86 / 107
凍った時間
1
しおりを挟む
地球を目にし、その場にいた原型の人々から津波のように喚声が上がる。全員、身を乗り出し、伸び上がるようにして頭上に浮かんでいる青い球体を見つめている。
白い雲が散らばり、大陸には緑と茶色の斑点が、絵の具を垂らしたように散らばっている。
ジムは呟いていた。
「あれが、人類の故郷なのか……。あそこから銀河系に人類が広がったなんて、信じられないよ!」
キャシーはガラスの管理人に尋ねる。
「なぜ、こんなにまでして、厳重に地球を隠さなければならなかったの? そんなに大事なものが、地球にはあるの?」
管理人は微かに首を振る。
「ある意味では、極めて重要な宝が、地球にはあるのです。もし、目先の利益にのみ目が眩み、毀損するようなことがあれば、人類の未来は暗いものになります。フリント教授は、そうお考えでした」
ジムは管理人に顔を向けた。
「宝だって? そんなお宝、どうして地球に置いたまま人類は銀河系に散らばったんだろう? そんなに大事なら、一緒に持っていけばよかったのに」
管理人の全身がピンク色に輝き、首を細かく動かした。なんだか笑っているようだ、とジムはそれを見て思った。
「最初に超空間ジェネレーターが開発され、人類が爆発的に広がった当初は、それが宝だとは、誰も思っていなかったのです。様々な星に殖民して〝種族〟が生まれてくるに連れ、地球に残されたその宝は、フリント教授によって初めてその重要さを見出されました。もし心ない〝種族〟がそれを自分たちのために利用しようと考えたら、原型の人々の未来はないでしょう。それに、その宝は、おいそれと持ち歩けるようなものではないのです」
ヘロヘロはじれったそうに声を上げた。
「いったい、それは何だい? そんなに、大きなものなのかな。持ち歩けないほどだなんて……」
管理人は一呼吸を置いて答える。
「それは……地球そのものなのです」
ジムとキャシーはぽかん、と口を開けた。
「何だって?」
ジムは首を傾げていた。
白い雲が散らばり、大陸には緑と茶色の斑点が、絵の具を垂らしたように散らばっている。
ジムは呟いていた。
「あれが、人類の故郷なのか……。あそこから銀河系に人類が広がったなんて、信じられないよ!」
キャシーはガラスの管理人に尋ねる。
「なぜ、こんなにまでして、厳重に地球を隠さなければならなかったの? そんなに大事なものが、地球にはあるの?」
管理人は微かに首を振る。
「ある意味では、極めて重要な宝が、地球にはあるのです。もし、目先の利益にのみ目が眩み、毀損するようなことがあれば、人類の未来は暗いものになります。フリント教授は、そうお考えでした」
ジムは管理人に顔を向けた。
「宝だって? そんなお宝、どうして地球に置いたまま人類は銀河系に散らばったんだろう? そんなに大事なら、一緒に持っていけばよかったのに」
管理人の全身がピンク色に輝き、首を細かく動かした。なんだか笑っているようだ、とジムはそれを見て思った。
「最初に超空間ジェネレーターが開発され、人類が爆発的に広がった当初は、それが宝だとは、誰も思っていなかったのです。様々な星に殖民して〝種族〟が生まれてくるに連れ、地球に残されたその宝は、フリント教授によって初めてその重要さを見出されました。もし心ない〝種族〟がそれを自分たちのために利用しようと考えたら、原型の人々の未来はないでしょう。それに、その宝は、おいそれと持ち歩けるようなものではないのです」
ヘロヘロはじれったそうに声を上げた。
「いったい、それは何だい? そんなに、大きなものなのかな。持ち歩けないほどだなんて……」
管理人は一呼吸を置いて答える。
「それは……地球そのものなのです」
ジムとキャシーはぽかん、と口を開けた。
「何だって?」
ジムは首を傾げていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる