236 / 406
7歳の冬
朝から大騒動
ドンドンドンッ
「ウィル!来たぞ!開けろ!!」
「………時間を考えろ………何時だと思ってやがる………」
早朝です。
今日は珍しくハームンドの方がお腹空いたと起こしてきたからいっぱい食べてもらうチャンスと思ったのだが、1体食べて飽きてしまったらしい。
しかしどう考えても足りないので、嫌がってもちもち動くハームンドを宥めながら念の為と用意していた闇の小精霊を使ってミルクを作ったのだが、もうお兄ちゃんだからミルクは要らない!と言わんばかりにダダをこねる。
宥めに宥めて、ようやく飲み始めたと思ったら………これである。
本当に勘弁して欲しい。
「なんだ、ソレは。」
「うちの末っ子ですが、何か?忙しいんで時間改めていただけません?」
「待て待て待て待て!」
ナチオルド子爵令息はウィルの腕に抱かれているハームンドを忌々しげに指したが、特に隠しも誤魔化しもせずウィルはそう言った。
それよりもまた気が逸れてぐずりだしたので最初からやり直しなのが辛い。
馬鹿にしてやろうと思ったナチオルド子爵令息だったが、哺乳瓶を片手にあやしながら器用に足で扉を閉めようとするウィルを慌てて止める。
いくらなんでも、馬鹿にし過ぎじゃないか?
「スライムが子供だと?随分気が狂ったようだな。」
「あー、キチガイでも何でも良いんではよ帰ってもら………あー、待てハームンド!もうちょい飯食おう!せめてこの1本は飲んでくれ!」
キチガイのレッテルを貼ろうとする三男坊はどうだって良い。
どうぞそのまま報告して、もう二度とこっちにすり寄って来ないで欲しい。
それよりも完全にグズってしまい降りようとするハームンドを落ち着かせることのが先だ。
寒い、眠い、お腹空いたの三拍子で絶好調に大暴れである。
「随分、その………紫だな………」
「闇の小精霊を潰してミルクで溶かしたやつで、ただの補助食ですよ。あー、もう!とりあえず早く出るか入るかしてくれ!寒いからグズってるんで!」
なんなら俺も寒い、と思いながら騎士集団を叱る。
眠さと久しぶりのハームンドの癇癪に疲れていたウィルは、もはや身分差なんてすっかり忘れていつもの態度だ。
まぁ………いつもよりもちょっとだけ丁寧な言い方ではあったが。
「ぅんー………ぉとぅしゃ………」
反射的に家に入って来た騎士達の耳に、新たな声が聞こえた。
小さな男の子の声。
声のした方を見れば、眠そうに目を擦りながら赤毛の小さな男の子がタオルケットを握りしめてやって来た。
「ニール。起きたのか?」
「んん………おとうさん、いなかった………」
「ごめんな?ハームンドがご飯だったから。」
眠気からぽやぽやとした雰囲気で歩いてくるその男の子の顔にはそばかすが走っており、ナチオルド子爵令息はその顔に見覚えがあった。
ウィルのかつての妻であり番である猫獣人、シェルニーニャだ。
何度かウィルと一緒に居るところを見たことがあった。
やっぱりこいつら、交尾したんだ。
「ウィル!来たぞ!開けろ!!」
「………時間を考えろ………何時だと思ってやがる………」
早朝です。
今日は珍しくハームンドの方がお腹空いたと起こしてきたからいっぱい食べてもらうチャンスと思ったのだが、1体食べて飽きてしまったらしい。
しかしどう考えても足りないので、嫌がってもちもち動くハームンドを宥めながら念の為と用意していた闇の小精霊を使ってミルクを作ったのだが、もうお兄ちゃんだからミルクは要らない!と言わんばかりにダダをこねる。
宥めに宥めて、ようやく飲み始めたと思ったら………これである。
本当に勘弁して欲しい。
「なんだ、ソレは。」
「うちの末っ子ですが、何か?忙しいんで時間改めていただけません?」
「待て待て待て待て!」
ナチオルド子爵令息はウィルの腕に抱かれているハームンドを忌々しげに指したが、特に隠しも誤魔化しもせずウィルはそう言った。
それよりもまた気が逸れてぐずりだしたので最初からやり直しなのが辛い。
馬鹿にしてやろうと思ったナチオルド子爵令息だったが、哺乳瓶を片手にあやしながら器用に足で扉を閉めようとするウィルを慌てて止める。
いくらなんでも、馬鹿にし過ぎじゃないか?
「スライムが子供だと?随分気が狂ったようだな。」
「あー、キチガイでも何でも良いんではよ帰ってもら………あー、待てハームンド!もうちょい飯食おう!せめてこの1本は飲んでくれ!」
キチガイのレッテルを貼ろうとする三男坊はどうだって良い。
どうぞそのまま報告して、もう二度とこっちにすり寄って来ないで欲しい。
それよりも完全にグズってしまい降りようとするハームンドを落ち着かせることのが先だ。
寒い、眠い、お腹空いたの三拍子で絶好調に大暴れである。
「随分、その………紫だな………」
「闇の小精霊を潰してミルクで溶かしたやつで、ただの補助食ですよ。あー、もう!とりあえず早く出るか入るかしてくれ!寒いからグズってるんで!」
なんなら俺も寒い、と思いながら騎士集団を叱る。
眠さと久しぶりのハームンドの癇癪に疲れていたウィルは、もはや身分差なんてすっかり忘れていつもの態度だ。
まぁ………いつもよりもちょっとだけ丁寧な言い方ではあったが。
「ぅんー………ぉとぅしゃ………」
反射的に家に入って来た騎士達の耳に、新たな声が聞こえた。
小さな男の子の声。
声のした方を見れば、眠そうに目を擦りながら赤毛の小さな男の子がタオルケットを握りしめてやって来た。
「ニール。起きたのか?」
「んん………おとうさん、いなかった………」
「ごめんな?ハームンドがご飯だったから。」
眠気からぽやぽやとした雰囲気で歩いてくるその男の子の顔にはそばかすが走っており、ナチオルド子爵令息はその顔に見覚えがあった。
ウィルのかつての妻であり番である猫獣人、シェルニーニャだ。
何度かウィルと一緒に居るところを見たことがあった。
やっぱりこいつら、交尾したんだ。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。