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対部族令嬢 文化省・異世界統制省合同案件
令嬢第五事例 報告7
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私とローリンは魔法省の存在する元の世界に戻ってきた。
そして、ローリンの案内のもと魔法省のとある場所に来ている。
「ローリンさん、私達は今どこに向かっているのでしょうか?」
「魔法省内にある研究開発局、その中の植物研究開発部にある植物管理課へ行くの」
「研究開発局ですか?」
「アニーサは生物の生死や育成に関することは苦手でしょ? だからあえてそこを狙おうと思って」
「その手がありましたか! でも何故植物管理課へ?」
「動物などは運ぶのが大変だし、開発も規模が大きくなるからあえて植物で進めようかと思っているの」
しばらく歩くと、研究開発局である門が現れた。なにやら結界が張られ、厳重に警備がされている。中は高い壁に覆われて見えなかった。
しかし、研究開発局の門を抜けると、そこは魔法省とは思えない光景が広がっていた。なんと、野外の広大な敷地が現れたのだ。
「はえーーー! 広いですね」
「これ、すべて屋外研究所よ。屋内研究所は別にあるけど」
「え、これ全部ですか?」
「ええ。ちらほら建物が見えるけど、畑だったり放牧場だったり、植物類は屋外にあることが多いの。ほら、今回私達が行くのはあの遠くに見えるビニールハウス。あれよ」
遥か遠くの方に確かにビニールハウスが見える。ただ、見え方は私の爪の先ほど。結構遠そうである。
私達は空を飛び、いくつかの畑を越えてビニールハウスの前に降り立った。ビニールハウスは、遠目では分からなかったが、結構大きい。
ローリンがビニールハウスの中に響くように、声を張り上げる。
「こんにちはーー! 事前に連絡していたローリンですーー!」
すると、返事が聞こえてきた。
「はーーーい」
ビニールハウスの中から、一人の背の低い少女が現れた。どうやらここの管理人のようだ。
ピンク色のツインテールの髪にライトグリーンの目をしている。畑の作業服なのだろうが、その見た目はどう見ても幼稚園のスモッグにしか見えなかった。
「か、かわいい!」
私が目をキラキラとさせていると、ローリンがボソッとつぶやく。
「こう見えて私達よりもだいぶ先輩よ。ベテランだから態度には注意してね」
え、そうなのか。あと少しでため口を使ってしまうところだった。危ない。
「お忙しいところ、訪問失礼します。例の件なのですが……」
目線を合わせるため、ローリンはしゃがんで話し掛けるが、一応敬語である。
「うん! そのことについては私も聞いているから、いくつか候補を絞っておいたよ! えへへ!」
管理人は元気よく頷き、はーいと手を挙げた。
返事の仕方が可愛い。
ローリンの話す様子は、側から見ると園児と先生であるが、何も言わないでおこう。
「ついてきて!」
管理人はそう言うと、私達を大きなハウス内に案内した。
中に入ると、3メートルくらいありそうな木から、小さな苗まで、沢山の見たこともない植物が植えられていた。
「ここは、珍しい植物を管理する場所なんだよ!」
私達は雑多に苗が集められている一角で止まった。
小さなプランターにはそれぞれ植物が植わっている。
すごい、色んな種類の植物がある! 興味深くて、近くにあった植物にしゃがみこんで見てみる。
これなんか、見たことがない。そっと手を伸ばしたら、背後から声が聞こえた。
「それ、マンドラゴラだよ。引っこ抜いたら死ぬよ」
「ぎゃあ!」
思わず伸ばした手を引っ込める。危うく触るところだった。
「勝手に近づいちゃだめだよ」
声の主が背後の木の陰から現れた。ライトグリーンの目に青いショートヘアの少女だ。背は低く、この少女もスモッグのような作業服を着ている。
「ロット! ここにいたの? お客さんだよ」
「うん、だから来たんだ」
案内をしてくれた人より、大人しそうな印象の少女。ジト目というやつだろうか。
私が驚いて見ていたので、何か察したように案内をした方の少女が、ポンと手を叩いた。
「そうか、お嬢さんは新人さんだったよね! 自己紹介がまだだったから分からないよね! ここは植物管理課! 私は研究員のシャル」
「僕はロット」
「二人合わせてシャルロット姉妹だよ、よろしくね!」
そう言うと、しゅぴーんと腕を広げてポーズをとった。へへんと威張っているシャルと仕方なくだがポーズを合わせているロット。
正直可愛い。先輩に思えなかった。
胸元にある植物管理課を表しているであろう花柄のバッジ、これが幼稚園のバッジにしか見えないため、さらに年下感が増す。
1人癒されながらも「エミリーです、よろしくお願いします」と一応丁寧に挨拶しておいた。
自己紹介が終わると、早速シャルが色々な植物の苗を、「うんしょ、うんしょ」っと運び始めた。その様子を見ながら私はローリンに問う。
「ローリンさん、一体どうするつもりなのですか?」
「私に案があるの、任せて。今考えている案なんだけど……実はアニーサに花の占いを外してもらおうと思うの」
「花の占い?」
「花の開花の有無、どんな花が咲くかなどを占ってもらうことにするの。そして、私達の魔法で占い結果と真逆の現実を突きつけるのよ。アニーサの占いが嘘であると証明できるよう、こちらで結果を左右できる物を用意しておく感じね。向こうも魔法を使っているから似たり寄ったりよ」
「な、なるほど……」
「アニーサ、どんな顔するかしらね」
楽しそうにクスクスと笑うローリン。アニーサのことをギャフンといわせたいと言っていたので良い機会なのだろう。恐るべしローリンへの恨み。敵に回したくない。
話している間にも、次々と苗が用意されていた。シャルが説明を始める。
「今回依頼のあった、こちらで調整が出来て、驚かせそうな植物だけど……」
事前にローリンとシャルロット達で事前に打ち合わせていたらしく、ずらりと並べられた苗。
「これらは、ある呪文を唱えると、すぐ開花してくれるの」
「へー、便利ですね」
そんな植物があるのかと、感心する私。その横で着々とローリンは話を進める。
「適度に大きくて印象を残せるものがいいわ」
「だったらこれは?」
「これはなんですか?」
「ラフレシアという花よ!大きい花なの。すぐ育つようにしてあるよ! 結構臭いけど」
最後の言葉が大事だろう。とても咲かせられない。
「遠慮させてもらいます……」
すると、ロットが一つの枯れた苗を持ってきた。
「これはどうだろう。一見枯れたように見えるけど、大きくて綺麗な花が咲いてくれるんだ」
本当に枯れたように見えている。茶色くしわくちゃだ。これも、魔法の呪文を唱えると、開花をしてくれるらしい。
「ローリンさん、アニーサが一目でこれは咲かないと判断して、占いを外してくれそうですよね」
「そうね、魔法が無ければ咲かないと思いそうだわ……これを貰って帰りましょうか」
私達は、枯れかけたように見えるその不思議な苗を貰うことにした。
「ところでローリンさん、花の占いをどうやってしてもらうのでしょうか? 占いを依頼する時点でアニーサに却下されそうですし。それに、一回の占いが外れたからと言って、そんな名声が地に落ちるなんてこと起こらないんじゃ……」
「任せておいて、その辺も考えているから。それにはあなたの力が必要なんだけどね。あと、ヴィンセント君にも影で動くようお願いしておいたわ」
「……へ?!」
そして、ローリンの案内のもと魔法省のとある場所に来ている。
「ローリンさん、私達は今どこに向かっているのでしょうか?」
「魔法省内にある研究開発局、その中の植物研究開発部にある植物管理課へ行くの」
「研究開発局ですか?」
「アニーサは生物の生死や育成に関することは苦手でしょ? だからあえてそこを狙おうと思って」
「その手がありましたか! でも何故植物管理課へ?」
「動物などは運ぶのが大変だし、開発も規模が大きくなるからあえて植物で進めようかと思っているの」
しばらく歩くと、研究開発局である門が現れた。なにやら結界が張られ、厳重に警備がされている。中は高い壁に覆われて見えなかった。
しかし、研究開発局の門を抜けると、そこは魔法省とは思えない光景が広がっていた。なんと、野外の広大な敷地が現れたのだ。
「はえーーー! 広いですね」
「これ、すべて屋外研究所よ。屋内研究所は別にあるけど」
「え、これ全部ですか?」
「ええ。ちらほら建物が見えるけど、畑だったり放牧場だったり、植物類は屋外にあることが多いの。ほら、今回私達が行くのはあの遠くに見えるビニールハウス。あれよ」
遥か遠くの方に確かにビニールハウスが見える。ただ、見え方は私の爪の先ほど。結構遠そうである。
私達は空を飛び、いくつかの畑を越えてビニールハウスの前に降り立った。ビニールハウスは、遠目では分からなかったが、結構大きい。
ローリンがビニールハウスの中に響くように、声を張り上げる。
「こんにちはーー! 事前に連絡していたローリンですーー!」
すると、返事が聞こえてきた。
「はーーーい」
ビニールハウスの中から、一人の背の低い少女が現れた。どうやらここの管理人のようだ。
ピンク色のツインテールの髪にライトグリーンの目をしている。畑の作業服なのだろうが、その見た目はどう見ても幼稚園のスモッグにしか見えなかった。
「か、かわいい!」
私が目をキラキラとさせていると、ローリンがボソッとつぶやく。
「こう見えて私達よりもだいぶ先輩よ。ベテランだから態度には注意してね」
え、そうなのか。あと少しでため口を使ってしまうところだった。危ない。
「お忙しいところ、訪問失礼します。例の件なのですが……」
目線を合わせるため、ローリンはしゃがんで話し掛けるが、一応敬語である。
「うん! そのことについては私も聞いているから、いくつか候補を絞っておいたよ! えへへ!」
管理人は元気よく頷き、はーいと手を挙げた。
返事の仕方が可愛い。
ローリンの話す様子は、側から見ると園児と先生であるが、何も言わないでおこう。
「ついてきて!」
管理人はそう言うと、私達を大きなハウス内に案内した。
中に入ると、3メートルくらいありそうな木から、小さな苗まで、沢山の見たこともない植物が植えられていた。
「ここは、珍しい植物を管理する場所なんだよ!」
私達は雑多に苗が集められている一角で止まった。
小さなプランターにはそれぞれ植物が植わっている。
すごい、色んな種類の植物がある! 興味深くて、近くにあった植物にしゃがみこんで見てみる。
これなんか、見たことがない。そっと手を伸ばしたら、背後から声が聞こえた。
「それ、マンドラゴラだよ。引っこ抜いたら死ぬよ」
「ぎゃあ!」
思わず伸ばした手を引っ込める。危うく触るところだった。
「勝手に近づいちゃだめだよ」
声の主が背後の木の陰から現れた。ライトグリーンの目に青いショートヘアの少女だ。背は低く、この少女もスモッグのような作業服を着ている。
「ロット! ここにいたの? お客さんだよ」
「うん、だから来たんだ」
案内をしてくれた人より、大人しそうな印象の少女。ジト目というやつだろうか。
私が驚いて見ていたので、何か察したように案内をした方の少女が、ポンと手を叩いた。
「そうか、お嬢さんは新人さんだったよね! 自己紹介がまだだったから分からないよね! ここは植物管理課! 私は研究員のシャル」
「僕はロット」
「二人合わせてシャルロット姉妹だよ、よろしくね!」
そう言うと、しゅぴーんと腕を広げてポーズをとった。へへんと威張っているシャルと仕方なくだがポーズを合わせているロット。
正直可愛い。先輩に思えなかった。
胸元にある植物管理課を表しているであろう花柄のバッジ、これが幼稚園のバッジにしか見えないため、さらに年下感が増す。
1人癒されながらも「エミリーです、よろしくお願いします」と一応丁寧に挨拶しておいた。
自己紹介が終わると、早速シャルが色々な植物の苗を、「うんしょ、うんしょ」っと運び始めた。その様子を見ながら私はローリンに問う。
「ローリンさん、一体どうするつもりなのですか?」
「私に案があるの、任せて。今考えている案なんだけど……実はアニーサに花の占いを外してもらおうと思うの」
「花の占い?」
「花の開花の有無、どんな花が咲くかなどを占ってもらうことにするの。そして、私達の魔法で占い結果と真逆の現実を突きつけるのよ。アニーサの占いが嘘であると証明できるよう、こちらで結果を左右できる物を用意しておく感じね。向こうも魔法を使っているから似たり寄ったりよ」
「な、なるほど……」
「アニーサ、どんな顔するかしらね」
楽しそうにクスクスと笑うローリン。アニーサのことをギャフンといわせたいと言っていたので良い機会なのだろう。恐るべしローリンへの恨み。敵に回したくない。
話している間にも、次々と苗が用意されていた。シャルが説明を始める。
「今回依頼のあった、こちらで調整が出来て、驚かせそうな植物だけど……」
事前にローリンとシャルロット達で事前に打ち合わせていたらしく、ずらりと並べられた苗。
「これらは、ある呪文を唱えると、すぐ開花してくれるの」
「へー、便利ですね」
そんな植物があるのかと、感心する私。その横で着々とローリンは話を進める。
「適度に大きくて印象を残せるものがいいわ」
「だったらこれは?」
「これはなんですか?」
「ラフレシアという花よ!大きい花なの。すぐ育つようにしてあるよ! 結構臭いけど」
最後の言葉が大事だろう。とても咲かせられない。
「遠慮させてもらいます……」
すると、ロットが一つの枯れた苗を持ってきた。
「これはどうだろう。一見枯れたように見えるけど、大きくて綺麗な花が咲いてくれるんだ」
本当に枯れたように見えている。茶色くしわくちゃだ。これも、魔法の呪文を唱えると、開花をしてくれるらしい。
「ローリンさん、アニーサが一目でこれは咲かないと判断して、占いを外してくれそうですよね」
「そうね、魔法が無ければ咲かないと思いそうだわ……これを貰って帰りましょうか」
私達は、枯れかけたように見えるその不思議な苗を貰うことにした。
「ところでローリンさん、花の占いをどうやってしてもらうのでしょうか? 占いを依頼する時点でアニーサに却下されそうですし。それに、一回の占いが外れたからと言って、そんな名声が地に落ちるなんてこと起こらないんじゃ……」
「任せておいて、その辺も考えているから。それにはあなたの力が必要なんだけどね。あと、ヴィンセント君にも影で動くようお願いしておいたわ」
「……へ?!」
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