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絶不調にも程があった。
「快適のねごこっち」
だとか、
「客層:不眠症、メリット:羽毛布団。切り裂くと気分が良さそう、デメリット:捨てにくい。どうしていいかわからない」
だとかいう、バカみたいな文章が並べてある会社支給のパソコンに、昇は思わず頭突きをしたくなった。
しかし、我に返るだけでじゃあ、どんな代替え文を打ち出せばいいのかと頭をまわそうとしてもずっと付き纏う。昨夜のことだ。
「ごめんね」
昇は自宅に彼女を呼んだ。
それはそれはとても良い雰囲気だと思っていたのに、彼女は突如そう言って、家から出て行ってしまったのだ。
一体全体何事か、何事なんだと深掘りしメールアプリで3通くらい彼女へ送信した。夜のうちには返信がなく。
今朝、スマホのアラームが鳴り、出勤せねばとスマホに触った瞬間、
「美佳:画像を送信しました」
と通知されていた。
一気に覚醒し中身を覗けば、まるでドッキリ、知らない…意地の悪そうな裸の若い金髪男がアップ。
側には裸、長髪、寝そべる彼女の背中という衝撃映像。
更に即、「ごめんなさいね♪」「貴方の年収も身体も満足できないの」「( ・∋・)」と送られてきた。
何事だ、年収って…まだ3ヶ月じゃねぇか!
と勢い勇んで即、通話機能をプッシュすれば、即ブロックをしやがった徹底ぶり。
ただただ熱くなりただただ呆然としたまま仕事に来たが、やはりメンタルはそれどころではなかったようだ。
はぁああ~っ。
重めの溜め息が出る。
同時に、「多分今日これめっちゃ出てるな」と気付く。あそこに写っていたのはラブホテルの羽毛布団だった。
どうにもダメだ、今日は。
「お疲れですね、先輩」
ノートパソコン越しににやっと、天使のような笑顔で加東はそう言った。
流れるように左手首の時計を確認し「お昼にしますか?」と柔らかく聞いてくる。
時計は確かに、12:03。
忘れていた、そうだった。
「コンビニ行くので何か買いに行ってきますよ。何が食べたいですか?」
「あ、あぁ…」
後輩の輝きに改めて意識が職場に戻ってくる。
…あの浮気女より可愛いものだ。何よりその左の八重歯。可愛い。
加東は自分の隣、昇の斜め右の木村に「どうぞ」と、チョコレートか何かを渡していた。
よくみれば木村の顔色は少し白く、化粧乗りも悪そう。お団子の髪艶まで悪く見えてきたような。
あまり本調子ではないのかもしれない。
「うぅう、シュガーちゃんありがとうマジ天使ぃ~、」
「あっさりした物でも…」
「気持ちは血肉が食いたい、けど身体が追い付かない~ぃ」
…アレの日か?
心なしか背中を丸めている…かもしれない。
「わかりました。
渋谷さんも何かいりますか?飲み物とか」
早速隣で弁当を広げ始めた渋谷は「あー、ありがと加東ちゃん。俺は大丈夫だよー」とのんびり言った。
「わかりました」
加東の視線が昇に戻ってきたので「かっ」プラーメンと言おうとしたがいや、どうしようかな、どうせ暫く飽きるほど食うけど「プラーメン…塩とかがいい」と、あまり思い付きもしない。
「わかりました。
はい、どうぞ、リンゴです」
笑顔の加東は更に、リンゴの飴を渡してくる気の遣いっぷり。
昇は包装を開けながらついつい、「加東はホントに可愛い奴だなぁ」とぼやいていた。
「嫁さんに欲しい…」
「嫁さんって。宇田さん彼女いますよねー」
愛妻弁当なんぞを広げたやつがよく言う。
「別れたんだよ、丁度昨日!」
「あっ、そうだったんすか。通りで」
「きっと加東ならもう少し健気だ、あぁ畜生あの女ぁ…」
「あはは、そうですね…」
「まぁ金曜日ですし、終わったら浦野さんあたりと飲みに行ったらどうで」
「絶対やだ。あいつマジで絶っ対からかってくる」
「では、行ってきますね」と加東は控えめに去って行く。
ぼんやり眺める。
加東は少々小柄だが足は長いし線も細い。まるでスタイルが今時だ。黒いスーツ、リクルートみたいだが、あれでも4年はいるだろうか。
「ほっそいな~加東ちゃん」
「…だなぁ」
「女の子みたいっすよねー。時計も女子見だし」
「女心もわかってくれてホント天使…」
木村はふと薬を見て「あ、これ超効くやつだ…」と呟き、プチプチと取り出してぐっと飲んでは「あ゛ーっ」と、色気もなかった。
「ホント助かる…」
「…木村、調子悪そうだな」
「聞かないでくださいよアレですよアレ」
やっぱりか。
きっと加東は、木村のソレに気付き然り気無くフォローをしたのだろう。
大体の男はソレを避けて通るが(今みたいにウザがられるし)、加東になら言える、というのもなんとなくわかる気はする。
「女兄弟いたんですかねぇ、シュガーちゃん…こんなとこまで普通気付かないっていうか…」
「てゆうかモテるだろー、イケメン?可愛い顔してるっていうか」
「いんや、私の歴代彼氏なんてみんな気付いても、こんなじゃなかったよ。渋谷だってそうでしょ?奥さんに」
「んーまぁ…」
「てゆうか、きっとお姉ちゃんっ子とかで、めっちゃ似てるだろうなって私の予想」
わからなくもないが、女の想像力ってすげえな…的を射てそうなのも凄い、こいつ外回り経験あったっけか、とぼんやり考える。
「快適のねごこっち」
だとか、
「客層:不眠症、メリット:羽毛布団。切り裂くと気分が良さそう、デメリット:捨てにくい。どうしていいかわからない」
だとかいう、バカみたいな文章が並べてある会社支給のパソコンに、昇は思わず頭突きをしたくなった。
しかし、我に返るだけでじゃあ、どんな代替え文を打ち出せばいいのかと頭をまわそうとしてもずっと付き纏う。昨夜のことだ。
「ごめんね」
昇は自宅に彼女を呼んだ。
それはそれはとても良い雰囲気だと思っていたのに、彼女は突如そう言って、家から出て行ってしまったのだ。
一体全体何事か、何事なんだと深掘りしメールアプリで3通くらい彼女へ送信した。夜のうちには返信がなく。
今朝、スマホのアラームが鳴り、出勤せねばとスマホに触った瞬間、
「美佳:画像を送信しました」
と通知されていた。
一気に覚醒し中身を覗けば、まるでドッキリ、知らない…意地の悪そうな裸の若い金髪男がアップ。
側には裸、長髪、寝そべる彼女の背中という衝撃映像。
更に即、「ごめんなさいね♪」「貴方の年収も身体も満足できないの」「( ・∋・)」と送られてきた。
何事だ、年収って…まだ3ヶ月じゃねぇか!
と勢い勇んで即、通話機能をプッシュすれば、即ブロックをしやがった徹底ぶり。
ただただ熱くなりただただ呆然としたまま仕事に来たが、やはりメンタルはそれどころではなかったようだ。
はぁああ~っ。
重めの溜め息が出る。
同時に、「多分今日これめっちゃ出てるな」と気付く。あそこに写っていたのはラブホテルの羽毛布団だった。
どうにもダメだ、今日は。
「お疲れですね、先輩」
ノートパソコン越しににやっと、天使のような笑顔で加東はそう言った。
流れるように左手首の時計を確認し「お昼にしますか?」と柔らかく聞いてくる。
時計は確かに、12:03。
忘れていた、そうだった。
「コンビニ行くので何か買いに行ってきますよ。何が食べたいですか?」
「あ、あぁ…」
後輩の輝きに改めて意識が職場に戻ってくる。
…あの浮気女より可愛いものだ。何よりその左の八重歯。可愛い。
加東は自分の隣、昇の斜め右の木村に「どうぞ」と、チョコレートか何かを渡していた。
よくみれば木村の顔色は少し白く、化粧乗りも悪そう。お団子の髪艶まで悪く見えてきたような。
あまり本調子ではないのかもしれない。
「うぅう、シュガーちゃんありがとうマジ天使ぃ~、」
「あっさりした物でも…」
「気持ちは血肉が食いたい、けど身体が追い付かない~ぃ」
…アレの日か?
心なしか背中を丸めている…かもしれない。
「わかりました。
渋谷さんも何かいりますか?飲み物とか」
早速隣で弁当を広げ始めた渋谷は「あー、ありがと加東ちゃん。俺は大丈夫だよー」とのんびり言った。
「わかりました」
加東の視線が昇に戻ってきたので「かっ」プラーメンと言おうとしたがいや、どうしようかな、どうせ暫く飽きるほど食うけど「プラーメン…塩とかがいい」と、あまり思い付きもしない。
「わかりました。
はい、どうぞ、リンゴです」
笑顔の加東は更に、リンゴの飴を渡してくる気の遣いっぷり。
昇は包装を開けながらついつい、「加東はホントに可愛い奴だなぁ」とぼやいていた。
「嫁さんに欲しい…」
「嫁さんって。宇田さん彼女いますよねー」
愛妻弁当なんぞを広げたやつがよく言う。
「別れたんだよ、丁度昨日!」
「あっ、そうだったんすか。通りで」
「きっと加東ならもう少し健気だ、あぁ畜生あの女ぁ…」
「あはは、そうですね…」
「まぁ金曜日ですし、終わったら浦野さんあたりと飲みに行ったらどうで」
「絶対やだ。あいつマジで絶っ対からかってくる」
「では、行ってきますね」と加東は控えめに去って行く。
ぼんやり眺める。
加東は少々小柄だが足は長いし線も細い。まるでスタイルが今時だ。黒いスーツ、リクルートみたいだが、あれでも4年はいるだろうか。
「ほっそいな~加東ちゃん」
「…だなぁ」
「女の子みたいっすよねー。時計も女子見だし」
「女心もわかってくれてホント天使…」
木村はふと薬を見て「あ、これ超効くやつだ…」と呟き、プチプチと取り出してぐっと飲んでは「あ゛ーっ」と、色気もなかった。
「ホント助かる…」
「…木村、調子悪そうだな」
「聞かないでくださいよアレですよアレ」
やっぱりか。
きっと加東は、木村のソレに気付き然り気無くフォローをしたのだろう。
大体の男はソレを避けて通るが(今みたいにウザがられるし)、加東になら言える、というのもなんとなくわかる気はする。
「女兄弟いたんですかねぇ、シュガーちゃん…こんなとこまで普通気付かないっていうか…」
「てゆうかモテるだろー、イケメン?可愛い顔してるっていうか」
「いんや、私の歴代彼氏なんてみんな気付いても、こんなじゃなかったよ。渋谷だってそうでしょ?奥さんに」
「んーまぁ…」
「てゆうか、きっとお姉ちゃんっ子とかで、めっちゃ似てるだろうなって私の予想」
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