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最終話

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「マジでホントムカつく!」
「でも最後は分かってくれたじゃん。」

告白して告白し返しされて。
突然その場に居たクラスメイトの殆どが反対し出したからビックリしたけど、男同士だからとかではなく誤解していたとはいえ純粋に俺を心配してくれてたんだという事実もまた嬉しかった。
散々言い合いして放課後まで持ち越してしまってるコウジには悪いけど、俺はちょっとふわふわとした気持ちになってしまう。
そういう感情ばかりじゃないと分かっていても、やっぱり肯定されると嬉しいから。

「俺、ちゃんとコウジの恋人だって胸張っていいんだなって分かったから嬉しいんだ。」

ただ縋るように手を繋ぐだけじゃなくて、コウジは俺のなんだって。
俺の戯言だって言われても、少なくとも今日教室に居たアイツらは皆証明してくれるから。
嬉しくて、仕方ない。

「そう言われると………俺も嬉しくなっちゃうじゃん。」

コウジがそう言って笑って、空いてる方の手で俺の唇を撫でてくれる。
嬉しい、好き。
恋人になれたんだって自覚した途端、コウジのことが好きって気持ちが怖いくらいに溢れだしてくる。
俺、コウジに捨てられたどうなるんだろう………?

「好きだよ、誠也。ホントに好き。ずっと俺の傍に居てね。」

ふと過ぎった不安を、コウジはまるで分かっていたみたいに拭いとってくれる。
言葉で、態度で、視線で。
中学の頃の三年間で染み付いた劣等感はなかなか消えないし、消えるかどうかも分からないけれど。
それでも俺はコウジの傍に居たい。
コウジの傍に居る権利を、コウジがくれる限り。

「俺も………」
「ん?」
「俺も、好き。コウジの傍に居たい………」

コウジの繋いでくれる手を、ギュッと握る。
俺達はまだ子供で、高校生で、中途半端で。
ずっと一緒に居たいけど、コウジが前に言ったみたいに人間関係なんて刻一刻と変わっていく。
それが良い方向に変わればいいけど、笠原とみたいに、悪い方向に変わるかもしれない。

「ねぇ、誠也。ちょっと急いで帰ろうか。」
「なんで?」
「キスしたい。ちょっと我慢できそうにないから、誠也の部屋に行ったらキスさせて。」

目の端を赤く染めながらコウジが言った言葉に、俺の方が赤くなってしまう。
見えないけど、分かる。
きっと茹で蛸みたいに真っ赤になってる自信しかない。
けど俺も、コウジとキスがしたい。
できれば昨日みたいなキスじゃなくて、コウジが恋人って思えるような………はしたないと思うけど、そもそもこんな風に誰かを好きになったこと自体初めてだから………

「俺も、したいから、早く帰ろう。」

俺の言葉に、コウジが笑う。
ずっとずっと、笑っていて欲しい。
出来れば俺の傍で、俺の言葉で。
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