5 / 46
5
しおりを挟む
「申し訳ありません」
「いや、お前なら引く手数多だ。心配することはない。エクトルもいるしな」
テオドールがそう慰めるように言うと、エクトルが目をキラキラさせながら満面の笑みで答える。
「はい、お父様。お姉様のことは僕にお任せください」
「うん、よろしく頼むぞ」
「二人とも、またしょうのない冗談を言って」
そう呟くと、それを受け流してテオドールに言った。
「お父様、それとお願いがありますの」
「なんだ?」
「はい、しばらく王都を離れたいのです」
するとテオドールは困惑した。
「アレク、だが今は社交界シーズンに入ったばかりだぞ? 一番大切な時期だ。シーズンが終わるまで待てないのか?」
「申し訳ありません。けれど今は、殿下の噂を耳にするだけでも辛いのです」
「だが……」
テオドールはそう言って少し考えたような顔をしてから、大きくため息をついた。
「あれほど殿下との婚姻を望んでいたのだ。お前が落ち込む気持ちもわからなくはないな。少しのあいだだけならいい」
アレクサンドラはそれを聞いてテオドールに飛びついた。
「お父様、ありがとうございます」
「こら、お前はもう立派な淑女なのだからこんなことをしてはだめだぞ」
そう言いながらテオドールは顔をほころばせると、アレクサンドラに尋ねる。
「それで、どこへ行くつもりだ?」
「はい、モイズ村へ行こうと思っております」
「モイズか。あそこはお前が小さい頃、何年も過ごした場所だったな」
「はい、五年ほど過ごしましたわ」
「そうだったな。それで、いつから?」
「明日にはここを発とうと思ってますの」
「明日?! それは随分急な話だ。それにな、私は少し用事ができてしばらく忙しくなる。お前が向こうに発つなら少し一緒にいる時間を作りたいんだが、私の用事が済んでからではだめなのか?」
「ご用事ってなんですの?」
「アシューの土地を私に売りたいと話があってな。あそこは北からのエメラルドの鉱脈がつながっている。掘れば必ず出るはずだ。買わない手はない」
「アシューですの? けれど、あそこは持ち主が誰にも譲らないと言っていたはず。それなのに急にどうしたのでしょう?」
「わからん。手放さないといけない理由があるんだろう。経済的な理由とかな。いや、今はそんなことはどうでもいい。とにかくその交渉を早く済ませてくるから、少し待てないのか?」
アレクサンドラは首を横に振る。
シルヴァンになにをされるかわからない現状、早く王都から出ていかなければならないからだ。
「モイズの屋敷には一通り物が揃ってますし、特に持っていく荷物もありませんわ。 それに、私、辛くて一秒でも早くここを出たいのです」
そう言って瞳を潤ませた。
「そ、そうか……ならば仕方がない。手配しておこう。明日は早朝に出ることになるが」
「それぐらい大丈夫ですわ」
「だが、しばらく会えないとなると寂しくなるな」
テオドールはしみじみアレクサンドラを見つめた。
「なら、たくさん手紙を書きますわ」
「そうだな、そうしてほしい」
「では、部屋に戻りますわね。準備をしなければいけませんもの」
そう言って、自室へ向うとそのうしろをエクトルが慌てて追いかけてきた。
「お姉様! お姉様がモイズに行くなら僕も……」
アレクサンドラは立ち止まり、振り向くとエクトルを見つめた。
「だめよ、エクトル。お父様も仰ってましたけど、今は社交界シーズンですわ。 特にあなたはお父様と挨拶回りをして、社交界で顔を覚えてもらわなくてはならないのよ? モイズに連れて行くわけにはいかないわ」
「でも、モイズは馬車を一日休まず走らせてもここから五日はかかるのですよ? 遠すぎます。お姉様がそんな離れたところへ行ってしまうなんて嫌です」
「とにかく、だめなものはだめよ。そうね、お父様からお許しが出ればいいわ」
そう言われエクトルは不満そうな顔をした。
「お父様はお姉様のお願いしか聞いてくれませんよ」
「なら、説得することね」
「そんな……」
そう呟いてうなだれるエクトルをそこへ残し、アレクサンドラは自室へ入った。
ロザリーに明日からモイズへ立つことを話すと、最初は驚いていたものの、久しぶりに故郷へ帰れると大喜びした。
そんなロザリーを見つめ、結婚せずロザリーを連れてずっとモイズに引きこもってもいいかもしれないなどとアレクサンドラは考えていた。
アレクサンドラは今年で十八歳となる。
貴族令嬢としてはもうそろそろ婚姻適齢期が過ぎるころだ。
モイズ村でなんだかんだ理由をつけて過ごしていれば、テオドールも娘のことはやがて諦めるだろう。
そうしてあれこれ考えながら、軽く荷をまとめると、その夜は早々にベッドへ潜り込んだ。
翌朝、エクトルとテオドール、母親のイネスに見送られ屋敷をあとにした。
エクトルはアレクサンドラの出発直前までずっとテオドールに自分も行きたいと主張していたが、それはあっさりと却下された。
そんなエクトルをなだめると、両親に挨拶をして馬車を走らせた。
アレクサンドラは焦らずゆっくりモイズ村に向かうことにしていた。
途中、野営はせずにできる限り村の宿に泊まることにし、観光も兼ねてこの旅を楽しんだ。
宿に泊まるたび地元の食事を楽しみ、領民たちとも言葉を交わしながら、一週間以上をかけてようやくモイズ村に到着した。
モイズ村の屋敷はしっかり管理されており、すぐにでも使える状態となっていた。
「ロザリー、あなたモイズに帰ってきたのはいつぶりかしら。 どうせなら、しばらく実家から屋敷に通うといいわ。 それにまとまった休みを取れるよう、メイド長にも言っておくわね」
ロザリーは嬉しそうに目を見開く。
「お嬢様、よろしいのですか?」
「もちろんよ。今日ももういいわ、家に帰ってご両親を安心させてあげて」
「はい!」
そう言ってさがって行ったロザリーに、アレクサンドラは他の使用人にロザリーへお土産をもたせるよう指示を出すと、窓の外を眺めた。
窓を開け、外の景色を眺める。
外はまだ明るく、日が差して暖かい陽気だった。
のどかな田舎の空気を胸いっぱい吸い込み、思い切り伸びをすると、これからしばらくここでなにをして過ごそうかとわくわくした。
考えてみれば今まで、他の令嬢と張り合い神経をすり減らし、プライベートではマナーレッスンなどに追われ、ゆっくりする時間もなかった。
どうせなら時間に縛られず、好きなときに散歩したり、馬で遠乗りしたり、本を読んだり、気ままに街へ買い物に出かけたりと、好き放題に過ごすことにした。
そうしてアレクサンドラはゆったりとした時間を過ごした。
「今日はどの本を読もうかしら……」
そう呟きながら本の背表紙を目で追っていると、エントランスの方が騒がしいことに気づいた。
「お嬢様にあなたのような方をお会いさせるわけにはまいりません。お帰りください」
「ほんの少しでいいのです。話をきいてくれませんか」
「いけません!」
そんな押し問答をしている。
アレクサンドラは気になり、階段の上からエントランスホールを覗き込んだ。
すると執事のセバスチャンが、農夫らしき男性を外に押しだそうとしていた。
「いや、お前なら引く手数多だ。心配することはない。エクトルもいるしな」
テオドールがそう慰めるように言うと、エクトルが目をキラキラさせながら満面の笑みで答える。
「はい、お父様。お姉様のことは僕にお任せください」
「うん、よろしく頼むぞ」
「二人とも、またしょうのない冗談を言って」
そう呟くと、それを受け流してテオドールに言った。
「お父様、それとお願いがありますの」
「なんだ?」
「はい、しばらく王都を離れたいのです」
するとテオドールは困惑した。
「アレク、だが今は社交界シーズンに入ったばかりだぞ? 一番大切な時期だ。シーズンが終わるまで待てないのか?」
「申し訳ありません。けれど今は、殿下の噂を耳にするだけでも辛いのです」
「だが……」
テオドールはそう言って少し考えたような顔をしてから、大きくため息をついた。
「あれほど殿下との婚姻を望んでいたのだ。お前が落ち込む気持ちもわからなくはないな。少しのあいだだけならいい」
アレクサンドラはそれを聞いてテオドールに飛びついた。
「お父様、ありがとうございます」
「こら、お前はもう立派な淑女なのだからこんなことをしてはだめだぞ」
そう言いながらテオドールは顔をほころばせると、アレクサンドラに尋ねる。
「それで、どこへ行くつもりだ?」
「はい、モイズ村へ行こうと思っております」
「モイズか。あそこはお前が小さい頃、何年も過ごした場所だったな」
「はい、五年ほど過ごしましたわ」
「そうだったな。それで、いつから?」
「明日にはここを発とうと思ってますの」
「明日?! それは随分急な話だ。それにな、私は少し用事ができてしばらく忙しくなる。お前が向こうに発つなら少し一緒にいる時間を作りたいんだが、私の用事が済んでからではだめなのか?」
「ご用事ってなんですの?」
「アシューの土地を私に売りたいと話があってな。あそこは北からのエメラルドの鉱脈がつながっている。掘れば必ず出るはずだ。買わない手はない」
「アシューですの? けれど、あそこは持ち主が誰にも譲らないと言っていたはず。それなのに急にどうしたのでしょう?」
「わからん。手放さないといけない理由があるんだろう。経済的な理由とかな。いや、今はそんなことはどうでもいい。とにかくその交渉を早く済ませてくるから、少し待てないのか?」
アレクサンドラは首を横に振る。
シルヴァンになにをされるかわからない現状、早く王都から出ていかなければならないからだ。
「モイズの屋敷には一通り物が揃ってますし、特に持っていく荷物もありませんわ。 それに、私、辛くて一秒でも早くここを出たいのです」
そう言って瞳を潤ませた。
「そ、そうか……ならば仕方がない。手配しておこう。明日は早朝に出ることになるが」
「それぐらい大丈夫ですわ」
「だが、しばらく会えないとなると寂しくなるな」
テオドールはしみじみアレクサンドラを見つめた。
「なら、たくさん手紙を書きますわ」
「そうだな、そうしてほしい」
「では、部屋に戻りますわね。準備をしなければいけませんもの」
そう言って、自室へ向うとそのうしろをエクトルが慌てて追いかけてきた。
「お姉様! お姉様がモイズに行くなら僕も……」
アレクサンドラは立ち止まり、振り向くとエクトルを見つめた。
「だめよ、エクトル。お父様も仰ってましたけど、今は社交界シーズンですわ。 特にあなたはお父様と挨拶回りをして、社交界で顔を覚えてもらわなくてはならないのよ? モイズに連れて行くわけにはいかないわ」
「でも、モイズは馬車を一日休まず走らせてもここから五日はかかるのですよ? 遠すぎます。お姉様がそんな離れたところへ行ってしまうなんて嫌です」
「とにかく、だめなものはだめよ。そうね、お父様からお許しが出ればいいわ」
そう言われエクトルは不満そうな顔をした。
「お父様はお姉様のお願いしか聞いてくれませんよ」
「なら、説得することね」
「そんな……」
そう呟いてうなだれるエクトルをそこへ残し、アレクサンドラは自室へ入った。
ロザリーに明日からモイズへ立つことを話すと、最初は驚いていたものの、久しぶりに故郷へ帰れると大喜びした。
そんなロザリーを見つめ、結婚せずロザリーを連れてずっとモイズに引きこもってもいいかもしれないなどとアレクサンドラは考えていた。
アレクサンドラは今年で十八歳となる。
貴族令嬢としてはもうそろそろ婚姻適齢期が過ぎるころだ。
モイズ村でなんだかんだ理由をつけて過ごしていれば、テオドールも娘のことはやがて諦めるだろう。
そうしてあれこれ考えながら、軽く荷をまとめると、その夜は早々にベッドへ潜り込んだ。
翌朝、エクトルとテオドール、母親のイネスに見送られ屋敷をあとにした。
エクトルはアレクサンドラの出発直前までずっとテオドールに自分も行きたいと主張していたが、それはあっさりと却下された。
そんなエクトルをなだめると、両親に挨拶をして馬車を走らせた。
アレクサンドラは焦らずゆっくりモイズ村に向かうことにしていた。
途中、野営はせずにできる限り村の宿に泊まることにし、観光も兼ねてこの旅を楽しんだ。
宿に泊まるたび地元の食事を楽しみ、領民たちとも言葉を交わしながら、一週間以上をかけてようやくモイズ村に到着した。
モイズ村の屋敷はしっかり管理されており、すぐにでも使える状態となっていた。
「ロザリー、あなたモイズに帰ってきたのはいつぶりかしら。 どうせなら、しばらく実家から屋敷に通うといいわ。 それにまとまった休みを取れるよう、メイド長にも言っておくわね」
ロザリーは嬉しそうに目を見開く。
「お嬢様、よろしいのですか?」
「もちろんよ。今日ももういいわ、家に帰ってご両親を安心させてあげて」
「はい!」
そう言ってさがって行ったロザリーに、アレクサンドラは他の使用人にロザリーへお土産をもたせるよう指示を出すと、窓の外を眺めた。
窓を開け、外の景色を眺める。
外はまだ明るく、日が差して暖かい陽気だった。
のどかな田舎の空気を胸いっぱい吸い込み、思い切り伸びをすると、これからしばらくここでなにをして過ごそうかとわくわくした。
考えてみれば今まで、他の令嬢と張り合い神経をすり減らし、プライベートではマナーレッスンなどに追われ、ゆっくりする時間もなかった。
どうせなら時間に縛られず、好きなときに散歩したり、馬で遠乗りしたり、本を読んだり、気ままに街へ買い物に出かけたりと、好き放題に過ごすことにした。
そうしてアレクサンドラはゆったりとした時間を過ごした。
「今日はどの本を読もうかしら……」
そう呟きながら本の背表紙を目で追っていると、エントランスの方が騒がしいことに気づいた。
「お嬢様にあなたのような方をお会いさせるわけにはまいりません。お帰りください」
「ほんの少しでいいのです。話をきいてくれませんか」
「いけません!」
そんな押し問答をしている。
アレクサンドラは気になり、階段の上からエントランスホールを覗き込んだ。
すると執事のセバスチャンが、農夫らしき男性を外に押しだそうとしていた。
358
あなたにおすすめの小説
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!
恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。
誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、
三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。
「キャ...ス...といっしょ?」
キャス……?
その名を知るはずのない我が子が、どうして?
胸騒ぎはやがて確信へと変わる。
夫が隠し続けていた“女の影”が、
じわりと家族の中に染み出していた。
だがそれは、いま目の前の裏切りではない。
学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。
その一夜の結果は、静かに、確実に、
フローレンスの家族を壊しはじめていた。
愛しているのに疑ってしまう。
信じたいのに、信じられない。
夫は嘘をつき続け、女は影のように
フローレンスの生活に忍び寄る。
──私は、この結婚を守れるの?
──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの?
秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。
真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました
Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。
「彼から恋文をもらっていますの」。
二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに?
真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。
そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。
※小説家になろう様にも投稿しています
私のことを愛していなかった貴方へ
矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。
でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。
でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。
だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。
夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。
*設定はゆるいです。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる