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Past episode one
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「なに、これ」
樹実に連れて来られた、広大な施設。この建物、似ている。
「どう見ても『海軍短期訓練施設』でしょ」
「…嫌だ」
「は?」
ここは凄く、あそこに似ている。
「嫌だ」
「大丈夫。三日。三日ここにいればいい」
「ふざけんなよ…喧嘩売ってんのか」
「何に?」
「あ?」
「他意はない。海軍戦略を学んできなさい。あわよくば戦術もな。大丈夫、ものすごーく面倒見の良い優しいお兄さんが見てくれるから」
何を言ってるんだろうかこの人は。自分が使っている日本語が悪いのか、この人の言語理解能力が欠如しているのか。
多分どっちもだ。わかり合えない。
「樹実」
「なんだい」
「俺普通に暮らして生きたいよ」
「うん、だから学んでこい」
言葉を絞り出してわかりやすくしたつもりが、この人はあれだ、そもそも人の言語を理解する気が毛頭ないんだ。
「ほら、行くよ」
こうなりゃヤケである。取り敢えずもう一個くらい言葉を捻り出しておこう、どうせ聞いていないし。
「Hell no!」
「はっはっは口が悪いなFuck you!」
それを飄々とした笑顔で言ってしまうあたり樹実は本気でどうかと思うが、状況的に一枚上手だなぁとこんな瞬間まで感心して学ぼうとする自分の吸収率というか、思考回路が少し忌々しかった。
要するに流星はわりと、昔からワーカホリック体質なのだ。
「あ、面白いからさー」
何か悪いことを思い付いたに違いない。
案の定、突然樹実は流星の背後に回って流星の右手を取り、蟀谷に銃を押し当ててきた。
え、何これ。
「はいはいそのまま歩いてー」
案外こいつは…。
「怖い怖い怖い!何これマジ?入ってんの?ねぇちょっと!」
入り口あたりで、当たり前ながら警備員は騒然。しかしこの男は楽しそうだ。
「おらてめぇら!このガキがどうなってもいいのか!そこ退きな!ついでに二等海佐の熱海雨を呼んできなぁ!」
「は、はぁ!?」
「先月の1587円のよくわかんねぇ経費流用てめぇどうしたって言えばわかるだろ!」
何これ。
てかこれ最早、俺とばっちりじゃないかなと流星が気付き始めた頃だった。
「おやおや、わざわざご足労を…」
白衣を着た眼鏡の、クールビューティー系な男が警備員に連れられ登場。
しかしなんだか、よく見れば便所サンダルだし、ネクタイはダルそうに手に持ってるだけだし、ストパーよろしくな髪ですらなんかボサボサだし、胡散臭い。
だが菩薩のような笑顔。
なんかこの人ちぐはぐだけど助けてくれそうかな、と光が指した気がしたが。
急に自分の足元に穴が開いた。
多分弾丸だ。
再び男を見ると、自分は拳銃を向けられてる。
銃を持ってる本人は物凄く眠そうに目とか擦ってるし、その拳銃はアニメなんかでよく見るような、真ん中のとこがくるっと回っちゃうあれで、再びくるっといっちゃってるし!
それだけで流星の頭から“生存”の二文字は消えた。そうか俺の墓場はここか、さっき密葬でいい、ひっそり死ぬと言ってしまったし。状況があまりにも出来すぎている。
「危ないでしょうが!」
「いやぁ、当たってないでしょう?」
「俺にはな!」
「ちっ、」
白衣眼鏡は笑顔のままに樹実に舌打ちした。マジか。流星にはそれが飲み込めない。なんなんだ本気でこれは。
「エリート官僚が落ちたもんですねぇ。人質までとって1239円をお取り立てですか?」
「お前こそ落ちたな雨。エリート海軍準指揮官が348円がめるなんて情けないねぇ」
それはどっちもどっちじゃないか。
「水増しっていうんじゃないですか?それ」
「脱税っていうんだよ、熱海準指揮官」
狡猾に罵り合う様はまさしく異様。
「というか…」
いい加減にしてくれないか。
樹実に連れて来られた、広大な施設。この建物、似ている。
「どう見ても『海軍短期訓練施設』でしょ」
「…嫌だ」
「は?」
ここは凄く、あそこに似ている。
「嫌だ」
「大丈夫。三日。三日ここにいればいい」
「ふざけんなよ…喧嘩売ってんのか」
「何に?」
「あ?」
「他意はない。海軍戦略を学んできなさい。あわよくば戦術もな。大丈夫、ものすごーく面倒見の良い優しいお兄さんが見てくれるから」
何を言ってるんだろうかこの人は。自分が使っている日本語が悪いのか、この人の言語理解能力が欠如しているのか。
多分どっちもだ。わかり合えない。
「樹実」
「なんだい」
「俺普通に暮らして生きたいよ」
「うん、だから学んでこい」
言葉を絞り出してわかりやすくしたつもりが、この人はあれだ、そもそも人の言語を理解する気が毛頭ないんだ。
「ほら、行くよ」
こうなりゃヤケである。取り敢えずもう一個くらい言葉を捻り出しておこう、どうせ聞いていないし。
「Hell no!」
「はっはっは口が悪いなFuck you!」
それを飄々とした笑顔で言ってしまうあたり樹実は本気でどうかと思うが、状況的に一枚上手だなぁとこんな瞬間まで感心して学ぼうとする自分の吸収率というか、思考回路が少し忌々しかった。
要するに流星はわりと、昔からワーカホリック体質なのだ。
「あ、面白いからさー」
何か悪いことを思い付いたに違いない。
案の定、突然樹実は流星の背後に回って流星の右手を取り、蟀谷に銃を押し当ててきた。
え、何これ。
「はいはいそのまま歩いてー」
案外こいつは…。
「怖い怖い怖い!何これマジ?入ってんの?ねぇちょっと!」
入り口あたりで、当たり前ながら警備員は騒然。しかしこの男は楽しそうだ。
「おらてめぇら!このガキがどうなってもいいのか!そこ退きな!ついでに二等海佐の熱海雨を呼んできなぁ!」
「は、はぁ!?」
「先月の1587円のよくわかんねぇ経費流用てめぇどうしたって言えばわかるだろ!」
何これ。
てかこれ最早、俺とばっちりじゃないかなと流星が気付き始めた頃だった。
「おやおや、わざわざご足労を…」
白衣を着た眼鏡の、クールビューティー系な男が警備員に連れられ登場。
しかしなんだか、よく見れば便所サンダルだし、ネクタイはダルそうに手に持ってるだけだし、ストパーよろしくな髪ですらなんかボサボサだし、胡散臭い。
だが菩薩のような笑顔。
なんかこの人ちぐはぐだけど助けてくれそうかな、と光が指した気がしたが。
急に自分の足元に穴が開いた。
多分弾丸だ。
再び男を見ると、自分は拳銃を向けられてる。
銃を持ってる本人は物凄く眠そうに目とか擦ってるし、その拳銃はアニメなんかでよく見るような、真ん中のとこがくるっと回っちゃうあれで、再びくるっといっちゃってるし!
それだけで流星の頭から“生存”の二文字は消えた。そうか俺の墓場はここか、さっき密葬でいい、ひっそり死ぬと言ってしまったし。状況があまりにも出来すぎている。
「危ないでしょうが!」
「いやぁ、当たってないでしょう?」
「俺にはな!」
「ちっ、」
白衣眼鏡は笑顔のままに樹実に舌打ちした。マジか。流星にはそれが飲み込めない。なんなんだ本気でこれは。
「エリート官僚が落ちたもんですねぇ。人質までとって1239円をお取り立てですか?」
「お前こそ落ちたな雨。エリート海軍準指揮官が348円がめるなんて情けないねぇ」
それはどっちもどっちじゃないか。
「水増しっていうんじゃないですか?それ」
「脱税っていうんだよ、熱海準指揮官」
狡猾に罵り合う様はまさしく異様。
「というか…」
いい加減にしてくれないか。
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