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冒険者編
開始 02
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さて、中央の都市へ入った俺達だが、この場所はまだ正式な都市部ではない。
この場所は中央外部と呼ばれる場所で、都市の外縁部に当たる場所だ。ここは大地を開拓する王の資格者に割り当てられるエリアとなっていて、自分の国の玄関口として自由に開発して良い場所だ……だが、今は王の資格者がいないため、アンドの街よりやや古い印象の街並みとなっている。
そして、内壁で仕切られている更に奥に……というか中心部が本来の中央となっている。
そこは国もしくは大地ごとに内壁での仕切りなどはなく、自由に移動出来るドーナッツ状のエリアとなっているようだ。
とりあえず中央外部には用事は無い……早々に都市部に向かうことにした。
都市部への入り口は外壁と同じような大きな門となっており、門から10メートルほど手前両サイドにモニュメントが建っていた。
「ここで止まれ……人数は何人だ?」
モニュメント手前で止められ人数を告げると進むように促される。
『両脇のアレで証明書をスキャンしているニョ』
全員モニュメントを通り過ぎると目の前の大きな自動扉が開いた。これで本当に中央に入ると言う事か。
中央の都市部の様子は今までのものとかなり違った。何というかちぐはぐな街並みだ。
ファンタジー的な……地球で言えば中世時代的な建造物と産業革命時代にあったような建造物も見えている……とはいえ活気が溢れているのは目に見えて分かった。
広い道路を走るのは馬車以外にレトロな車も走っている。呼び名はそのまま車らしい……最初は馬無し車と呼んでた人もいたらしいが、言いにくいので単純に馬車から馬を外して車になったようだ。街中だという事もあってかスピードはそれほど速くない。
「妾もそなたの出した乗り物を見ておらなんだら素直に驚いたんじゃがのう」
ムカチャパ族の面々もリリアの意見に賛成のようだ。さて、ここで街並みを見渡す田舎者的行動をいつまでもしている訳にはいかない。やるべき事をやらないとな。
「急いでワレワールの状況を確認しに行くのじゃ」
「待て」
「ぐえっ」
走り出すリリアの外套を掴むと、首が絞まったのか変な声で止まった。
「な、何するんじゃ!!」
「落ち着け、リリアは反対側の大地にまで捜索手配されていたんだぞ。
馬鹿正直にその国のお姫様が『私の国はどうなりましたか~?』とか聞きに行ったらどうなるんだ?」
「うむぅ、確かにそれはまずいのう」
「ちゃんと足場を固めて順番に確実に行くぞ」
「分かったのじゃ、そなたに任せる」
焦るリリアをなだめて俺は冒険者ギルドへ向かう事にした……場所は行動の速さに定評があるネジコが教えてくれた。
冒険者ギルドはかなり広い建物だった……30人以上では入れるか心配していたが、入る事だけは出来た。
「とりあえず代表者の方だけ来て頂けますか」
さすがに全員でカウンターに向かう事が不可能なので俺とリリアで向かう事にした。他のメンバーは空いているテーブル席で待ってもらう事にする。
ちなみに他のカウンターには若い受付嬢がいたが俺達は中年のオジさんいる場所に案内された。
「ずいぶん大人数出来たな、冒険者ギルドに何の用だ?」
とりあえず「何の用?」と言うのはお約束なのか用件を聞いてくる。
「冒険者登録に来た……あぁ、実際に登録するのは15人ほどだ。
さすがに武具を装備していない女子供は別だ……この街に着いたばかりだから一緒に着いてきてもらっているんだ」
「なるほど、そのくらいの人数なら大丈夫だろう、お前がリーダーで良いか?」
事前にリリアとはリーダーをやる方向で話してある。さすがにリリアが目立つのは避けた方が良いだろう……彼女も俺を見て頷いた。
「あぁ、それで頼む。俺はエイジだ彼女はリリア……どうやって登録するんだ?」
「あぁ、それじゃあ登録する奴だけこのカウンターの前に呼んできてくれ」
俺はオジさんの受付の言うとおりに皆を呼んでくる。そのまま順番に新しいギルド証を発行してもらう。
ギルド証は臨時の証明書と違い少し立派な作りで、自分の名前や発行日、そして何より目立つのは1個☆が下段部に表示されていた……ソシャゲとかトレカのレア度みたいだな。
名前は本名である必要は無いのでリリアもそのまま愛称で登録した。
その後、簡単な規約 等を説明され希望者は初回だけ挑戦可能な昇級試験をするか確認される……もちろん受ける事にする。
「おいおい、まさかこんな大人数で受ける気か……仕方ない。おい、いま練習場は大丈夫か?」
おっさんギルド員がカウンター奥の若い奴を呼んで確認している。その後、眼鏡をかけた男性ギルド員の案内で建物地下の練習場へ連れていかれた。
「それでは装備は……全員お持ちのようですね。あ、魔法の人は反対側の練習場ですが、手順を説明しますね」
説明によると、武器の場合は練習用の案山子、魔法の場合も離れた位置にある鉄の案山子にそれぞれ攻撃をして威力を見るようだ。それぞれ案山子の前に設置されている石碑にギルド証をかざしてから攻撃するとその威力を測れる超遺物 らしい……少し離れた練習場で何人かの冒険者が案山子相手に練習しているのが見えた。
その試験で特定値以上の威力を示せた者だけ次の対人試験を受けうる事が出来るようだ。
「壊しても怒られたりしないのか?」
「はははは……それは凄いですね、壊せるなら壊して結構ですよ」
壊れないくらい丈夫なら心配はいらないか。俺はさっそく石碑にギルド証をかざすとその全体が薄く青い光で包まれる。
俺は予め腰に差していた刀を鞘から抜くと上斜めから袈裟切りにした。刀を振り抜くと案山子は特に傷ついた様子は無い……俺は刀を鞘に収める。
「終わりですか? ちゃんと攻撃しました? 3回まで失敗ならやり直しても良いですよ? え? 終わりで良い? まぁ、いいでしょう、それでは数値は……ERROR?」
すると、案山子の体が斜めにずれると、その半身が地面にドスンと音を立てて落ちていった。
「んなあああっっっ!?」
きっとコミックならギルド員の眼鏡が割れたのでは無いかと思うくらい目を大きく見開いて驚いている。
「ばかな、これは超遺物 ですよ……同じ超遺物 で出来た武器でも傷つかない硬度があるのに……」
その刹那、ゴオオオオンっと轟音が後ろから聞こえてきた。
「ああっ、吹っ飛んでしまったのじゃ!! これ怒られないかの?」
後ろでリリアが風の魔法……空気の塊をぶつける……で案山子を吹き飛ばしてしまったようだ。
「うそおおおおおおおん!!」
更に隣からも何かが突き刺さるような音が聞こえ、そちらを見るとマリチャパが槍を案山子に突き刺し抜けなくなってしまったようで、片足で案山子を踏みつけながら槍を一生懸命引っ張り抜こうとしている。
「こまった、抜けない……これはマリチャパの大事な槍なのに……くぬううっ」
「よし、おらもやってやる!!」「あちしも~」
「あ、ちょ、もうやめ……」
ギルド員が止める間もなく次々と案山子を攻撃していく仲間達。ちょっと、象亀と戦操兵 の複合素材を俺達の世界の製造技術で作成した武器は強力すぎたのかもしれないな。
今日、失われた中央から見つかった超遺物 が10体以上破壊されるというギルド史上最悪の損害を被った日となったのだった。
そして、その後、冒険者を引退した☆5ギルド員による対人試験も5人戦闘不能にしてしまった所で一旦ストップがかかり、俺達が仲間内で模擬戦をし、それを評価するという前代未聞の昇格試験となったのだ……おっと、武器はお願いされてギルドの用意した模擬専用の物を使ったから死者は出ていないぜ。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
「15人とも昇級試験合格で☆3スタートはこのギルド初だ」
超遺物 破損とギルド員の大けがも初だがな……と、ボソッと呟きながら最初のオジさんギルド員……マークスさんというらしい……が全員合格を伝えてきた。
「ふぅ、とりあえず予定通りだな」
「恐っそろしい集団だぜ……どうしてこんな集団が未開拓の田舎に引っ込んでいたんだか……まぁいい、お前らはクランを作る予定なのか?」
「その予定だけど……もう作れるのか?」
「さすがにいきなりは無理だ、リーダーが☆4である程度の実績が必要だ」
「そうか、色々やりたい事はあるけれど明日からだな。何分、この中央に到着したばかりだ……まだ今日の寝る場所も決めていない」
「うーん、お前らだけじゃ無くて一緒にいる全員だと30以上だよな……その人数がいきなり泊まれる宿もないし、料金も結構掛かるぞ」
「そこでだけど、安く借りられる土地とか無い? 建物はいらない」
「なんだ? テントで寝るつもりか?」
「ああ、そんな所だ」
「この中央だと難しいな……人が多すぎて土地は余っていないからな。むしろ外部の方が良いんじゃ無いか?」
なるほど、このギルドと外部まではそこまで遠くないからアリか。ちょっと出入りが面倒だけどな。寝る場所については何とかなりそうだから良しとしよう。
「ちなみに俺達は失われた中央に行きたい……色々聞かせてもらって良いか?」
「失われた中央か……何となくそうなんじゃ無いかと思ったぜ」
「俺達みたいに中央で一旗揚げようって集団はいないのか?」
「ああ、たまにいるけどお前達みたいに実力が伴った奴は滅多にいないぜ……まぁ、いい、何が聞きたいんだ?」
「そうだな、噂に聞いたんだが……エルフの国が攻められたって本当か?」
「!?」
隣でリリアがビクッとしながら俺を見る……大丈夫だ、俺がお前の聞きたい事を聞いてやるよ。
「たしかにワレワールが隣国のファーガスに攻められたらしいが……まだ滅びてはいないらしい」
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面白かったらぜひ【お気に入りに追加】や【感想】をよろしくお願いします。
それを励みにより一層、頑張ります。
この場所は中央外部と呼ばれる場所で、都市の外縁部に当たる場所だ。ここは大地を開拓する王の資格者に割り当てられるエリアとなっていて、自分の国の玄関口として自由に開発して良い場所だ……だが、今は王の資格者がいないため、アンドの街よりやや古い印象の街並みとなっている。
そして、内壁で仕切られている更に奥に……というか中心部が本来の中央となっている。
そこは国もしくは大地ごとに内壁での仕切りなどはなく、自由に移動出来るドーナッツ状のエリアとなっているようだ。
とりあえず中央外部には用事は無い……早々に都市部に向かうことにした。
都市部への入り口は外壁と同じような大きな門となっており、門から10メートルほど手前両サイドにモニュメントが建っていた。
「ここで止まれ……人数は何人だ?」
モニュメント手前で止められ人数を告げると進むように促される。
『両脇のアレで証明書をスキャンしているニョ』
全員モニュメントを通り過ぎると目の前の大きな自動扉が開いた。これで本当に中央に入ると言う事か。
中央の都市部の様子は今までのものとかなり違った。何というかちぐはぐな街並みだ。
ファンタジー的な……地球で言えば中世時代的な建造物と産業革命時代にあったような建造物も見えている……とはいえ活気が溢れているのは目に見えて分かった。
広い道路を走るのは馬車以外にレトロな車も走っている。呼び名はそのまま車らしい……最初は馬無し車と呼んでた人もいたらしいが、言いにくいので単純に馬車から馬を外して車になったようだ。街中だという事もあってかスピードはそれほど速くない。
「妾もそなたの出した乗り物を見ておらなんだら素直に驚いたんじゃがのう」
ムカチャパ族の面々もリリアの意見に賛成のようだ。さて、ここで街並みを見渡す田舎者的行動をいつまでもしている訳にはいかない。やるべき事をやらないとな。
「急いでワレワールの状況を確認しに行くのじゃ」
「待て」
「ぐえっ」
走り出すリリアの外套を掴むと、首が絞まったのか変な声で止まった。
「な、何するんじゃ!!」
「落ち着け、リリアは反対側の大地にまで捜索手配されていたんだぞ。
馬鹿正直にその国のお姫様が『私の国はどうなりましたか~?』とか聞きに行ったらどうなるんだ?」
「うむぅ、確かにそれはまずいのう」
「ちゃんと足場を固めて順番に確実に行くぞ」
「分かったのじゃ、そなたに任せる」
焦るリリアをなだめて俺は冒険者ギルドへ向かう事にした……場所は行動の速さに定評があるネジコが教えてくれた。
冒険者ギルドはかなり広い建物だった……30人以上では入れるか心配していたが、入る事だけは出来た。
「とりあえず代表者の方だけ来て頂けますか」
さすがに全員でカウンターに向かう事が不可能なので俺とリリアで向かう事にした。他のメンバーは空いているテーブル席で待ってもらう事にする。
ちなみに他のカウンターには若い受付嬢がいたが俺達は中年のオジさんいる場所に案内された。
「ずいぶん大人数出来たな、冒険者ギルドに何の用だ?」
とりあえず「何の用?」と言うのはお約束なのか用件を聞いてくる。
「冒険者登録に来た……あぁ、実際に登録するのは15人ほどだ。
さすがに武具を装備していない女子供は別だ……この街に着いたばかりだから一緒に着いてきてもらっているんだ」
「なるほど、そのくらいの人数なら大丈夫だろう、お前がリーダーで良いか?」
事前にリリアとはリーダーをやる方向で話してある。さすがにリリアが目立つのは避けた方が良いだろう……彼女も俺を見て頷いた。
「あぁ、それで頼む。俺はエイジだ彼女はリリア……どうやって登録するんだ?」
「あぁ、それじゃあ登録する奴だけこのカウンターの前に呼んできてくれ」
俺はオジさんの受付の言うとおりに皆を呼んでくる。そのまま順番に新しいギルド証を発行してもらう。
ギルド証は臨時の証明書と違い少し立派な作りで、自分の名前や発行日、そして何より目立つのは1個☆が下段部に表示されていた……ソシャゲとかトレカのレア度みたいだな。
名前は本名である必要は無いのでリリアもそのまま愛称で登録した。
その後、簡単な規約 等を説明され希望者は初回だけ挑戦可能な昇級試験をするか確認される……もちろん受ける事にする。
「おいおい、まさかこんな大人数で受ける気か……仕方ない。おい、いま練習場は大丈夫か?」
おっさんギルド員がカウンター奥の若い奴を呼んで確認している。その後、眼鏡をかけた男性ギルド員の案内で建物地下の練習場へ連れていかれた。
「それでは装備は……全員お持ちのようですね。あ、魔法の人は反対側の練習場ですが、手順を説明しますね」
説明によると、武器の場合は練習用の案山子、魔法の場合も離れた位置にある鉄の案山子にそれぞれ攻撃をして威力を見るようだ。それぞれ案山子の前に設置されている石碑にギルド証をかざしてから攻撃するとその威力を測れる超遺物 らしい……少し離れた練習場で何人かの冒険者が案山子相手に練習しているのが見えた。
その試験で特定値以上の威力を示せた者だけ次の対人試験を受けうる事が出来るようだ。
「壊しても怒られたりしないのか?」
「はははは……それは凄いですね、壊せるなら壊して結構ですよ」
壊れないくらい丈夫なら心配はいらないか。俺はさっそく石碑にギルド証をかざすとその全体が薄く青い光で包まれる。
俺は予め腰に差していた刀を鞘から抜くと上斜めから袈裟切りにした。刀を振り抜くと案山子は特に傷ついた様子は無い……俺は刀を鞘に収める。
「終わりですか? ちゃんと攻撃しました? 3回まで失敗ならやり直しても良いですよ? え? 終わりで良い? まぁ、いいでしょう、それでは数値は……ERROR?」
すると、案山子の体が斜めにずれると、その半身が地面にドスンと音を立てて落ちていった。
「んなあああっっっ!?」
きっとコミックならギルド員の眼鏡が割れたのでは無いかと思うくらい目を大きく見開いて驚いている。
「ばかな、これは超遺物 ですよ……同じ超遺物 で出来た武器でも傷つかない硬度があるのに……」
その刹那、ゴオオオオンっと轟音が後ろから聞こえてきた。
「ああっ、吹っ飛んでしまったのじゃ!! これ怒られないかの?」
後ろでリリアが風の魔法……空気の塊をぶつける……で案山子を吹き飛ばしてしまったようだ。
「うそおおおおおおおん!!」
更に隣からも何かが突き刺さるような音が聞こえ、そちらを見るとマリチャパが槍を案山子に突き刺し抜けなくなってしまったようで、片足で案山子を踏みつけながら槍を一生懸命引っ張り抜こうとしている。
「こまった、抜けない……これはマリチャパの大事な槍なのに……くぬううっ」
「よし、おらもやってやる!!」「あちしも~」
「あ、ちょ、もうやめ……」
ギルド員が止める間もなく次々と案山子を攻撃していく仲間達。ちょっと、象亀と戦操兵 の複合素材を俺達の世界の製造技術で作成した武器は強力すぎたのかもしれないな。
今日、失われた中央から見つかった超遺物 が10体以上破壊されるというギルド史上最悪の損害を被った日となったのだった。
そして、その後、冒険者を引退した☆5ギルド員による対人試験も5人戦闘不能にしてしまった所で一旦ストップがかかり、俺達が仲間内で模擬戦をし、それを評価するという前代未聞の昇格試験となったのだ……おっと、武器はお願いされてギルドの用意した模擬専用の物を使ったから死者は出ていないぜ。
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「15人とも昇級試験合格で☆3スタートはこのギルド初だ」
超遺物 破損とギルド員の大けがも初だがな……と、ボソッと呟きながら最初のオジさんギルド員……マークスさんというらしい……が全員合格を伝えてきた。
「ふぅ、とりあえず予定通りだな」
「恐っそろしい集団だぜ……どうしてこんな集団が未開拓の田舎に引っ込んでいたんだか……まぁいい、お前らはクランを作る予定なのか?」
「その予定だけど……もう作れるのか?」
「さすがにいきなりは無理だ、リーダーが☆4である程度の実績が必要だ」
「そうか、色々やりたい事はあるけれど明日からだな。何分、この中央に到着したばかりだ……まだ今日の寝る場所も決めていない」
「うーん、お前らだけじゃ無くて一緒にいる全員だと30以上だよな……その人数がいきなり泊まれる宿もないし、料金も結構掛かるぞ」
「そこでだけど、安く借りられる土地とか無い? 建物はいらない」
「なんだ? テントで寝るつもりか?」
「ああ、そんな所だ」
「この中央だと難しいな……人が多すぎて土地は余っていないからな。むしろ外部の方が良いんじゃ無いか?」
なるほど、このギルドと外部まではそこまで遠くないからアリか。ちょっと出入りが面倒だけどな。寝る場所については何とかなりそうだから良しとしよう。
「ちなみに俺達は失われた中央に行きたい……色々聞かせてもらって良いか?」
「失われた中央か……何となくそうなんじゃ無いかと思ったぜ」
「俺達みたいに中央で一旗揚げようって集団はいないのか?」
「ああ、たまにいるけどお前達みたいに実力が伴った奴は滅多にいないぜ……まぁ、いい、何が聞きたいんだ?」
「そうだな、噂に聞いたんだが……エルフの国が攻められたって本当か?」
「!?」
隣でリリアがビクッとしながら俺を見る……大丈夫だ、俺がお前の聞きたい事を聞いてやるよ。
「たしかにワレワールが隣国のファーガスに攻められたらしいが……まだ滅びてはいないらしい」
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