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突撃!門工サバゲー部2!
2-1「プロローグ」
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『突撃!門工サバゲー部2!~ウクライナを救った6人のミリオタの物語~』
「プロローグ」
半分瓦礫と化したビルやマンションが立ち並び、人の行き来は全く見えない。ナビゲーションシステムの地図上は、ロシア軍占領地の境界の街「ドネツク」にいるようだ。ここから数キロ西に入ればウクライナの影響圏に入るのであるが、道路や橋が破壊されているので今しばらく北上せざるを得ない。
道路には、上部砲塔が吹っ飛び5メートル横にさかさまになり、真っ赤にさびたT―72が放置されている。かすかに白ペンキで書かれた「Z」の文字が読み取れるので、ロシア軍所属の戦車であったことが推測された。
「このT-72もNLAWかジャベリンでやられたんやろな。」
門真工科高校サバゲー部隊長の中島疾風(なかじまはやて)が車両側面ののぞき窓から外を見て呟いた。操縦席で操縦桿を握る川西紫電(かわにししでん)が、
「そこの廃墟に飲食店ぽい看板が見えたから、ちょっと寄るで。まだ、ロシア軍の支配エリアを抜けるのに迂回していくと2,3日かかるかもしれへんからな。この状況で営業してるとは思われへんけど、なんか残ってれば、ロシアルーブルを置いていったら泥棒扱いにはなれへんやろ。
一階にでかい穴開いてるそこの廃墟にとりあえず入れますわ。」
マリウポリで奪ってきた「コマンド・ポスト・キャリア」と呼ばれる指揮参謀車R-149MA1を廃墟に隠すと、門工サバゲー部の6人は降車し背筋を伸ばした。
「じゃあ、俺と紫電は車の番してるから、4人で見に行ってくれるか?隼が行かんとロシア語やポーランド語は読まれへんやろうし、彗星と零ちゃん行かんと何が食い物で使えるんかわからへんもんな。屠龍は、しっかりと3人をガードしたってくれ。
まあ、使わんに越したことないけどカラシニコフとトカレフだけは持って行っとけよ。」
と疾風は副長の川崎屠龍(かわさきとりゅう)に銃を手渡した。疾風の双子の弟の中島隼(なかじましゅん)が双眼鏡で食料品店であろうビルの一回の店舗周辺を覗き込む。
2年生女子部員の愛知彗星(あいちさとせ)と1年生女子部員の三菱零(みつびしれい)が「小麦粉やバターと卵があるといいね。」、「うん、あとハムかベーコンかサーロ(※豚の塩漬け)も欲しいかな。」と食材について話し合っている。
先行して隼が店に走った。周辺警戒を十分にしたのち、「大丈夫」の合図を送った。彗星、零が先に大きなリュックサックを持って走り、その後ろを屠龍が旧式のアサルトライフルAK47を構えて走った。
彗星と零が店内に着くと、先に入っていた隼が、
「これ、小麦粉。こっちがコーンスターチ。固形バターはこの缶。冷蔵庫は、電源落ちてるから、ミルクや卵は日付見てると3週間以上前のもんやからやめといたほうがええやろな。奥に行ったらノンガスのミネラルウォーターが2ケースくらい残ってたわ。あと、はちみつと真空パックになってるサーロとサラミソーセージとジャガイモと岩塩、砂糖、胡椒、カイエンペッパーくらいかな?」
と歩きながら説明をした。彗星は目を輝かせて零に言った。
「凄いやん、これだけあれば何でも作れるで!さすがに毎日レーションで胃が荒れかけてたからこれは嬉しいわ。なぁ、零ちゃん!」
「はい、彗星先輩のパンケーキ食べたいべ。この間は追っ手を巻くのに材料みんな使っちゃいましたもんで、もうパンケーキは無理かと諦めかかってたんだべ!」
零も喜んで笑いながらリュックサックに食材を詰め込んでいった。隼は戻ってくるかわからない店主に手紙を書き、1万ルーブル分の札束を冷蔵庫の中に置いた。
「じゃあ、行こか!水のケースは俺と隼で持つわ。彗星と零ちゃんは先に行ってくれてええで。」
屠龍が二人に声をかけると、彗星に続いて零が大きなリュックを背負って店を出た。通りを一本越え、疾風と紫電が待つ廃墟ビルにむかおうとしたところ、側道から突然大きなディーゼルエンジン音が響いた。(えっ?隊長達、いつの間に移動したんだべ?)と振り向くと、正面に「Z」と書かれた8輪のAPC(※箱型兵員輸送装甲車)が現れた。
後部ハッチが空くと同時に、4人のアサルト歩兵が飛び出してきて、最新型のAK-12小銃が視野に入り、零は足がすくんで止まってしまった。
「ストーイ!(※ロシア語で「止まれ!」の意)」
大声で兵士が叫ぶとアサルトライフルが零に向いた。
「零ちゃん、走れ!」
屠龍が叫ぶと空に向けAK―47を連射で放った。零は慌てて走り出すが、緊張で足がもつれて転んでしまった。ロシア兵は一瞬、屠龍に視線を送るが、転んだ零に銃口を向け直した。(あっ、もうダメだべ!撃たれてしまうべ…)
「バラララ」と銃声が響くと同時に、零は背中に重みを感じた。
「ぐあっ!」
零の上にかばって覆い重なった屠龍がうめき声をあげた。零が振り向くと、屠龍の右肩から鮮血が噴出している。
「ストーイ、ストーイ!」
再びロシア兵から怒気を含んだ声が掛かった。
「もうダメだけろ。彗星先輩、隼先輩だけでも逃げてけろ!」
零が屠龍の身体の下で叫ぶと、上空から甲高いプロペラ音が響いた。ロシア兵は口々に何か叫び、上空にむかって小銃を連射している。
「零ちゃん、屠龍立てるか?バイラクタルTB2や!ウクライナ軍のドローン攻撃機が来たんや。早く逃げろ!」
と隼の声が聞こえると同時に、ミサイルの発射音が響き、その3秒後に爆発音と爆風が零と屠龍を襲った。
「プロローグ」
半分瓦礫と化したビルやマンションが立ち並び、人の行き来は全く見えない。ナビゲーションシステムの地図上は、ロシア軍占領地の境界の街「ドネツク」にいるようだ。ここから数キロ西に入ればウクライナの影響圏に入るのであるが、道路や橋が破壊されているので今しばらく北上せざるを得ない。
道路には、上部砲塔が吹っ飛び5メートル横にさかさまになり、真っ赤にさびたT―72が放置されている。かすかに白ペンキで書かれた「Z」の文字が読み取れるので、ロシア軍所属の戦車であったことが推測された。
「このT-72もNLAWかジャベリンでやられたんやろな。」
門真工科高校サバゲー部隊長の中島疾風(なかじまはやて)が車両側面ののぞき窓から外を見て呟いた。操縦席で操縦桿を握る川西紫電(かわにししでん)が、
「そこの廃墟に飲食店ぽい看板が見えたから、ちょっと寄るで。まだ、ロシア軍の支配エリアを抜けるのに迂回していくと2,3日かかるかもしれへんからな。この状況で営業してるとは思われへんけど、なんか残ってれば、ロシアルーブルを置いていったら泥棒扱いにはなれへんやろ。
一階にでかい穴開いてるそこの廃墟にとりあえず入れますわ。」
マリウポリで奪ってきた「コマンド・ポスト・キャリア」と呼ばれる指揮参謀車R-149MA1を廃墟に隠すと、門工サバゲー部の6人は降車し背筋を伸ばした。
「じゃあ、俺と紫電は車の番してるから、4人で見に行ってくれるか?隼が行かんとロシア語やポーランド語は読まれへんやろうし、彗星と零ちゃん行かんと何が食い物で使えるんかわからへんもんな。屠龍は、しっかりと3人をガードしたってくれ。
まあ、使わんに越したことないけどカラシニコフとトカレフだけは持って行っとけよ。」
と疾風は副長の川崎屠龍(かわさきとりゅう)に銃を手渡した。疾風の双子の弟の中島隼(なかじましゅん)が双眼鏡で食料品店であろうビルの一回の店舗周辺を覗き込む。
2年生女子部員の愛知彗星(あいちさとせ)と1年生女子部員の三菱零(みつびしれい)が「小麦粉やバターと卵があるといいね。」、「うん、あとハムかベーコンかサーロ(※豚の塩漬け)も欲しいかな。」と食材について話し合っている。
先行して隼が店に走った。周辺警戒を十分にしたのち、「大丈夫」の合図を送った。彗星、零が先に大きなリュックサックを持って走り、その後ろを屠龍が旧式のアサルトライフルAK47を構えて走った。
彗星と零が店内に着くと、先に入っていた隼が、
「これ、小麦粉。こっちがコーンスターチ。固形バターはこの缶。冷蔵庫は、電源落ちてるから、ミルクや卵は日付見てると3週間以上前のもんやからやめといたほうがええやろな。奥に行ったらノンガスのミネラルウォーターが2ケースくらい残ってたわ。あと、はちみつと真空パックになってるサーロとサラミソーセージとジャガイモと岩塩、砂糖、胡椒、カイエンペッパーくらいかな?」
と歩きながら説明をした。彗星は目を輝かせて零に言った。
「凄いやん、これだけあれば何でも作れるで!さすがに毎日レーションで胃が荒れかけてたからこれは嬉しいわ。なぁ、零ちゃん!」
「はい、彗星先輩のパンケーキ食べたいべ。この間は追っ手を巻くのに材料みんな使っちゃいましたもんで、もうパンケーキは無理かと諦めかかってたんだべ!」
零も喜んで笑いながらリュックサックに食材を詰め込んでいった。隼は戻ってくるかわからない店主に手紙を書き、1万ルーブル分の札束を冷蔵庫の中に置いた。
「じゃあ、行こか!水のケースは俺と隼で持つわ。彗星と零ちゃんは先に行ってくれてええで。」
屠龍が二人に声をかけると、彗星に続いて零が大きなリュックを背負って店を出た。通りを一本越え、疾風と紫電が待つ廃墟ビルにむかおうとしたところ、側道から突然大きなディーゼルエンジン音が響いた。(えっ?隊長達、いつの間に移動したんだべ?)と振り向くと、正面に「Z」と書かれた8輪のAPC(※箱型兵員輸送装甲車)が現れた。
後部ハッチが空くと同時に、4人のアサルト歩兵が飛び出してきて、最新型のAK-12小銃が視野に入り、零は足がすくんで止まってしまった。
「ストーイ!(※ロシア語で「止まれ!」の意)」
大声で兵士が叫ぶとアサルトライフルが零に向いた。
「零ちゃん、走れ!」
屠龍が叫ぶと空に向けAK―47を連射で放った。零は慌てて走り出すが、緊張で足がもつれて転んでしまった。ロシア兵は一瞬、屠龍に視線を送るが、転んだ零に銃口を向け直した。(あっ、もうダメだべ!撃たれてしまうべ…)
「バラララ」と銃声が響くと同時に、零は背中に重みを感じた。
「ぐあっ!」
零の上にかばって覆い重なった屠龍がうめき声をあげた。零が振り向くと、屠龍の右肩から鮮血が噴出している。
「ストーイ、ストーイ!」
再びロシア兵から怒気を含んだ声が掛かった。
「もうダメだけろ。彗星先輩、隼先輩だけでも逃げてけろ!」
零が屠龍の身体の下で叫ぶと、上空から甲高いプロペラ音が響いた。ロシア兵は口々に何か叫び、上空にむかって小銃を連射している。
「零ちゃん、屠龍立てるか?バイラクタルTB2や!ウクライナ軍のドローン攻撃機が来たんや。早く逃げろ!」
と隼の声が聞こえると同時に、ミサイルの発射音が響き、その3秒後に爆発音と爆風が零と屠龍を襲った。
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