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8歳の春
サプライズプレゼント
「嬉しかったねぇ、ヘルギ。」
「落ち着いたか?ほれ、ミルクでも飲め。」
すっかり興奮していたヘルギが漸く落ち着いたタイミングを見計らって、クックスがマグに入ったミルクを渡してくれた。
ありがたく受け取ったヘルギだったが、ふと、マグを持ったまま器用にボディを傾けた。
なんか、知らないマグな気がする。
「おお!気付いたか!」
なんだろう?と思っていると、クックスがひどく嬉しそうにそう言って笑った。
気付いたって、何に?
そう思いながらじぃっとヘルギはマグを見つめて、あっと思った。
これはもしかして―――
「誕生日おめでとう、ヘルギ。わしからの誕生日プレゼントだ。」
クックスそう言って、ヘルギのボディを撫でた。
プレゼント………。
プレゼント!
言われた言葉を理解した瞬間、ヘルギはまるでツヤツヤのどんぐりを見付けた時のような顔をした。
大好きで尊敬している陶芸家のクックスが、自分の為だけに作ってくれたマグ。
嬉しくない訳がない。
「あぶなっ!」
「ヘルギ、ほら、中身を飲んでからにしよう?」
思わず掲げて見ようとしたヘルギを、ニールとアムルが全力で止めた。
中にはまだミルクが入ったままなのだ。
普通に零れてしまう。
ハッとしたヘルギは素直に中身を飲み干してから、再びマグを掲げた。
「ヘルギがこんなに喜んでるの、初めて見た!」
「しまった………オレ達ふりだ!」
ハードルが上がってしまったことにクリスとカイルがあわあわとし出したが、気持ちがちゃんとあればヘルギはなんだって喜ぶだろう。
何せ大親友な上に趣味が合う2人と1匹だ。
チョイスに外れは無い筈だ。
がっくりと大袈裟に項垂れるクリスとカイルに、ヘルギはマグをそっとテーブルの上に置いてから駆け寄った。
「ううん。だいじょうぶ!」
「じしんまんまんだから!」
グッと力こぶを作ってみせる双子に、アムルは何故自らハードルを上げていくのかと苦笑したし、ニールは本当にちょっとだけ出来てる力こぶに羨望の眼差しを向けた。
同じようにむんっと力こぶを作ってみる………が、へにゃへにゃのぷにぷにである。
「何してるんだ?」
「ちからこぶ。できた?」
「うーん。ぷにぷにだな。」
そんなニールを見て、アムルはつんつんとニールの腕を突きながら笑った。
力仕事をメインにやってる訳ではないので、当然といえば当然だ。
アムルだって、体術などの実技は苦手だったし、力こぶなんて出来たことがない。
「良いんじゃないか?適材適所だろ。」
「うーん。でも、あこがれる。」
「それは確かに。」
なんだかんだ、男の子だもの。
ウィルやアーサー程とは言わないが、それでも年下の子よりは筋肉がありたいというプライドだってある。
まぁ、そこに獣人とヒトという種族の差もあるのだけれど。
「落ち着いたか?ほれ、ミルクでも飲め。」
すっかり興奮していたヘルギが漸く落ち着いたタイミングを見計らって、クックスがマグに入ったミルクを渡してくれた。
ありがたく受け取ったヘルギだったが、ふと、マグを持ったまま器用にボディを傾けた。
なんか、知らないマグな気がする。
「おお!気付いたか!」
なんだろう?と思っていると、クックスがひどく嬉しそうにそう言って笑った。
気付いたって、何に?
そう思いながらじぃっとヘルギはマグを見つめて、あっと思った。
これはもしかして―――
「誕生日おめでとう、ヘルギ。わしからの誕生日プレゼントだ。」
クックスそう言って、ヘルギのボディを撫でた。
プレゼント………。
プレゼント!
言われた言葉を理解した瞬間、ヘルギはまるでツヤツヤのどんぐりを見付けた時のような顔をした。
大好きで尊敬している陶芸家のクックスが、自分の為だけに作ってくれたマグ。
嬉しくない訳がない。
「あぶなっ!」
「ヘルギ、ほら、中身を飲んでからにしよう?」
思わず掲げて見ようとしたヘルギを、ニールとアムルが全力で止めた。
中にはまだミルクが入ったままなのだ。
普通に零れてしまう。
ハッとしたヘルギは素直に中身を飲み干してから、再びマグを掲げた。
「ヘルギがこんなに喜んでるの、初めて見た!」
「しまった………オレ達ふりだ!」
ハードルが上がってしまったことにクリスとカイルがあわあわとし出したが、気持ちがちゃんとあればヘルギはなんだって喜ぶだろう。
何せ大親友な上に趣味が合う2人と1匹だ。
チョイスに外れは無い筈だ。
がっくりと大袈裟に項垂れるクリスとカイルに、ヘルギはマグをそっとテーブルの上に置いてから駆け寄った。
「ううん。だいじょうぶ!」
「じしんまんまんだから!」
グッと力こぶを作ってみせる双子に、アムルは何故自らハードルを上げていくのかと苦笑したし、ニールは本当にちょっとだけ出来てる力こぶに羨望の眼差しを向けた。
同じようにむんっと力こぶを作ってみる………が、へにゃへにゃのぷにぷにである。
「何してるんだ?」
「ちからこぶ。できた?」
「うーん。ぷにぷにだな。」
そんなニールを見て、アムルはつんつんとニールの腕を突きながら笑った。
力仕事をメインにやってる訳ではないので、当然といえば当然だ。
アムルだって、体術などの実技は苦手だったし、力こぶなんて出来たことがない。
「良いんじゃないか?適材適所だろ。」
「うーん。でも、あこがれる。」
「それは確かに。」
なんだかんだ、男の子だもの。
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まぁ、そこに獣人とヒトという種族の差もあるのだけれど。
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