劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第十九章 領主様は悪役令嬢!?

104本目

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「子供の領主なんて信用出来るか!!」

「子供は家に帰れ!!」

「俺達はご立派な約束事よりも食べ物が……パンが必要なんだ!!」

「私達のパンをちょうだいよ!!」

 わたしの前に見窄みすぼらしい領民達が声を揃えて罵倒してくる。今にも襲い掛かってくる勢いだ。領地の兵士達にも緊張が走る。オーレスさんやドランとケニー達は落ち着いているようだ。

「こらお前達!! 領主様に向かってなんたる無礼な!!」

 わたしがいない間、代官を務めてくれていたセーヴさんが領民を咎めるが騒ぐ声は収まらない。どうしてこんな事になったんだろう? ……というかわたしまだ何もしていないよね? 原因はこれから考えるとしてこの場を何とかしないと。

「お黙りなさい!!」

 わたしはいつものようにバッと孔雀の扇を広げると頑張って生意気そうな顔をする。

「物事の順序が分からない方達だこと……わたしが行っている事は全てあなた達領民が植えないようにするために必要な事なのにそれも分からないなんて」

「なんだと!!」「子供が偉そうに!!」「私達は今食べ物が必要なのよ!!」「そうだ、食い物を寄越せ!!」「パンを寄越せ!!」

 わたしの挑発で更にヒートアップする領民たち……そこに更に追い打ちをかける。

「食べ物だパンだの騒がしいですね……パンが無ければお菓子を食べれば良いじゃないですか」

「んなっ!?」

「わたしは逃げも隠れもしないわ……さぁ、付いていらっしゃい」

 戸惑うセーヴさんや護衛たちの戸惑いを余所にわたしは屋敷の方へ歩き出した。出たとこ勝負だけどいつものように何とかしないとね。



 ……歩きながらわたしは再びどうしてこうなったか思い出していた。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 アルダーク領に到着したわたしはすぐに領主の館へ向かう。さすが貴族の館と言うだけあって敷地の広さから建物の大きさも庶民の家とは大違いだ。書斎と兼用された仕事部屋に座って机の上に置かれている手紙を読んでいるとノックが聞こえた。

「どうぞ」

「失礼します」

 部屋に入ってきたのは50代ほどの男性。わたしがいない間代官を務めてくれているセーヴさんだ。謀反を起こした前領主アルダークに仕えていた人間だと色々問題があるため、代わりに王都から派遣された有能な人らしく学園に届く報告書からみても仕事をきっちりこなす凄腕代官さんだ。

「アーリャ様が用意された基礎を元にこの屋敷はもちろん街の商業地区の改修は完了しました」

「ご苦労様です。引き続き残りのエリアもお願いします」

 わたしが待ちに来て最初にやって事は……下水道を拡張しました。夜中の内にジョブの力を使ってそれなりに深い場所に人が入って整備出来るやつです。今まで下水道が無かった場所にも通っているのでこの街のトイレは水洗トイレが基準になる予定です。

 地下に木の根を張らしてそれを『加工』で拡張、土を外へ排出、出入り口も全て木で出来ています。使っている木もこの世界にある水に強く丈夫な物を使っているし、経年劣化してもわたしのジョブの力で新しくできるので事故の心配も無いはず。いずれもっと良い素材が見つかったら入れ替える予定だ……まずは清潔な街にしないとね。

「しかしこのような事が出来る魔道具などは……いえ、なんでもありません」

「そうですか、それはよかったです」

 一応、魔道具でやりましたと言ってあるけどバッチリ疑われているよね? セーヴさんは王家から派遣された代官だし、あっちに報告もしているんだろうね。でも、わたしは早く爵位を上げてまーくんと並べる地位にならないといけない。あまり力を隠してのんびりしているわけにもいかないだよ。

「それと例の件です……私もここへ来てしばらくして知ったため報告が遅れました。前任者は何も語らなかったと言うのもありますが、王都の者も知らなかった事です」

 セーヴさんは街の地図を広げると街の門の北にある部分を指した。門の外周に沿ってある程度の範囲に書き込みが加わっていた。

「こんなに広い範囲に……」

「はい、この街には……貧民街スラムが出来ています」



 ……わたしは前世を含めて馴染みの無かったその存在に困惑していた。
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