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道行Music Beat
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広間に通され、掛け軸の前に老人(母親)とゲイ男優ネコ顔の弟が正座する。目の前にはシュウマイの袋。
シュールだ、これシュールリアリズムとかいうやつだ。
我々三人も正座、暫く沈黙が鎮座。なんちってとかくだらないことを考えるくらいに雰囲気厳粛。
ふと、寝ちゃいそうな依田母上、モゴモゴと「はて」と言った。
「紅葉はん、あんたぁ、まふ。あんで葬式来んかったねぇ」
「はぁ、ご冥福は申し上げたと思いますが藍さん」
「まぁ、今更んなことはええんやけど。
んで雀生はん。そん子が言うとった東京のおなごかいな」
「左様でございますが」
老人、じろっとあたしを見ては口元を歪め「ふん、」と。
「これやから大阪モンは品があらへん言うねんな雀生はん。あんさん、ほんな派手な若いんをウチの長男に押し付けたんどすにゃ?」
わかるわー。
すげぇ見下されましたなあたし。けどババア、半分くらい何言ってっかわかんねー。
「まぁ確かに、若さ故に少々至らなさもあるやもしれまへんけど、何分紅葉殿が選んだおなごにケチをつけようなんざ、いささかそちらも如何なものか」
意味がわからない。どうしよう。老人ってこんな高等テク会話するの?古典芸能だからなの?
「なにより私めなぞ、この屋敷からは追い出された境遇ですが。今更何を冥府、失礼、世迷い事をおっしゃっているのかが私のようなうつけにはわかりませんよ藍さん」
どうやら古典芸能独自らしい。
「何を戯言を申すか紅葉殿。私らに被害者面をするもまぁ道理やけど、はて、母上はどうしましたか」
「5年ほど前に他界しておりますが」
「あぁ、ほうかい」
それはそれは黒い、嫌らしさ満点で依田母は笑った。
「…私めと致しましてははっきりと、その時分にてこちらとの縁は断ち切れたと思いましたが浅はかでしたな。
長男家督と言うなればしかし、父もいない今私が継ごうなど、筋違いかと思いますが」
「兄さん、ホントにその子と結婚する気?」
ネコ顔弟、母親似の笑い方で依田を見つめる。
依田は心底低い声で「何が言いたい春暁」と、臨戦態勢。
「いやぁ、僕としては藍は母、悠善は父、紅葉は兄であることに間違いはない。単に弟として聞きたいのですが?」
「まぁ、それも道理だが」
この辺に来て勇咲くんが足を崩して片膝立てた。わかる。飽きるよなこれと目線でエール。
「はぁ、あんさぁ。俺よくわかんねぇんだがなんでこんな胸糞悪い話に付き合わされてんの?まどろっこしくて飽きるんだが、互いに何が」
「勇咲、少し黙ってろ」
雀生師匠が制すれば「はぁ、」と溜め息。
これ絶対次の矛先あたしじゃん。
「…ご無礼を。まだまだ未熟な者でして。
しかしそれも道理と存ずる。藍はん、あんたは何故勇咲と紅葉、紅葉の許嫁まで呼んだのですか」
「あぁ、雀生師匠。勇咲さんは僕が呼びました」
3人一斉に「はぁ!?」とハモった。
「忘れちゃったんですか勇咲さん。
いや、まぁまずは雀生師匠。
つまり母は兄にこの家、自分の身辺を任せたい所存なのですよ。何分母も歳だ」
「…言葉を返すようだが鵜助、それはお前の仕事ではないか?ウチのと言うが紅葉は、あんさんら二人から追い出されて、儂がここまで」
「でも戸籍はウチにあるでしょ、兄さん」
黙った。
そりゃぁ確かに厄介だ。
「本来ならあんたかて、息子の一人も居ればいいが、それを許さなかった僕の父を恨みますか雀生師匠。それともお宅ら夫妻の」
「黙って聞いていればなんだお前。
お前と藍さんの恨みは俺にはわからない。だが道理と納得して干渉せずに生きてきた。確かに籍は依田家だが、お前に何がわかるんだ春暁。俺の師、父はそれでも雀生だ。それはお前かて同じじゃないのか、なあ」
キレてる。
それには雀生師匠も「紅葉、」と嗜めるように低く言うが、依田は止まらない。
「俺をどう言おうがお宅ら二人からは致し方ない。被害者面なぞせずに受け止めようと思うがなぁ、まわりの人間になんの関係がある。
亀ちゃんがどう、師匠がどう、しかし言われてしまうも俺の人柄だ。だが許せない。恨み言、俺が聞いてやろうじゃないか、なんだ、何が不満なんだあんたら。どこまで人をバカにすれば」
「違うよ兄さん」
静かに弟が言うのに、依田は仕方なく引っ込めた。
「悪いとなんて兄さんは思わなくていいだろうよ」
「春暁、お前その腹積もりで私の横に座るか」
「母さん。あんたの気持ちもわかるよ。
略奪するような妙な背徳に苦しんだのも僕は見ている。だが、略奪された兄も、本妻だった兄の母も見ている。今更なんだと、言いたいが僕は確かにここを継げないかもしれない」
「何故そうなる春暁」
「簡単ですよ兄さん」
弟はふと笑い、立ち上がった。そして言う、
「高山鵜助、もとい高山鵜志が弟子は女形極めたく候へ。つきましてはお相手竹垣勇咲、本名松本涼一と結婚いたす所存です」
…は?
「は、はぇぇえ?」
やっと出てきた勇咲くん。
しかしとんでもねぇ爆弾を投げられ候。変化球過ぎて全員に被爆。
なるほどジャクソンくん。
これは君ではダメな事案だわ。
シュールだ、これシュールリアリズムとかいうやつだ。
我々三人も正座、暫く沈黙が鎮座。なんちってとかくだらないことを考えるくらいに雰囲気厳粛。
ふと、寝ちゃいそうな依田母上、モゴモゴと「はて」と言った。
「紅葉はん、あんたぁ、まふ。あんで葬式来んかったねぇ」
「はぁ、ご冥福は申し上げたと思いますが藍さん」
「まぁ、今更んなことはええんやけど。
んで雀生はん。そん子が言うとった東京のおなごかいな」
「左様でございますが」
老人、じろっとあたしを見ては口元を歪め「ふん、」と。
「これやから大阪モンは品があらへん言うねんな雀生はん。あんさん、ほんな派手な若いんをウチの長男に押し付けたんどすにゃ?」
わかるわー。
すげぇ見下されましたなあたし。けどババア、半分くらい何言ってっかわかんねー。
「まぁ確かに、若さ故に少々至らなさもあるやもしれまへんけど、何分紅葉殿が選んだおなごにケチをつけようなんざ、いささかそちらも如何なものか」
意味がわからない。どうしよう。老人ってこんな高等テク会話するの?古典芸能だからなの?
「なにより私めなぞ、この屋敷からは追い出された境遇ですが。今更何を冥府、失礼、世迷い事をおっしゃっているのかが私のようなうつけにはわかりませんよ藍さん」
どうやら古典芸能独自らしい。
「何を戯言を申すか紅葉殿。私らに被害者面をするもまぁ道理やけど、はて、母上はどうしましたか」
「5年ほど前に他界しておりますが」
「あぁ、ほうかい」
それはそれは黒い、嫌らしさ満点で依田母は笑った。
「…私めと致しましてははっきりと、その時分にてこちらとの縁は断ち切れたと思いましたが浅はかでしたな。
長男家督と言うなればしかし、父もいない今私が継ごうなど、筋違いかと思いますが」
「兄さん、ホントにその子と結婚する気?」
ネコ顔弟、母親似の笑い方で依田を見つめる。
依田は心底低い声で「何が言いたい春暁」と、臨戦態勢。
「いやぁ、僕としては藍は母、悠善は父、紅葉は兄であることに間違いはない。単に弟として聞きたいのですが?」
「まぁ、それも道理だが」
この辺に来て勇咲くんが足を崩して片膝立てた。わかる。飽きるよなこれと目線でエール。
「はぁ、あんさぁ。俺よくわかんねぇんだがなんでこんな胸糞悪い話に付き合わされてんの?まどろっこしくて飽きるんだが、互いに何が」
「勇咲、少し黙ってろ」
雀生師匠が制すれば「はぁ、」と溜め息。
これ絶対次の矛先あたしじゃん。
「…ご無礼を。まだまだ未熟な者でして。
しかしそれも道理と存ずる。藍はん、あんたは何故勇咲と紅葉、紅葉の許嫁まで呼んだのですか」
「あぁ、雀生師匠。勇咲さんは僕が呼びました」
3人一斉に「はぁ!?」とハモった。
「忘れちゃったんですか勇咲さん。
いや、まぁまずは雀生師匠。
つまり母は兄にこの家、自分の身辺を任せたい所存なのですよ。何分母も歳だ」
「…言葉を返すようだが鵜助、それはお前の仕事ではないか?ウチのと言うが紅葉は、あんさんら二人から追い出されて、儂がここまで」
「でも戸籍はウチにあるでしょ、兄さん」
黙った。
そりゃぁ確かに厄介だ。
「本来ならあんたかて、息子の一人も居ればいいが、それを許さなかった僕の父を恨みますか雀生師匠。それともお宅ら夫妻の」
「黙って聞いていればなんだお前。
お前と藍さんの恨みは俺にはわからない。だが道理と納得して干渉せずに生きてきた。確かに籍は依田家だが、お前に何がわかるんだ春暁。俺の師、父はそれでも雀生だ。それはお前かて同じじゃないのか、なあ」
キレてる。
それには雀生師匠も「紅葉、」と嗜めるように低く言うが、依田は止まらない。
「俺をどう言おうがお宅ら二人からは致し方ない。被害者面なぞせずに受け止めようと思うがなぁ、まわりの人間になんの関係がある。
亀ちゃんがどう、師匠がどう、しかし言われてしまうも俺の人柄だ。だが許せない。恨み言、俺が聞いてやろうじゃないか、なんだ、何が不満なんだあんたら。どこまで人をバカにすれば」
「違うよ兄さん」
静かに弟が言うのに、依田は仕方なく引っ込めた。
「悪いとなんて兄さんは思わなくていいだろうよ」
「春暁、お前その腹積もりで私の横に座るか」
「母さん。あんたの気持ちもわかるよ。
略奪するような妙な背徳に苦しんだのも僕は見ている。だが、略奪された兄も、本妻だった兄の母も見ている。今更なんだと、言いたいが僕は確かにここを継げないかもしれない」
「何故そうなる春暁」
「簡単ですよ兄さん」
弟はふと笑い、立ち上がった。そして言う、
「高山鵜助、もとい高山鵜志が弟子は女形極めたく候へ。つきましてはお相手竹垣勇咲、本名松本涼一と結婚いたす所存です」
…は?
「は、はぇぇえ?」
やっと出てきた勇咲くん。
しかしとんでもねぇ爆弾を投げられ候。変化球過ぎて全員に被爆。
なるほどジャクソンくん。
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