198 / 279
理想宮
3
しおりを挟む
帝国軍の主力は何事もなくロロ村に迫った。途中、予想された共和国軍の抵抗はなかった。ということは、敵は撤退を始めたということである。
「敵軍は撤退を始めたようですな。斥候の報告でも、大規模な移動が確認されております」
ふむ、とギャンはうなずいた。撤退は予想されていたが、これほど無抵抗とは予想外だった。もうすこし骨のあるやつらかと思っていたが、これでは当てが外れた。
しかし、と部下のひとりの報告にギャンは耳を澄ませた。
「気になることがひとつ。敵軍は巨大な戦車を保有しているようです。これが殿軍となって撤退の最後に立ちはだかっている模様です」
「巨大戦車? それはどんなものだ?」
にわかに興味をおぼえ、ギャンは身体を乗り出した。
「それが……まるで城か、戦艦のような巨大さで、報告によりますと主砲を四門もそろえ、人員は百名近いという報告です。信じがたい報告ですが、複数の斥候が同じことを報告しておりますので、事実と思われます」
「なんで、そんな巨大な戦車を造ったんだろうな?」
「判りません。戦争の常識からは外れております。そんな巨大戦車をひとつ作るより、十台の通常戦車を作ったほうが機動力が増すはずですからな」
部下は苦笑した。ギャンはうなずいた。
まあいい。その戦車が実在するなら、おれの戦いも目立つことができる。
ギャンは部下に命令した。
「よし、ともかくロロ村に急行することだ。全軍、進撃を命じろ!」
はっ、と部下はきびきびと応じた。
ロロ村の入り口近くで終結していた帝国軍は、ギャンの指令により動き出した。
ギャンは待機していた鉄人兵に乗り込み、作動スイッチを入れた。
ぐおおお……!
野獣の咆哮のような音を立て、鉄人兵に命が吹き込まれる。
全軍は進撃を開始した。
「敵軍は撤退を始めたようですな。斥候の報告でも、大規模な移動が確認されております」
ふむ、とギャンはうなずいた。撤退は予想されていたが、これほど無抵抗とは予想外だった。もうすこし骨のあるやつらかと思っていたが、これでは当てが外れた。
しかし、と部下のひとりの報告にギャンは耳を澄ませた。
「気になることがひとつ。敵軍は巨大な戦車を保有しているようです。これが殿軍となって撤退の最後に立ちはだかっている模様です」
「巨大戦車? それはどんなものだ?」
にわかに興味をおぼえ、ギャンは身体を乗り出した。
「それが……まるで城か、戦艦のような巨大さで、報告によりますと主砲を四門もそろえ、人員は百名近いという報告です。信じがたい報告ですが、複数の斥候が同じことを報告しておりますので、事実と思われます」
「なんで、そんな巨大な戦車を造ったんだろうな?」
「判りません。戦争の常識からは外れております。そんな巨大戦車をひとつ作るより、十台の通常戦車を作ったほうが機動力が増すはずですからな」
部下は苦笑した。ギャンはうなずいた。
まあいい。その戦車が実在するなら、おれの戦いも目立つことができる。
ギャンは部下に命令した。
「よし、ともかくロロ村に急行することだ。全軍、進撃を命じろ!」
はっ、と部下はきびきびと応じた。
ロロ村の入り口近くで終結していた帝国軍は、ギャンの指令により動き出した。
ギャンは待機していた鉄人兵に乗り込み、作動スイッチを入れた。
ぐおおお……!
野獣の咆哮のような音を立て、鉄人兵に命が吹き込まれる。
全軍は進撃を開始した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる