死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。

みゅー

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第二十七話

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 部屋へ案内されると、どことなく王都にある邸宅の自室に雰囲気がにていてほっとした。振り向きカルに訊く。

わたくしの好みを調べましたの?」

 カルは微笑む。

「まだ驚くのは早いんじゃないかな? 寝室へ行って天井を見てごらん?」

 続きになっている隣の部屋に行くと寝室とバスルームがあった。部屋に入り上を見上げる。するとそこに見慣れた双子の天使がいた。アザレアは両手で口を押さえると振り返った。

「カル! これはなんですの!?」

 と、あまりの驚きに変な質問の仕方をしてしまった。

「驚いたかな? この絵を描いた絵師を探すのに苦労した。喜んでくれると嬉しいのだが」

 アザレアは少し複雑な気持ちになった。

「いえ、あの、正直、若干引いております」

 と言うと、カルは声を出して笑った。

「おかしいな、君がおすすめした恋愛小説を読んで色々参考にしているのに?」

 言われた瞬間、アザレアは自分の顔に血が登るのを感じ、両手で頬を押さえる。

「あ、いや、あの、あれは、違うのです」

 カルはイタズラっぽい笑顔で、首を少しかしげる。

「違うの? どんなふうに?」

 何か言い訳をしようと色々考えたが、何も思い浮かばなかった。そんなアザレアを嬉しそうに見ながら、カルはアザレアとの距離をつめる。

「あれを読むまでは、君は黙って後ろからついて行くのを良しとしていると思っていた。だがあの本を読んだ時、頭をガンっと殴られた気持ちになったよ。そして、私は君の理想とする『厳格な王太子殿下』を演じなくても良いと知った。そもそも君はそんな王太子殿下を求めてはいなかったんだからね」

 そしてアザレアの面前に立ち、アザレアの頬を撫でる。

「だから君の望む通り、君の前では私は偽るのをやめた。私は君しかいらない。君のためならなんだってする。今の私はそんな人間なんだよ」

 アザレアは恥ずかしくて硬直する。嬉しいのだが、うまく返事が返せない。カルは微笑むとアザレアの耳元で囁く。

「緊張してる? その反応も可愛いね」

 そう言うと、アザレアの頬から手を離す。

「疲れたのだったね、少し休むといい。後で王宮内を案内しよう」

 と言って部屋から出ていった。アザレアは緊張が溶けて全身の力が抜け、椅子に座った。
 カルの変化に驚いていたが、実は今のカルが素であって、それを今まで我慢してきたことは理解できた。

 だが、ここに来たのは保護してもらう目的だけではない、もちろんカルに甘やかされるためでもない。時空魔法を極めるためだ。

 そう思うと居住いを正し、生き抜いて高等科に通うぞ! と心の中で誓った。そこにシラーがやってきた。

「お嬢様? 荷解きのご指示をいただけますか?」

 アザレアが落ち着くのを待っていたようだ。

「ありがとう、今行きますわ」

 アザレアは寝室へ向かった。

 寝室へ行き、指示を出して二人を見ていたら、シラーとミレーヌがお互い無言で別々に荷解きをしている。それを見て、ふたりが仲良くできるか心配になった。

「ふたりとも、連携して仕事ができるかしら?」

 不安を言葉にすると、二人は荷物から顔を上げしばらくお互いを見つめ合うと笑った。不思議に思って見ていると、ミレーヌがアザレアの顔を見て慌てて立ち上がる。

「申し訳ありません、あの、私とシラーは従姉妹なのです」

 アザレアはその事実に驚きはしたが、同時に不安が消えてほっとした。シラーとミレーヌの仲が悪ければ、色々とトラブルになることも考えられたが、従姉妹ならばそんな問題はおきないだろう。

 もしもトラブルを起こしたりすると、ミレーヌは王宮の人間なので、シラーの立場が悪くなる。が、そんな心配は無用だったようだ。

「じゃあ、大丈夫ね」

 と言うとシラーが笑って答える。

「ご心配いただきありがとうございます。でもお嬢様、心配しすぎですよ」

 アザレアもつられて笑った。そして続ける。

「シラーの叔母は、王太子殿下の乳母だったわね」

 ミレーヌが元気良く答える。

「はい、そうです。その叔母が私の母です」

 カルが信頼できる血筋と言ったのはそう言うことだったのだ。そんなことを考えているとシラーが

「お嬢様、早くいたしませんと王太子殿下が後程案内すると仰ってましたでしょ?」

 と、荷解きの指示を催促したので、荷解きに集中して、早く済ませてしまうことにした。

 荷解きを終えて、部屋で紅茶をいただいているとカルが部屋に訪ねてきた。

「やぁ、まだお茶の最中かな?」

 アザレアはティーカップを置き立ち上がる。

「いえ、大丈夫です。カルには王宮を案内してもらうお約束でしたね、どうぞ宜しくお願いします」

 と左手を出した。カルはその手を取る。

「では行こう」

 カルはアザレアの手を引いて歩き始めた。

 王宮には何度も来ているが、当然王族以外入れない場所が複数あるので、王宮内の詳細なことはわかっていなかった。

 正面玄関口から入って、広々としたエントランスホールがあり、その中央に向かい合わせで、二階へ続く半円形の階段がある。

 エントランス正面にはダンスホールに続く扉がった。ダンスホールに入ると、三階までの吹き抜けになっていて、ぐるりと取り囲んでスカイウォークが取り付けられている。そして、真っ正面には先代の国王の肖像画があり、その手前が一段高くなっていて、国王皇后両陛下の座る玉座があった。

 ここまではアザレアも来たことがあったので、見知った場所だった。


 王宮を上から見ると長方形の建物になっていて、一番奥に建物から少し飛び出している部屋がある。そして、四隅に渡り廊下があり別棟と繋がっていた。

 この別棟は貴賓室意外は、王族か関係者しか入れない場所だった。

 一番奥の、建物から少し飛び出ている場所が、王族の私室となっている。二階に国王陛下と皇后陛下の部屋。一階にアザレアとカルの部屋がある。

 左下の別棟に使用人たちの食堂と厨房、左上にカルが魔法の特訓や授業を受ける円柱の別棟がある。右上の別棟が図書室になっている。

 そこまで案内したところで、カルは立ち止まる。

「君はここはよく知っているだろうが案内しよう」

 と笑った。今日はふたりで揃って図書室に入った。
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