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封魔の剣
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念話者ゴルドンは顔をあげた。
男がひとり、ギルドの入り口に立ち、中をのぞきこんでいる。
ゴルドンの目が細くなった。
目が見開かれる。
なんという”オーラ”の強さ、そして色であろう。このような”オーラ”を発散している相手を、ゴルドンは初めて見た。
”オーラ”は魔法の修行をつんではじめて目にすることの出来る現象だ。
魔法の修行が深まれば深まるほど、そして魔法のちからが強ければ強いほどその”オーラ”の輝きは強く、そして色彩も鮮やかなものになる。
男の”オーラ”は五色の完璧な色彩を持ち、さらにあたりを圧するほどの強さを持ち合わせている。
これは粗略にすべき相手ではない。
ゴルドンはじぶんの”オーラ”をよく承知している。
薄暗い赤の、ほとんど目立たないほど弱々しい”オーラ”で、初めて自分の”オーラ”を目の当たりにして、ゴルドンはじぶんの運命を悟った。
かれはその日から念話者の修行に入った。
ここ、念話者ギルドには、ゴルドンのような最弱の”オーラ”しか持たない魔法師ばかりが所属している。
男はまっすぐ、ゴルドンめざし進んでくる。
ゴルドンがこのギルドの長老であることを承知しているかのようだ。
それももっともなこと。
ゴルドンの座っているのはギルドの建物の中でもっとも奥まった一角にあるデスクで、そのデスクにはギルドの紋章である向かい合ったふたりの顔が精緻な彫刻で彫られているからで、かれがここの責任者であることは一目瞭然だからだ。
いま姿を現した男ほどの”オーラ”を持つものにとって、ギルドの受け付けにわざわざ来意をつげることは屈辱でしかないだろう。
ゴルドンは男を迎え入れる態勢をつくるため、楽な姿勢をとり待ち構えた。
男は挨拶も交わそうとせず、ゴルドンの目の前の椅子にどっかりと座っていきなり切り出した。
「あんたがここの責任者かね?」
「そうです、ゴルドン……」
「名前などどうでもいい。これから、あんたにひとつ協力を願いたい」
「協力?」
男の申し出にゴルドンは目を見開いた。
ギルドにやってくる人間の目的はただひとつ。念話を頼みにくるだけだ。
しかし男の「協力」という言葉はいままでだれも発しなかったものだ。
「わたしはこの町の評議会に、魔法防備の件で協力を要請され、やってきたものだ。わたしにはこの町の問題点がよく判っている。それでいまから評議会に出席しなければならないのだが、ひとつあんたにも出席してもらいたい」
さらなる男の申し出に、今度こそゴルドンは天地がひっくり返るほどの衝撃をうけた。
評議会に出席?
このわたしが?
目をぱちくりさせるゴルドンに、男の発した言葉はさらに衝撃をあたえた。
「その前に……」
ゴルドンを見つめる男の顔が紅潮した。
「わたしに念話を教えてもらいたい」
「ええっ!」
思わず大声を上げ、ゴルドンはあわてて口を押さえた。ギルドに念話を頼みに来た客や、念話者がいったい何事であろうかとこちらを見ている。
「失礼しました。あまり驚いたので……」
そう言い訳し、ゴルドンはいきなり噴き出した額の汗をぬぐった。
男がひとり、ギルドの入り口に立ち、中をのぞきこんでいる。
ゴルドンの目が細くなった。
目が見開かれる。
なんという”オーラ”の強さ、そして色であろう。このような”オーラ”を発散している相手を、ゴルドンは初めて見た。
”オーラ”は魔法の修行をつんではじめて目にすることの出来る現象だ。
魔法の修行が深まれば深まるほど、そして魔法のちからが強ければ強いほどその”オーラ”の輝きは強く、そして色彩も鮮やかなものになる。
男の”オーラ”は五色の完璧な色彩を持ち、さらにあたりを圧するほどの強さを持ち合わせている。
これは粗略にすべき相手ではない。
ゴルドンはじぶんの”オーラ”をよく承知している。
薄暗い赤の、ほとんど目立たないほど弱々しい”オーラ”で、初めて自分の”オーラ”を目の当たりにして、ゴルドンはじぶんの運命を悟った。
かれはその日から念話者の修行に入った。
ここ、念話者ギルドには、ゴルドンのような最弱の”オーラ”しか持たない魔法師ばかりが所属している。
男はまっすぐ、ゴルドンめざし進んでくる。
ゴルドンがこのギルドの長老であることを承知しているかのようだ。
それももっともなこと。
ゴルドンの座っているのはギルドの建物の中でもっとも奥まった一角にあるデスクで、そのデスクにはギルドの紋章である向かい合ったふたりの顔が精緻な彫刻で彫られているからで、かれがここの責任者であることは一目瞭然だからだ。
いま姿を現した男ほどの”オーラ”を持つものにとって、ギルドの受け付けにわざわざ来意をつげることは屈辱でしかないだろう。
ゴルドンは男を迎え入れる態勢をつくるため、楽な姿勢をとり待ち構えた。
男は挨拶も交わそうとせず、ゴルドンの目の前の椅子にどっかりと座っていきなり切り出した。
「あんたがここの責任者かね?」
「そうです、ゴルドン……」
「名前などどうでもいい。これから、あんたにひとつ協力を願いたい」
「協力?」
男の申し出にゴルドンは目を見開いた。
ギルドにやってくる人間の目的はただひとつ。念話を頼みにくるだけだ。
しかし男の「協力」という言葉はいままでだれも発しなかったものだ。
「わたしはこの町の評議会に、魔法防備の件で協力を要請され、やってきたものだ。わたしにはこの町の問題点がよく判っている。それでいまから評議会に出席しなければならないのだが、ひとつあんたにも出席してもらいたい」
さらなる男の申し出に、今度こそゴルドンは天地がひっくり返るほどの衝撃をうけた。
評議会に出席?
このわたしが?
目をぱちくりさせるゴルドンに、男の発した言葉はさらに衝撃をあたえた。
「その前に……」
ゴルドンを見つめる男の顔が紅潮した。
「わたしに念話を教えてもらいたい」
「ええっ!」
思わず大声を上げ、ゴルドンはあわてて口を押さえた。ギルドに念話を頼みに来た客や、念話者がいったい何事であろうかとこちらを見ている。
「失礼しました。あまり驚いたので……」
そう言い訳し、ゴルドンはいきなり噴き出した額の汗をぬぐった。
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