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8歳の春
スペシャルゲスト
「おっ。本日の主役のお帰りですね。」
「おかえり。皆、早く手を洗っておいで。」
「「「はーい!」」」
挨拶もそこそこに、手やボディを洗う。
特に本日の主役はピカピカに。
きゃっきゃとはしゃぎながら3人と1匹で洗いっこしていると、あまりにも時間をかけたものだからシグルドに注意をされるようにツンツンとされたので、慌てて泡を流して拭き上げた。
「ヘルギ、終わりました?」
「今おわったー!」
「随分長かったみたいですが………まぁ良いでしょう。ヘルギ、今日はスペシャルゲストが来てますよ。」
お迎えに来たクィル神官の言葉に、ヘルギはボディを傾けた。
スペシャルゲストって何だろう。
ちらりとクリスとカイルを見れば、何か知っているのかニヤニヤとしている。
自分だけ知らないなんてちょっと不満ではあるが、でもその分ワクワクもする。
「その前にお着換えしましょうね。シルビアさんとジルコールさんから、ヘルギへのプレゼントですよ。」
クィル神官の言葉に、ヘルギは嬉しそうに跳ねた。
動きが活発なヘルギには帽子は無いが、その代わり柄の付いた短めのネクタイ。
仕事中も邪魔にならないようにという配慮だった。
「危ない所や巻き込まれそうな作業をする時は、絶対に外すようにとのことです。」
クィル神官の言葉には、ちゃんと理解してからこくんと一つ頷いた。
いのちだいじに。
ヘルギも最近知ったのだ。
布一つで命を落とす可能性があるということを。
「さ、リビングに行きましょう。」
クィル神官に促されて、ヘルギはウキウキでパーティー会場に向かった。
一つ一つの家具などの大きさが大きな家ではあるのだが、ドアノブの高さは一般的な高さだ。
最近ジャンプ力が高くなったヘルギは、助走もそこそこにひょいと跳ねてドアノブにしがみつくようにして開けた。
シグルドだったらスマートに開けれるのに、理想とは程遠いものだとヘルギは思った。
『誕生日おめでとう!!』
複数のお祝いの声が聞こえる。
その中でヘルギは、今日は聞こえる筈がないと思っていた声が聞こえて一瞬固まった。
大好きな、声。大好きな姿。
嬉しい衝動のままぴょいぴょいと跳ねるように走りながら、そちらの方へと向かった。
声が出せないことを不満に思ったことは一度も無かったが、今日はひどくもどかしいと感じた。
「ヘルギ、誕生日おめでとう。」
そんなもどかしさを理解してくれたのかどうなのか。
スペシャルゲストが手を伸ばしてヘルギのボディを撫でてくれた。
土の匂いが染み込んだ、大きな手。
大好きな、クックスの掌だった。
「はしゃぐなはしゃぐな。この間も会っただろうに。」
ぐいぐいとボディを押し付ければ、クックスはそう苦笑した。
確かにそうだけど、友達にお祝いしてもらえるのは嬉しいから仕方ない。
そんな風に興奮しきりで落ち着かないものだから、プレゼントを貰えるまで少し時間が掛かってしまった。
「おかえり。皆、早く手を洗っておいで。」
「「「はーい!」」」
挨拶もそこそこに、手やボディを洗う。
特に本日の主役はピカピカに。
きゃっきゃとはしゃぎながら3人と1匹で洗いっこしていると、あまりにも時間をかけたものだからシグルドに注意をされるようにツンツンとされたので、慌てて泡を流して拭き上げた。
「ヘルギ、終わりました?」
「今おわったー!」
「随分長かったみたいですが………まぁ良いでしょう。ヘルギ、今日はスペシャルゲストが来てますよ。」
お迎えに来たクィル神官の言葉に、ヘルギはボディを傾けた。
スペシャルゲストって何だろう。
ちらりとクリスとカイルを見れば、何か知っているのかニヤニヤとしている。
自分だけ知らないなんてちょっと不満ではあるが、でもその分ワクワクもする。
「その前にお着換えしましょうね。シルビアさんとジルコールさんから、ヘルギへのプレゼントですよ。」
クィル神官の言葉に、ヘルギは嬉しそうに跳ねた。
動きが活発なヘルギには帽子は無いが、その代わり柄の付いた短めのネクタイ。
仕事中も邪魔にならないようにという配慮だった。
「危ない所や巻き込まれそうな作業をする時は、絶対に外すようにとのことです。」
クィル神官の言葉には、ちゃんと理解してからこくんと一つ頷いた。
いのちだいじに。
ヘルギも最近知ったのだ。
布一つで命を落とす可能性があるということを。
「さ、リビングに行きましょう。」
クィル神官に促されて、ヘルギはウキウキでパーティー会場に向かった。
一つ一つの家具などの大きさが大きな家ではあるのだが、ドアノブの高さは一般的な高さだ。
最近ジャンプ力が高くなったヘルギは、助走もそこそこにひょいと跳ねてドアノブにしがみつくようにして開けた。
シグルドだったらスマートに開けれるのに、理想とは程遠いものだとヘルギは思った。
『誕生日おめでとう!!』
複数のお祝いの声が聞こえる。
その中でヘルギは、今日は聞こえる筈がないと思っていた声が聞こえて一瞬固まった。
大好きな、声。大好きな姿。
嬉しい衝動のままぴょいぴょいと跳ねるように走りながら、そちらの方へと向かった。
声が出せないことを不満に思ったことは一度も無かったが、今日はひどくもどかしいと感じた。
「ヘルギ、誕生日おめでとう。」
そんなもどかしさを理解してくれたのかどうなのか。
スペシャルゲストが手を伸ばしてヘルギのボディを撫でてくれた。
土の匂いが染み込んだ、大きな手。
大好きな、クックスの掌だった。
「はしゃぐなはしゃぐな。この間も会っただろうに。」
ぐいぐいとボディを押し付ければ、クックスはそう苦笑した。
確かにそうだけど、友達にお祝いしてもらえるのは嬉しいから仕方ない。
そんな風に興奮しきりで落ち着かないものだから、プレゼントを貰えるまで少し時間が掛かってしまった。
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