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8歳の夏
突然の帰宅
ニールが発情の熱に苦しんでいる中、セドリックが村に到着したのはなんとそこからたった2時間後だった。
何故だか胸騒ぎがして、いつもよりも数時間早く学園を出たのだ。
少しでも早くなるように、そう安くない金額を出して特急集合馬車すら使って。
「セドリック!?」
「「兄ちゃん!?」」
「ただいま。ニールは?」
流石に驚く面々に、セドリックは鞄を雑に置いて洗面所へ駆け込んだ。
妙にソワソワとする。
入念に手を洗って、これがどうか嫌な意味での胸騒ぎでありませんようにと祈る。
「ニールはウィルが一緒に居る。寝室だ。」
「寝てる?」
「いや、どうにも寝れてないみたいだな。」
リースの言葉に、セドリックはギュッと眉根を寄せた。
何か酷いことがあったのだろうか。
不安に思うセドリックに、リースは特に何を言う訳でもなく寝室へと案内する。
今がどういう状態か、それはウィルが説明すべきだろう。
「ウィル、まだ起きてるか?」
不安そうに、今にも寝室に飛び込んでしまいそうなセドリックの首根っこを掴んでリースはノックした。
多分、セドリックはニールの発情状態に中てられている。
ニールがヒトで本物の発情じゃないからか、まだセドリックの理性は残っているようなのが幸いだった。
これが本当の獣人同士での発情だったら………想像しただけでゾッとした。
「どうした?」
「セドリックが帰り着いた。どうする?」
「は?」
バタバタという音がして、扉が開いた。
目を見開き、本気で驚いた表情を浮かべているウィル。
しかしウィルはこの状態に覚えがあるらしく、とびきりの溜息を吐いたかと思えば少しだけ待てとセドリックの頭を撫でて部屋の中へと戻った。
そして未だ知らぬ熱に弄ばれ苦しんでいるニールの傍に行き、頬を撫でてやった。
「ニール、起きれるか?」
「んぅ………」
「セドリックが帰って来た。分かるか?」
ウィルの言葉に、ニールは首を傾げる。
もう朝なのだろうか。
朝にならないと帰って来ないって聞いた。
ニールはぼぅっとした頭で、そんなことを考える。
「抱えるぞ。」
ウィルは一応声を掛けて、ニールを抱き上げた。
先程から、無意識にウィルを拒絶するような反応をするのだ。
番を持つ獣人としては当然の反応だが、ヒトもそうなってしまうとは聞いたことがない。
特別な子、だからだろうか。
「セドリック。部屋に行け。」
「ニール!これは………」
「発情状態だ。お前に任せる。」
ウィルはそう言って、セドリックにニールを渡した。
セドリックが抱き締めた瞬間、ぶわりと鼻腔いっぱいに広がるセドリックの匂い。
大好きで安心できる匂いに、ニールは無意識にすりっと身体を懐かせた。
「だが、最後までは手を出すなよ。」
「が………頑張る………」
「初めての状態なんだ。怖がらせるな。まぁ、若かった俺でもできたんだ、やれるさ。」
ちょっとしたプレッシャーを浴びせながら、ウィルはセドリックの背中を叩いた。
でももしもの時は………分かるよな?
何故だか胸騒ぎがして、いつもよりも数時間早く学園を出たのだ。
少しでも早くなるように、そう安くない金額を出して特急集合馬車すら使って。
「セドリック!?」
「「兄ちゃん!?」」
「ただいま。ニールは?」
流石に驚く面々に、セドリックは鞄を雑に置いて洗面所へ駆け込んだ。
妙にソワソワとする。
入念に手を洗って、これがどうか嫌な意味での胸騒ぎでありませんようにと祈る。
「ニールはウィルが一緒に居る。寝室だ。」
「寝てる?」
「いや、どうにも寝れてないみたいだな。」
リースの言葉に、セドリックはギュッと眉根を寄せた。
何か酷いことがあったのだろうか。
不安に思うセドリックに、リースは特に何を言う訳でもなく寝室へと案内する。
今がどういう状態か、それはウィルが説明すべきだろう。
「ウィル、まだ起きてるか?」
不安そうに、今にも寝室に飛び込んでしまいそうなセドリックの首根っこを掴んでリースはノックした。
多分、セドリックはニールの発情状態に中てられている。
ニールがヒトで本物の発情じゃないからか、まだセドリックの理性は残っているようなのが幸いだった。
これが本当の獣人同士での発情だったら………想像しただけでゾッとした。
「どうした?」
「セドリックが帰り着いた。どうする?」
「は?」
バタバタという音がして、扉が開いた。
目を見開き、本気で驚いた表情を浮かべているウィル。
しかしウィルはこの状態に覚えがあるらしく、とびきりの溜息を吐いたかと思えば少しだけ待てとセドリックの頭を撫でて部屋の中へと戻った。
そして未だ知らぬ熱に弄ばれ苦しんでいるニールの傍に行き、頬を撫でてやった。
「ニール、起きれるか?」
「んぅ………」
「セドリックが帰って来た。分かるか?」
ウィルの言葉に、ニールは首を傾げる。
もう朝なのだろうか。
朝にならないと帰って来ないって聞いた。
ニールはぼぅっとした頭で、そんなことを考える。
「抱えるぞ。」
ウィルは一応声を掛けて、ニールを抱き上げた。
先程から、無意識にウィルを拒絶するような反応をするのだ。
番を持つ獣人としては当然の反応だが、ヒトもそうなってしまうとは聞いたことがない。
特別な子、だからだろうか。
「セドリック。部屋に行け。」
「ニール!これは………」
「発情状態だ。お前に任せる。」
ウィルはそう言って、セドリックにニールを渡した。
セドリックが抱き締めた瞬間、ぶわりと鼻腔いっぱいに広がるセドリックの匂い。
大好きで安心できる匂いに、ニールは無意識にすりっと身体を懐かせた。
「だが、最後までは手を出すなよ。」
「が………頑張る………」
「初めての状態なんだ。怖がらせるな。まぁ、若かった俺でもできたんだ、やれるさ。」
ちょっとしたプレッシャーを浴びせながら、ウィルはセドリックの背中を叩いた。
でももしもの時は………分かるよな?
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