやりたいのだけれど、感極まったのでウィルはそのまま足にぎゅぎゅうと抱き着くニールを抱き上げた。
子供特有の興奮した甲高い声が、逆に心地好い。
一度ぐんと抱き上げて、しっかりと抱っこしたまま床ギリギリになるまで腰を曲げる。
かなり腰に負担が掛かるがニールが楽しそうにはしゃいでくれるならば全然苦じゃない。
「お父さん!おとーさん!」
「んー?」
ぎゅっとウィルの太い首筋に抱き着いて、一生懸命に呼ぶニールに目を合わせる。
ちょっとだけ興奮してほっぺたがほこほこして赤くなっているからリンゴみたいだ。
思わず嚙みつきたくなるけれど、流石にもう嫌がる年頃だろうから止めておく。
嗚呼、やっぱり最初から育てたかったなと、そんなどうしようもないことを思ってしまう。
「げんき、でた?」
ニコニコと笑いながらそんな可愛くて健気なことを言ってくる。
百点満点。
目に入れたら痛いけれど、目に入れても痛くないと言いたくなる程に百点。
「元気出た。ありがとうな!」
ウィルがそう笑顔で言えば、ニールはますます笑みを深くした。
さっきまでのウィルは元気が無さそうにも見えたし、ちょっぴり怖くも思えた。
でも今はいつもの元気なウィルだ。
ちょっぴり怖いお父さんも格好良くて好きだったけど、でもやっぱりいつものお父さんの方がもっともーっと好き。
「シグルドもおいで。」
まだ遠目から見ているシグルドにそう声を掛ければ、シグルドもおずおずとウィルの方へと寄って来る。
そうして目の前に来てほんの少しだけ逡巡する素振りを見せたかと思えば、ぺっとりとボディを寄せた。
ニールとは違うもちもちボディはひんやりして肌寒いけれど、全然嫌ではなかった。
背筋を走った生理的な寒気は、グッと気合で耐えてみせる。
「心配かけたな。ありがとう。」
優しい子達だ。
過酷な環境で育って、世の中を悲観してもおかしくないのにちっともそんな素振りはみせない。
しかもそれを無理しているとか媚びを売っているとかそういう訳ではなくて、自然と他人を慮っているのだからたまらない。
「お父さんがげんきになってよかった!ね、シグルド!」
上機嫌のニールに、不機嫌を装いつつも嬉しそうにボディを震わせるシグルド。
本当に最高に可愛い、息子達。
この場に居ないヘルギとハームンドも含めて、騎士を辞めて王都から村に戻ったからこそ得ることが出来た最高の宝物だ。
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