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第四章 大好きなあなた

13本目

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 家に帰ってからわたしはすぐに行動を開始した。

 まずは資金を稼がなきゃ! 悲しい事にお金で愛は買えないけれど、愛を手に入れるための準備にお金はいるんだよ!

 まずはリサーチ。幸いにもうちの商店おみせは何でも屋だ。コンビニ以上の規模はあるけれどデパートには遠く及ばない感じだね。

 1階が生活雑貨や食品で主に一般市民が利用している。2階は裕福な同業者や、たまに貴族の方達が来たりもする高級品売り場。
 それぞれの入り口が別れているから、それらのお客さんが顔を合わせる事はあまりない。

 そして手早く資金を調達するのならやはり2階のフロアに品物を出す事だ。

 本来なら商家の旦那様に現物を見せて交渉して商品を置かして貰う為に色々苦労する必要があるのだけど、わたしはそのお店の娘という立場を最大限に利用して、良い商品を用意出来たら売り場に置かせて貰う約束をお父さんに取り付けた。

「さて、大事なのは何を売り場に置くかだよ」

 以前、桜の木が植えてあった裏庭で【光合成】しながら考え事をしていた。最近は体を動かさない時は時間が勿体ないからいっつもソレをしている。

 王都から帰ってからわたしは営業時間に売り場に出ている。

 リサーチ目的だったんだけど、みんなの邪魔にならないよう……むしろ商品説明、商品の品出し、フロアのお掃除、お会計を何でもこなしている。
 従業員のみんなも初めはお嬢様の気まぐれかと思っていたみたいだけど、これだけの仕事をサラッとこなす5歳に文句を言う人はいなかった。

「なぁ、アーリャのギフトジョブ、本当は商人だったんじゃないのかな?」

「アーリャいつの間にこれほど勉強していたなんて」

「やばい、俺も負けてらんない」

「今夜はファナパね!」

 なんてお父さんにも驚かれてしまったし、お兄ちゃん達には良い刺激になったようだ。約一名だけズレた感想が出てきたけど……ちなみにファナパとは日本で言うおめでたい時に食べる赤飯ポジションのパンなんだ。甘くて美味しいんだよ。

 それはともかく、いままで特に勉強もしていなかったわたしがいきなり従業員並みに仕事が出来るようになった事についてあまり追求されなかった。
 良くも悪くもうちの家は緩い気がする……こんなんで商人をやっていけるの? 悪い人に騙されないか心配だよ。

 あ、話が逸れちゃった……それでリサーチの結果、今、お金持ちの人達に人気なのは食器だ。
 なんでも裕福層に空前の美食ブームがきているらしいんだけど、その中でも最近は食器の美しさも重点が置かれているみたいで、珍しく美しい食器を使ってお客さんをもてなすのが通なんだって。

 この世界の食器は前世で見たような綺麗な食器はない……一応あるんだけど一部の裕福層の中でも上の方にいる人が使っているだけみたい。

 わたしはそれを木で作ってみようと思うの……実はあれからかなえり頑張って木の能力を上げたから出来る事が沢山増えたんだよ。

 その成果をこれからやるべき事のために今……

「アーリャー! あそぼーぜー」

「僕、今日は本を読みたかったのに」

 あちゃー、もうそんな時間か。練習に使う木剣を肩に担いでいる、茶髪の鼻を垂らしているいかにも悪ガキ風の男の子『ドラン』と、眼鏡をかけている紫がかった黒髪の大人しそうな『ケニー』がやって来た。

 ドランは向かいの飲食店の……ケニーはうちの二つお隣の本屋の子供。近所で同い年、親も仲が良いせいでいつの間にやら毎日のように遊びに来るようになってしまった。
 今までは気にしなかったけど、目標が出来たわたしにとっては言い方は悪いけどお邪魔虫……お子様の相手をしている暇なんて無いのに~



 もう、わたしの邪魔をしないでよ! なんとか気を逸らしてやるんだから!
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