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ステットン

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 操縦席でパックは機械と格闘していた。
 ウッドがこじあけたパネルからは、スパゲッティのように配線がからまり、内部の装置がむきだしになっている。
「なんでこんなに滅茶苦茶にしちゃったんだよ! これじゃ修理に手間取ってしかたない……」
 ふうっ、とパックは天を仰いだ。
 こうなったのがじぶんのせいと知って、ウッドはしょっぱい顔になっている。
「そんなことより、あんた直せるの?」
 口を挟んだキャリーに向けて、パックはものすごい形相になった。
「あったりまえだろう! おれが作ったロボットだぞ。だいたい、なんでこんなことになったんだい? あんたら、何のためにおれのロボットを奪ったんだ」
 三人は顔を見合わせた。
 パックはキャリーの座席の隣に積まれた現金の袋に目をとめた。
「なんだい、その袋は?」
 あわててキャリーは尻を動かしてパックの目から袋を隠そうとしたが、あいにく山と積まれているので無駄なことだ。
「な、なんだっていいだろう……。とにかく、あたしらは町の中なんか行きたくなかったんだ。車がこわれて、それでこれを使って国境に向かうつもりだったんだよ……」
 ふうん、とパックは鼻をならした。
 とにかくロボット以外はあまり興味がない。それより修理だ!
 パックはパネルに頭をつっこんだ。
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