初恋

SAKI

文字の大きさ
1 / 1

告白

しおりを挟む
 4月。高校1年になる、この春。私、堀谷 沙紀帆は期待と緊張で丘の上高校に入学した。
 「ハァ~…。緊張するなぁ…友達できるかな…」
 私は独り言を呟きながら、教室へ向かった。
 「さっちゃん!わぁ!同じクラスだぁ~!!」
 さっちゃんと私を呼ぶ友達は、間宮 明日香。とても身長が小さい。メガネの髪の毛サラサラな黒髪のかわいい子だ。
 メガネと言っても、今はコンタクトだ。高校生になったらコンタクトにすると決めていたらしい。
 「明日香!やっぱり明日香はメガネがない方が可愛いね!」
 私がそう言うと明日香は照れたように笑った。
 「えへへっ!ありがとう!今年もよろしくね!」
 「明日香~!沙紀帆~!私も同じクラスだよ~!!」
 すごく頭がいい鈴木 萌。私の親友である。でも、明日香も親友と言えるほど仲がいい。
 「すごーい!同じクラスなんだ!!」
 私たち3人は大喜びした。
 「おい!萌!」
 萌ちゃんの後ろから齋藤 冬弥が出てきた。 
 「あらあら?萌ちゃん?彼氏さんが呼んでいますよ~?」
 「う、うるさい!まだ彼氏じゃないし!」
 萌ちゃんは顔を真っ赤にしながら冬弥の所へ行った。冬弥は私たち3人と小学校の頃からの付き合いだ。私は男子に非常にいじられやすく、冬弥からもよくからかわれていた。
 萌ちゃんと冬弥は、話を聞くかぎり、両思いらしい。けれどまだ付き合ってない…らしい!
 「沙紀帆!」
 後ろから私を呼ぶ大好きな人の声が聞こえた。
 「つ、翼!」
 振り向くとそこには山田 翼がいた。実は、私の好きな人は、翼なのだ。私は勉強がとても苦手だった。けれど翼がサッカーの強いこの高校を受けると聞き、私は死にものぐるいで勉強し、ようやくこの高校に受かったのだ。
 「沙紀帆!この高校受かったんだな!おめでとう!!」
 翼は微笑んで言った。
 「ありがとう。翼もおめでとう!」
私も微笑み返して言った。
 「やっぱりこのおかげかな」
 翼が取り出したのは、ウサギの合格祈願のキーホルダーだった。
 そのキーホルダーは私が翼の机の中にひっそりしのばせたのだ。そして、そのキーホルダーと色違いのピンクのウサギの合格祈願のキーホルダーを私が持っている。
 「それ、何?」
 私は何も知らないふりをして、そう聞いた。
 「これな、中学の時、俺の机の中にあったんだよ。なんか、このウサギ見てると、緊張がなくなる気がして…。最初は何これ?って思ったんだけどな。捨てるに捨てられなくて…。このウサギのおかげで冷静に問題が解けて、面接でもちゃんとできた気がするんだ。」
 私はちょっと安心した。捨てられなくて良かった…
「良かった…」
 私はそう呟いてしまった。
 「何が?」
 翼は私に首をかしげて聞いた。
 「あ!いや、えっと…あっと…あ、UFO!!」
 私は空を指さして言った。
 「ヘタクソかよ。」
 翼が呆れた表情で言った。
 「ア…アハハ…」
 私はとりあえず笑った。
 「そういえば、沙紀帆って何組?」
 「あ、私は3組だよ!」
 私がそう言うと、翼は驚いた顔をした。
 「あ。もしかして…翼も3組?」
 「大正解」
 「本当!?」
 翼も3組なんだ。
 そう思うと、勝手に頬がゆるんだ。
 うれしい…すっごくうれしい…!
 「何ニヤニヤしてるの?あ、もしかして…俺と同じクラスになれたのがそんなにうれしかった?」
 翼がニヤニヤしながら聞いてきた。
 「うん」
 「は?」
 「あ。」
 うわぁぁぁ!!やってしまったぁぁぁぁぁ!!何言ってるの!?私!?
 「いや、その別にその…ぼーっとしてて…」
 私は真っ赤になりながら言った。
「今の返事本当だな?」
 翼は私をしっかり見て言った。
 「へ?わぁ!!」
 グイッと手を引かれ、新入生の人混みを抜け、人気がない所へ連れていかれた。
 「ちょ…ちょっと…翼…?」
 翼は私の両手をつかんで壁に押し付けた。
 「沙紀帆…」
 翼は私の肩に頭を乗せた。
 「本当は合格発表の日に言うつもりだった。でも、沙紀帆が泣いてて…俺は沙紀帆に言うことが出来なかった…。沙紀帆……沙紀帆が好きだ…」
 しばらく沈黙が続いた。
 「あの…翼…」
 「あのさっ!」
 翼は私の言葉を遮った。
 「返事はまだいい…」
 そう翼が言うと、私の両手を解放して、新入生の中に入っていった。
 ポロッ
 私は一筋の涙を流した。
 「ウソ…」
 うれしい…翼それ、本当なの?
 「沙紀帆!」
 「あ…萌ちゃん…」
 萌ちゃんは私を心配して走ってきた。その後ろから冬弥が走ってきた。
 冬弥は私が泣いているのを知り、萌ちゃんを追い越して、萌ちゃんよりさきに私の元へ来た。
 ガッ
 「ひゃっ!!」
 冬弥はすごい形相で私の肩を掴んだ。
 「沙紀帆!泣いているのか!?大丈夫か!?何があったんだ!?」
 「と…冬弥…どうしたの?」
 私は冬弥がなぜそんなに言っているのか分からなかった。
 「あ…いや…その…泣いてたから…」
 「え?何?心配してくれたの~?」
 しどろもどろで話す冬弥に、私はニヤニヤしながら言った。
 「は!?ってかお前元気じゃん!!心配して損した!」
 やっぱり心配してくれたんだ…
 「冬弥」
 私が冬弥の名前を呼ぶと、不機嫌そうに振り向いた。
 「ありがとう」
 私は微笑みながら言った。
 「…沙紀帆…」
 冬弥は私の頬に手を伸ばした。
 「冬弥!」
 後ろで萌ちゃんが呼んだ。すると、冬弥はハッとしたように手を引っ込めた。
 「冬弥。あとは私に任せてよ。さきに教室行ってて」
 萌ちゃんは冬弥にそう言った。そして、冬弥は私の頭をポンッと撫でて、去り際に行った。
 「俺も3組だから」
 その時と見た冬弥の表情は切なそうに笑っていた。
 「沙紀帆…大丈夫?」
 萌ちゃんの質問に私はコクリとうなづいた。
 「あのね…えっと…その…放課後に話すから…とりあえず教室行こ?」
 私はニコリとしながら言った。萌ちゃんは首をかしげながらコクンとうなづいた。
 「今年はどんなクラスになるか楽しみだね!」
 萌ちゃんは教室に向かいながら言った。
 「そうだね!あれ?そういえば、明日香は?」
 「明日香は多分さきに教室行ったよ」
 呆れた表情で萌ちゃんは言った。
 「ええっ!なんでさきに行っちゃうの~…」
 私は驚きながら言った。それを見た萌ちゃんはフッと笑った。
 「明日香は本当に自由だよね~。逆に羨ましいわ…」
 そう他愛のない話をしながら、ついに1-3に着いた。
 カラ
 私はそっと教室に入り、自分の席を見つけた。
 そして、自分の席に着いた。前の人は…誰!?
 そう思っていると前の人がいきなり振り向いた。
 「どーも!俺、野中 優斗!」
 わ、私に話しかけてるのかな?ずいぶんと可愛い人だなぁ…
 「あ、えっと…私は堀谷 沙紀帆。えっと1年間よろしくね?」
 そう笑って言うと、野中 優斗は目をキラキラさせた。
 「すっげーな!俺のクラスにこんな美女がいるなんて!」
 …何こいつ…あっ!もしかしてやっぱり私に言ってなかったのかな!?うわぁ!恥ずかしい~!!つい自己紹介しちゃったよ~!!
 「ご、ごめんなさい!あの、私、その、自分に話しかけてると思っちゃって!!間違えて答えてしまってごめんなさい!」
 私が頭を下げて謝っていると、「あははははっ!!」といきなり野中 優斗が笑いだした。
 「へっ!?」
 私が驚いて顔を上げると、涙目で野中 優斗が言った。
 「いや、俺、さっきから君に話しかけてるんだけど…くくっ…あー、本当に笑える…。この現代社会にこんな天然がいたんだ…」
 笑いを堪えながら話す野中 優斗を目の前に私は呆然とするしかなかった。
 「だ、だって…美女って…」
 私はしどろもどろになりながら言った。
 「だーかーらー、美女は君のことだって!他に誰がいるの?周りをよく見た方がいいよ。」
 そう言われ、周りを見てみると周りは見事に男子ばかりだった。
 「ね?周りに美女は君くらいしかいないんだから!」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

処理中です...