【完結】異世界に転生したら、元カレが敵みたいですが、溺愛騎士様がいるので大丈夫です。

SORA

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ゆうの家

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 久しぶりのゆうの家。ここから私の人生が180度変わったことを思い出す。

今思えば、あの時ゆうにプロポーズしなくてよかったと思う。あの頃の

私は本当に愛というものを知らなかったのだろう。尽くし我慢すること

だけが愛だと思っていた。尽くされ愛される喜びも知らなかった。

もうカインしか愛せないし、愛したくない。

ゆうの家のインターホンを鳴らした。

また、女性が出てきたらどうしようか、少しトラウマが蘇り怖かったが、誰も

出て来ない。やはり、今日は平日の木曜日である。普通に仕事かなと思い、

諦めて出直そうと思った時、扉が開いた。そこには、熱サマシートを額につけた

真っ赤な顔のしんどそうなゆうが立っていた。

「はぁ、はぁ、え?アズサ?なんで?」

ゆうはしんどいながらも私の出現に驚いたようで倒れそうになった。

私は慌てて支えた。そして、ゆうを支えながら部屋の中に入り、

ベッドに寝かしつけた。

「何も食べていないんでしょう?おかゆでも作ろうか」

そう言って、冷蔵庫を開け、卵がゆを作ることにした。

「悪い。できたら起こしてくれ」

と言い、ゆうは寝ていった。私は昔もこんなことあったなと懐かしむ。

でも、お粥を作りながらも考えるのはカインのことばかり。カインはまた私が

消えてパニック起こしていないかな。カイン、私のことなんか忘れてしまって、

別の人と結婚してたらどうしよう。そう考えるだけで涙が出てきた。

お粥の塩分になりそうだと気分を紛らわせた。とりあえず、お粥を作って

ゆうが話せる状態になったら、聞いてみよう。

「ゆう、ゆう、お粥できたよ」

ゆうが起きた。先程よりも顔色もよくなっていたので、安心した。

「梓、ありがとう。なんか懐かしいな」

「そうだね」

「やっぱり、俺梓のことまだ好きだわ。日本に戻ってからも梓のことばかり考えてたんだ。勝手なこと言って悪いと思うけど、結婚してくれないか。俺には梓が必要なんだ」

私は驚いた。もし、これが前回の時だったら、私はゆうと結婚していただろう。

タイミングって本当にあるんだなと思う。

「ごめん。私カインと結婚するから」

「だよね。ちゃんと踏ん切りつけたくて、プロポーズしただけだから気にすんな」

「うん。ところで私の職場に連絡してくれてたんだよね。ありがとう」

「なんか黒髪のお姉さんが時差みたいなのはあるけど、俺は3日くらいの行方不明で
済んだらしいけど、お前は向こうにいるからどうなるかわからないからこちらの世界のことはお前に任せたって言った後に消えた」

私は、あの黒髪の天女様なら言いそうだなと思い、笑ってしまう。

「やっと、笑ったな。よかった」

そういえば、こちらに来てからカインと会えないのが辛くて、両親と会っても、

係長やゆうと話しても、帰ってきたという安心はあったけど、気が休まって

いなかったことに気付く。私にとっては、もうあちらの世界が私の人生の

基盤になっているのだった。

「梓どうするの。あっちでカインと結婚するならこちらの生活ちゃん終わらせないとこれ以上はもう騙しきれないと思うぞ」

「そうだよね。異世界転生してましたって説明できないよね。誰も信用してくれないだろうし」

「頭痛い奴だと思われるしな。職場は知ってたから良かったけど、お前の両親には何も知らせることできなかったが大丈夫だったのか」

「うちの両親は基本放任主義だから、全く問題なかったよ」

「そうか、でどうやって戻れるかわかっているのか」

「ううん。全くわからないの。カインの家の階段から落ちたら、自分の部屋だったし」

二人してどうすればいいのか考えた。ゆうはまだ熱がありそうだが

大丈夫なのだろうかと心配したが、一生懸命考えてくれていた。

私は、こんな一生懸命なゆうが好きだったんだと思い出す。

だから、浮気現場を見た嫌な思い出は、いい思い出へと変えることが

できたのでした。

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