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第2章「ユーピテル帝国」
第3節
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目が覚めると、寮の部屋だった。この前、帝国へ昇級の報告に行ったせいか、最近は入学前の王宮での生活を夢に見ることが多い。
ラキナが復帰してから既に三ヶ月。私達セカンドデルタは本部からの簡単な任務をこなしながら授業に出席するという日々を送っている。
「ロセアさん、これ。明日の任務の概要よ。」
「ありがとう。」
あれからラキナは契りを結びたいと言ってくることはなかった。むしろ最近は私と積極的に話すことで私のことを知ろうとしているらしい。その好意は嬉しいが、私には似合わない。用事は終わったはずなのに、ラキナは言葉を続けた。
「あの、この後一緒に食事でも。」
「ごっめーん。今日はちょっと用事があって。来週なら行けるよ。」
「そう、わかったわ来週ね。」
嘘をついているわけではない。今日はルーテラと一緒に生活区域で買い物に行く約束をしている。私は教室の隅で支度をしているルーテラの元へと駆け寄る。
「ルーテラ、行こ。」
「うん!」
私達は校舎を出ると、生活区域まで歩いた。ルーテラは大きく伸びをして言う。
「最近、任務続きで疲れちゃったよ。」
「そだねー。」
彼女は少し駆けて私の前へ出ると笑顔になった。
「最初どこ行く?ウチはクレープが食べたいかな。」
「お、それ賛成―。」
やがて私達は生活区域の商店街へ着くと、スイーツ巡りをした。クレープ、ケーキにプリン、マカロン。
「んーおいしかった!」
「そだねー。」
ルーテラはとても満足そうに言った。私自身もこんなに甘い物を頬張るのは久しぶりのことだったので、なんだか気分が良い。すると、彼女も同じことを口にした。
「なんか久しぶりに良い気分だよ。」
「そう?いつもルーテラは幸せそうだけど。」
「そんなことないって、最近は物騒な噂ばかりで憂鬱だよ。」
「噂?」
「知ってるよね?失踪事件と誘拐事件。」
「ああー。」
ルーテラが言っているのはここ三ヶ月で多発している二つの事件についてだ。
まずは失踪事件。これは任務直前または直後にエデンの使徒が失踪してしまい、行方がわからなくなるというものだ。
次に誘拐事件。これは私達エデンの使徒が帝国の任務で制圧または殲滅した対象が輸送中に何者かに襲撃を受け誘拐されて、行方がわからなくなるというものだ。
どちらの事件も帝国本部が本腰を入れて調査に当たっていると聞いているが未だに犯人は見つかっていないらしい。
「確かに怖いね。」
「だよね!」
「でもそれって、心当たりでもあるってこと?」
「え?」
「だって、ルーテラも気が付いているんでしょ。」
「何に?」
「失踪した使徒の共通点。」
「そんなのあるの!?」
これは嘘をついている顔だ。
「さあね。」
「もう、嘘つかないでよ!」
ルーテラ、これから要注意していかなければならなそうだ。
「そういえば、最近ヴィレスちゃんって変だよね。」
「元々変じゃない?」
「ロセアちゃん、それはひどくない?」
「そうかなー。それで、具体的にどういう所が変なの?」
「元々帝国に興味ないって感じしていたけど最近は興味しかない、みたいな。」
「よくわからんって。」
「あはは、そうだよね。」
確かにヴィレスは傍観する側に立っていると言わんばかりに、クラスに積極的に関わることはしない。と、思ったが思い返してみると私とは割と話していたような気がした。
まあ、それも当たり前か。それから私達は他愛ない話を続け、やがてカフェに入った。
ラキナが復帰してから既に三ヶ月。私達セカンドデルタは本部からの簡単な任務をこなしながら授業に出席するという日々を送っている。
「ロセアさん、これ。明日の任務の概要よ。」
「ありがとう。」
あれからラキナは契りを結びたいと言ってくることはなかった。むしろ最近は私と積極的に話すことで私のことを知ろうとしているらしい。その好意は嬉しいが、私には似合わない。用事は終わったはずなのに、ラキナは言葉を続けた。
「あの、この後一緒に食事でも。」
「ごっめーん。今日はちょっと用事があって。来週なら行けるよ。」
「そう、わかったわ来週ね。」
嘘をついているわけではない。今日はルーテラと一緒に生活区域で買い物に行く約束をしている。私は教室の隅で支度をしているルーテラの元へと駆け寄る。
「ルーテラ、行こ。」
「うん!」
私達は校舎を出ると、生活区域まで歩いた。ルーテラは大きく伸びをして言う。
「最近、任務続きで疲れちゃったよ。」
「そだねー。」
彼女は少し駆けて私の前へ出ると笑顔になった。
「最初どこ行く?ウチはクレープが食べたいかな。」
「お、それ賛成―。」
やがて私達は生活区域の商店街へ着くと、スイーツ巡りをした。クレープ、ケーキにプリン、マカロン。
「んーおいしかった!」
「そだねー。」
ルーテラはとても満足そうに言った。私自身もこんなに甘い物を頬張るのは久しぶりのことだったので、なんだか気分が良い。すると、彼女も同じことを口にした。
「なんか久しぶりに良い気分だよ。」
「そう?いつもルーテラは幸せそうだけど。」
「そんなことないって、最近は物騒な噂ばかりで憂鬱だよ。」
「噂?」
「知ってるよね?失踪事件と誘拐事件。」
「ああー。」
ルーテラが言っているのはここ三ヶ月で多発している二つの事件についてだ。
まずは失踪事件。これは任務直前または直後にエデンの使徒が失踪してしまい、行方がわからなくなるというものだ。
次に誘拐事件。これは私達エデンの使徒が帝国の任務で制圧または殲滅した対象が輸送中に何者かに襲撃を受け誘拐されて、行方がわからなくなるというものだ。
どちらの事件も帝国本部が本腰を入れて調査に当たっていると聞いているが未だに犯人は見つかっていないらしい。
「確かに怖いね。」
「だよね!」
「でもそれって、心当たりでもあるってこと?」
「え?」
「だって、ルーテラも気が付いているんでしょ。」
「何に?」
「失踪した使徒の共通点。」
「そんなのあるの!?」
これは嘘をついている顔だ。
「さあね。」
「もう、嘘つかないでよ!」
ルーテラ、これから要注意していかなければならなそうだ。
「そういえば、最近ヴィレスちゃんって変だよね。」
「元々変じゃない?」
「ロセアちゃん、それはひどくない?」
「そうかなー。それで、具体的にどういう所が変なの?」
「元々帝国に興味ないって感じしていたけど最近は興味しかない、みたいな。」
「よくわからんって。」
「あはは、そうだよね。」
確かにヴィレスは傍観する側に立っていると言わんばかりに、クラスに積極的に関わることはしない。と、思ったが思い返してみると私とは割と話していたような気がした。
まあ、それも当たり前か。それから私達は他愛ない話を続け、やがてカフェに入った。
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