12 / 107
掘り出された宇宙船
4
しおりを挟む
ゴロス人エンジニアが大見得を切った直後、物凄い爆発音に似た衝撃が、パブの天井を揺すった。
「な、なんだ……地震か?」
驚き慌てる客たちは次に聞こえた甲高い音に目を剥いた。
じっと耳を澄ませていたゴロス人の一人が、口を開く。
「おい、ありゃ宇宙船の始動音だぞ!」
「馬鹿ぁ言え! 洛陽宇宙港は、こっからどのくらい離れていると思ってるんだ……あっ! まさかっ!」
みな、同じ〝仮説〟を考え付いたようだった。どやどやとパブの出口に殺到し、外へ飛び出ると、空を仰ぐ。
「ひゃあっ!」と頓狂な声が上がる。
パブの近くの中古宇宙船販売店の辺りから、盛大な土埃が舞い上がっている。
がん! ごん! からん!
目の前の道路に様々なスクラップが立て続けに雹のように落下して、騒々しい騒音を立てていた。
土埃の中から、一隻の宇宙船が姿を表した。
目にも鮮やかなオレンジ色の塗装、デザインは百年も前のものだが、船尾の噴射口からは青白い光が放出され、モーターが健在であることを示している。
「ま、まさか、あの小僧、本当に山の中から船を掘り出したってことか?」
販売店の店長であるゴロス人が呻いた。
反重力で浮かぶ宇宙船の船首がまるでゴロス人を見つけたかのようにつーっ、と真ん前に回転して止まる。
ぱかり、と船外ハッチが開き、中から一人の少年が満面の笑みを浮かべて姿を表した。
ゴロス人は呟いた。
「小僧……!」
少年は両手を口に当て、叫ぶ。
「おじさん! あんたの言うとおり、スクラップの山からこいつを見つけたぜ! 確か、山の中から見つけたものは、なんでもタダで貰っていいって言ったよな? 有りがたく、頂くぜ! サンキュー!」
ばたん、とハッチが閉まり、少年は再び船内に戻る。
くるりと船尾を向けると、宇宙船はその場を飛び立ってゆく。
呆然と口を開き、見送るゴロス人の顔色が徐々に真っ赤に染まる。
「畜生!」
怒りに我を忘れ、地団太を踏んだ。
「凄い……原型の少年が、宇宙船を掘り出したんだ……」
声に振り返ると、先ほど隅で固まっていた原型の客たちが飛び去る宇宙船を憧れるような眼差しで見上げている。原型たちの顔には、晴々とした表情が浮かんでいた。
目が合うと、にやりと笑い叫ぶ。
「スカイ・パレスを逆立ちで登るところ、是非とも拝見したいもので……」
ゴロス人は「くっ」と唇を噛んだ。
悔しいことに、言い返せない。
「な、なんだ……地震か?」
驚き慌てる客たちは次に聞こえた甲高い音に目を剥いた。
じっと耳を澄ませていたゴロス人の一人が、口を開く。
「おい、ありゃ宇宙船の始動音だぞ!」
「馬鹿ぁ言え! 洛陽宇宙港は、こっからどのくらい離れていると思ってるんだ……あっ! まさかっ!」
みな、同じ〝仮説〟を考え付いたようだった。どやどやとパブの出口に殺到し、外へ飛び出ると、空を仰ぐ。
「ひゃあっ!」と頓狂な声が上がる。
パブの近くの中古宇宙船販売店の辺りから、盛大な土埃が舞い上がっている。
がん! ごん! からん!
目の前の道路に様々なスクラップが立て続けに雹のように落下して、騒々しい騒音を立てていた。
土埃の中から、一隻の宇宙船が姿を表した。
目にも鮮やかなオレンジ色の塗装、デザインは百年も前のものだが、船尾の噴射口からは青白い光が放出され、モーターが健在であることを示している。
「ま、まさか、あの小僧、本当に山の中から船を掘り出したってことか?」
販売店の店長であるゴロス人が呻いた。
反重力で浮かぶ宇宙船の船首がまるでゴロス人を見つけたかのようにつーっ、と真ん前に回転して止まる。
ぱかり、と船外ハッチが開き、中から一人の少年が満面の笑みを浮かべて姿を表した。
ゴロス人は呟いた。
「小僧……!」
少年は両手を口に当て、叫ぶ。
「おじさん! あんたの言うとおり、スクラップの山からこいつを見つけたぜ! 確か、山の中から見つけたものは、なんでもタダで貰っていいって言ったよな? 有りがたく、頂くぜ! サンキュー!」
ばたん、とハッチが閉まり、少年は再び船内に戻る。
くるりと船尾を向けると、宇宙船はその場を飛び立ってゆく。
呆然と口を開き、見送るゴロス人の顔色が徐々に真っ赤に染まる。
「畜生!」
怒りに我を忘れ、地団太を踏んだ。
「凄い……原型の少年が、宇宙船を掘り出したんだ……」
声に振り返ると、先ほど隅で固まっていた原型の客たちが飛び去る宇宙船を憧れるような眼差しで見上げている。原型たちの顔には、晴々とした表情が浮かんでいた。
目が合うと、にやりと笑い叫ぶ。
「スカイ・パレスを逆立ちで登るところ、是非とも拝見したいもので……」
ゴロス人は「くっ」と唇を噛んだ。
悔しいことに、言い返せない。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる