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8歳の夏
特別
「パーシヴァル、おめでとう!」
ニールはそう言って、用意していた花冠をパーシヴァルのボディに乗せた。
本当は首飾りにしたかったのだが、試作したやつをハームンドに着けてみたらあっさりと落ちてしまったので冠にしたのだ。
でもよく似合っているし、パーシヴァルも喜んでいる。
作った甲斐があったというものだ。
「こうして考えると、パーシヴァル達に祝いの手土産でも持って来たらよかったか?」
「いいえ。ああやって、子供達や家族だけで祝うから良いんですよ。」
ちょっとだけの特別。
それだけで良いのだ。
そのちょっとだけの特別感に、子供達は誇りを持つのだから。
ご飯だっていつものだし、何かが大きく変わる訳ではない。
でも名前をいっぱい呼んでもらえるようになる。
それが、それこそが特別なのだ。
「あしたはブルースライムとホワイトスライムなんでしょ?」
「おなまえ、もう決めたの?」
「ああ。明日まで内緒だがな。」
クリスとカイルの無邪気な問いに、アムルはウィンクをしながらそう答えた。
………すごい。
ニールとシグルドは互いに顔を見合わせ、そう思った。
ちょっとやってみたい。
「ニール!?どうした!?」
「めがいたい?」
「ちがうぅ………」
気持ちはパチーンッとしたつもりだったが、はたから見たら目をギュッと瞑っただけだ。
急に固く目を閉じだしたのをセドリックが目敏く見付けたものだから、皆一様に心配しだしてしまう。
その優しさが、辛い。
シグルドがおろおろとしながらも背中(?)に隠してくれたけど、その優しさも恥ずかしさを増幅させるだけだ。
「うぅぅ………やさしさがつらい………」
「ホントにどうした!?気分悪いのか!?」
シグルドの後ろに隠れて蹲ってしまったニールに、皆はますます心配した。
いたたまれないだけなので、そっとしておいて欲しい………。
そう思うけれど、それを言葉に出すのも辛い。
複雑な男心だ。
「………もしかして………」
「ダメ!いわないで!」
ウィルには心当たりというか見覚えがあったのだ。
綺麗なウィンクをする幼いクィル神官を見て、同じように急にギュッと目を瞑りだした幼いシェルニーニャの姿を―――
しかしそれを言葉にする前に、ニールが悲痛な叫びをあげた。
その仕草にもめちゃくちゃ見覚えがある。
血がつながってないのに、親子だなぁと笑いが込み上げてしまう。
「分かった。言わない。大丈夫だ。」
懐かしい気持ちと切なさと。
そんな感情を抱えながらウィルはニールを抱き上げた。
思えばその時も、シェルニーニャを抱き寄せて同じ言葉を言ったなと思いながら。
ニールはそう言って、用意していた花冠をパーシヴァルのボディに乗せた。
本当は首飾りにしたかったのだが、試作したやつをハームンドに着けてみたらあっさりと落ちてしまったので冠にしたのだ。
でもよく似合っているし、パーシヴァルも喜んでいる。
作った甲斐があったというものだ。
「こうして考えると、パーシヴァル達に祝いの手土産でも持って来たらよかったか?」
「いいえ。ああやって、子供達や家族だけで祝うから良いんですよ。」
ちょっとだけの特別。
それだけで良いのだ。
そのちょっとだけの特別感に、子供達は誇りを持つのだから。
ご飯だっていつものだし、何かが大きく変わる訳ではない。
でも名前をいっぱい呼んでもらえるようになる。
それが、それこそが特別なのだ。
「あしたはブルースライムとホワイトスライムなんでしょ?」
「おなまえ、もう決めたの?」
「ああ。明日まで内緒だがな。」
クリスとカイルの無邪気な問いに、アムルはウィンクをしながらそう答えた。
………すごい。
ニールとシグルドは互いに顔を見合わせ、そう思った。
ちょっとやってみたい。
「ニール!?どうした!?」
「めがいたい?」
「ちがうぅ………」
気持ちはパチーンッとしたつもりだったが、はたから見たら目をギュッと瞑っただけだ。
急に固く目を閉じだしたのをセドリックが目敏く見付けたものだから、皆一様に心配しだしてしまう。
その優しさが、辛い。
シグルドがおろおろとしながらも背中(?)に隠してくれたけど、その優しさも恥ずかしさを増幅させるだけだ。
「うぅぅ………やさしさがつらい………」
「ホントにどうした!?気分悪いのか!?」
シグルドの後ろに隠れて蹲ってしまったニールに、皆はますます心配した。
いたたまれないだけなので、そっとしておいて欲しい………。
そう思うけれど、それを言葉に出すのも辛い。
複雑な男心だ。
「………もしかして………」
「ダメ!いわないで!」
ウィルには心当たりというか見覚えがあったのだ。
綺麗なウィンクをする幼いクィル神官を見て、同じように急にギュッと目を瞑りだした幼いシェルニーニャの姿を―――
しかしそれを言葉にする前に、ニールが悲痛な叫びをあげた。
その仕草にもめちゃくちゃ見覚えがある。
血がつながってないのに、親子だなぁと笑いが込み上げてしまう。
「分かった。言わない。大丈夫だ。」
懐かしい気持ちと切なさと。
そんな感情を抱えながらウィルはニールを抱き上げた。
思えばその時も、シェルニーニャを抱き寄せて同じ言葉を言ったなと思いながら。
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