劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
82 / 127
第十七章 恋愛戦争……開戦!!

82本目

しおりを挟む
 学院生活二日目……昨日は忙しくてギリギリになってしまった。既に教室で生徒達が授業前の交流を楽しんでいる。わたしを見つけて昨日お友達になったばかりの二人が近づいてきた。

「アーリャさんご機嫌よう」

「ご機嫌よう、ヘレナさん、ベスさん」

「アーリャさん、お噂を聞きましたよ。マクシス様をお助けしたのがアーリャさんだったのですね」

「えっ!? どうしてその話を!?」

「クラスで噂になっていますわ……今そのお話しで持ちきりです」

「そんな、恥ずかしいです」

 わたしはぶりっこのように両手で頬を押さえた。前世のわたしがやったらジト目で見られてしまいそうなその仕草も今なら様になっている……と思う。
 そしてわたしはその口が誰にも見えないようつり上がっているのを自覚した。何を隠そうウサワを流したのはわたしだもん。あ、もちろん直接では無くて学院に潜り込んだ協力者にお願いをしてだよ。

 キャレルさんと対立してしまった今、忍ぶ恋だの言っていたらまーくんを奪われてしまうだろう。今後はまーくんを奪い合う所を大多数の人間に見られてしまう可能性がある。
 それならばいっそ隠すより噂の二人になった方が効果的だろう。あわよくば周りに応援して貰えるような流れを作ってくくらいでちょうど良いよね。

「アーリャさん、是非ともその時のお話しお聞かせ頂けないかしら?」

「私も聞きたいわ、お願いアーリャさん」

「分かりました……ちょっと恥ずかしいですけど。あの日は四カ国連合の……」

 二人にお願いされるままにまーくんを救出するまでの話をロマンティックな脚色を交えて語り始める。近くの席の貴族令嬢達も聞き耳を立てているようで、時々息をのむような音も聞こえてきた。

「まぁ、素敵ですわ……それで、アーリャさんはマクシス様をどう思われたんですか?」

「えっと、その、優しい笑顔が素敵な方だと」

「「「「「きゃ~~~っ!!」」」」」

 近くの令嬢達も既に聞き一緒になって黄色い声を上げ始める。

「わたしはマクシス様の記憶を戻すために王国に協力を申し出ました。その為にも強くあろうと思います……わたしが突然勇ましくなっても驚かないで下さいね」

「それってアーリャさんまさか……わかりました、言わなくても分かりますわ」

「私も応援します!」

 どうやら積極的に噂話をしている人達は好意的に受け止めてくれているようだ。当然、全員がそうとは思っていないよ。

「はん、くだらないですわ!!」

「セーラー様!?」

 そこに不機嫌そうな貴族令嬢……セーラー・マースさんがやって来る。わたしを囲んできた人垣がササッと割れた。

「成り上がり男爵の娘が事もあろうにマクシス様と……なんて、ちゃんちゃら可笑しいわね。そんな下世話な噂で盛り上がる下級貴族の令嬢達もその程度と言う事ね。嫌だわ、そんなレベルの低い人達と同じ学び舎で学ばないといけないなんて」

「……」

 先程まで騒がしかった教室は一気にお葬式ムードまで落ち込んでしまった。

「何とか言ったらどうなんですアーリャさん?」

「そんなにお嫌ならこの学園をお辞めになられたらいかがですか?」

「んなっ!?」

 わたしの嫌味な二重敬語の返事にセーラーさんは思いきり面食らったようだ。

「あなた!! 成り上がりで男爵の分際で私に向かって何という口の利き方ですか!!」

 さすがにプライドを傷つけられて声を荒げてくるセーラーさん。やら、唾が飛んできそう。わたしは鞄から扇を出すとばっと広げる。美しい光沢を放つ孔雀の扇がみんなの目を引く。

「いけませんわ、貴族の令嬢ともあろう方がそんな大声を上げるなんて……品位に欠けていますよ」

 わたしは扇で口を隠すように挑発をする。どうやらこうかはばつぐんのようだ。

「あなっ、んぐっ……くききっ!!」

 怒りが強すぎて言葉が出てこないようなので、そのまま言葉を続けることにする。

「昨日、シャリーナ侯爵家のドロシー様が仰っていたとおり、この学院では身分は関係ありません。それを振りかざす行為が学院ここの方針に反しているのにそれを頑なに守らないセーラーさんにはこの学院にいること自体がお辛いんじゃ無いでしょうか? 無理は身体に良くありませんからご実家で療養されてはいかがですか?」

「くすくす……」「んぐ……ですって」「いやですわ」

 わたし達のやりとりが失笑を買っている。その事実にセーラーさんの真っ赤になっいた顔が元の状態に戻っていく。

「あなた……覚悟は出来ているのでしょうね? たかだか男爵如きを潰すなど容易いことですわよ」

「失礼ですが、セーラーさんこそ貴族当主を脅して何をされるつもりですか?」

「私がお父様に言いつければどうとでも出来るのよ」

 脅かしても優雅に扇をパタパタさせて動じないわたしを何とかしてやり込めたいようだ。既に正攻法でくるのを止めているね。

「まぁこわい。ですが、あまりにも学院の生徒として相応しくない娘さんの言う事を聞いてくれるんでしょうか? セーラーさんはこう言っては難ですが、あまりお勉強は頑張られていない様子ですよね?」

「ぐっ、それは……なんで昨日来たばかりのあなたが!? そんな心配は無用です……貴族派の教師に言えばどうとでも……」

「どうとでもならない……セーラー嬢、君はやり過ぎだ。今の会話はしっかりと報告させてもらうぞ」

「なっ!?」

「「「先生!?」」」

「そろそろ時間だぞ、全員席に着くように」

「せ、先生、今のは違うんです……ここにいるアーリャさんが……」

「言い分があれば放課後に聞こう、早く席に着きたまえ」

 突然の教師の登場に生徒達が驚く。わたしはもちろん気付いていたよ? 必死に涙目で先生に懇願するセーラーさんを無視して先生はホームルーム的な朝の挨拶を始める。



 ……さて、順調? な滑り出しで一日が始まったよ。今日はまーくんと一緒の授業が楽しみだな~
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...