40 / 75
ゆうの家
しおりを挟む
久しぶりのゆうの家。ここから私の人生が180度変わったことを思い出す。
今思えば、あの時ゆうにプロポーズしなくてよかったと思う。あの頃の
私は本当に愛というものを知らなかったのだろう。尽くし我慢すること
だけが愛だと思っていた。尽くされ愛される喜びも知らなかった。
もうカインしか愛せないし、愛したくない。
ゆうの家のインターホンを鳴らした。
また、女性が出てきたらどうしようか、少しトラウマが蘇り怖かったが、誰も
出て来ない。やはり、今日は平日の木曜日である。普通に仕事かなと思い、
諦めて出直そうと思った時、扉が開いた。そこには、熱サマシートを額につけた
真っ赤な顔のしんどそうなゆうが立っていた。
「はぁ、はぁ、え?アズサ?なんで?」
ゆうはしんどいながらも私の出現に驚いたようで倒れそうになった。
私は慌てて支えた。そして、ゆうを支えながら部屋の中に入り、
ベッドに寝かしつけた。
「何も食べていないんでしょう?おかゆでも作ろうか」
そう言って、冷蔵庫を開け、卵がゆを作ることにした。
「悪い。できたら起こしてくれ」
と言い、ゆうは寝ていった。私は昔もこんなことあったなと懐かしむ。
でも、お粥を作りながらも考えるのはカインのことばかり。カインはまた私が
消えてパニック起こしていないかな。カイン、私のことなんか忘れてしまって、
別の人と結婚してたらどうしよう。そう考えるだけで涙が出てきた。
お粥の塩分になりそうだと気分を紛らわせた。とりあえず、お粥を作って
ゆうが話せる状態になったら、聞いてみよう。
「ゆう、ゆう、お粥できたよ」
ゆうが起きた。先程よりも顔色もよくなっていたので、安心した。
「梓、ありがとう。なんか懐かしいな」
「そうだね」
「やっぱり、俺梓のことまだ好きだわ。日本に戻ってからも梓のことばかり考えてたんだ。勝手なこと言って悪いと思うけど、結婚してくれないか。俺には梓が必要なんだ」
私は驚いた。もし、これが前回の時だったら、私はゆうと結婚していただろう。
タイミングって本当にあるんだなと思う。
「ごめん。私カインと結婚するから」
「だよね。ちゃんと踏ん切りつけたくて、プロポーズしただけだから気にすんな」
「うん。ところで私の職場に連絡してくれてたんだよね。ありがとう」
「なんか黒髪のお姉さんが時差みたいなのはあるけど、俺は3日くらいの行方不明で
済んだらしいけど、お前は向こうにいるからどうなるかわからないからこちらの世界のことはお前に任せたって言った後に消えた」
私は、あの黒髪の天女様なら言いそうだなと思い、笑ってしまう。
「やっと、笑ったな。よかった」
そういえば、こちらに来てからカインと会えないのが辛くて、両親と会っても、
係長やゆうと話しても、帰ってきたという安心はあったけど、気が休まって
いなかったことに気付く。私にとっては、もうあちらの世界が私の人生の
基盤になっているのだった。
「梓どうするの。あっちでカインと結婚するならこちらの生活ちゃん終わらせないとこれ以上はもう騙しきれないと思うぞ」
「そうだよね。異世界転生してましたって説明できないよね。誰も信用してくれないだろうし」
「頭痛い奴だと思われるしな。職場は知ってたから良かったけど、お前の両親には何も知らせることできなかったが大丈夫だったのか」
「うちの両親は基本放任主義だから、全く問題なかったよ」
「そうか、でどうやって戻れるかわかっているのか」
「ううん。全くわからないの。カインの家の階段から落ちたら、自分の部屋だったし」
二人してどうすればいいのか考えた。ゆうはまだ熱がありそうだが
大丈夫なのだろうかと心配したが、一生懸命考えてくれていた。
私は、こんな一生懸命なゆうが好きだったんだと思い出す。
だから、浮気現場を見た嫌な思い出は、いい思い出へと変えることが
できたのでした。
今思えば、あの時ゆうにプロポーズしなくてよかったと思う。あの頃の
私は本当に愛というものを知らなかったのだろう。尽くし我慢すること
だけが愛だと思っていた。尽くされ愛される喜びも知らなかった。
もうカインしか愛せないし、愛したくない。
ゆうの家のインターホンを鳴らした。
また、女性が出てきたらどうしようか、少しトラウマが蘇り怖かったが、誰も
出て来ない。やはり、今日は平日の木曜日である。普通に仕事かなと思い、
諦めて出直そうと思った時、扉が開いた。そこには、熱サマシートを額につけた
真っ赤な顔のしんどそうなゆうが立っていた。
「はぁ、はぁ、え?アズサ?なんで?」
ゆうはしんどいながらも私の出現に驚いたようで倒れそうになった。
私は慌てて支えた。そして、ゆうを支えながら部屋の中に入り、
ベッドに寝かしつけた。
「何も食べていないんでしょう?おかゆでも作ろうか」
そう言って、冷蔵庫を開け、卵がゆを作ることにした。
「悪い。できたら起こしてくれ」
と言い、ゆうは寝ていった。私は昔もこんなことあったなと懐かしむ。
でも、お粥を作りながらも考えるのはカインのことばかり。カインはまた私が
消えてパニック起こしていないかな。カイン、私のことなんか忘れてしまって、
別の人と結婚してたらどうしよう。そう考えるだけで涙が出てきた。
お粥の塩分になりそうだと気分を紛らわせた。とりあえず、お粥を作って
ゆうが話せる状態になったら、聞いてみよう。
「ゆう、ゆう、お粥できたよ」
ゆうが起きた。先程よりも顔色もよくなっていたので、安心した。
「梓、ありがとう。なんか懐かしいな」
「そうだね」
「やっぱり、俺梓のことまだ好きだわ。日本に戻ってからも梓のことばかり考えてたんだ。勝手なこと言って悪いと思うけど、結婚してくれないか。俺には梓が必要なんだ」
私は驚いた。もし、これが前回の時だったら、私はゆうと結婚していただろう。
タイミングって本当にあるんだなと思う。
「ごめん。私カインと結婚するから」
「だよね。ちゃんと踏ん切りつけたくて、プロポーズしただけだから気にすんな」
「うん。ところで私の職場に連絡してくれてたんだよね。ありがとう」
「なんか黒髪のお姉さんが時差みたいなのはあるけど、俺は3日くらいの行方不明で
済んだらしいけど、お前は向こうにいるからどうなるかわからないからこちらの世界のことはお前に任せたって言った後に消えた」
私は、あの黒髪の天女様なら言いそうだなと思い、笑ってしまう。
「やっと、笑ったな。よかった」
そういえば、こちらに来てからカインと会えないのが辛くて、両親と会っても、
係長やゆうと話しても、帰ってきたという安心はあったけど、気が休まって
いなかったことに気付く。私にとっては、もうあちらの世界が私の人生の
基盤になっているのだった。
「梓どうするの。あっちでカインと結婚するならこちらの生活ちゃん終わらせないとこれ以上はもう騙しきれないと思うぞ」
「そうだよね。異世界転生してましたって説明できないよね。誰も信用してくれないだろうし」
「頭痛い奴だと思われるしな。職場は知ってたから良かったけど、お前の両親には何も知らせることできなかったが大丈夫だったのか」
「うちの両親は基本放任主義だから、全く問題なかったよ」
「そうか、でどうやって戻れるかわかっているのか」
「ううん。全くわからないの。カインの家の階段から落ちたら、自分の部屋だったし」
二人してどうすればいいのか考えた。ゆうはまだ熱がありそうだが
大丈夫なのだろうかと心配したが、一生懸命考えてくれていた。
私は、こんな一生懸命なゆうが好きだったんだと思い出す。
だから、浮気現場を見た嫌な思い出は、いい思い出へと変えることが
できたのでした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる