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本編
大輝編66話~あの人は今~
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『さて、今年も残すところあと数日。今夜の特番は……』
テレビの情報番組でやっている番宣も大分年末臭漂うものになってきた。
普段からあまりテレビは見ないが、年末になると特に見なくなってしまう。
慌ただしいクリスマスを何とか乗り切った俺たち。
あれからも絵里香ちゃんからの連絡は定期的に来ている。
主にゲームの話がほとんどになってきていて、何となく恋愛関連の感情からは開放されつつあるのかな、と俺としては安心できている。
通信でマルチプレイが出来るゲームになると、俺自身のプレイヤースキルはそこまで高くない為、たまに和歌さんに出張ってもらったりすることもある。
彼女は重課金の上にやり込みによるプレイヤースキルも半端なく、一部のゲームのランキングで上位に食い込んでいるとか。
所謂寄生プレイというやつになってしまうのだが、和歌さんとしては俺をそういう風にして庇って戦えるのが楽しい、と言っていた。
クリスマス自体はそこまで変わったこともなく……世間一般からしたらそりゃ変わってるかもしれないけど、俺たちからしたら例年通りという過ごし方に留まって、年が明けるまであと四日、というところまできた。
相変わらずあの三人組はしつこくつきまとってくるが、俺は指一本触れてはいない。
そう、文字通り指一本だ。
面白そうだから、とか言うふざけた理由で俺の連絡先まであいつらに教えた睦月を許すことは出来ないが、何の考えもなしにそうしたとも考えにくい。
だから頭ごなしに怒ったりもしないが、もうああいうのは勘弁してくれ、とだけ言っておいた。
ふふ、とだけ笑う睦月だったが、考えてみたら今回も大半あいつが解決した様なもんなんだよな。
「そういや今年は年末年始、どうするんだ?誰か実家に帰ったりする人とかいるのか?」
愛美さんからそんな質問が飛んでくるが、実家があるのって大分限られている様な……というか学生組は大半が実家だし、愛美さんくらいしか実家帰る、みたいな表現に当てはまる人っていない様な。
確か和歌さんも組で小さい頃からお世話になっているし、生徒会組は元々実家だ。
桜子明日香朋美も実家住まいだし……朋美は一年の八割くらいこっちにいる気がするけど。
睦月のはあれ、実家って言えるのか……言えるな。
そういえば、睦月は春喜さんや秀美さんに会いに行ったりしてるんだろうか。
年末年始のどっちかだけでも顔見せに行ってやればいいのに、と思うがそうなると俺も行かないといけなくなるのか。
嫌だとかそういう気持ちがあるわけではないが、あそこに行くとどうしてもあの二人は俺たちに尽くしてくれようとする。
それだけ可愛がってくれているということなのだろうが、何となく気が引けるというか……。
「あ、私は年末ちょっと組の用事で……」
和歌さんから珍しい発言が飛び出した。
去年はがっつりこっちにいたし、今年はちゃんと組で色々やらないといけないこともあるのだろう。
そう考えれば社会人なんだし、別におかしいこともない気がする。
和歌さんは結局大晦日から二日くらいまで組に滞在するらしい。
他のメンバーは、朋美は一旦年明けに実家に戻って、それから数日はこっちにいるんだとか。
そんなに俺の監視がしたいのだろうか。
「圭織に会っておきたいだけなんだけどね。大輝たちはちょっと前に会ったんだっけ?」
「ああ、あったなそんなこと。相変わらず元気そうだったぞ」
「私もたまに連絡取ってるからその辺は大丈夫だと思うけど、やっぱり離れても友達でいてくれる人って大事じゃない?」
一理あるかもしれないが、俺には友達と呼べる人間が極めて少ない。
だって、友達と思ってたやつの大半がハーレム入りしちゃってるから……もう友達に戻るのは難しいというか……俺にも本人にも、おそらくそのつもりはないだろう。
だからなのか、仮に絵里香ちゃんとかあのJC三人組と離れることがあってもそこまで定期的に会いたいとか、そういう気持ちになるのかどうかというのはわからない。
というか友達と呼べるのが小学生の女の子って時点で何か間違ってる気が……あ、良平がいるじゃん。
たまにしか会わないけど。
あいつも大概井原と一緒にいることが多いし、男ってそういうもんなのかもしれないけど。
「ところで大輝、今夜空いてるよね?」
「出たなトラブルメーカー。今度はどんなトラブル持ち込んでくる気だ?」
「ちょっと、何それひどくない?」
睦月に何か言われると、何となく厄介事の予感しかしない俺としては、正直こういう時の睦月の空けておいてね、という発言にはいい予感などするはずもなく、中学校の頃に感じていたトキメキが完全に消えてしまったわけではないけど、面倒だけは頼むから起こさないでくれ、という思いの方が強い。
「まぁまぁ大輝……そう言わずに聞いてあげたらどうだ?」
和歌さんはそうそうトラブルに巻き込まれないからそんな呑気なことを、と思う気持ちがないでもないが、普段(ゲームで)お世話になっているから、あまり強いことも言えない。
「むむ……どんな用事だ?言ってみるが良い」
「ちょっと二人で出かけるよ。あ、みんなはどんな用事か知ってるから」
何それ、また俺仲間はずれ?
いや、一応当日に知らせてもらってはいるけど……。
「あ、服は用意してあるから。これとこれとこれ着てね」
「は?何だこれ……お前が買ってきたの?」
「そうだよ。よくあるでしょ、お出かけに着ていく服がない!!カーチャーン!みたいなの」
「確かにそういうの聞いたことはあるけど……お前いつから俺のカーチャンになったのよ」
並べられた服がそれぞれ、割とセンスが良い様に見える。
さすがは元アイドルというわけか。
俺が普段チョイスしない様な服を選んではいるが、特に嫌いということもない。
「さ、これ着て……ちょっと早めに出るからね」
「何処行くつもりなんだよ?」
「それは着いてからのお楽しみだよ……悲しいなぁ、大輝が私を信用してくれないなんて……」
「お前、自分が今まで俺に何してきたのか忘れたのか……」
超絶嘘臭い嘘泣きに騙される俺ではないが、全く信用していないということもない。
寧ろ俺の中ではこいつ以上に信用している人間も神も存在しないだろう。
だけどほら……割と酷い目に遭わされたこともあるし……生徒会とか修学旅行とかさ。
時刻は午後三時過ぎ。
やっぱり心構えって大事じゃない?
まぁ、今みんなの白い目が今、俺に全力で降り注いでるからそういうの言わない様にはするけど……。
「はぁ、わかったよ……お金は?どれくらいあれば足りる?」
「大丈夫、交通費とかその辺は私がちゃんと出すから。嬉しいでしょ?」
「ヒモの心得、とか言うなよ?そういうのだったら俺自分で出すから」
「やだなぁ……その通りだ」
「…………」
なら、と自分の財布を持ってくると睦月がその手を抑える。
おいおい、こんなところでバトルとか……。
「お願い、大輝……私に出させて?」
「くっ……わ、わかったよ。でも一応財布くらいは持ってっていいだろ」
こいつ、本当付き合い長いだけあって俺の弱点心得てるわ……。
上目遣いは卑怯だと思うよ、本当。
そんなことがあって、俺と睦月はマンションを出る。
残ったメンバーは必然的に留守番となるわけだが、誰一人不平も不満も漏らさなかった。
寧ろ楽し気に送り出された気がする。
一体何だと言うのか……。
そう思いながら歩いていると、どうやら駅の方へ行く様だった。
「買い物でもするのか?」
「ううん、電車乗るんだよ。交通費使うって言ったじゃん」
「ああ、それもそうか」
睦月が二人分の切符を買う。
割とお値段張ってる気がするけど……何処まで行くつもりなんだろう。
まさか旅行なんてことは……ないと思うが。
「ん?ああ、都内だよ。ちゃんと今日中に帰れると思うから安心しててよ」
「ふむ」
そして電車に乗って、俺が降りたこともない駅で睦月が下車しようとしたので、慌てて俺も後を追った。
日が傾き始めていて、まさしく冬であることを実感する。
「睦月、手」
「ん?手がどうしたの?」
「あの、俺置いてかれたら困るんだけど……」
そう言って睦月の手を握ると、少し嬉しそうにして睦月が絡みついてくる。
結構人目あるし、お前今でも割と有名人だと思うからそういうのやめた方が……なんて思うが本人は全く気にしていない様だった。
電車を乗り換えて十分ほどして、俺たちは目的地に着いたらしい。
来たことのない場所。
しかし睦月は迷わずここまで来たということは、来たことがあるのだろうか。
「こっちこっち」
そう言ってつないだ手を引っ張る様にして俺を導く。
本当に自由なやつだな……と思いながらも、置いていかれたら困るのでちゃんと遅れない様にしてついていく。
時刻は四時前。
「ほら、ここだよ」
そう言って睦月が連れてきたのは、どうやらテレビ局の様だった。
もしかして年末番組の観覧でも当たったのだろうか。
だとしたら、ちょっと得した気分になる。
とは言っても好きな芸能人とかいないし、好きな番組も特にないんだけど……強いて言うなら朝の情報番組とかなら……いやあれ生放送だし観覧とかやってないわな。
守衛さんみたいな人に声をかけて睦月が自分の身分を明かし、守衛さんが一瞬こちらを見た。
よくわからないがとりあえず会釈をすると、向こうもにこやかに会釈を返してくる。
いい人そうなおじさんだ。
「じゃ、こちらから入ってください」
そう言って守衛さんが俺たちを通路に案内する。
あれ、正面から入るんじゃないのか、と思っているとどうもテレビで見た様な人が何人かすれ違ったりしている様に見えた。
そのすれ違った人たちに、睦月は会釈などしながら通路を進んでいく。
「お、おい……こっちって……」
「いいから。ほらはぐれないでね」
どう見ても観覧席行きの道順じゃない気がしてきた。
さっきから俺の中の勘が、引き返せと言っている。
なのに睦月が手を離してくれないから……帰れないじゃないか。
「あ、椎名さん!お待ちしてました!」
若いキャップをかぶった男の人が睦月に声をかける。
俺は見たことない人間だけど、もしかして……。
「若村さん、お久しぶりです」
「こちらは例の大輝くんですね。初めまして、椎名さんがアイドルをやっていた頃のプロデューサーの若村です」
「あ、ええ?ぷ、プロデューサーって……」
「ふふ、大輝何か勘違いしてる。アイドルに戻るわけじゃないよ」
「え?」
てっきりそういうものなんだと思い込んでいたが、そういうわけではなくてちょっとほっとした。
あんな思いをさせられるのは、もう二度とごめんだからな。
「はは、私としては椎名さんにまた戻ってきてもらいたいんですけどね」
「またまた、そんなこと言って……私の後にプロデュースした子、大当たりしてるじゃないですか。それに、大輝に会えない時間が増えるのは、もう嫌ですし」
「それなら大輝くんをマネージャーにするか、デュオでやってもらうとか、って言うのもありですけどね。まぁ、当の椎名さんにその気持ちがなければ強要はできませんから」
そう言って若村と名乗った男は笑って、俺と睦月を控室へ……控室?
一体……何の?
「ふふ、大輝。一緒の楽屋だよ。本番は七時だけど、私はちょっと前に行くから」
「は?お前一体何を言ってるの?」
「今日はね、生であの人は今、って言う番組の……」
「お、お、お前まさか……」
「うん、呼ばれちゃった。ギャラも出るみたいだよ?」
出るみたいだよ?じゃねぇから……。
何でそんな大事なこと黙ってんのこいつ……。
「ああ、大輝はここで待っててくれたらいいから。テレビもあるし、私の喋りは見逃さないでね」
「そ、そりゃ特等席だけど……いや、だけど待って」
「大丈夫だよ。勧誘とかあっても全部断るから。大輝を一人にしたりはもう、しないから」
睦月が珍しく真剣な目をして俺の肩を掴む。
嘘を言ったりしてる目ではないと思う。
こいつは本当、何でもわかっちゃうんだな。
「あ、でもさっき若村さんが言ってた通り、大輝と一緒に、ってことなら考えちゃうかな」
「いや、俺はちょっと……」
正直ハードスケジュールとかになったらみんなに会えなくなっちゃいそうだしな……。
それに、ゲームだってやりたいし……って、俺のやりたいことって案外小さいな。
楽屋には弁当とお菓子と飲み物が沢山用意されている。
俺と睦月だけの楽屋らしいが、これって割とVIP待遇ってやつなのか?
「まぁ、一時的とは言えそれなり話題にはなったからね。でも、このくらい普通みたいよ?」
お菓子とか弁当ちょっと持って帰っちゃダメかな、なんて貧乏性な部分が存分に発揮されるが、今日は確か睦月が何か作り置きしてたと思うし、多分そっちの方が美味しいんだよなぁ。
ちょっとくらいの空腹ならお菓子で誤魔化すのもありか。
「ああ、大輝お腹空いたらこの辺の食べちゃっていいからね。お金とられたりはしないから」
「そ、そんなこと心配してねーし……ていうかお前の作った飯の方が旨いからな、って考えてたんだよ」
「え?」
「な、何だよ」
「大輝が珍しいこと言ってる。いつも黙って食べるだけなのに」
あれ、そうだっけ。
ああ、そうか。
みんなの前だからだ。
俺、割と極端だから褒めようとすると本当、際限なく褒めちゃうからな……。
知らず知らずセーブしてたのかもしれない。
「いや、正直あのメンバーで一番旨いのお前だから……」
「そうなの?」
「い、言わせるなよ、恥ずかしい……」
「二人でいるんだし、いいじゃん」
そう言って微笑んだ睦月が俺の手を握る。
い、いかん……こんな場所で俺は一体何をしようと……。
「椎名さん!お願いします!!」
物凄く良いタイミングで、ドアがノックされる。
めっちゃドキドキして、危うく暴走しかけた。
うん、助かったんだ。
「もう……空気読めない番組だなぁ」
「い、いや俺はちょっと助かったとか思ってるんだけど……」
「ま、いいけど。続きは帰ってからってことで」
軽くウィンクなどして、睦月は控室から出て行った。
一人ぽつんと残された控室で、俺はとりあえずテレビをつけて睦月の出番を待つことにする。
だって、これくらいしかやることねぇし……。
てかあいつ、生放送って言ってたけど……俺のこととか喋る気満々なんだろうな……。
俺のこと一言も喋らなかったらそれこそ、俺の人生あいつの為だけに使ってもいい、ってくらいあいつは絶対俺のこと喋る。
去年は千人くらいの前でさらし者にされて、今度は全国ネットでさらし者か……来年は世界規模とか……?
いや、その前に何とかしたいとこだけど……。
とりあえず適当に菓子をつまんで、用意されている飲み物を飲みながらまだ番組の始まらないテレビをつける。
夕方の情報番組で、睦月が出るという番組の番宣が……あれ?
『というわけで、今日はこのあと生放送の番組、「あの人は……」に出演されます、椎名睦月さんにお越しいただいています!』
えっ?
メインキャスターの女性がにこやかに睦月を紹介して、睦月がお辞儀をしながら入ってくる。
あれ?今ってリハーサルとかしてるんじゃないの?
『去年は凄かったですねー!この後の番組でも、やっぱりあのライブの時みたいに?』
『あはは、どうでしょうねぇ。生放送ですから……でも、例の彼は出ると思いますよ』
え?
ちょっと待って、今何て言ったこいつ。
例の彼って、去年千人の客の前でさらし者になった彼氏であるところの、この俺だよな?
俺出るなんて聞いてないし、言われてないし言ってないんだけど。
あ、そうかあれか、「話題に」出るって意味だな。
それならちょっと恥ずかしいけど許してやるか……。
冬休み明けの学校が怖いけどな……。
てか生徒会の会長なのにいいのかよ、という思いも出てはくる。
去年と違って、学校での立場とか一応あるんだし……。
そんな呑気なことを考えながら、睦月の番宣を見てお茶を飲みながら、早く番組始まらないかな、なんて思っていた。
そう、それだけで絶対終わるはずなんかないって、考えればわかることだったのに。
次回に続きます。
テレビの情報番組でやっている番宣も大分年末臭漂うものになってきた。
普段からあまりテレビは見ないが、年末になると特に見なくなってしまう。
慌ただしいクリスマスを何とか乗り切った俺たち。
あれからも絵里香ちゃんからの連絡は定期的に来ている。
主にゲームの話がほとんどになってきていて、何となく恋愛関連の感情からは開放されつつあるのかな、と俺としては安心できている。
通信でマルチプレイが出来るゲームになると、俺自身のプレイヤースキルはそこまで高くない為、たまに和歌さんに出張ってもらったりすることもある。
彼女は重課金の上にやり込みによるプレイヤースキルも半端なく、一部のゲームのランキングで上位に食い込んでいるとか。
所謂寄生プレイというやつになってしまうのだが、和歌さんとしては俺をそういう風にして庇って戦えるのが楽しい、と言っていた。
クリスマス自体はそこまで変わったこともなく……世間一般からしたらそりゃ変わってるかもしれないけど、俺たちからしたら例年通りという過ごし方に留まって、年が明けるまであと四日、というところまできた。
相変わらずあの三人組はしつこくつきまとってくるが、俺は指一本触れてはいない。
そう、文字通り指一本だ。
面白そうだから、とか言うふざけた理由で俺の連絡先まであいつらに教えた睦月を許すことは出来ないが、何の考えもなしにそうしたとも考えにくい。
だから頭ごなしに怒ったりもしないが、もうああいうのは勘弁してくれ、とだけ言っておいた。
ふふ、とだけ笑う睦月だったが、考えてみたら今回も大半あいつが解決した様なもんなんだよな。
「そういや今年は年末年始、どうするんだ?誰か実家に帰ったりする人とかいるのか?」
愛美さんからそんな質問が飛んでくるが、実家があるのって大分限られている様な……というか学生組は大半が実家だし、愛美さんくらいしか実家帰る、みたいな表現に当てはまる人っていない様な。
確か和歌さんも組で小さい頃からお世話になっているし、生徒会組は元々実家だ。
桜子明日香朋美も実家住まいだし……朋美は一年の八割くらいこっちにいる気がするけど。
睦月のはあれ、実家って言えるのか……言えるな。
そういえば、睦月は春喜さんや秀美さんに会いに行ったりしてるんだろうか。
年末年始のどっちかだけでも顔見せに行ってやればいいのに、と思うがそうなると俺も行かないといけなくなるのか。
嫌だとかそういう気持ちがあるわけではないが、あそこに行くとどうしてもあの二人は俺たちに尽くしてくれようとする。
それだけ可愛がってくれているということなのだろうが、何となく気が引けるというか……。
「あ、私は年末ちょっと組の用事で……」
和歌さんから珍しい発言が飛び出した。
去年はがっつりこっちにいたし、今年はちゃんと組で色々やらないといけないこともあるのだろう。
そう考えれば社会人なんだし、別におかしいこともない気がする。
和歌さんは結局大晦日から二日くらいまで組に滞在するらしい。
他のメンバーは、朋美は一旦年明けに実家に戻って、それから数日はこっちにいるんだとか。
そんなに俺の監視がしたいのだろうか。
「圭織に会っておきたいだけなんだけどね。大輝たちはちょっと前に会ったんだっけ?」
「ああ、あったなそんなこと。相変わらず元気そうだったぞ」
「私もたまに連絡取ってるからその辺は大丈夫だと思うけど、やっぱり離れても友達でいてくれる人って大事じゃない?」
一理あるかもしれないが、俺には友達と呼べる人間が極めて少ない。
だって、友達と思ってたやつの大半がハーレム入りしちゃってるから……もう友達に戻るのは難しいというか……俺にも本人にも、おそらくそのつもりはないだろう。
だからなのか、仮に絵里香ちゃんとかあのJC三人組と離れることがあってもそこまで定期的に会いたいとか、そういう気持ちになるのかどうかというのはわからない。
というか友達と呼べるのが小学生の女の子って時点で何か間違ってる気が……あ、良平がいるじゃん。
たまにしか会わないけど。
あいつも大概井原と一緒にいることが多いし、男ってそういうもんなのかもしれないけど。
「ところで大輝、今夜空いてるよね?」
「出たなトラブルメーカー。今度はどんなトラブル持ち込んでくる気だ?」
「ちょっと、何それひどくない?」
睦月に何か言われると、何となく厄介事の予感しかしない俺としては、正直こういう時の睦月の空けておいてね、という発言にはいい予感などするはずもなく、中学校の頃に感じていたトキメキが完全に消えてしまったわけではないけど、面倒だけは頼むから起こさないでくれ、という思いの方が強い。
「まぁまぁ大輝……そう言わずに聞いてあげたらどうだ?」
和歌さんはそうそうトラブルに巻き込まれないからそんな呑気なことを、と思う気持ちがないでもないが、普段(ゲームで)お世話になっているから、あまり強いことも言えない。
「むむ……どんな用事だ?言ってみるが良い」
「ちょっと二人で出かけるよ。あ、みんなはどんな用事か知ってるから」
何それ、また俺仲間はずれ?
いや、一応当日に知らせてもらってはいるけど……。
「あ、服は用意してあるから。これとこれとこれ着てね」
「は?何だこれ……お前が買ってきたの?」
「そうだよ。よくあるでしょ、お出かけに着ていく服がない!!カーチャーン!みたいなの」
「確かにそういうの聞いたことはあるけど……お前いつから俺のカーチャンになったのよ」
並べられた服がそれぞれ、割とセンスが良い様に見える。
さすがは元アイドルというわけか。
俺が普段チョイスしない様な服を選んではいるが、特に嫌いということもない。
「さ、これ着て……ちょっと早めに出るからね」
「何処行くつもりなんだよ?」
「それは着いてからのお楽しみだよ……悲しいなぁ、大輝が私を信用してくれないなんて……」
「お前、自分が今まで俺に何してきたのか忘れたのか……」
超絶嘘臭い嘘泣きに騙される俺ではないが、全く信用していないということもない。
寧ろ俺の中ではこいつ以上に信用している人間も神も存在しないだろう。
だけどほら……割と酷い目に遭わされたこともあるし……生徒会とか修学旅行とかさ。
時刻は午後三時過ぎ。
やっぱり心構えって大事じゃない?
まぁ、今みんなの白い目が今、俺に全力で降り注いでるからそういうの言わない様にはするけど……。
「はぁ、わかったよ……お金は?どれくらいあれば足りる?」
「大丈夫、交通費とかその辺は私がちゃんと出すから。嬉しいでしょ?」
「ヒモの心得、とか言うなよ?そういうのだったら俺自分で出すから」
「やだなぁ……その通りだ」
「…………」
なら、と自分の財布を持ってくると睦月がその手を抑える。
おいおい、こんなところでバトルとか……。
「お願い、大輝……私に出させて?」
「くっ……わ、わかったよ。でも一応財布くらいは持ってっていいだろ」
こいつ、本当付き合い長いだけあって俺の弱点心得てるわ……。
上目遣いは卑怯だと思うよ、本当。
そんなことがあって、俺と睦月はマンションを出る。
残ったメンバーは必然的に留守番となるわけだが、誰一人不平も不満も漏らさなかった。
寧ろ楽し気に送り出された気がする。
一体何だと言うのか……。
そう思いながら歩いていると、どうやら駅の方へ行く様だった。
「買い物でもするのか?」
「ううん、電車乗るんだよ。交通費使うって言ったじゃん」
「ああ、それもそうか」
睦月が二人分の切符を買う。
割とお値段張ってる気がするけど……何処まで行くつもりなんだろう。
まさか旅行なんてことは……ないと思うが。
「ん?ああ、都内だよ。ちゃんと今日中に帰れると思うから安心しててよ」
「ふむ」
そして電車に乗って、俺が降りたこともない駅で睦月が下車しようとしたので、慌てて俺も後を追った。
日が傾き始めていて、まさしく冬であることを実感する。
「睦月、手」
「ん?手がどうしたの?」
「あの、俺置いてかれたら困るんだけど……」
そう言って睦月の手を握ると、少し嬉しそうにして睦月が絡みついてくる。
結構人目あるし、お前今でも割と有名人だと思うからそういうのやめた方が……なんて思うが本人は全く気にしていない様だった。
電車を乗り換えて十分ほどして、俺たちは目的地に着いたらしい。
来たことのない場所。
しかし睦月は迷わずここまで来たということは、来たことがあるのだろうか。
「こっちこっち」
そう言ってつないだ手を引っ張る様にして俺を導く。
本当に自由なやつだな……と思いながらも、置いていかれたら困るのでちゃんと遅れない様にしてついていく。
時刻は四時前。
「ほら、ここだよ」
そう言って睦月が連れてきたのは、どうやらテレビ局の様だった。
もしかして年末番組の観覧でも当たったのだろうか。
だとしたら、ちょっと得した気分になる。
とは言っても好きな芸能人とかいないし、好きな番組も特にないんだけど……強いて言うなら朝の情報番組とかなら……いやあれ生放送だし観覧とかやってないわな。
守衛さんみたいな人に声をかけて睦月が自分の身分を明かし、守衛さんが一瞬こちらを見た。
よくわからないがとりあえず会釈をすると、向こうもにこやかに会釈を返してくる。
いい人そうなおじさんだ。
「じゃ、こちらから入ってください」
そう言って守衛さんが俺たちを通路に案内する。
あれ、正面から入るんじゃないのか、と思っているとどうもテレビで見た様な人が何人かすれ違ったりしている様に見えた。
そのすれ違った人たちに、睦月は会釈などしながら通路を進んでいく。
「お、おい……こっちって……」
「いいから。ほらはぐれないでね」
どう見ても観覧席行きの道順じゃない気がしてきた。
さっきから俺の中の勘が、引き返せと言っている。
なのに睦月が手を離してくれないから……帰れないじゃないか。
「あ、椎名さん!お待ちしてました!」
若いキャップをかぶった男の人が睦月に声をかける。
俺は見たことない人間だけど、もしかして……。
「若村さん、お久しぶりです」
「こちらは例の大輝くんですね。初めまして、椎名さんがアイドルをやっていた頃のプロデューサーの若村です」
「あ、ええ?ぷ、プロデューサーって……」
「ふふ、大輝何か勘違いしてる。アイドルに戻るわけじゃないよ」
「え?」
てっきりそういうものなんだと思い込んでいたが、そういうわけではなくてちょっとほっとした。
あんな思いをさせられるのは、もう二度とごめんだからな。
「はは、私としては椎名さんにまた戻ってきてもらいたいんですけどね」
「またまた、そんなこと言って……私の後にプロデュースした子、大当たりしてるじゃないですか。それに、大輝に会えない時間が増えるのは、もう嫌ですし」
「それなら大輝くんをマネージャーにするか、デュオでやってもらうとか、って言うのもありですけどね。まぁ、当の椎名さんにその気持ちがなければ強要はできませんから」
そう言って若村と名乗った男は笑って、俺と睦月を控室へ……控室?
一体……何の?
「ふふ、大輝。一緒の楽屋だよ。本番は七時だけど、私はちょっと前に行くから」
「は?お前一体何を言ってるの?」
「今日はね、生であの人は今、って言う番組の……」
「お、お、お前まさか……」
「うん、呼ばれちゃった。ギャラも出るみたいだよ?」
出るみたいだよ?じゃねぇから……。
何でそんな大事なこと黙ってんのこいつ……。
「ああ、大輝はここで待っててくれたらいいから。テレビもあるし、私の喋りは見逃さないでね」
「そ、そりゃ特等席だけど……いや、だけど待って」
「大丈夫だよ。勧誘とかあっても全部断るから。大輝を一人にしたりはもう、しないから」
睦月が珍しく真剣な目をして俺の肩を掴む。
嘘を言ったりしてる目ではないと思う。
こいつは本当、何でもわかっちゃうんだな。
「あ、でもさっき若村さんが言ってた通り、大輝と一緒に、ってことなら考えちゃうかな」
「いや、俺はちょっと……」
正直ハードスケジュールとかになったらみんなに会えなくなっちゃいそうだしな……。
それに、ゲームだってやりたいし……って、俺のやりたいことって案外小さいな。
楽屋には弁当とお菓子と飲み物が沢山用意されている。
俺と睦月だけの楽屋らしいが、これって割とVIP待遇ってやつなのか?
「まぁ、一時的とは言えそれなり話題にはなったからね。でも、このくらい普通みたいよ?」
お菓子とか弁当ちょっと持って帰っちゃダメかな、なんて貧乏性な部分が存分に発揮されるが、今日は確か睦月が何か作り置きしてたと思うし、多分そっちの方が美味しいんだよなぁ。
ちょっとくらいの空腹ならお菓子で誤魔化すのもありか。
「ああ、大輝お腹空いたらこの辺の食べちゃっていいからね。お金とられたりはしないから」
「そ、そんなこと心配してねーし……ていうかお前の作った飯の方が旨いからな、って考えてたんだよ」
「え?」
「な、何だよ」
「大輝が珍しいこと言ってる。いつも黙って食べるだけなのに」
あれ、そうだっけ。
ああ、そうか。
みんなの前だからだ。
俺、割と極端だから褒めようとすると本当、際限なく褒めちゃうからな……。
知らず知らずセーブしてたのかもしれない。
「いや、正直あのメンバーで一番旨いのお前だから……」
「そうなの?」
「い、言わせるなよ、恥ずかしい……」
「二人でいるんだし、いいじゃん」
そう言って微笑んだ睦月が俺の手を握る。
い、いかん……こんな場所で俺は一体何をしようと……。
「椎名さん!お願いします!!」
物凄く良いタイミングで、ドアがノックされる。
めっちゃドキドキして、危うく暴走しかけた。
うん、助かったんだ。
「もう……空気読めない番組だなぁ」
「い、いや俺はちょっと助かったとか思ってるんだけど……」
「ま、いいけど。続きは帰ってからってことで」
軽くウィンクなどして、睦月は控室から出て行った。
一人ぽつんと残された控室で、俺はとりあえずテレビをつけて睦月の出番を待つことにする。
だって、これくらいしかやることねぇし……。
てかあいつ、生放送って言ってたけど……俺のこととか喋る気満々なんだろうな……。
俺のこと一言も喋らなかったらそれこそ、俺の人生あいつの為だけに使ってもいい、ってくらいあいつは絶対俺のこと喋る。
去年は千人くらいの前でさらし者にされて、今度は全国ネットでさらし者か……来年は世界規模とか……?
いや、その前に何とかしたいとこだけど……。
とりあえず適当に菓子をつまんで、用意されている飲み物を飲みながらまだ番組の始まらないテレビをつける。
夕方の情報番組で、睦月が出るという番組の番宣が……あれ?
『というわけで、今日はこのあと生放送の番組、「あの人は……」に出演されます、椎名睦月さんにお越しいただいています!』
えっ?
メインキャスターの女性がにこやかに睦月を紹介して、睦月がお辞儀をしながら入ってくる。
あれ?今ってリハーサルとかしてるんじゃないの?
『去年は凄かったですねー!この後の番組でも、やっぱりあのライブの時みたいに?』
『あはは、どうでしょうねぇ。生放送ですから……でも、例の彼は出ると思いますよ』
え?
ちょっと待って、今何て言ったこいつ。
例の彼って、去年千人の客の前でさらし者になった彼氏であるところの、この俺だよな?
俺出るなんて聞いてないし、言われてないし言ってないんだけど。
あ、そうかあれか、「話題に」出るって意味だな。
それならちょっと恥ずかしいけど許してやるか……。
冬休み明けの学校が怖いけどな……。
てか生徒会の会長なのにいいのかよ、という思いも出てはくる。
去年と違って、学校での立場とか一応あるんだし……。
そんな呑気なことを考えながら、睦月の番宣を見てお茶を飲みながら、早く番組始まらないかな、なんて思っていた。
そう、それだけで絶対終わるはずなんかないって、考えればわかることだったのに。
次回に続きます。
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