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〈御舟〉の巻
五
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〈御舟〉は上昇を開始した。
ごごごご──と辺りに重低音の轟音が響き渡り、からからから、と御所の瓦が風に吹き飛ばされるように舞い上がる。
わさわさわさと木立が揺れ、木の葉が空へと吸い込まれた。〈御舟〉が飛び立つための重力制御が、あたりの引力を負の値にしているためだ。
ついに〈御舟〉が地面から離れた!
すらりとした紡錘形の塔が上昇し、四枚の羽根の先にある重力制御装置の下部から中性徴子が放射され、青白い智連瘤の光が発せられる。
ぴかっ!
雲海に稲光が閃光を発する。
重力制御装置による局所的な引力減衰が、大気を上昇させる。その結果、局部的な低気圧を引き起こしため、季節外れの雷雲が発生したのだ。
がらがらがら……
ぴしゃんっ!
強烈な雷光が強烈に〈御舟〉の外板を炙る。無論、〈御舟〉はそのような打撃にも構わず上昇する。
うお~お~お~ん……
その姿を見て〈御門〉が哀しげな声を上げた。その手から〈御舟〉がすり抜ける事態を察したのだ。
〈御門〉は、じんわりと身体を捻じ曲げ、それまで接近していた破槌城から御所へと戻り始めた。
が、間に合うのか?
〈御門〉は身体を細長く引き伸ばした。一本の綱のようになって、〈御舟〉へと追いすがる。
するすると細長い指先が宙を飛び、遂に先端が〈御舟〉に達した!
その時……
ばし──んっ!
龍が降臨したかのような強大な電光が〈御舟〉を貫いた! 〈御舟〉に接していた〈御門〉の全体が、一本の電流の棒のように真っ白に燃え上がる。〈御門〉のもう一端が地面に接していたため、避雷針となって電流が走ったのだ。
ぎゃあ~あ~あ~ん……!
長々と〈御門〉は絶叫した。
〈御門〉の身体の極小構成単位の反復部分集合が、強烈な電流により、構造を維持することが不可能になった。
おりから吹き付ける強風を浴びて〈御門〉の身体は、ばらばらに散っていく。〈御門〉の最後であった。
〈御舟〉は、まるでそんな騒ぎを知らぬように上昇を続けていく。
やがてその姿が雲に消えていった。
よろり、と時太郎は身を起こし、空を見上げた。
睡眠瓦斯の効果が切れたのだ。
「母さん……」
時太郎は呟いた。
ふらふらと時太郎に藤四郎が近寄ってくる。ほっと溜息をつく。
「やれやれ……どうやら助かったようじゃ。しかし〈御舟〉が空を飛ぶとは、信じられぬ……。しかし時太郎、そちはいったい、御所でなにを……?」
時太郎は藤四郎の饒舌を煩く感じた。しかし何も言う気力もなく、ただ力なく項垂れる。
ごごごご──と辺りに重低音の轟音が響き渡り、からからから、と御所の瓦が風に吹き飛ばされるように舞い上がる。
わさわさわさと木立が揺れ、木の葉が空へと吸い込まれた。〈御舟〉が飛び立つための重力制御が、あたりの引力を負の値にしているためだ。
ついに〈御舟〉が地面から離れた!
すらりとした紡錘形の塔が上昇し、四枚の羽根の先にある重力制御装置の下部から中性徴子が放射され、青白い智連瘤の光が発せられる。
ぴかっ!
雲海に稲光が閃光を発する。
重力制御装置による局所的な引力減衰が、大気を上昇させる。その結果、局部的な低気圧を引き起こしため、季節外れの雷雲が発生したのだ。
がらがらがら……
ぴしゃんっ!
強烈な雷光が強烈に〈御舟〉の外板を炙る。無論、〈御舟〉はそのような打撃にも構わず上昇する。
うお~お~お~ん……
その姿を見て〈御門〉が哀しげな声を上げた。その手から〈御舟〉がすり抜ける事態を察したのだ。
〈御門〉は、じんわりと身体を捻じ曲げ、それまで接近していた破槌城から御所へと戻り始めた。
が、間に合うのか?
〈御門〉は身体を細長く引き伸ばした。一本の綱のようになって、〈御舟〉へと追いすがる。
するすると細長い指先が宙を飛び、遂に先端が〈御舟〉に達した!
その時……
ばし──んっ!
龍が降臨したかのような強大な電光が〈御舟〉を貫いた! 〈御舟〉に接していた〈御門〉の全体が、一本の電流の棒のように真っ白に燃え上がる。〈御門〉のもう一端が地面に接していたため、避雷針となって電流が走ったのだ。
ぎゃあ~あ~あ~ん……!
長々と〈御門〉は絶叫した。
〈御門〉の身体の極小構成単位の反復部分集合が、強烈な電流により、構造を維持することが不可能になった。
おりから吹き付ける強風を浴びて〈御門〉の身体は、ばらばらに散っていく。〈御門〉の最後であった。
〈御舟〉は、まるでそんな騒ぎを知らぬように上昇を続けていく。
やがてその姿が雲に消えていった。
よろり、と時太郎は身を起こし、空を見上げた。
睡眠瓦斯の効果が切れたのだ。
「母さん……」
時太郎は呟いた。
ふらふらと時太郎に藤四郎が近寄ってくる。ほっと溜息をつく。
「やれやれ……どうやら助かったようじゃ。しかし〈御舟〉が空を飛ぶとは、信じられぬ……。しかし時太郎、そちはいったい、御所でなにを……?」
時太郎は藤四郎の饒舌を煩く感じた。しかし何も言う気力もなく、ただ力なく項垂れる。
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