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覚醒の巻
一
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夜明けの光の中、三郎太は住処から外へ出た。
なぜか胸騒ぎに襲われている。
──来よ……
頭の中で水虎さまの〝声〟が響く。
──来たれ……お前の使命を果たす時が満ちた……
ふらふらと、どうにも三郎太の足取りは頼りない。なんだか夢の中にいる気分である。
気がつくと三郎太は、水虎さまの前へ辿り着いていた。
巨大な水虎さまの像が三郎太を見下ろしている。再び水虎の〝声〟が響いた。
──三郎太、そちは長きにわたり、おのれの正体を自分からも隠してきた。
が、もうその必要は、一切ない。さあ、本来の自分に戻るのだ!
水虎の足下にぽっかりと穴が開く。三郎太はその中へ姿を消した。
闇。
一寸先も見えない闇が取り巻いている。三郎太は河童の習性として、視覚が使えないときには〈水話〉の反射音で周囲を探ろうと口を開いた。
──その必要は無い。いま明かりを点ける。
水虎の〝声〟が響き、水虎の言葉どおり辺りは、さっと光に満たされた。
柔らかな真珠色の光で、どこから差し込んでくるのか見当もつかない。もしかしたら、空気そのものが発光しているのかもしれない。
部屋の中だ。しかし柱一本すらも見当たらない。ただ、すべすべした壁が、丸い床をとりまいている。天井は半球形で、家具らしきものは何も見当たらない。
唐突に上昇していく感覚が湧き起こり、三郎太は身構えた。
が、すぐ止まった。
微かな溜息のような音がして、背後の壁が開く気配がする。振り向くと、別の部屋に繋がっている。
同じような部屋だが、こちらには椅子が一つあった。三郎太は、まるで当然のごとく、椅子に腰かける。背もたれは高く、頭をすっぽりと覆う部分がある。
座ると同時に、椅子はゆっくりと倒れこみ、三郎太は仰向けに寝そべる格好になる。
頭を覆う部分が降りてきて、三郎太の顔を覆い隠した。
奇妙な安らぎの中、三郎太は目を閉じた。
途端に記憶が蘇り始める。
なぜか胸騒ぎに襲われている。
──来よ……
頭の中で水虎さまの〝声〟が響く。
──来たれ……お前の使命を果たす時が満ちた……
ふらふらと、どうにも三郎太の足取りは頼りない。なんだか夢の中にいる気分である。
気がつくと三郎太は、水虎さまの前へ辿り着いていた。
巨大な水虎さまの像が三郎太を見下ろしている。再び水虎の〝声〟が響いた。
──三郎太、そちは長きにわたり、おのれの正体を自分からも隠してきた。
が、もうその必要は、一切ない。さあ、本来の自分に戻るのだ!
水虎の足下にぽっかりと穴が開く。三郎太はその中へ姿を消した。
闇。
一寸先も見えない闇が取り巻いている。三郎太は河童の習性として、視覚が使えないときには〈水話〉の反射音で周囲を探ろうと口を開いた。
──その必要は無い。いま明かりを点ける。
水虎の〝声〟が響き、水虎の言葉どおり辺りは、さっと光に満たされた。
柔らかな真珠色の光で、どこから差し込んでくるのか見当もつかない。もしかしたら、空気そのものが発光しているのかもしれない。
部屋の中だ。しかし柱一本すらも見当たらない。ただ、すべすべした壁が、丸い床をとりまいている。天井は半球形で、家具らしきものは何も見当たらない。
唐突に上昇していく感覚が湧き起こり、三郎太は身構えた。
が、すぐ止まった。
微かな溜息のような音がして、背後の壁が開く気配がする。振り向くと、別の部屋に繋がっている。
同じような部屋だが、こちらには椅子が一つあった。三郎太は、まるで当然のごとく、椅子に腰かける。背もたれは高く、頭をすっぽりと覆う部分がある。
座ると同時に、椅子はゆっくりと倒れこみ、三郎太は仰向けに寝そべる格好になる。
頭を覆う部分が降りてきて、三郎太の顔を覆い隠した。
奇妙な安らぎの中、三郎太は目を閉じた。
途端に記憶が蘇り始める。
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