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The 25th episode
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数時間掛けて部署全員にそれぞれ書類を回した。
麻薬系は鑑識担当の慧さんと愛蘭
會澤組、ホストクラブ関連は霞と諒斗
先日の大学テロ(谷栄一郎含む)は瞬とユミルと伊緒
その他副部長政宗は全体的な捜査の洗い出し、ホストクラブを重点的に。
俺は鮫島関連から見直し、潤は最初のホテルと大使館テロを重点的に見直した。
一日掛け、ホストクラブは失踪してしまった従業員二人の(山中洋巳、中曽根太一)両名の身柄確保を優先。
あの時ともに連れて行った少年たちは釈放されている。更に聞き込みをすることになった。
薬系で言えばやはり初期とは変わらず、ホストクラブの物は外れを掴まされた形になっている。
が、俺が前に立てた“二種併用理論”の観点と、ホストクラブの現場に残された毒物と思われるものの併合、これは見事に一致。ここで更に詰めることになる。
学者を起用した点から見ても、間違いは相違なさそうだが、
そうすると最初の大使館での人身売買がどうにも成立しないのだ。
薬の研究ゆえかも知れない。実際政宗が押収した臓器やらにはバルビツール酸とコデイン反応は確認された。
だが、売買した先がどうにも洗い出せない。
それにやはり谷栄一郎を逃がした経緯、銀河が残した話もなかなかに不透明だ。
鮫島観点から見ても、確かに株取引先には警察官僚もいるし、出資先に會澤組もある。
後は大学関連の、マトリ副部長と消えた若林とのエレボスの関連性がわからない。
そして何故。
恭太が鮫島に行き着き、コデインとバルビツール酸を投与され死に至ったのか。
これは過去からの因縁である“昴の会”。昔壊滅したかに思われたここに謎はありそうだが、まだまだ、昴の会に我々は行き着かない。
「“昴の会”か…」
書類を目にして潤は呟いた。
やはり同じく行き着いたか。
「この宗教団体、もとは人身売買を裏でやっていた、麻薬撹乱の信者もいて、テロを起こしたのがここのやつらだったって事から始まったよな俺ら」
「…そうだな」
「謎はボスが、…樹実さんやら当時の特テロ幹部が何故、警察庁に乗り込んでテロを起こしたか。ここだよな」
「…あぁ」
多分。
「不謹慎な話、していいか潤」
言った政宗に潤が横目で見る。「どうぞ」と促し政宗は息を吐いた。
「…警察官僚と昴の会に繋がりがあったとしたら、どうだろう」
「…どういう?」
疑問を投げ掛ければ、政宗はちらっと向かい側の斜め左、愛蘭のデスクを眺めた。
愛蘭は気まずそうに、「はい…」と返事をする。
「…私の弟、瀬川恭太の卵子提供元がこの“昴の会”に繋がっているかもしれません」
「…え?」
思わず間抜けをこいてしまった。
しかし愛蘭は、俯きつつも淡々と語った。
「あれでご承知になったかは、わかりませんので身の内を明かしますが…。
私たちの両親は同性愛者でした。
母にも父にもそれぞれパートナーがいて、恭太は母方に引き取られましたが、精子が私の父の物なので、兄弟、となりましたが。
私の父は、子供が欲しかった。故に恭太の母、私の母である方へ精子提供をして恭太と私が生まれました。
その父は警察官僚であり、精子提供をする際に、そういった宗教団体へ一度話を通しております」
なるほど。
人身売買を行っていた団体ならあり得る話だが。
愛蘭は気まずそうに更に続けた。
「つまりは、違法だったんです。私たちの存在は。
違法で精子が取引され、いまに…至ります」
「山瀬さん」
心配そうに向かいに座る、瞬が声を掛けた。
「…そんな言い方をしてはいけないですよ。例え、そうだとしても、今は貴女を必要とする人はたくさんいる。違法だなんて、言わないで欲しい」
本当に愛蘭を思う、慈悲深い目が眼鏡越しに愛蘭を捉えているように伺えた。
それに愛蘭は俯きつつも軽く、しかしスッキリ微笑み、「そうですね」と静かに答えた。
微笑ましい光景に潤が口元に手を当て「ふふ、」と笑った。
「良いこと言うね瞬」
「…はあ、ありがとうございます…」
潤をちらっと見てから少し素っ気なくも、照れ臭そうにも見える鉄面皮さで瞬は答えた。
最近鉄面皮ながら気持ちがわかる気がしている俺。
ありゃぁ、春かもな瞬。
「…悪い愛蘭。そういうんじゃなかった」
「大丈夫ですよ政宗さん。
まぁ、一回逸れましたが…。
つまりは警察官僚もそれなりに利用している団体なのではないかと」
「あぁ…」
確かにそれなら。
「潤お前さ。
確か長官の時、薬無くしたって言ってたよな」
「あーうん。そうそう」
「薬無くした?」
政宗が食いついた。
麻薬系は鑑識担当の慧さんと愛蘭
會澤組、ホストクラブ関連は霞と諒斗
先日の大学テロ(谷栄一郎含む)は瞬とユミルと伊緒
その他副部長政宗は全体的な捜査の洗い出し、ホストクラブを重点的に。
俺は鮫島関連から見直し、潤は最初のホテルと大使館テロを重点的に見直した。
一日掛け、ホストクラブは失踪してしまった従業員二人の(山中洋巳、中曽根太一)両名の身柄確保を優先。
あの時ともに連れて行った少年たちは釈放されている。更に聞き込みをすることになった。
薬系で言えばやはり初期とは変わらず、ホストクラブの物は外れを掴まされた形になっている。
が、俺が前に立てた“二種併用理論”の観点と、ホストクラブの現場に残された毒物と思われるものの併合、これは見事に一致。ここで更に詰めることになる。
学者を起用した点から見ても、間違いは相違なさそうだが、
そうすると最初の大使館での人身売買がどうにも成立しないのだ。
薬の研究ゆえかも知れない。実際政宗が押収した臓器やらにはバルビツール酸とコデイン反応は確認された。
だが、売買した先がどうにも洗い出せない。
それにやはり谷栄一郎を逃がした経緯、銀河が残した話もなかなかに不透明だ。
鮫島観点から見ても、確かに株取引先には警察官僚もいるし、出資先に會澤組もある。
後は大学関連の、マトリ副部長と消えた若林とのエレボスの関連性がわからない。
そして何故。
恭太が鮫島に行き着き、コデインとバルビツール酸を投与され死に至ったのか。
これは過去からの因縁である“昴の会”。昔壊滅したかに思われたここに謎はありそうだが、まだまだ、昴の会に我々は行き着かない。
「“昴の会”か…」
書類を目にして潤は呟いた。
やはり同じく行き着いたか。
「この宗教団体、もとは人身売買を裏でやっていた、麻薬撹乱の信者もいて、テロを起こしたのがここのやつらだったって事から始まったよな俺ら」
「…そうだな」
「謎はボスが、…樹実さんやら当時の特テロ幹部が何故、警察庁に乗り込んでテロを起こしたか。ここだよな」
「…あぁ」
多分。
「不謹慎な話、していいか潤」
言った政宗に潤が横目で見る。「どうぞ」と促し政宗は息を吐いた。
「…警察官僚と昴の会に繋がりがあったとしたら、どうだろう」
「…どういう?」
疑問を投げ掛ければ、政宗はちらっと向かい側の斜め左、愛蘭のデスクを眺めた。
愛蘭は気まずそうに、「はい…」と返事をする。
「…私の弟、瀬川恭太の卵子提供元がこの“昴の会”に繋がっているかもしれません」
「…え?」
思わず間抜けをこいてしまった。
しかし愛蘭は、俯きつつも淡々と語った。
「あれでご承知になったかは、わかりませんので身の内を明かしますが…。
私たちの両親は同性愛者でした。
母にも父にもそれぞれパートナーがいて、恭太は母方に引き取られましたが、精子が私の父の物なので、兄弟、となりましたが。
私の父は、子供が欲しかった。故に恭太の母、私の母である方へ精子提供をして恭太と私が生まれました。
その父は警察官僚であり、精子提供をする際に、そういった宗教団体へ一度話を通しております」
なるほど。
人身売買を行っていた団体ならあり得る話だが。
愛蘭は気まずそうに更に続けた。
「つまりは、違法だったんです。私たちの存在は。
違法で精子が取引され、いまに…至ります」
「山瀬さん」
心配そうに向かいに座る、瞬が声を掛けた。
「…そんな言い方をしてはいけないですよ。例え、そうだとしても、今は貴女を必要とする人はたくさんいる。違法だなんて、言わないで欲しい」
本当に愛蘭を思う、慈悲深い目が眼鏡越しに愛蘭を捉えているように伺えた。
それに愛蘭は俯きつつも軽く、しかしスッキリ微笑み、「そうですね」と静かに答えた。
微笑ましい光景に潤が口元に手を当て「ふふ、」と笑った。
「良いこと言うね瞬」
「…はあ、ありがとうございます…」
潤をちらっと見てから少し素っ気なくも、照れ臭そうにも見える鉄面皮さで瞬は答えた。
最近鉄面皮ながら気持ちがわかる気がしている俺。
ありゃぁ、春かもな瞬。
「…悪い愛蘭。そういうんじゃなかった」
「大丈夫ですよ政宗さん。
まぁ、一回逸れましたが…。
つまりは警察官僚もそれなりに利用している団体なのではないかと」
「あぁ…」
確かにそれなら。
「潤お前さ。
確か長官の時、薬無くしたって言ってたよな」
「あーうん。そうそう」
「薬無くした?」
政宗が食いついた。
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