51 / 74
群青盛衰記
1
しおりを挟む
すげぇ。
帰って来た同居人、依田紅葉。
「紅葉、マジでウザイ、本当にウザイ」
ナイスボイスの元夫(元相方太夫、穂咲さん)と今夫(現在の相方太夫、後輩の勇咲くん)に肩を借りながら。
「あっはっはー!ツキコー、ジントニジントニ」
最近依田の中で急上昇中のバンドボーカルのんちゃんと。
「ちょっ、のんちゃん?勘弁してこのデカイのホントめんどい」
「うひゃひゃー、切腹!切腹!」
ひでぇへべれけ具合で我が店、『violent』に来店しました。
ワタクシはその場で一瞬驚愕しましたが我に返り「うらぁぁ!なんで来たんだバカ野郎!」と依田を鞭でぶっ叩き遊ばしました。
本日もお日柄よく、乾燥して音が響いております。
ママさんがカウンターに頬杖を付きタバコを吸い、「最近飲み屋にされてる」とぼやく。
谷間に勇咲くんは依田から手を離し「うひゃー、ママさん、見えちゃうねえ」と声を上げた。
あたしだって寄せて上げてるわよ。
「あははー、スケベだねぇ勇咲くんー」
のんちゃんが爆笑しながら勇咲くんをぶっ叩き「ん?」目を丸くする中。
「あ゛ーお前っ!勇咲っ!ちょっ、紅葉重っ、おい!ダメだって離しちゃぁ!」
「えぇ~、あんたの相方っしょ~、やだよ酒臭い」
「あんたらいつから飲んでんのよ」
ママさんの前に勇咲くんが座り「新幹線から~。ここ二件目」とママさんのおっぱいに話掛ける横に、のんちゃんは勇咲くんの体を興味深そうに触って確認しながら座る。
とにかくあと二人はその隣に座らせ、ジントニック4杯を作って出した。
のんちゃんがそんなんだし、文楽夫婦も「よしよし紅葉」とか、穂咲さんが依田の頭を抱えるように抱きついているし、最早見映えの客層が一気にゲイバーと化したSMバー。
他のお客さんは気にせず打たれて「ああん」と喘ぐハイシーを眺めていた。
「ママさん、ゲイバーってかハッテン場みたい」
「ツキコ、思ってること口に出しすぎ」
耳打ちすれば苦笑のママさん。
こりゃぁさっさと帰らせたい。
「いやぁね、俺ぁやめよ、弟子だけとかやめよって言ったんれすよ、おっぱい」
「あんた露骨におっぱいに話しかけてるね」
「いやぁ、あそこ夫婦がいまこー、おっぱいみたいに寄り添ってるやない?」
「勇咲くん大丈夫?のんちゃん何してるの?」
「んー、なんかねぇ、松本くんの身体がおかしいなぁって」
「松本って言うの!?」
「のんちゃん~、本名はダメだって~ぇ」
「何この堅いの。縄?」
「え、あったりぃ~。亀甲縛りぃ~」
盛り上がる二人に再びあたしは「ママさん、」と。
「ハッテン場みたい」
「ツキコ、全部あんたの知り合いでしょ」
言うなれば若干ママさんのコメカミにムカつきマークが浮かんだ気がしたので「すみません~…」と小さく謝った。
「てかのんちゃんなんでいるの!?」
「んー?ツアーせんしゅーらく間近だからだよー」
「覚えたのね千秋楽。え、山口さんと高畑さんは?」
「あーね、『SMバー行きたい』って言ったら今回は断られたー」
「当たり前だよねのんちゃん。脱退間近に何言ってんだよって言われたでしょ」
「あったりぃ♪」
相変わらず爆走だな。
てか。
「で!そっちの解散した夫婦はどーしたの!」
イチャイチャしやがって。
最早勇咲くんにもバレるんじゃないかという勢いで穂咲さんは依田に触りまくってる。なんならカウンターで見えないけど股間辺り触ってないかと、あの日が若干甦った。
「解散してないからS嬢!」
「うわぁ、すげぇ効果ない悪口だね兄さん」
「うるせぇ松本!」
しかし無視をして勇咲くん、「なんかさぁ、」と語り始めた。
「俺あの二人見て、昔ゲイカップルがこれ見よがしに目の前でおっ始めたの思い出したよ」
「え、何それ」
意外にもママさん、勇咲くんに食いついた。「うひゃぁおっぱい」とか言ってる勇咲くんを見て、
こりゃあたしは同居人を叱咤(調教)しなければと、場所を移動した。
なんやかんやあれから黙りこくってる依田が少し気になる。
「イチャイチャしてる中悪いね、
おい依田」
「多分ね…」
依田は返事をしないで突っ伏していた。
穂咲さん、苦笑いで言う、「寝てると思うよ」と。
「マジかよ」
微動だにしない。
何?より存在感凄いんだけど、店で。
「なんでこいつこんな酔ってんの?」
「千秋楽終わったからじゃん?」
「あんたもよく来ましたね」
「いや連れて来られたんだよ」
ははぁ。
絶対嘘やろと見つめれば「まぁ、」と。
「ちょっとしたスケベ心も手伝ったけど」
「…あんた正直よね、意外と」
「ほらほら、太夫はいつも物語を語るからね」
なるほどねぇ。
隣できゃっきゃと話声がし、奥では「ああん、」「ひゅー」が聞こえるなか、ふと依田が「亀ちゃん!」と勢いよく頭を上げた。
帰って来た同居人、依田紅葉。
「紅葉、マジでウザイ、本当にウザイ」
ナイスボイスの元夫(元相方太夫、穂咲さん)と今夫(現在の相方太夫、後輩の勇咲くん)に肩を借りながら。
「あっはっはー!ツキコー、ジントニジントニ」
最近依田の中で急上昇中のバンドボーカルのんちゃんと。
「ちょっ、のんちゃん?勘弁してこのデカイのホントめんどい」
「うひゃひゃー、切腹!切腹!」
ひでぇへべれけ具合で我が店、『violent』に来店しました。
ワタクシはその場で一瞬驚愕しましたが我に返り「うらぁぁ!なんで来たんだバカ野郎!」と依田を鞭でぶっ叩き遊ばしました。
本日もお日柄よく、乾燥して音が響いております。
ママさんがカウンターに頬杖を付きタバコを吸い、「最近飲み屋にされてる」とぼやく。
谷間に勇咲くんは依田から手を離し「うひゃー、ママさん、見えちゃうねえ」と声を上げた。
あたしだって寄せて上げてるわよ。
「あははー、スケベだねぇ勇咲くんー」
のんちゃんが爆笑しながら勇咲くんをぶっ叩き「ん?」目を丸くする中。
「あ゛ーお前っ!勇咲っ!ちょっ、紅葉重っ、おい!ダメだって離しちゃぁ!」
「えぇ~、あんたの相方っしょ~、やだよ酒臭い」
「あんたらいつから飲んでんのよ」
ママさんの前に勇咲くんが座り「新幹線から~。ここ二件目」とママさんのおっぱいに話掛ける横に、のんちゃんは勇咲くんの体を興味深そうに触って確認しながら座る。
とにかくあと二人はその隣に座らせ、ジントニック4杯を作って出した。
のんちゃんがそんなんだし、文楽夫婦も「よしよし紅葉」とか、穂咲さんが依田の頭を抱えるように抱きついているし、最早見映えの客層が一気にゲイバーと化したSMバー。
他のお客さんは気にせず打たれて「ああん」と喘ぐハイシーを眺めていた。
「ママさん、ゲイバーってかハッテン場みたい」
「ツキコ、思ってること口に出しすぎ」
耳打ちすれば苦笑のママさん。
こりゃぁさっさと帰らせたい。
「いやぁね、俺ぁやめよ、弟子だけとかやめよって言ったんれすよ、おっぱい」
「あんた露骨におっぱいに話しかけてるね」
「いやぁ、あそこ夫婦がいまこー、おっぱいみたいに寄り添ってるやない?」
「勇咲くん大丈夫?のんちゃん何してるの?」
「んー、なんかねぇ、松本くんの身体がおかしいなぁって」
「松本って言うの!?」
「のんちゃん~、本名はダメだって~ぇ」
「何この堅いの。縄?」
「え、あったりぃ~。亀甲縛りぃ~」
盛り上がる二人に再びあたしは「ママさん、」と。
「ハッテン場みたい」
「ツキコ、全部あんたの知り合いでしょ」
言うなれば若干ママさんのコメカミにムカつきマークが浮かんだ気がしたので「すみません~…」と小さく謝った。
「てかのんちゃんなんでいるの!?」
「んー?ツアーせんしゅーらく間近だからだよー」
「覚えたのね千秋楽。え、山口さんと高畑さんは?」
「あーね、『SMバー行きたい』って言ったら今回は断られたー」
「当たり前だよねのんちゃん。脱退間近に何言ってんだよって言われたでしょ」
「あったりぃ♪」
相変わらず爆走だな。
てか。
「で!そっちの解散した夫婦はどーしたの!」
イチャイチャしやがって。
最早勇咲くんにもバレるんじゃないかという勢いで穂咲さんは依田に触りまくってる。なんならカウンターで見えないけど股間辺り触ってないかと、あの日が若干甦った。
「解散してないからS嬢!」
「うわぁ、すげぇ効果ない悪口だね兄さん」
「うるせぇ松本!」
しかし無視をして勇咲くん、「なんかさぁ、」と語り始めた。
「俺あの二人見て、昔ゲイカップルがこれ見よがしに目の前でおっ始めたの思い出したよ」
「え、何それ」
意外にもママさん、勇咲くんに食いついた。「うひゃぁおっぱい」とか言ってる勇咲くんを見て、
こりゃあたしは同居人を叱咤(調教)しなければと、場所を移動した。
なんやかんやあれから黙りこくってる依田が少し気になる。
「イチャイチャしてる中悪いね、
おい依田」
「多分ね…」
依田は返事をしないで突っ伏していた。
穂咲さん、苦笑いで言う、「寝てると思うよ」と。
「マジかよ」
微動だにしない。
何?より存在感凄いんだけど、店で。
「なんでこいつこんな酔ってんの?」
「千秋楽終わったからじゃん?」
「あんたもよく来ましたね」
「いや連れて来られたんだよ」
ははぁ。
絶対嘘やろと見つめれば「まぁ、」と。
「ちょっとしたスケベ心も手伝ったけど」
「…あんた正直よね、意外と」
「ほらほら、太夫はいつも物語を語るからね」
なるほどねぇ。
隣できゃっきゃと話声がし、奥では「ああん、」「ひゅー」が聞こえるなか、ふと依田が「亀ちゃん!」と勢いよく頭を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
『愛が揺れるお嬢さん妻』- かわいいひと - 〇
設楽理沙
ライト文芸
♡~好きになった人はクールビューティーなお医者様~♡
やさしくなくて、そっけなくて。なのに時々やさしくて♡
――――― まただ、胸が締め付けられるような・・
そうか、この気持ちは恋しいってことなんだ ―――――
ヤブ医者で不愛想なアイッは年下のクールビューティー。
絶対仲良くなんてなれないって思っていたのに、
遠く遠く、限りなく遠い人だったのに、
わたしにだけ意地悪で・・なのに、
気がつけば、一番近くにいたYO。
幸せあふれる瞬間・・いつもそばで感じていたい
◇ ◇ ◇ ◇
💛画像はAI生成画像 自作
隣人はクールな同期でした。
氷萌
恋愛
それなりに有名な出版会社に入社して早6年。
30歳を前にして
未婚で恋人もいないけれど。
マンションの隣に住む同期の男と
酒を酌み交わす日々。
心許すアイツとは
”同期以上、恋人未満―――”
1度は愛した元カレと再会し心を搔き乱され
恋敵の幼馴染には刃を向けられる。
広報部所属
●七星 セツナ●-Setuna Nanase-(29歳)
編集部所属 副編集長
●煌月 ジン●-Jin Kouduki-(29歳)
本当に好きな人は…誰?
己の気持ちに向き合う最後の恋。
“ただの恋愛物語”ってだけじゃない
命と、人との
向き合うという事。
現実に、なさそうな
だけどちょっとあり得るかもしれない
複雑に絡み合う人間模様を描いた
等身大のラブストーリー。
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
神木さんちのお兄ちゃん!
雪桜
キャラ文芸
✨ キャラ文芸ランキング週間・月間1位&累計250万pt突破、ありがとうございます!
神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる