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第十七章 恋愛戦争……開戦!!
84本目
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学習院の全ての授業が終わった放課後、私は荒い足取りで廊下を歩いている。
いきなり王子様との逢瀬が失敗してしまった私は大いに混乱していた。予定では急いで走って来たアーリャに王子様と仲睦まじい様子を見せつけてやるはずだったのに……その結果は逆だった。
「一体どういう事よ!! 私は昨日のうちに仕掛けたって言うのに!!」
その謎の答えがあるであろう扉の向こう……学院長室に入っていった。
「おお、キャレルか……ノックも無いからビックリしてしまったよ」
「そんな事よりおじさま一体どういうことなんですか!?」
「どういう事? 一体どうしたんだい? 今日の授業はキャレルの言うとおりにしたはずだよ」
どうやらおじさま……『相棒』の能力で親しくなった関係上そう呼んでいる……は事情を把握していないみたいなので、私は捲し立てるように今日の出来事を説明した。
それを聞いたおじさまは副学院長を呼び出すことにする。しばらくして学院長室に現れた彼は学院長の側に控えている私を見て一瞬怪訝な表情を向けるものの問われるままに話し始める。その説明を受けてようやく原因が分かった。
「確かに昨日学院長から授業編成についてのお話しを頂いておりましたが、その後アルダーク家ご当主、アーリャ嬢から提案がありましてな……」
副学院長の話によると今後教科書を学院に導入する為、という名目で試験的に授業を行いたいという事だった。その為に昨日の放課後、特に教育熱心な教師達が集められてプレゼンテーションが行われて全員が賛同したらしい。
「学院長からの編成変更の要望もあったので、せっかくだから成績優秀者を同じ授業に集めようと改めて生徒を選びました。もちろん『教科書』を提案したアーリャ嬢を外すわけにはいかないです。彼女の推薦で身分は低めでも学習熱心なご学友を咥えたくらいはしましたが授業態度も真面目でしたので問題ないでしょう」
私はアーリャとの宣戦布告の後にすぐに動いたけど、それはあの娘も一緒だった。そしてその根回しの精度で私は負けてしまっていたのだ……くやしい!
その後も学院長を通して授業は成功したから再び編成を変えるよう言ってみたものの……
「はぁ、何のためにでしょうか? 『教科書』を提供しているアーリャ嬢を外すわけにも、ある意味王国の代理であるマクシス様を外す必要性がありませんし他の教師陣を納得させるのは難しいかと思いますが……もしや何か深い理由でも?」
深い理由なんてあるはずないでしょ!
まさか私が王子様と仲良くするために……王子様とアーリャを突き放すためだとはさすがに説明出来なかった。というか勉強をする学習院で学力を向上する名目を打ち破れるような理由を提示するなんて無理よ。
ここで副学院長を第二の相棒にしたところで多数の教師達を説得することは難しいでしょうし、それを使ってしまったら王子様を相棒にすることが出来なくなる。
「(なんて子なの!!)」
あの娘は適確に私の弱点を突いてきた。
確かに私の『相棒』の能力は強力だ。学院の頂点である学院長を意のままに出来るから大概のことは思いのままになると思っていたし今までもそうしてきた。それなのにこんなに早くそれを覆す方法を見つけて早急に手を打ってくるなんて。
さすがに学習院を学院長一人で動かす事は出来ない。教鞭を執る教師達あっての場所だ。その多数の教師を味方に付けて大きな権力をも退ける数と大義名分をぶつけてきたのだ。
能力上数を味方に出来ない事、例え権力が大きかろうと学習院である以上勉強が優先される事……大義名分の二つを武器に私の作戦は覆されてしまったのだ。
こうなるとしばらくの間はクラス編成に口出しをすることは難しいだろう。何とか別の方法で王子様とアーリャを引き離しつつ、私と王子様が接近出来る機会を作らないと!!
「おじさま、聞いていただきたい事があるのですが……」
……私はおじさまに学院に所属する貴族の生徒達の勢力図を調べることにした。次こそはアーリャをやり込める為の強力な手を打たないと!!
いきなり王子様との逢瀬が失敗してしまった私は大いに混乱していた。予定では急いで走って来たアーリャに王子様と仲睦まじい様子を見せつけてやるはずだったのに……その結果は逆だった。
「一体どういう事よ!! 私は昨日のうちに仕掛けたって言うのに!!」
その謎の答えがあるであろう扉の向こう……学院長室に入っていった。
「おお、キャレルか……ノックも無いからビックリしてしまったよ」
「そんな事よりおじさま一体どういうことなんですか!?」
「どういう事? 一体どうしたんだい? 今日の授業はキャレルの言うとおりにしたはずだよ」
どうやらおじさま……『相棒』の能力で親しくなった関係上そう呼んでいる……は事情を把握していないみたいなので、私は捲し立てるように今日の出来事を説明した。
それを聞いたおじさまは副学院長を呼び出すことにする。しばらくして学院長室に現れた彼は学院長の側に控えている私を見て一瞬怪訝な表情を向けるものの問われるままに話し始める。その説明を受けてようやく原因が分かった。
「確かに昨日学院長から授業編成についてのお話しを頂いておりましたが、その後アルダーク家ご当主、アーリャ嬢から提案がありましてな……」
副学院長の話によると今後教科書を学院に導入する為、という名目で試験的に授業を行いたいという事だった。その為に昨日の放課後、特に教育熱心な教師達が集められてプレゼンテーションが行われて全員が賛同したらしい。
「学院長からの編成変更の要望もあったので、せっかくだから成績優秀者を同じ授業に集めようと改めて生徒を選びました。もちろん『教科書』を提案したアーリャ嬢を外すわけにはいかないです。彼女の推薦で身分は低めでも学習熱心なご学友を咥えたくらいはしましたが授業態度も真面目でしたので問題ないでしょう」
私はアーリャとの宣戦布告の後にすぐに動いたけど、それはあの娘も一緒だった。そしてその根回しの精度で私は負けてしまっていたのだ……くやしい!
その後も学院長を通して授業は成功したから再び編成を変えるよう言ってみたものの……
「はぁ、何のためにでしょうか? 『教科書』を提供しているアーリャ嬢を外すわけにも、ある意味王国の代理であるマクシス様を外す必要性がありませんし他の教師陣を納得させるのは難しいかと思いますが……もしや何か深い理由でも?」
深い理由なんてあるはずないでしょ!
まさか私が王子様と仲良くするために……王子様とアーリャを突き放すためだとはさすがに説明出来なかった。というか勉強をする学習院で学力を向上する名目を打ち破れるような理由を提示するなんて無理よ。
ここで副学院長を第二の相棒にしたところで多数の教師達を説得することは難しいでしょうし、それを使ってしまったら王子様を相棒にすることが出来なくなる。
「(なんて子なの!!)」
あの娘は適確に私の弱点を突いてきた。
確かに私の『相棒』の能力は強力だ。学院の頂点である学院長を意のままに出来るから大概のことは思いのままになると思っていたし今までもそうしてきた。それなのにこんなに早くそれを覆す方法を見つけて早急に手を打ってくるなんて。
さすがに学習院を学院長一人で動かす事は出来ない。教鞭を執る教師達あっての場所だ。その多数の教師を味方に付けて大きな権力をも退ける数と大義名分をぶつけてきたのだ。
能力上数を味方に出来ない事、例え権力が大きかろうと学習院である以上勉強が優先される事……大義名分の二つを武器に私の作戦は覆されてしまったのだ。
こうなるとしばらくの間はクラス編成に口出しをすることは難しいだろう。何とか別の方法で王子様とアーリャを引き離しつつ、私と王子様が接近出来る機会を作らないと!!
「おじさま、聞いていただきたい事があるのですが……」
……私はおじさまに学院に所属する貴族の生徒達の勢力図を調べることにした。次こそはアーリャをやり込める為の強力な手を打たないと!!
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