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不眠症
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最短ルートでも30分は掛かった。計1時間の遅刻。
向かう際に紙コップと、目についたありとあらゆる飲み物を買いまくった。
重かった。
現着すると平中くんは一人ベンチで座っていて、なんだかご機嫌は斜めそう。
まずは彼に「ごめんね、」と高速で謝りそれらを置くと、幸いなのか、機材をチェックしているようだった。どうやら普通に押している。
まずは監督の元へ行き、「ホワイトライトの西賀です、遅れてしまい申し訳」と頭を下げたタイミングで「あれといい、お前といい」と舌打ちをされた。
確かにベストオブ悪いタイミングだ。
「あのな、お前あれの新しいマネージャーだよな、」
髭面監督は準備をそっちのけにして俺の側まで来、しまいには顎をぐいっとやられてしまった。
…やっぱ、いつもこういう雰囲気なんだろうな。
ドラマも後半だからなのか…あまりドラマの現場って場馴れしてないけど、前に短期で受け持った子の現場は後半の方がわりと一体感って、あったんだけどな…。
「普通あれと一緒に謝りにくんだろ、」と平中くんを見ながらな髭面監督の唾が飛んだ。
ぐっと耐え喋りにくく、「いや、今回は、私が遅れ」と言えば離され、じとっと横目で見られては「まぁやっすいなぁ、お前も、あれも!」と怒鳴り付けられる。
「あぁまぁお前は覚えてないか、はは、それでなんだ?俳優受け持つとそれもやっすくなんだな、」
…多分だけどこれ、ネチネチタイプの監督だ…。ヤバイな、こう一点に集中されてしまうと更に全体の撮影が押してしまう。
今日は主役くんも、勿論アイドルちゃんもいる。だが、彼らの責任では全くない。
「私のせいで本当に申し訳」
「っちっげーよだから連れて来いっつってんだよどーせわかってねぇだろ、“ハル”くんよぉ、」
…ん?
「あーはいはいどーもお呼び頂いて」
平中くんがぽんっと俺の肩に手を置き「謝りませんけどね、」と監督に言い放った。
…どういうことだ?
「あー、ごめんね“西賀さん”。来る前からこの人こんなんで、突っ掛かっちったの」
「…え」
「気に入らねぇなら帰りますね、まぁ主役二人に聞きますけど、空気最悪っしょ」
「誰が最悪にしたと思ってんだおいマネ!お前んとこ教育どーなってんだよ、ったくこれだから女押しの事務所俳優使いたくねーんだよ、」
「女性いる前でそんな発言すんのどうかと思いますけど。まぁいいや。
立花さん、申し訳ねーけど後日でも良いですか」
振り向いてみるるんにそう聞いた平中くんを見もせず、ネイルか何かを塗っているみるるんは「べっつにー。翔くんどーすんの?」と、主役の長嶋翔に話を投げる。
長嶋くんもつまらなそうに「いやこの後とかツアー前なんだけど」と平中くんと俺を眺めた。
「喧嘩シーンとか今なら撮れんじゃね?つーかホントはカメラ待ちなんすけどレイアはこの後何あんの?」
「セブン。日東の」
「あー。へーあれ出んだ。じゃあ空きはあんだ?」
「はい、まぁ」
「ワンシーンだけでもやる?押すよりマシだし。ウチ事務所厳しーかんね。空く分には別にいいっつーか、稽古入るんだわ」
…平中くん、いつもこのアウェイ感に耐えてるのかな。
「皆様本当に」
「マネさん、思うけどさぁ、ペコペコ頭下げっとレイアがナメられっからやめた方がいいと思うよ。俺が多分役ん中じゃ一番長いから言うけど。
別に言う筋合いないけど帰れば?こんな空気だし監督もー撮る気ないっすよね。
武田さん事務所に電話よろしく。レッスン入れといてー」
「は!?ちょっと長嶋くん何言ってんだよ…」
「あと二話で打ち切りじゃん。多分こういうのドラマで雰囲気出てますよ、俺見直すんで思いますけど」
「いや、撮るから。
あーもうカメラ早くしろ。じゃ喧嘩シーンから撮ってやれ。
助監、お前ちょっと」
「あ、助監さんならみるるんもやるー」
ちっ、と舌打ちをした監督は俺に「ちょっと面貸せ」と言ってきた。
「ちょっと、」
平中くんが庇おうとしているのかなんなのか。
しかし助監督が「…取り敢えず予定まで撮らせて、悪いけど、そしたら待機でいいから」と静かに言う。
平中くんは俯いて不服そうに「…はい」と返事をした。
俺は機材用の車に連れて行かれた。
背後を眺めるが、平中くんは役者仲間に謝り、しかしどうやらまわりのマネージャーにも励まされていそうではあった。
「お前よぉ、」
監督に言われはっと我に返る。
見れば髭面はニヤっと笑い「撮ったの残ってんぞ」と言われた。
そりゃそうだろうと車に乗り込めば、監督は「ほらよ、」と、パソコンにUSBを刺し映像を見せてきた。
それは予想だにせず、ゲイビデオのような映像だった。
まるで衝撃映像を見ている気分で、一瞬、自分だと気付かなかった。
はっと監督を見れば「いやー良く撮れてるよなぁ、」と言われた瞬間ぱっと記憶に甦る。
「………えっと、」
そういえば平中くんはあれを、茂木さんから聞いたとか、言っていた。
…血の気が引いていく。
「結婚したとは驚いたけどな、俺も驚きだろ?」
「…あ、の…」
「平中もあれか?ん?噂あるよなぁ、ゲイだって」
「………」
「あんなんからお前、よく登り詰めたな」
あぁ、この人…撮影関係者だ。
「はーあ、なんか、はは、やっぱ良い出来だよな我ながら。ゲイビかと思ったらディルド突っ込まれてるって、この編集俺だぞ?」
向かう際に紙コップと、目についたありとあらゆる飲み物を買いまくった。
重かった。
現着すると平中くんは一人ベンチで座っていて、なんだかご機嫌は斜めそう。
まずは彼に「ごめんね、」と高速で謝りそれらを置くと、幸いなのか、機材をチェックしているようだった。どうやら普通に押している。
まずは監督の元へ行き、「ホワイトライトの西賀です、遅れてしまい申し訳」と頭を下げたタイミングで「あれといい、お前といい」と舌打ちをされた。
確かにベストオブ悪いタイミングだ。
「あのな、お前あれの新しいマネージャーだよな、」
髭面監督は準備をそっちのけにして俺の側まで来、しまいには顎をぐいっとやられてしまった。
…やっぱ、いつもこういう雰囲気なんだろうな。
ドラマも後半だからなのか…あまりドラマの現場って場馴れしてないけど、前に短期で受け持った子の現場は後半の方がわりと一体感って、あったんだけどな…。
「普通あれと一緒に謝りにくんだろ、」と平中くんを見ながらな髭面監督の唾が飛んだ。
ぐっと耐え喋りにくく、「いや、今回は、私が遅れ」と言えば離され、じとっと横目で見られては「まぁやっすいなぁ、お前も、あれも!」と怒鳴り付けられる。
「あぁまぁお前は覚えてないか、はは、それでなんだ?俳優受け持つとそれもやっすくなんだな、」
…多分だけどこれ、ネチネチタイプの監督だ…。ヤバイな、こう一点に集中されてしまうと更に全体の撮影が押してしまう。
今日は主役くんも、勿論アイドルちゃんもいる。だが、彼らの責任では全くない。
「私のせいで本当に申し訳」
「っちっげーよだから連れて来いっつってんだよどーせわかってねぇだろ、“ハル”くんよぉ、」
…ん?
「あーはいはいどーもお呼び頂いて」
平中くんがぽんっと俺の肩に手を置き「謝りませんけどね、」と監督に言い放った。
…どういうことだ?
「あー、ごめんね“西賀さん”。来る前からこの人こんなんで、突っ掛かっちったの」
「…え」
「気に入らねぇなら帰りますね、まぁ主役二人に聞きますけど、空気最悪っしょ」
「誰が最悪にしたと思ってんだおいマネ!お前んとこ教育どーなってんだよ、ったくこれだから女押しの事務所俳優使いたくねーんだよ、」
「女性いる前でそんな発言すんのどうかと思いますけど。まぁいいや。
立花さん、申し訳ねーけど後日でも良いですか」
振り向いてみるるんにそう聞いた平中くんを見もせず、ネイルか何かを塗っているみるるんは「べっつにー。翔くんどーすんの?」と、主役の長嶋翔に話を投げる。
長嶋くんもつまらなそうに「いやこの後とかツアー前なんだけど」と平中くんと俺を眺めた。
「喧嘩シーンとか今なら撮れんじゃね?つーかホントはカメラ待ちなんすけどレイアはこの後何あんの?」
「セブン。日東の」
「あー。へーあれ出んだ。じゃあ空きはあんだ?」
「はい、まぁ」
「ワンシーンだけでもやる?押すよりマシだし。ウチ事務所厳しーかんね。空く分には別にいいっつーか、稽古入るんだわ」
…平中くん、いつもこのアウェイ感に耐えてるのかな。
「皆様本当に」
「マネさん、思うけどさぁ、ペコペコ頭下げっとレイアがナメられっからやめた方がいいと思うよ。俺が多分役ん中じゃ一番長いから言うけど。
別に言う筋合いないけど帰れば?こんな空気だし監督もー撮る気ないっすよね。
武田さん事務所に電話よろしく。レッスン入れといてー」
「は!?ちょっと長嶋くん何言ってんだよ…」
「あと二話で打ち切りじゃん。多分こういうのドラマで雰囲気出てますよ、俺見直すんで思いますけど」
「いや、撮るから。
あーもうカメラ早くしろ。じゃ喧嘩シーンから撮ってやれ。
助監、お前ちょっと」
「あ、助監さんならみるるんもやるー」
ちっ、と舌打ちをした監督は俺に「ちょっと面貸せ」と言ってきた。
「ちょっと、」
平中くんが庇おうとしているのかなんなのか。
しかし助監督が「…取り敢えず予定まで撮らせて、悪いけど、そしたら待機でいいから」と静かに言う。
平中くんは俯いて不服そうに「…はい」と返事をした。
俺は機材用の車に連れて行かれた。
背後を眺めるが、平中くんは役者仲間に謝り、しかしどうやらまわりのマネージャーにも励まされていそうではあった。
「お前よぉ、」
監督に言われはっと我に返る。
見れば髭面はニヤっと笑い「撮ったの残ってんぞ」と言われた。
そりゃそうだろうと車に乗り込めば、監督は「ほらよ、」と、パソコンにUSBを刺し映像を見せてきた。
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まるで衝撃映像を見ている気分で、一瞬、自分だと気付かなかった。
はっと監督を見れば「いやー良く撮れてるよなぁ、」と言われた瞬間ぱっと記憶に甦る。
「………えっと、」
そういえば平中くんはあれを、茂木さんから聞いたとか、言っていた。
…血の気が引いていく。
「結婚したとは驚いたけどな、俺も驚きだろ?」
「…あ、の…」
「平中もあれか?ん?噂あるよなぁ、ゲイだって」
「………」
「あんなんからお前、よく登り詰めたな」
あぁ、この人…撮影関係者だ。
「はーあ、なんか、はは、やっぱ良い出来だよな我ながら。ゲイビかと思ったらディルド突っ込まれてるって、この編集俺だぞ?」
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