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漂流編
逃亡 04
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村には誰も居なかった。
ムカチャパ族を連れ去る時に火が放たれたのか村の家々はほぼ燃え落ちていた。たとえ彼等を取り戻せたとしてもここで暮らすのは難しいかもしれない……酷い事をしやがる。
「うううっ、みんな、やっぱりいない……無くなった家」
「心配するな、俺が全員助けてみせる」
既に部族の者を攫った石の街のやつらは捕捉している。森の中を大人数で移動するには時間がかかるから、十分追いつく事は可能だ。ここに来たのは休むためだ。
「うん、信じている主をマリチャパ」
「それじゃあ今日はゆっくり休むぞ、またコテージを出すから離れていろよ」
村の広場にコテージを出すと……もうマリチャパは驚きもせずに……中に入っていく。
マリチャパの大好きなバスタイムを終え、ディナーに熊肉のステーキを食べ、最後にデザートのアイスクリームを驚いて食べた頃、表向きは明るさをとり戻し喜んでくれた。
「気持ちいいマリチャパ幸せまたふかふか!」
以前と同じ服に身を包み、気持ちよさそうに布団を被っている……メッチャ良い笑顔だ。
「今日はゆっくり休むんだ、明日は日の出と共にここを出るぞ」
「わかった!!」
1分と待たずマリチャパは寝てしまった……余程疲れていたのだろうな。
寝る前にマップを確認してみるが俺達の進行速度が速すぎるのだろう。フレーナ達のデータリンクは未だに復帰していなかった。
あまりネガティブな事は考えまいとしていたが、もしもフレーナが俺の送ったメッセージ……と言うには猟奇的すぎたかもしれない……に気付かずに拠点に戻っていたら? いや、これはネジコが大丈夫と言っていたはずだ。
あるいは3馬鹿どもが目標を彼女たちに変更していたら……白兵戦は得意で無いメンバー達が、データリンクが無い状態で不意を打たれたらと思うと不安がこみ上げてくる。
「いや、大丈夫だきっと……3馬鹿と違って俺達の同期は優秀だ」
そう自分に言い聞かせながら俺は……横になったまま両肩を強く掴みながら……拠点から逃亡して初めての休息を取るのだった。
『ダーリン、そろそろ時間だニョ。起きて準備をすニョ』
「あぁ、昨日は色々考えすぎて眠れないかと思ったが……案外寝れたな」
『B・Mアプリがちゃんと仕事したんだニョ』
「ん~~っ」
「ん?」
声のした方向を見て初めて気付いた……マリチャパが腕に絡みついて寝ていた。ちょっと待て、なんで気付かなかった?
『ダーリンに夜這いするなんて本来は万死に値するニョ。だけどダーリンの精神的な疲れの回復を優先して、それに害も無さそうだから敢えてスルーしたニョ。NTRされてもダーリンのために尽くすネジコは一途なヒロインなんだニョ』
まぁ、マリチャパがネジコの言う夜這い的な理由で来たとは考えにくいな……とりあえず起こそう。気持ちよさそうに寝息を立てているマリチャパの肩をそっと揺する。
「んん~っ……はっ!? 主!? おはよう?」
「どうして俺のベッドで寝てるんだ?」
「…………わからない? 間違えたかも、もしかして」
どうやら半分寝ぼけていたようだ。マリチャパに顔を洗ってリビングに来るように伝え、俺は先に部屋を出た。早くムカチャパ族の元に追いつかないとな。
俺は再びマリチャパを負ぶりながら森を駆けている。昨日と違ってマリチャパは疲れていないだろうが、こうした方が移動速度が断然早い。
二丁拳銃をぶっ放しモンスターを倒しつつ森を駆け抜けた。
「早い! 凄い! 主」
「喋るな、舌噛むぞ」
「わかった……んっ!!」
注意されるとギュッと腕の力を入れて組み付いてくる……だからクンカクンカ匂い嗅ぐのやめれ!!
『ダーリンそろそろ追いつくニョ……音を立てないように注意だニョ』
ムカチャパ族を追って二日、ようやく追いついたようだ。ネジコの報告を聞いた後、速度を緩めた。
敵は戦闘職っぽいのが20人……剣と盾を装備した前衛15人、弓を装備した後衛5人……がムカチャパ族の男女、大人子供含む約30人を包囲するように歩いている。奴隷の首輪があるせいか、鎖で繋がれたりはしていないようだ。
先行して斥候っぽいのが5人。荷物持ちらしき5人が大きなバックパックを背負っている。そして他の物に比べて身なりが良さそうでふくよかな体型の男が2人……こいつらのどちらかが、あるいはどちらもボスか?
さて、どうする?
ボスっぽい奴がムカチャパ族を奴隷支配していると予測出来る。3馬鹿のファングが使った手錠のように絶対服従の効果があると彼等を人質に取られそうだ。それに奴隷解除させるためには殺すのもマズいだろう。
戦闘職もしっかりと周りを警戒しているようだし、ドローンの射撃で無効化出来る人数も限られる……考えもしなかった攻撃を受けて混乱してくれるかも? いや、かもしれないで動くのは危険か……さて、どうやって救出するべきか?
順当に行けば野営のタイミングだ……交代で見張りを立てるだろうから、やるならその時がベストだな。もうすぐ夜になる、それまでドローンに会話を拾わせて情報収集だ。
「しかし、あの上玉を青の蛮族にくれてやったのは勿体なかったんじゃ無いか? あれなら下手な中央から攫ってきた奴隷より需要あるだろう?」
「それはそうだが、また労働力が足りなくなった時の案内が必要だからな。さすがに魔の大森林を案内無しで蛮族探しに行くのは無理がある」
これはボスっぽい二人の会話だ……マリチャパの事を言っているのか? それにしてもボブの奴、今後も他の部族を売るつもりだったのか、これなら奪うのは角じゃない方が良かっぜ。
ちなみに探索ドローンは既にマリチャパ達が石の村と呼んでいた街に到達していて、住人の会話を解析済みだ。今だから分かるが森に住む部族の言葉はかなり方言がキツいようだった。
「なぁ、これ見つかったらやべーんじゃねぇか? 蛮族を奴隷にするとか中央法に抵触すんだろ?」
「なーに、奴隷をお求めはお偉いさん方らしいから、から年1回の監査時だけ隠せば問題ないぜ」
「どっちにせよ俺らはただ雇われただけで、事情は知らないって事で良いんだよ」
これは雇われている護衛というか用心棒? の会話だ。というか、ここは大森林と呼ばれているのか……今まで森とか適当に呼んでいたが、それにしてはかなりの広さだったからな。
他の奴らの話を聞いた感じで、今回の事はあまり表沙汰に出来ない出来事のようだ……それならばこちらの遠慮は要らないという事だな。
俺は思いついた作戦を実行するため、奴らの進行速度から野営する場所に当たりをつけて、先回り&準備を進める事にした。
「皆の事が心配だろうがマリチャパはここで待っていてくれ……俺一人の方が行動しやすいからだ」
「主の言う事聞く、わかった、マリチャパ素直だと村で噂」
彼女の頭をポンポンと撫でる。
予定の位置より離れた場所で、マリチャパにドローン1機を護衛につけ行動を開始する。
川が近くにあり森の少し開けたポイントで野営すると予測し、その近辺で身を隠す。しばらくすると先行した斥候が現れ辺りを確認すると、二人残して引き返していった……本体を連れてくる事だろう。
やがて、本体が野営地にやってくると、力のありそうな男を抜いたムカチャパ族を中央に集めて、引き抜かれた男達は野営準備を手伝わされていた。
身なりの良い男2人……今後はボスと呼ぼう……の為のみすぼらしいテントを張り、何人かは川に水を汲みに、何人かは火を起こす作業をさせられていた……もちろんしっかり見張りはついている。
やがて食事が終わるとボスはテントに引っ込み、後は雇われた男達が順番に見張りをするようで初回は8人が起きている。ムカチャパ族は中央に集められている……これは好都合だな。
俺が居る場所からは全く見えないが探索&索敵ドローンのお陰でバッチリ位置関係は把握出来る。
最初の見張りが2時間くらいで交代したので、交代した人間がしっかりと寝てくれるように1時間後に行動を起こす事にした。
突然広場を明るく照らしていた火が消えると辺りを暗闇が包み込んだ。以前に起こった火災の教訓を生かし、ドローンに消化機能を持たせる改良をしていたのだ……最もこんなに早く役立つとは思わなかったが。
突然襲い掛かった暗闇に見張りの男達は驚いたが、声を出す前に衝撃を受けて倒れ行く。俺が二丁拳銃をスタンモードにして4人を、索敵ドローンが上空から残りの4人を一気に無力化した。暗闇だろうがデータリンクで敵の位置は丸わかりだ。
横になっていた男達も何人か目を覚ましたようだ。俺はそのままムカチャパ族の側に近づくと、そこに彼等を囲う木製の柵が現れた……俺が事前にファクトリーで作成した物をDSから取り出したのだ……これでしばらくは人質に取られる事も無いだろう。
突然、広場が明るくなる……どうやら護衛の男達の中に魔法使い? がいたらしく、広場が明るくなった。
「な、誰だお前は!!」「襲撃だ!! 起きろ!!」「一人だと!? いや、近くに仲間が居るはずだ!!」
野営地が一気に騒がしくなる。俺は銃夫でこちらを敵視した相手から順に二丁拳銃を撃ち込んでいく。
「ぐあ!!」「なんだ、魔法かぎゃあ!!」「柵に隠れろ……って柵!? なんでこんな物がうがっ!!」「ひっ、隠れてもやられる!!」
ムカチャパ族を守るために出した柵に隠れた相手も上空からのドローンに狙撃される。後ろから剣で襲い掛かってくる男へ振り向くと、その剣を右手の銃……グリップエンドで受け止めると左の銃を腹に撃ち込む。
男が脱力して膝を着くのを見届ける前に、左側面から別の男が薙いでくる剣をバク転の要領で躱す。
その途中に両手を広げ左は剣を空振りした男に、右は離れた位置から弓で狙っていた男へケルベロスを撃ち込むと、二人とも力なく倒れていった。
今度は盾を構えた男が二人、その後ろに槍を持った男が二人、こちらに向かって来る……スタンモードだと盾を撃ち抜けない……だが問題ない。
俺は男達に向かって走り出すと接触する寸前に大きく飛び上がる。体操選手の如く体を捻りながら相手を飛び越え、上空から一気に4人に二丁拳銃を掃射、一気に4人とも無力化した。
前の4人に続こうとしていたその後ろの男達6人に向けて二丁拳銃を掃射しながら扇状に両手を広げていくと全員構えた武器を落として倒れて行った。
「なんだ、あの化け物は!!」「ありえねぇ、ぎゃあ!!」「やばい、逃げろ!!」
残った奴らも混乱の最中、上空のドローンに次々と無力化されていった。マップを確認すると既に動ける敵は居なくなっていた。
制圧完了を確認した俺は二丁拳銃を収納、そして刀を取り出すとテントにゆっくり近づいていく、その中で震えている男二人にそれを突きつける。
______________________________________
ガン=カタを文章で表現するの難しいですね、完全に力不足を感じます。あのスタイリッシュでスピーディーなバトルは映像で見るのが一番なのかもしれません。
ちなみにケルベロスは、元々ファクトリーで作りかけていた物をイクシアの豊富なこの惑星用にカスタマイズした銃で、イクシアをエネルギーとして無限に使えるチート銃です。
様々なモードに切り替えが可能で、相手を無力化するスタンモード以外にも、ダメージをコントロールして威力を変えたりも出来ます。
念の為イクシアが効かない敵用に刀は残しています……他にも、銃を武器だと認識できない相手に脅しの手段としても有効だからです。
面白かったらぜひ【お気に入りに追加】や【感想】をよろしくお願いします。
それを励みにより一層、頑張ります。
ムカチャパ族を連れ去る時に火が放たれたのか村の家々はほぼ燃え落ちていた。たとえ彼等を取り戻せたとしてもここで暮らすのは難しいかもしれない……酷い事をしやがる。
「うううっ、みんな、やっぱりいない……無くなった家」
「心配するな、俺が全員助けてみせる」
既に部族の者を攫った石の街のやつらは捕捉している。森の中を大人数で移動するには時間がかかるから、十分追いつく事は可能だ。ここに来たのは休むためだ。
「うん、信じている主をマリチャパ」
「それじゃあ今日はゆっくり休むぞ、またコテージを出すから離れていろよ」
村の広場にコテージを出すと……もうマリチャパは驚きもせずに……中に入っていく。
マリチャパの大好きなバスタイムを終え、ディナーに熊肉のステーキを食べ、最後にデザートのアイスクリームを驚いて食べた頃、表向きは明るさをとり戻し喜んでくれた。
「気持ちいいマリチャパ幸せまたふかふか!」
以前と同じ服に身を包み、気持ちよさそうに布団を被っている……メッチャ良い笑顔だ。
「今日はゆっくり休むんだ、明日は日の出と共にここを出るぞ」
「わかった!!」
1分と待たずマリチャパは寝てしまった……余程疲れていたのだろうな。
寝る前にマップを確認してみるが俺達の進行速度が速すぎるのだろう。フレーナ達のデータリンクは未だに復帰していなかった。
あまりネガティブな事は考えまいとしていたが、もしもフレーナが俺の送ったメッセージ……と言うには猟奇的すぎたかもしれない……に気付かずに拠点に戻っていたら? いや、これはネジコが大丈夫と言っていたはずだ。
あるいは3馬鹿どもが目標を彼女たちに変更していたら……白兵戦は得意で無いメンバー達が、データリンクが無い状態で不意を打たれたらと思うと不安がこみ上げてくる。
「いや、大丈夫だきっと……3馬鹿と違って俺達の同期は優秀だ」
そう自分に言い聞かせながら俺は……横になったまま両肩を強く掴みながら……拠点から逃亡して初めての休息を取るのだった。
『ダーリン、そろそろ時間だニョ。起きて準備をすニョ』
「あぁ、昨日は色々考えすぎて眠れないかと思ったが……案外寝れたな」
『B・Mアプリがちゃんと仕事したんだニョ』
「ん~~っ」
「ん?」
声のした方向を見て初めて気付いた……マリチャパが腕に絡みついて寝ていた。ちょっと待て、なんで気付かなかった?
『ダーリンに夜這いするなんて本来は万死に値するニョ。だけどダーリンの精神的な疲れの回復を優先して、それに害も無さそうだから敢えてスルーしたニョ。NTRされてもダーリンのために尽くすネジコは一途なヒロインなんだニョ』
まぁ、マリチャパがネジコの言う夜這い的な理由で来たとは考えにくいな……とりあえず起こそう。気持ちよさそうに寝息を立てているマリチャパの肩をそっと揺する。
「んん~っ……はっ!? 主!? おはよう?」
「どうして俺のベッドで寝てるんだ?」
「…………わからない? 間違えたかも、もしかして」
どうやら半分寝ぼけていたようだ。マリチャパに顔を洗ってリビングに来るように伝え、俺は先に部屋を出た。早くムカチャパ族の元に追いつかないとな。
俺は再びマリチャパを負ぶりながら森を駆けている。昨日と違ってマリチャパは疲れていないだろうが、こうした方が移動速度が断然早い。
二丁拳銃をぶっ放しモンスターを倒しつつ森を駆け抜けた。
「早い! 凄い! 主」
「喋るな、舌噛むぞ」
「わかった……んっ!!」
注意されるとギュッと腕の力を入れて組み付いてくる……だからクンカクンカ匂い嗅ぐのやめれ!!
『ダーリンそろそろ追いつくニョ……音を立てないように注意だニョ』
ムカチャパ族を追って二日、ようやく追いついたようだ。ネジコの報告を聞いた後、速度を緩めた。
敵は戦闘職っぽいのが20人……剣と盾を装備した前衛15人、弓を装備した後衛5人……がムカチャパ族の男女、大人子供含む約30人を包囲するように歩いている。奴隷の首輪があるせいか、鎖で繋がれたりはしていないようだ。
先行して斥候っぽいのが5人。荷物持ちらしき5人が大きなバックパックを背負っている。そして他の物に比べて身なりが良さそうでふくよかな体型の男が2人……こいつらのどちらかが、あるいはどちらもボスか?
さて、どうする?
ボスっぽい奴がムカチャパ族を奴隷支配していると予測出来る。3馬鹿のファングが使った手錠のように絶対服従の効果があると彼等を人質に取られそうだ。それに奴隷解除させるためには殺すのもマズいだろう。
戦闘職もしっかりと周りを警戒しているようだし、ドローンの射撃で無効化出来る人数も限られる……考えもしなかった攻撃を受けて混乱してくれるかも? いや、かもしれないで動くのは危険か……さて、どうやって救出するべきか?
順当に行けば野営のタイミングだ……交代で見張りを立てるだろうから、やるならその時がベストだな。もうすぐ夜になる、それまでドローンに会話を拾わせて情報収集だ。
「しかし、あの上玉を青の蛮族にくれてやったのは勿体なかったんじゃ無いか? あれなら下手な中央から攫ってきた奴隷より需要あるだろう?」
「それはそうだが、また労働力が足りなくなった時の案内が必要だからな。さすがに魔の大森林を案内無しで蛮族探しに行くのは無理がある」
これはボスっぽい二人の会話だ……マリチャパの事を言っているのか? それにしてもボブの奴、今後も他の部族を売るつもりだったのか、これなら奪うのは角じゃない方が良かっぜ。
ちなみに探索ドローンは既にマリチャパ達が石の村と呼んでいた街に到達していて、住人の会話を解析済みだ。今だから分かるが森に住む部族の言葉はかなり方言がキツいようだった。
「なぁ、これ見つかったらやべーんじゃねぇか? 蛮族を奴隷にするとか中央法に抵触すんだろ?」
「なーに、奴隷をお求めはお偉いさん方らしいから、から年1回の監査時だけ隠せば問題ないぜ」
「どっちにせよ俺らはただ雇われただけで、事情は知らないって事で良いんだよ」
これは雇われている護衛というか用心棒? の会話だ。というか、ここは大森林と呼ばれているのか……今まで森とか適当に呼んでいたが、それにしてはかなりの広さだったからな。
他の奴らの話を聞いた感じで、今回の事はあまり表沙汰に出来ない出来事のようだ……それならばこちらの遠慮は要らないという事だな。
俺は思いついた作戦を実行するため、奴らの進行速度から野営する場所に当たりをつけて、先回り&準備を進める事にした。
「皆の事が心配だろうがマリチャパはここで待っていてくれ……俺一人の方が行動しやすいからだ」
「主の言う事聞く、わかった、マリチャパ素直だと村で噂」
彼女の頭をポンポンと撫でる。
予定の位置より離れた場所で、マリチャパにドローン1機を護衛につけ行動を開始する。
川が近くにあり森の少し開けたポイントで野営すると予測し、その近辺で身を隠す。しばらくすると先行した斥候が現れ辺りを確認すると、二人残して引き返していった……本体を連れてくる事だろう。
やがて、本体が野営地にやってくると、力のありそうな男を抜いたムカチャパ族を中央に集めて、引き抜かれた男達は野営準備を手伝わされていた。
身なりの良い男2人……今後はボスと呼ぼう……の為のみすぼらしいテントを張り、何人かは川に水を汲みに、何人かは火を起こす作業をさせられていた……もちろんしっかり見張りはついている。
やがて食事が終わるとボスはテントに引っ込み、後は雇われた男達が順番に見張りをするようで初回は8人が起きている。ムカチャパ族は中央に集められている……これは好都合だな。
俺が居る場所からは全く見えないが探索&索敵ドローンのお陰でバッチリ位置関係は把握出来る。
最初の見張りが2時間くらいで交代したので、交代した人間がしっかりと寝てくれるように1時間後に行動を起こす事にした。
突然広場を明るく照らしていた火が消えると辺りを暗闇が包み込んだ。以前に起こった火災の教訓を生かし、ドローンに消化機能を持たせる改良をしていたのだ……最もこんなに早く役立つとは思わなかったが。
突然襲い掛かった暗闇に見張りの男達は驚いたが、声を出す前に衝撃を受けて倒れ行く。俺が二丁拳銃をスタンモードにして4人を、索敵ドローンが上空から残りの4人を一気に無力化した。暗闇だろうがデータリンクで敵の位置は丸わかりだ。
横になっていた男達も何人か目を覚ましたようだ。俺はそのままムカチャパ族の側に近づくと、そこに彼等を囲う木製の柵が現れた……俺が事前にファクトリーで作成した物をDSから取り出したのだ……これでしばらくは人質に取られる事も無いだろう。
突然、広場が明るくなる……どうやら護衛の男達の中に魔法使い? がいたらしく、広場が明るくなった。
「な、誰だお前は!!」「襲撃だ!! 起きろ!!」「一人だと!? いや、近くに仲間が居るはずだ!!」
野営地が一気に騒がしくなる。俺は銃夫でこちらを敵視した相手から順に二丁拳銃を撃ち込んでいく。
「ぐあ!!」「なんだ、魔法かぎゃあ!!」「柵に隠れろ……って柵!? なんでこんな物がうがっ!!」「ひっ、隠れてもやられる!!」
ムカチャパ族を守るために出した柵に隠れた相手も上空からのドローンに狙撃される。後ろから剣で襲い掛かってくる男へ振り向くと、その剣を右手の銃……グリップエンドで受け止めると左の銃を腹に撃ち込む。
男が脱力して膝を着くのを見届ける前に、左側面から別の男が薙いでくる剣をバク転の要領で躱す。
その途中に両手を広げ左は剣を空振りした男に、右は離れた位置から弓で狙っていた男へケルベロスを撃ち込むと、二人とも力なく倒れていった。
今度は盾を構えた男が二人、その後ろに槍を持った男が二人、こちらに向かって来る……スタンモードだと盾を撃ち抜けない……だが問題ない。
俺は男達に向かって走り出すと接触する寸前に大きく飛び上がる。体操選手の如く体を捻りながら相手を飛び越え、上空から一気に4人に二丁拳銃を掃射、一気に4人とも無力化した。
前の4人に続こうとしていたその後ろの男達6人に向けて二丁拳銃を掃射しながら扇状に両手を広げていくと全員構えた武器を落として倒れて行った。
「なんだ、あの化け物は!!」「ありえねぇ、ぎゃあ!!」「やばい、逃げろ!!」
残った奴らも混乱の最中、上空のドローンに次々と無力化されていった。マップを確認すると既に動ける敵は居なくなっていた。
制圧完了を確認した俺は二丁拳銃を収納、そして刀を取り出すとテントにゆっくり近づいていく、その中で震えている男二人にそれを突きつける。
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ガン=カタを文章で表現するの難しいですね、完全に力不足を感じます。あのスタイリッシュでスピーディーなバトルは映像で見るのが一番なのかもしれません。
ちなみにケルベロスは、元々ファクトリーで作りかけていた物をイクシアの豊富なこの惑星用にカスタマイズした銃で、イクシアをエネルギーとして無限に使えるチート銃です。
様々なモードに切り替えが可能で、相手を無力化するスタンモード以外にも、ダメージをコントロールして威力を変えたりも出来ます。
念の為イクシアが効かない敵用に刀は残しています……他にも、銃を武器だと認識できない相手に脅しの手段としても有効だからです。
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