ウラバン！～ＳＦ好色一代男～

銀河の副将軍

3

　校舎の屋上にすっくと立つ、五人の勇姿！
　言うまでもなく、世之介の性格を付与された、五着の制服を身に纏った「セイント・カイン」の五人である。
　校舎の背後からは、残照が赤々と空を照らし出し、番長星特有の、低緯度地方でも見える極光オーロラが、複雑な光の模様を映し出し、場面に幻想的な彩りを与えている。
「我ら五人の勇士！」「セイント・カイン！」「番長星の平和を守る使命を帯び……」「今、ここに参上！」
　五人は次々と口上を述べ、一々見得ポーズを決めている。世之介は「あんなことしないで、さっさと助太刀に来れば良いのに」と思ったが、黙っていることにした。多分、見得を切るのは、五人にとって必要な出陣の儀式なのだ。
　ようやく儀式が終わって、五人は校庭を屋上から怖々と覗き込んだ。
　お互い「どうしよう？」と顔を見合わせている。飛び降りるのが怖いのだ！
　助三郎は苛立った声を上げた。
「何を愚図愚図しておるのか？　その制服を着ているのなら、飛び降りても平気だぞ！」
　しかし五人は、中々覚悟を決められない。屋上で、もじもじと、飛ぼうか止めようか、何度も躊躇っている。
　格乃進は「どうなっている？」とばかりに省吾を睨みつけた。省吾は顔を赤くした。
「そのう……あの五人には正義感を強くする教育をたっぷりと施しておりますが、蛮勇を奮うというのは……」
　後は口の中でモゴモゴと口篭るだけで、下を向いてしまう。二人の賽博格は「やれやれ」と肩を竦めた。
　助三郎が格乃進に叫ぶ。
「格さん、ここは、俺たちだけで……」
　格乃進も頷いた。
「うむ。こうなれば、遮二無二どうにか頑張るしかないと思えるな！」
「では、参ろうぞ……」
　二人は頷き合い、殺到する群衆に向かって駆け出した！