宇宙狂時代~SF宝島~

万卜人

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地球の管理人

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 宙森の管理センターで、計器の表示を見つめていたシルバーは呟いた。
「《弾頭》は、あの岩の固まりの地下に停船しているようだ……。地下から僅かながら、エネルギーの放射がある。何か、ありそうだな」
 背後から《大校母》が、じりじりとした声で詰問する。
「シルバー! 妾は待てません。これ以上ぐずぐず引き伸ばすなら……」
「なんだね?」
 振り返ったシルバーは嘲笑った。
「この俺を、どうするというのだ?」
 言われて《大校母》は、ぐっと詰まる。確かに不死身に近いシルバーに対し、肉体的な恐怖を示すことは不可能である。たとえ真空の宇宙空間に放り出されても、シルバーは平気であろう。
 せいぜい太陽のど真ん中に放り込むくらいが、シルバーに与える最大の罰であるが、その前にシルバーのことである。どんな暴れ方をするか予想もできない。そのことはシルバーも《大校母》も承知している。
 遂に《大校母》は、哀願するような声になった。
「どうするのです? 妾をいいように引っ張りまわす、あなたの考えは、さっぱり判りません」
 シルバーは、だらりと下げた両腕を広げた。
「だから、待て、と言っている。必ず、何か動きがあるはずだ。それまで少し時間がある。俺は、あんたの〝楽園計画〟とやらを聞きたいな。原型の脳を使って、あんたは何をしようとしているんだ?」
「ふっ」と《大校母》は溜息をついた。
「しかたありません。それでは教えましょう。これをご覧下さい」
《大校母》の合図で、その場にいた〝種族〟の一人が、センターの空中にホログラフィー映像を投影させた。それを見て、シルバーは首を捻った。
「なんだ、これは? 透明なタンクがずらりと並んでいるが……あっ! これは総て原型の脳か?」
 シルバーの言葉どおり、ホログラフィーに映し出されたのは、無数の透明なタンクである。
 内部には一つずつ、灰色の脳がぷかぷかと浮かび、タンクには生命維持装置が繋がれ、タンク同士は複雑な配線が接続されている。
《大校母》が説明する。
「これら原型の脳を納めたタンクは、ご覧の通り、データ回線で繋がれ、ネット・ワークを構成しています。このネット・ワークにより、原型たちは仮想空間で共通の夢を見ているのです」
「夢とは、何だ? 原型たちは眠っているのか?」
《大校母》は、ゆったりと首を振る。
「いいえ、その種の夢ではありません。原型たちに見せている夢は、新たな世界の夢なのです。重力定数、弱い力、強い力などの、妾が設定した宇宙の物理定数に基づいた、宇宙の夢を!」
 シルバーは頭を振った。
「判らんな。あんたの言うことは、さっぱり判らん! もう少し、おれに判るように説明してくれ」
「それには、フェルミ・パラドックスについて説明しなくてはなりません」
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