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終章「ロセア」
第5節
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「ルーテラ!?」
「大丈夫だよ、ロセアちゃん。」
しかし、ルーテラの意識はハッキリとしている。天核の出力がギリギリ五十パーセントを超えないように制御しているのだろう。ラキナの薬もなしにそれは無茶だ。
ルーテラは空へ舞い上がると、弓を生成した。赤く光り輝く矢を引き、照準を合わせると彼女は言った。
「ウチが援護射撃をするから!」
それならば、皆が作ってくれる隙を突くしかない。私は地面を思い切り蹴って駆け出すと、既に剣を交えているラキナ、アズレア、ヴィレスの元へと加わる。
私達四人は絶えずミカエルに斬撃を浴びせるが、ただ金属音が響くばかりだ。私達は息を合わせ、ミカエルを四方向から同時に叩く。
すると、ミカエルは上に飛び上がって避けると、そのまま重力を利用して切り下ろそうとしている。すかさずルーテラが矢を放ち空中を舞うミカエルを襲うと、それを避けるためにさらに上へと舞い上がった。
(今だ!)
「言われなくても!」
私は全力で上へ飛び上がると、その速さに身を任せて光の剣を構えた。ぐっと握り、剣に力を込める。
私は思いきり振りかぶり、ミカエルの身体を切り裂いた。スッと静かな音を立てて真っ二つに割れ、中から天核が飛び出した。
赤く光り輝く、その宝石はとても綺麗だった。
私はそれに手を伸ばしそっと掴む。
(呆気ないものだったね。)
「本当にこれで終わりなの?」
なぜか私は勝った気がしていなかった。
そして注意深く天核を見つめていると、一本の細く赤い線が伸びているのが見えた。これは一体何なのだろう。
(これは。まずい、糸を切るんだ!)
私は即座に糸を切るが、遅かったようだ。ふと殺気を感じた方に目を向けると、ミカエルの体はグネグネと変形していた。
それはやがて細く尖った槍の形状に変化すると、静まった。
(飛んでくるぞ!)
私は光の剣を構え、槍を斬る体勢を取った。そして、案の定槍はこちらへ向かって飛んでくる。
私はタイミングを見計らい、剣を振ると見事に槍を斬った。しかし、二つに分かれた槍はそのまま一瞬で方向を変え、再び私を突き刺すべく飛んでくるのであった。
その速度に対応出来ず、私は当たることを覚悟した。
しかし、その時私の体は救われたのだった。顔を上げると、ラキナの顔が目に入った。
「ラキナ、ありがとう。」
「危なかったわね。」
そう言ってラキナは槍の方を見た。すると、既に天核を失ったはずのそれはみるみる内に再びミカエルを形作っていったのだった。ラキナの困惑した発言が聞こえる。
「どういうことなの?」
「わからない。」
ミカエルの形をしたそれは依然として沈黙したままであった。すると、私を心配したアズレア、ヴィレス、ルーテラが寄ってきてくれた。
アズレアは無事を喜ぶかのように微笑んで言った。
「なんとか天核は手に入れたみたいだね。」
「うん。後はあの木偶人形を倒すだけだよ。」
私は未だに沈黙を貫くそれを指さして言った。刹那、アズレアが発言すると同時だった。
「わかっ…」
それは再び槍に変形し、アズレアの胸を貫いたのだった。傷口から赤く光り輝く血液が大量に溢れ出す。
「アズレア!?」
私は目の前で起きていることに動揺しながらも必死に傷口を押さえる。
「大丈夫だよ、ロセアちゃん。」
しかし、ルーテラの意識はハッキリとしている。天核の出力がギリギリ五十パーセントを超えないように制御しているのだろう。ラキナの薬もなしにそれは無茶だ。
ルーテラは空へ舞い上がると、弓を生成した。赤く光り輝く矢を引き、照準を合わせると彼女は言った。
「ウチが援護射撃をするから!」
それならば、皆が作ってくれる隙を突くしかない。私は地面を思い切り蹴って駆け出すと、既に剣を交えているラキナ、アズレア、ヴィレスの元へと加わる。
私達四人は絶えずミカエルに斬撃を浴びせるが、ただ金属音が響くばかりだ。私達は息を合わせ、ミカエルを四方向から同時に叩く。
すると、ミカエルは上に飛び上がって避けると、そのまま重力を利用して切り下ろそうとしている。すかさずルーテラが矢を放ち空中を舞うミカエルを襲うと、それを避けるためにさらに上へと舞い上がった。
(今だ!)
「言われなくても!」
私は全力で上へ飛び上がると、その速さに身を任せて光の剣を構えた。ぐっと握り、剣に力を込める。
私は思いきり振りかぶり、ミカエルの身体を切り裂いた。スッと静かな音を立てて真っ二つに割れ、中から天核が飛び出した。
赤く光り輝く、その宝石はとても綺麗だった。
私はそれに手を伸ばしそっと掴む。
(呆気ないものだったね。)
「本当にこれで終わりなの?」
なぜか私は勝った気がしていなかった。
そして注意深く天核を見つめていると、一本の細く赤い線が伸びているのが見えた。これは一体何なのだろう。
(これは。まずい、糸を切るんだ!)
私は即座に糸を切るが、遅かったようだ。ふと殺気を感じた方に目を向けると、ミカエルの体はグネグネと変形していた。
それはやがて細く尖った槍の形状に変化すると、静まった。
(飛んでくるぞ!)
私は光の剣を構え、槍を斬る体勢を取った。そして、案の定槍はこちらへ向かって飛んでくる。
私はタイミングを見計らい、剣を振ると見事に槍を斬った。しかし、二つに分かれた槍はそのまま一瞬で方向を変え、再び私を突き刺すべく飛んでくるのであった。
その速度に対応出来ず、私は当たることを覚悟した。
しかし、その時私の体は救われたのだった。顔を上げると、ラキナの顔が目に入った。
「ラキナ、ありがとう。」
「危なかったわね。」
そう言ってラキナは槍の方を見た。すると、既に天核を失ったはずのそれはみるみる内に再びミカエルを形作っていったのだった。ラキナの困惑した発言が聞こえる。
「どういうことなの?」
「わからない。」
ミカエルの形をしたそれは依然として沈黙したままであった。すると、私を心配したアズレア、ヴィレス、ルーテラが寄ってきてくれた。
アズレアは無事を喜ぶかのように微笑んで言った。
「なんとか天核は手に入れたみたいだね。」
「うん。後はあの木偶人形を倒すだけだよ。」
私は未だに沈黙を貫くそれを指さして言った。刹那、アズレアが発言すると同時だった。
「わかっ…」
それは再び槍に変形し、アズレアの胸を貫いたのだった。傷口から赤く光り輝く血液が大量に溢れ出す。
「アズレア!?」
私は目の前で起きていることに動揺しながらも必死に傷口を押さえる。
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