3 / 4
3
しおりを挟む
私は、これまでの本来、自分の功績になるはずだったものを確認した。
今更、これを全て私がしたものだなんて言っても信じてもらえないだろうから、そんなことは言わない。
ただ、それを自信に、私は一切姉に加担しないように、キャシーが結婚したことを理由に、キャシーと仕事を分けてもらうように両親に提案した。
表面は、キャシーを気遣ってのものだ。我ながら良いアイディアである。
少しして、すぐにその成果は現れた。
これまでなんでも私に押し付けて、私のやったことを横取りしてきた姉は、こちらが引くくらいに無能だったのだ。
「キャシー、一体どうなっているんだ。お前は、結婚して、頭が花畑になってしまったの
か!?」
日に日に両親の怒鳴り声や悲痛の叫びが屋式内を飛び交うようになった。
けれど、だからといって公爵家の外部からの信頼を落とすようなことにはならなかった。
なぜなら、こここそが私の出番だからだ。
私は内心ほくそ笑みながら姉の尻拭いをした。
当然ながら、みるみるうちに両親の目は私に向き、外からの信頼もキャシーから私に向くようになった。
そしてとうとうキャシーは、両親から無能認定されたのだ。
「キャシー。お前に全てを相続させるつもりでいたが、考えなおすことにする」
そして、両親が秘密裏に調査させた結果、これまでの姉の怠惰まで証明されてしまったのだ。
これにより、晴れて私が公爵家の跡継ぎとして指名される決定的な理由ができたのだ。
「そんな……っ」
悔しげに歯を食いしばるキャシー。
自業自得だ。
ちなみに彼女の旦那のエリックは、まだキャシーが相続権を失ってしまったことを知らない。
プライドの高いキャシーが、自らそのことをエリックに言えるはずがないからだ。
そんなエリックは、今や、一日中キャシーの金で商店で遊び呆けているらしいと、風の噂で聞いている。
もちろん、キャシーはそんなことは知らないだろう。
私に惨めな思いをさせた二人にトドメを刺せるのも時間の問題だろう。
一方で、私はある出逢いを果たしていた。
「カレン、俺と結婚してほしい」
「え……!?」
同じく公爵家の騎士団長のトナーに告白されたのだ。トナーは、実は幼なじみ。
最近になって、婚約者と破局してしまったらしいトナーと再会して、瞬く間に告白された。
トナーは、私の初恋の人だ。
婚約者がいることや、私自身にも家が決めた婚約者がいたことから諦めていたが、こんなチャンスが巡ってくるとは思わなかった。
今更、これを全て私がしたものだなんて言っても信じてもらえないだろうから、そんなことは言わない。
ただ、それを自信に、私は一切姉に加担しないように、キャシーが結婚したことを理由に、キャシーと仕事を分けてもらうように両親に提案した。
表面は、キャシーを気遣ってのものだ。我ながら良いアイディアである。
少しして、すぐにその成果は現れた。
これまでなんでも私に押し付けて、私のやったことを横取りしてきた姉は、こちらが引くくらいに無能だったのだ。
「キャシー、一体どうなっているんだ。お前は、結婚して、頭が花畑になってしまったの
か!?」
日に日に両親の怒鳴り声や悲痛の叫びが屋式内を飛び交うようになった。
けれど、だからといって公爵家の外部からの信頼を落とすようなことにはならなかった。
なぜなら、こここそが私の出番だからだ。
私は内心ほくそ笑みながら姉の尻拭いをした。
当然ながら、みるみるうちに両親の目は私に向き、外からの信頼もキャシーから私に向くようになった。
そしてとうとうキャシーは、両親から無能認定されたのだ。
「キャシー。お前に全てを相続させるつもりでいたが、考えなおすことにする」
そして、両親が秘密裏に調査させた結果、これまでの姉の怠惰まで証明されてしまったのだ。
これにより、晴れて私が公爵家の跡継ぎとして指名される決定的な理由ができたのだ。
「そんな……っ」
悔しげに歯を食いしばるキャシー。
自業自得だ。
ちなみに彼女の旦那のエリックは、まだキャシーが相続権を失ってしまったことを知らない。
プライドの高いキャシーが、自らそのことをエリックに言えるはずがないからだ。
そんなエリックは、今や、一日中キャシーの金で商店で遊び呆けているらしいと、風の噂で聞いている。
もちろん、キャシーはそんなことは知らないだろう。
私に惨めな思いをさせた二人にトドメを刺せるのも時間の問題だろう。
一方で、私はある出逢いを果たしていた。
「カレン、俺と結婚してほしい」
「え……!?」
同じく公爵家の騎士団長のトナーに告白されたのだ。トナーは、実は幼なじみ。
最近になって、婚約者と破局してしまったらしいトナーと再会して、瞬く間に告白された。
トナーは、私の初恋の人だ。
婚約者がいることや、私自身にも家が決めた婚約者がいたことから諦めていたが、こんなチャンスが巡ってくるとは思わなかった。
128
あなたにおすすめの小説
妹は奪わない
緑谷めい
恋愛
妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……
私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?
自信過剰なワガママ娘には、現実を教えるのが効果的だったようです
麻宮デコ@SS短編
恋愛
伯爵令嬢のアンジェリカには歳の離れた妹のエリカがいる。
母が早くに亡くなったため、その妹は叔父夫婦に預けられたのだが、彼らはエリカを猫可愛がるばかりだったため、彼女は礼儀知らずで世間知らずのワガママ娘に育ってしまった。
「王子妃にだってなれるわよ!」となぜか根拠のない自信まである。
このままでは自分の顔にも泥を塗られるだろうし、妹の未来もどうなるかわからない。
弱り果てていたアンジェリカに、婚約者のルパートは考えがある、と言い出した――
全3話
ことあるごとに絡んでくる妹が鬱陶しいので、罠にかけました
四季
恋愛
わがままに育った妹は、私の大事なものをことあるごとに奪ってくる。しかも父親は妹を可愛がっていてまっとうな判断ができない。
これまでは諦めるだけだった。
でももう許さない。
妹の特性を利用し、罠にはめるーー!
婚約者から婚約破棄のお話がありました。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「……私との婚約を破棄されたいと? 急なお話ですわね」女主人公視点の語り口で話は進みます。*世界観や設定はふわっとしてます。*何番煎じ、よくあるざまぁ話で、書きたいとこだけ書きました。*カクヨム様にも投稿しています。*前編と後編で完結。
姉の歪んだ愛情に縛らていた妹は生傷絶えない日々を送っていましたが、それを断ち切ってくれる人に巡り会えて見える景色が様変わりしました
珠宮さくら
恋愛
シータ・ヴァルマは、ドジな令嬢として有名だった。そして、そんな妹を心配しているかのようにずっと傍らに寄り添う姉がいた。
でも、それが見た目通りではないことを知っているのといないとでは、見方がだいぶ変わってしまう光景だったことを知る者が、あまりにも少なかった。
あなたに愛されたいと願う私は愚か者だそうです、婚約者には既に心に決めた人が居ました。
coco
恋愛
「俺に愛されたい?お前は愚かな女だな。」
私の愛の言葉は、そう一蹴された。
何故なら、彼には既に心に決めた人が居たのだから─。
特殊能力を持つ妹に婚約者を取られた姉、義兄になるはずだった第一王子と新たに婚約する
下菊みこと
恋愛
妹のために尽くしてきた姉、妹の裏切りで幸せになる。
ナタリアはルリアに婚約者を取られる。しかしそのおかげで力を遺憾なく発揮できるようになる。周りはルリアから手のひらを返してナタリアを歓迎するようになる。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる