私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~

ビオラン

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対乙女ゲーム令嬢 案件

令嬢第四事例 報告5

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 その後も、イベントの進行を阻止しつつ、ダリアの意図しない嫌がらせを未然に防ぐよう立ち回った。

 遠足イベントでは、二人きりにならないようにダリアが割って入ったり、放課後に嫌がらせをしていないように見せるため、あえてエドウィンと共に行動をしたり。
 しかし、やはりゲームの強制力が強いのか、どうしてもエピソードは進んでしまうのだった。


「このゲームのラストは卒業式よ。その日に誰の待機場所に向かうかによって攻略者が判明するの。攻略者によって卒業後のシナリオが変化する仕組みよ」

「……卒業式ということは、この世界ではおよそ三か月後。私の世界との時間差を考えると私が関われる時間はあまりないので、時間がありませんね。……どうしましょうか」
「卒業まで、攻略対象を自由に変更できるのがこのゲームの強みだったのだけれど、今となってはギリギリまでリゼットが誰狙いか分からないのが難点ね」

「とりあえずエドウィン様の近くでダリア様が監視し、できる限りリゼット様が接触するのを未然に防ぐしかありませんね」

 一旦私の案を採用し、ダリアはエドウィンと共に行動して、監視とリゼットの2人きりでの接触を未然に防ぐように努めた。

 エドウィンが帰宅する際には「一緒にまいります~」とダリアが声を掛け、昼食時にも「お隣よろしくて?」と横をキープする。少しぶりっ子をかますダリアの演技力に苦笑しつつ、私も監視を強化する。

 何度かリゼットがエドウィンに声を掛けようとしたが、ダリアがいることで話しかけ辛いのか、去って行く姿を目にした。この作戦は上手くいっでいるようだ。

 ーーしかし、ダリアがエドウィンのそばにいることで弊害が出てきた。

 なんと、リゼットがダリアに困らされているとの噂が出始めたらしい。

 ずっとエドウィンと共にいることで近寄ることが出来なくなったリゼットは、これをダリアの嫌がらせだと判断した。そして、「自分を必要以上に意識して圧力をかけてくる」との噂を流し始めたとのことだ。

 性格上、リゼット本人がそんな噂を流すことはないだろう。おそらく、周囲にいた者がエドウィンに近付けなくて困っているリゼットの悩みを聞いて、噂を流してきたのだと考えられる。
 これも運命の悪戯なのだろうか。噂の広がり具合から強制力が何処かで働いてる可能性も否めない。

 ついにエドウィンからも「共にいすぎで、さすがに息が詰まる」と、離れるよう言われてしまい、ダリアは共に行動をすることが出来なくなってしまった。

 ーーリゼットの接触を未然に防ぐことが不可能になった上に、エドウィンからの印象を下げることにもなってしまったダリア。お手上げ状態だ。

「すみません。エドウィン様と行動を共にし、監視するなんていう案を出したばかりに……」
「いいのよ。これもゲームの強制力が働いているのが容易に想像できるわ。あなたのせいではないのは確かよ」

「ここまで悪役令嬢を陥れようとしているゲームなんて……残酷ですね」
「ゲームを主人公目線でプレイしていた時は楽しかったのだけど、反対の立場になると最悪ね。私はやはり悪役令嬢になってしまうのかしら……」
「いえ、まだノン悪疑惑の令嬢なだけですよ! 間に合うと思いますから、諦めないで立ち向かいましょう!」
「そうね、諦める訳にはいかないわね!」

 少し悲しい雰囲気になってしまったが、まだ落胆するには早い。できることがあるはずだ。


◇◇◇◇◇◇


 ーーゲーム内でも大きめのイベントである文化祭がやってきた。

 エドウィンとダリア、リゼットは同じクラスである。この学園では毎年クラスごとに出し物をしているらしく、文化祭実行委員を中心に準備が進められる。

 ゲームでは同学年の攻略対象であるエドウィンと騎士イアン、今回ダリアへの影響力が低いということでスルーされている中流貴族オールドという人物を含めたメンバーで、実行委員を行う流れになるのだ。
 エドウィンが委員長になり、文化祭の準備を共に行うことで仲が深まるというシナリオらしい。

 さて、ここで目先の課題として浮上するのは、ダリアの入る隙が無いということである。何故なら実行委員になれないからだ。

 実行委員になれないのなら近くでリゼットを監視することもできない。

 一応立候補はしてみたものの、運命の力だろう。見事にじゃんけんで負けた。

 ゲーム中では、実行委員になれなかったダリアが、邪魔しかしてこない設定らしい。
 それは明確に色んな人を敵に回すため、今回は避けた方が良いだろう。しかし、邪魔することが無いとなると、リゼットと接触する機会も大幅に減る恐れがある。

 私とダリアは頭を悩ませた。
「実行委員に入らなくて、邪魔もせず、文化祭のリゼット様達に関わる方法はないのでしょうか……」
「うーん、一般のクラスメイトとして実行委員のお手伝いをするくらいしかないかもしれないわね」

「あぁなるほど。では、ゲームのように邪魔をするのではなく、積極的に手伝いをして周囲に好印象を与えましょう! そして実行委員に簡単に接触できるポジションを作るのです!」
「いいわね、好印象作りもできて接触もしやすいし一石二鳥ね!」

 という訳で、翌日から本格的に文化祭への準備が始まり、ダリアは一生懸命委員会の手伝いをし始めた。

 我ながらいい案を閃いたと思っている。さすがに誠実なダリアに対して悪意を抱く者は少ないだろう。

 ちなみに文化祭での登場人物達のクラスの出し物はいうと……露店のようなゲームコーナーだ。正確に言うとヨーヨー釣りや輪投げなどの露店にありそうなゲームを並べるのである。

 魔法の存在する世界である上に、貴族の上品な学園なので、一般に想像しているような露店の景品や道具とは少し勝手が違うのだが。……例えば、輪投げのポールはグニョグニョと動く生物だったり、金魚すくいは、宝石のようなキラキラと輝く魚をすくうものだったり。

 結構、手の込んだ出し物になりそうだ。

 なお、ゲームではリゼットが作る設営をダリアがボコボコに破壊し、攻略者達がリゼットを守る場面が多いらしい。
 しかし今回は暴れるはずのダリアが一向に嫌がらせをしないため、そういったイベントは幸い起こらずに済んでいた。

 ーーいや、準備期間は起こらなかっただけだった。
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