うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし

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7歳の冬

朝から大騒動

ドンドンドンッ
「ウィル!来たぞ!開けろ!!」
「………時間を考えろ………何時だと思ってやがる………」

早朝です。
今日は珍しくハームンドの方がお腹空いたと起こしてきたからいっぱい食べてもらうチャンスと思ったのだが、1体食べて飽きてしまったらしい。
しかしどう考えても足りないので、嫌がってもちもち動くハームンドを宥めながら念の為と用意していた闇の小精霊ダークエレメントを使ってミルクを作ったのだが、もうお兄ちゃんだからミルクは要らない!と言わんばかりにダダをこねる。
宥めに宥めて、ようやく飲み始めたと思ったら………これである。
本当に勘弁して欲しい。

「なんだ、ソレは。」
「うちの末っ子ですが、何か?忙しいんで時間改めていただけません?」
「待て待て待て待て!」

ナチオルド子爵令息はウィルの腕に抱かれているハームンドを忌々しげに指したが、特に隠しも誤魔化しもせずウィルはそう言った。
それよりもまた気が逸れてぐずりだしたので最初からやり直しなのが辛い。
馬鹿にしてやろうと思ったナチオルド子爵令息だったが、哺乳瓶を片手にあやしながら器用に足で扉を閉めようとするウィルを慌てて止める。
いくらなんでも、馬鹿にし過ぎじゃないか?

「スライムが子供だと?随分気が狂ったようだな。」
「あー、キチガイでも何でも良いんではよ帰ってもら………あー、待てハームンド!もうちょい飯食おう!せめてこの1本は飲んでくれ!」

キチガイのレッテルを貼ろうとする三男坊はどうだって良い。
どうぞそのまま報告して、もう二度とこっちにすり寄って来ないで欲しい。
それよりも完全にグズってしまい降りようとするハームンドを落ち着かせることのが先だ。
寒い、眠い、お腹空いたの三拍子で絶好調に大暴れである。

「随分、その………紫だな………」
闇の小精霊ダークエレメントを潰してミルクで溶かしたやつで、ただの補助食ですよ。あー、もう!とりあえず早く出るか入るかしてくれ!寒いからグズってるんで!」

なんなら俺も寒い、と思いながら騎士集団を叱る。
眠さと久しぶりのハームンドの癇癪に疲れていたウィルは、もはや身分差なんてすっかり忘れていつもの態度だ。
まぁ………いつもよりもちょっとだけ丁寧な言い方ではあったが。

「ぅんー………ぉとぅしゃ………」

反射的に家に入って来た騎士達の耳に、新たな声が聞こえた。
小さな男の子の声。
声のした方を見れば、眠そうに目を擦りながら赤毛の小さな男の子がタオルケットを握りしめてやって来た。

「ニール。起きたのか?」
「んん………おとうさん、いなかった………」
「ごめんな?ハームンドがご飯だったから。」

眠気からぽやぽやとした雰囲気で歩いてくるその男の子の顔にはそばかすが走っており、ナチオルド子爵令息はその顔に見覚えがあった。
ウィルのかつての妻でありつがいである猫獣人、シェルニーニャだ。
何度かウィルと一緒に居るところを見たことがあった。
やっぱりこいつら、交尾したんだ。
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