ノスタルジック・エゴイスト

二色燕𠀋

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The 16th episode

3

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「つまりここにいま残ってるあんたとは、俺は行動を共しないのですか?」

 雀荘兄ちゃんが一言放つ。

「行きたいの?」

 潤が挑戦的に兄ちゃんに言った。兄ちゃんはにやっと笑い、「辻井つじい貴士たかしです」と名乗った。

「部長は捜査状況もわかっている、あとは何より死なれては困ります。原田部長、俺はまだこの人の言うことは半信半疑なんで、行ってきます」

なかなか、骨の太い若手だな。

「ウチはこうなると政宗をここに残して」
「行く気満々らしいよ、流星」

 潤がダルそうに入り口あたりを見て言う。政宗が、アタッシュケースを片手に入り口に立っていた。

「え、は、」
「部長が遅いんで心配になって帝都の資料お持ちしましたけどぉ?」

マジか。
それを聞いた潤が、「ふっ、」とまた笑った。

「荒川…お前、」
「あちーっす。トクホンフクブの荒川政宗でーす。俺帝都行く気満々なんで原田さん?よろしくっすー」
 
 政宗はそれから、原田さんの前のデスクにボンっとアタッシュケースを置いた。原田さんは唖然として政宗を見上げる。

「俺とあんたならまぁ、ウチからは霞ちゃんとじゃぁ…伊緒をもらおうか。流星、お前に諒斗と瞬のコンビをやる。ただし殺したらぶっ殺す」
「え、あぁ、はぁ…」
「外部連絡は一番冷静そうな瞬に任せよう。こっちは俺で。あいつはお前が死んだら後の部長だと思うんだがどーでしょ、部長?」

なんだか。

「…ふ、いいんじゃねぇですか?先輩」
「さぁてウチの部長の許可降りたしぃ、お宅は?」

 どうやら本気で仲が悪いらしいな、お宅ら。
 しかし、「相変わらずっすね」と、皮肉を吐きながら懐かしそうに、悪意はない物言いで言ったのは辻井だった。

「じゃぁこっちは、現在捜査中でその場にいたの上条さんは部長が持って行くとして。
 米倉よねくらさんはここで残っていてください。お茶汲み、いなくなっちゃうと寂しいから。残りはどうしますか部長」
「…お前らなぁ。
 はいはい。わかったわかった。
 いま医療大学にいる若林わかばやし日高ひだか帝都ウチでもらおう。柳田やなぎだと、田中たなかを撤退させたら二人はそのままここに残れ。あとふたり、吉川よしかわ!お前は落ち着きがないから行け!」

メンバーはこれで決まったようだ。

帝都大学

トクホン
政宗

伊緒

マトリ
原田
上条
若林
日高

医療大学

トクホン
壽美田
星川
諒斗


マトリ
辻井
吉川


連絡・通信

トクホン

愛蘭

マトリ
米倉
柳田
田中

さて、こうなってくると…。

「ユミル、どうするか」
「あー…」

 潤が政宗を見る。
まぁ確かに一番総括出来そうな人だけど。

「…人数的に言ったらお前らだよね。あとこっちはガチでぶっ殺しちゃダメ系だけどそっちなら。あと救出劇にユミルとかいいんじゃ」
「わかりましたわかりました。化け物処理しますよ!」

仕方ねぇな。
まぁ言うことも全て最もだしな。

「よろしい。えっと潤が水葬で流星は密葬な。辻井、お前吉川の分と一緒に部長様に遺書残しとけよ。あと流星の左は立つなよ。流れ弾と言う名の誤発射で射殺されるからな」
「失礼な」

あり得るけどな。

 辻井くん、唖然としている。まぁ、そりゃそうだろう。

「唖然としているけどこの子。マジ気を付けないとこーゆータイプって一発死亡パターンじゃね?」
「お前っていつも思うけどなんでそんな社会不適合なの発言が」

ホントこいつ復帰早々、マトリ初対面にしてどうして嫌われようとするのバカなの性癖なの?最早。

「なんかあれだな、絶妙すぎるコンビネーションに俺と吉川は果たして着いていけるか不安になってきました。まぁでも俺空気読める派なんで多分行けます」

うわぁ。
しれっと言ってしまう若者に今度は俺が閉口。なんだこいつ。この前髪横流し。ナメきってね?

「お、あんたいいねぇ。そーゆーナメきってるガキ調教すんの俺マジ興奮だわ流星、はよ行こ。あ、マトリさん、間取りくださいな、医療大学の。なんなら前髪くん、ウチまで運んで」

 そう言って潤は先に部署に帰ろうと足をドアへ向けた。

あちゃぁ。めんどくせぇなこれ。

「あぁあ…」
「王子、頑張れ。姫のこめかみピクッてなったぞさっき」
「めんどくせぇ何あいつ…」
「え、え?」

 部長原田、どうやら訳がわかっていない様子。

 ざっくり言ってしまえば爆心地の奴らの大半が、空気読めない系で固められてしまったらしい。これを全員生きて返せと言う政宗に睨みを込めて見つめる。だが政宗は飄々としていた。
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