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8歳の夏
父親の役目
キスをしたら、お互い止まらなくなった。
部屋から出なくては。
ちゃんとそう思うのに、ニールもセドリックも、お互いの手を離すことが出来なかった。
「セディおにいちゃ、んっ、あっ。」
「ニール、ニール。」
起きた筈なのに、何度も何度もキスをしている内に気が付けばベッドの上で縺れ合ってしまった。
腕の中に、番が居る。
好きだと、声で、行動で表してくれる。
その事実に、ニールもセドリックも興奮した。
愛したいし、愛されたい。
お互い、それだけの感情で頭がいっぱいになる。
コンコンッ
「おい、飯。」
再び素肌に舌を這わせ合いまたも甘い時間を貪ろうとした瞬間、ノックの音とウィルの声が現実へと呼び戻す。
朝、飯。
その2つの事実に、ニールとセドリックの腹がくぅっと鳴った。
考えればセドリックは昨晩から何も食べていないし、ニールは食べ盛りだ。
「ちょっと待ってて。貰ってくる。」
「うん。」
セドリックはそう言ってニールの頬にキスをすると、放り投げていたスラックスだけ身に着けて扉を少し開けた。
失礼だとは分かっているけれど、まだ発情に引っ張られて淫靡な雰囲気を纏っているニールをウィルにすら見せたくはなかった。
まぁ、ウィルも経験者なんだから分かっていてくれるだろうという甘い考えを持っているのだが。
「おおっ。素直に出て来たか。」
「いや、ごめん、伯父さん………俺………」
「いいよ。俺もそんなんだったしな。ただ、飯は持ってくるから絶対に食え。」
本当は体力差を考えろとか、絶対に最後の一線は超えるなとか。
言いたいことは山ほどあったのだが、それは敢えて言わなかった。
別にわざわざ言わなくても、分かっている筈だと信じているからだ。
「うん。ありがとう。」
「ああ。何かあったらすぐ言えよ?」
ウィルはそう言っていつものように肩を叩こうとして………止めた。
変に他人の匂いがつくと、ニールが嫌がるかもしれない。
セドリックがどうなろうとも悪く思わないが、ニールが嫌がったり悲しんだりするのは父親として申し訳ないと思う。
「早くこれ持って戻れ。」
「ありがとう。」
「汚れた新しいシーツは後でマチルダが持ってくる。汚れたやつと変えとけよ。廊下に出しとけば、持って行く。」
セドリックにそう言って、ウィルは扉を閉めて少し笑った。
懐かしいな。
シェルニーニャの初めての発情の時、シェルフィーとこんな会話したなと。
そう考えると、父親の役目というのは巡るモノなのかもしれない。
「あー、切なっ………」
シェルフィーもこんなやるせない気持ちだったのかと思うと、ちょっぴり申し訳ない気持ちが込み上げて来る。
あの頃は必死だったんですと心の中でそっと言い訳をして、ウィルは少しだけ肩を落とした。
部屋から出なくては。
ちゃんとそう思うのに、ニールもセドリックも、お互いの手を離すことが出来なかった。
「セディおにいちゃ、んっ、あっ。」
「ニール、ニール。」
起きた筈なのに、何度も何度もキスをしている内に気が付けばベッドの上で縺れ合ってしまった。
腕の中に、番が居る。
好きだと、声で、行動で表してくれる。
その事実に、ニールもセドリックも興奮した。
愛したいし、愛されたい。
お互い、それだけの感情で頭がいっぱいになる。
コンコンッ
「おい、飯。」
再び素肌に舌を這わせ合いまたも甘い時間を貪ろうとした瞬間、ノックの音とウィルの声が現実へと呼び戻す。
朝、飯。
その2つの事実に、ニールとセドリックの腹がくぅっと鳴った。
考えればセドリックは昨晩から何も食べていないし、ニールは食べ盛りだ。
「ちょっと待ってて。貰ってくる。」
「うん。」
セドリックはそう言ってニールの頬にキスをすると、放り投げていたスラックスだけ身に着けて扉を少し開けた。
失礼だとは分かっているけれど、まだ発情に引っ張られて淫靡な雰囲気を纏っているニールをウィルにすら見せたくはなかった。
まぁ、ウィルも経験者なんだから分かっていてくれるだろうという甘い考えを持っているのだが。
「おおっ。素直に出て来たか。」
「いや、ごめん、伯父さん………俺………」
「いいよ。俺もそんなんだったしな。ただ、飯は持ってくるから絶対に食え。」
本当は体力差を考えろとか、絶対に最後の一線は超えるなとか。
言いたいことは山ほどあったのだが、それは敢えて言わなかった。
別にわざわざ言わなくても、分かっている筈だと信じているからだ。
「うん。ありがとう。」
「ああ。何かあったらすぐ言えよ?」
ウィルはそう言っていつものように肩を叩こうとして………止めた。
変に他人の匂いがつくと、ニールが嫌がるかもしれない。
セドリックがどうなろうとも悪く思わないが、ニールが嫌がったり悲しんだりするのは父親として申し訳ないと思う。
「早くこれ持って戻れ。」
「ありがとう。」
「汚れた新しいシーツは後でマチルダが持ってくる。汚れたやつと変えとけよ。廊下に出しとけば、持って行く。」
セドリックにそう言って、ウィルは扉を閉めて少し笑った。
懐かしいな。
シェルニーニャの初めての発情の時、シェルフィーとこんな会話したなと。
そう考えると、父親の役目というのは巡るモノなのかもしれない。
「あー、切なっ………」
シェルフィーもこんなやるせない気持ちだったのかと思うと、ちょっぴり申し訳ない気持ちが込み上げて来る。
あの頃は必死だったんですと心の中でそっと言い訳をして、ウィルは少しだけ肩を落とした。
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